仏法寺のイチョウの説明には、神宮寺にあるイチョウの木と対になっているとのこと。ならばそれを見なければと早速、西街道に向かいます。結局イチョウの木は確認出来なかったのですが、高部の道沿いの看板に“天然記念物からかさ松”というのがあり連れ合いに訪ねましたが、「そんなの知らなかった…」とあっさり。だいたい、茅野の住人が知らないなんてあり得ません。早速知識を深めるためにからかさ松を目指します。
上社春宮の筋違いの上り道をどんどん上に。地元の人なら周知の火葬場に向かう道です。途中、案内板がありちょっと険しい山道に分かれ少し行きましたが、車ではここが限界です。
からかさ松まで800mの看板。二人して浅はかな考えのまま登山を始めました。とにかく、熊さんと蜂集団に遭わないことを祈りながら紅葉に色づいた山道を歩きます。上りだけの800mは私にはちょうど気持ちよく歩ける距離でしたが、体か鈍ってる連れ合いにはけっこう過酷。スタスタ歩く私に悪態を言いながらもそれなり楽しんでいるようで、ヒーヒー言いながらも目的地を目指します。
山歩きの楽しみはあの木々や土の香り、枯れ葉の柔らかい地面の感触、鳥の声に林を通る風の音。周りを眺めながら歩くと体の中に溜まった毒素が抜けていく気がします。これぞ森林浴!
「やぁ、人だ!」と連れ合いが小さな声で叫びました。細い山道をおじいさんが腰にビクを提げて歩いて来ました。こんな道、まさか他の人に会うなんて思いがけない事です。格好から分かるようにキノコ採りのおじいさんでした。向こうも驚いたようです。何せ、タクシードライバーの服装の親父に普段着のおばさんが歩く道じゃないのですから…。「からかさ松ならすぐそこだよ」と教えてくれました。キノコはまだ出始めで、それでもビクの中にはけっこうなキノコが入っていたと連れ合いがチラ見してました。
茅野の街が見下ろせる山の中腹にからかさ松があります。古そうな巨木の元には三つの小さな祠があり、ずいぶん昔から信仰の対象だったのがわかりました。多分、余程の用事かキノコ採りでなければ滅多に訪れることの無さそうな場所ですが、なんだかとても素敵な場所を見つけた気がしました。
帰路はずっと下り坂。さっきの弱音はどこへやら~。連れ合いはとっとこ山道を降りて行きます。どうしてって、お腹空いてるからだったんですが。