ツレヅレグサ

雑記と愚痴と、時々小説

Nightmare City Another Story(7)

2006-05-13 17:16:43 | 小説
       ***BGM:403「Northern Lights」***

原作:みーや様「Nightmare City」「Nightmare City Catastrophy」

         Nightmare City Another Story

   第七話『戦火』

 前回のおさらい
aaaとギコは再び街に戻るために準備する。一方街ではついに教授らが行動を開始した。
戦闘の予感が強まる中、aaaとギコはついに街へ戻ってきた!
そして街は戦いの炎に包まれようとしていた。

 工場の奥では、ダークモララーとつー、モナーが機械を囲むようにして立っていた。
「どうやら脳のない輩が動き始めたようだな」
ダークはそう言って2人の方を見た。モナーが口を開く。
「バカとはいえ、こっちと奴らでは数が違うモナ。余裕というわけでは無さそうモナが?」
「心配するな。奴らは数人に分散して行動している。我々の力で十分殺せる数だ」
「カズナンカドウデモイイ!ヨウハツカエナイヤツヲミナゴロシニスレバイインダロ?」
つーが早口でそう言うと、ダークはその通りとでもいうような顔をした。
「ただし非戦闘員にはかまうな。そいつらまで相手にするのは厄介だ」
「ソンナコトハヒャクモショウチダ」
そのとき、奥からアヒャが顔を覗かせた。
「準備は整ったか?」
ダークがきくと、彼はうなずき言った。
「イツデモヤツラヲタタキノメセルゾ」
「よし。では各自攻撃に移れ」
次の瞬間には、ダーク以外の全員がその場から消えていた。
ダークは笑みを浮かべながら機械の間を抜けていく。
そして実験台のそばに座り込んでいる白いフサギコを見下ろした。
「ARK。お前はここに残りシステムを守れ」
「了解」
白いフサギコ、ARKは立ち上がってそう答えた。ダークは笑みを浮かべた後に消え去った。
ARKはしばらくその場に立っていたが、そのうち防衛システムの制御パネルをいじり始めた。
そして防衛ロボットが起動し、入り口の方へと移動していった。

 「戦う事は犯罪ではない。戦う理由が犯罪なのだ。-ある哲学者の言葉より-」

 レモナたちは階段を使い屋上を目指していた。というのもエレベーターが止まっているからだ。
「ハア、ハア、なんでこんな展開になるのよっ!?」
「そんな事は僕に言わないでよ・・・」
ショボーンは不思議な事にぜんぜん息が上がっていない。いや、むしろ息をしてるのかも怪しい。
「ハア、ハア、で、後何回あるの?」
レモナの質問に、ニダーが答える。
「おそらくあと10階はあるんじゃないニダか?」
「ちょっと!なんでまだそんなにあるのよ!」
「し、しらないニダ!?」
「・・・」
というふうに3人は怒鳴りつつもビルの上に向かっていた。

 一方幹線道路では。
流石兄弟は拳銃をいつでも撃てる状態にして周りを見張っていた。
まるで嵐の前の静けさのように、何も音がしないのはある意味不気味でもあった。
「なあ、兄者」
突然弟者が兄者に声をかけた。兄者が振り返る。
「なんだ?」
「あの遠くにいる人影って敵だと思うか?」
彼の指差した先には、小さくてよくわからないが、誰かがこっちに向かってきているのが見えた。
「ん・・・?」
その姿が徐々にはっきりとしてくる。それはエアバイクに乗ったaaaだった。
「お前らそこをどけ!轢かれるぞ!」
aaaは怒鳴りながらエアバイクを上昇させる。流石兄弟は危険に気づいて横に避けた。
その直後、高速でエアバイクが通り過ぎていった。
「・・・2人とも大丈夫か?」
兄者が声をかけると、二人は無事な事を彼に伝えた。
「兄者、あいつ帰ってきたんだな・・・」
「ああ」
その後、彼らは再び周囲に気を配り始めた。

 危ないとこだった。危うく流石兄弟をひき殺して母者に殺されるとこだった。
俺はエアバイクの高度を再び戻すと、工場に向かう一本道を走る。果たしてほかの奴らは大丈夫だろうか。
無線で聴いている限り、まだ戦闘は起きていないらしい。しかしこの先どうなるかは見当がつかない。
とにかく、今の俺に出来るのは工場に向かってシステムをダウンさせる事だ。
俺はTカラたちがまだくたばっていない事を願いつつエアバイクを走らせた。

 一方、フサギコたちは。
「で、なんでまだ逃げてないやつがいるってのはどういうことだ?」
彼はちびギコを前にしてつぶやいた。ちびギコの方はフサが怖いのか泣きかけだ。
「って泣くなよ。泣かれたらこっちも困るんだ」
「・・・オジチャン怖い」
ちびギコの「オジチャン」という言葉は、彼を怒らせるのには十分だった。
「俺はオジチャンなんて呼ばれる歳じゃねえよ!」
そのとたんちびギコは泣き始めた。フサの後ろにはモララーたちが待っている。
「まだかフサー。早くしないと置いてくからな」
「わかったからもうちょっと待ってくれ」
フサはちびギコのおでこをなでながら言った。この状態ではいつ敵が来てもおかしくない。
「おい、ボウズ。お前は早く家に帰るか教授の家に行くかしろ。俺たちはまだ用事があるんでな」
ちびギコはうなずいた。
 とそのとき。
「敵だ!近寄らせるな!」
モララーの叫ぶ声が聞こえ、銃声が響いた。フサは振り返った。
「・・・その程度か?くだらん」
「その声は、まさか」
そう、その声の正体はダークだった。そのそばにはフサのチームのAAが倒れていた。
フサはちびギコをかばうようにしてダークと向き合った。
「モララー!お前はさっさと逃げろ!」
フサは銃を斬られたモララーに怒鳴った。モララーはすぐに逃げようとしたが、
「バカめ。俺から逃げられるとでも思ったか」
その行く先にダークが待ち構えていた。そして一閃。モララーの胴から鮮血が吹き出した。
「モララー!」
ダークはモララーの血を払うと、フサの方にまっすぐ近寄ってきた。
「友人を逃がそうとするその姿勢は良かった」
「くっ」
「だが相手が悪すぎた。お前は友人を死に向かわせたのだ」
もう逃げ場はない。だがもしできればちびギコだけでも逃げて欲しい。
彼がそう思っていると、ダークは突然笑い出した。
「何がおかしい!?」
「そこまでしてその後ろにいる小僧を守りたいのか。ムダだ」
「ふざけるな!」
フサは刀を抜き放った。しかし、次の瞬間ダークはそこにいなかった。
「な?」
そんなばかな。そう思ったとき、後ろでブシュッという音が聞こえた。
振り返ったそこにはちびギコが倒れていた。
「所詮お前が守ろうとしたところで、それはできない」
背後から声がした。フサはとっさによけた。斬撃が右腕を浅く斬る。
「たとえそれが自分の命だったとしてもだ」
「よくもあのガキを・・・」
フサはすべての怒りをダークにぶつけた。しかし、結果として飛んだのは彼の刀だった。
「心配するな。あのガキは死んでいない」
「なに?」
「我々の仲間入りを果たしたのだよ、彼は」
という事はシステムに組み込まれたってことか。フサはそう思った。
ダークはその彼に誘いをかけた。
「お前も我々の仲間となり、正しい世界の秩序を築こうではないか」
「断る」
彼はそう言って刀を拾おうとしたが、ダークに蹴り飛ばされてふっ飛んだ。
「そうか。それは残念だ」
ダークの顔は残酷の笑みを浮かべていた。フサは立ち上がろうとするが、立ち上がれない。
「それならここで死んでもらうとするか」
力が入らない。くそっとフサは思った。その彼に向かって刃が振り下ろされる。
そのとき。ダークの手が止まった。
「この感覚・・・ヤツか!」
ヤツ?一体誰の事だ?そう思っているうちにダークの姿はそこから消えていた。
フサはよろよろと起き上がると、無線機を手に取った。
「こちらフサ。・・・全滅した」
「・・・そうですか。これから医療班を送るのでそこで待機していて」
「すまん。他に回してくれ」
彼はそう言って無線を切った。ちくしょう。

 教授は席を立つと、机の引き出しを引いた。
「教授、どこへ行かれるんですか?」
「これから街のほうに行ってきます。心配しないでも大丈夫です」
それから教授は防衛隊の一人に留守を頼むと、引き出しからリボルバーを取り出し、
ホルスターに収めた。
「それではいってきます」
「教授、くれぐれも気をつけて」
教授は外に出ると、自分の車のエンジンをかけた。
そのとき。
「シネエ!」
突然アヒャがかなり巨大な剣を振りかざして切りかかってきた。教授は斬撃をよけ、
リボルバーを正確に撃った。アヒャが一瞬びくっとした様に痙攣し、その場に倒れた。
「まったく、システム化がいい事なのか疑問ですね」
彼はリボルバーを収めながら言った。

 話は少しさかのぼるが。
ちょうどフサたちが戦闘中のとき、ギコは街の上空に出た。
そのまま落下するが、着地はかなり静かに決まった。彼は周りを見渡した。
ビルの窓ガラスはほとんどが割れ、道路上の車もほとんどが大破していた。
しぃは無事なんだろうか。ギコは突然そういう思いになった。
早くしぃを見つけ出して、彼女と一緒にここから逃げなくては。
ギコは走りだした。やがて彼が悲劇と直面する事は、まだ知るはずもなかった。
しぃ、待ってろよ。俺が必ず助けるから。
その上空には南十字座が光っていた。それはまるで剣のようにもみえた。

「悲劇や喜劇がいつ起こるのかは明かされない。-ある哲学者の言葉より-」

これからどうなるのだろうか?
俺は?俺の友人は?彼らは?そして街は?
その答えは最後にわかる。
それがハッピーであったとしても、悲劇であったとしても。

 次回予告
次々と巻き起こる戦い。
そして今明かされる真実。
混迷の中で人は何を思うのか?
次回「激闘」
混迷の闇打ち崩せ、しぃ!

 作者のひとこと
いやー。やっと7回書いたんだwww。
思えば長かったなー(嘘)。でも、面白いのはこれから先なんで。
ここからが勝負どころ。原作に負けず劣らずいいもの書いて見せます!
ってこんな宣言しちゃって大丈夫かなー・・・。

 **お知らせ**
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ここからもっとネットの輪が広がるといいんですが。
ぜひ一度いってみてください。

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