海外競馬の回顧は明日に回して今日はオーシャンエイプス祭りに沸いたきさらぎ賞回顧でも。。
オーシャンエイプス自体は時計的にも新馬戦時とほぼ同タイム、同上がりを記録しているが道中のペース自体が違うために比較しても仕方ない。ペースを握ったのはレース前から行くというニュアンスを含ませていたアサクサキングスであり、それは四位→幸四郎に乗り変わっても変わらなかった。幸四郎の刻んだペースは12.8 - 11.3 - 12.3 - 12.9 - 12.4 - 12.1 - 11.3 - 11.4 - 12.3で、1000m通過が1:01.7。いや、もうこれは幸四郎GJでしょう。ある程度の実力馬がこのペースで楽に行かせてもらって、上がり3ハロン35.0でまとめられたらそれこそ〝飛ぶ〟しかないわけだがエイプスは新馬戦とほぼ同じ位置から追われても伸びきれず外から来たナムラマース、内からのサムライタイガースに先着を許しての4着。1.3倍という基地外じみた人気には答えられなかったわけだが、そもそもキャリア1戦の馬が3歳混合重賞挑戦という条件自体がかなり厳しいもの。たぶん、ここ数年でもビッグプラネットくらいしか勝ち馬はいなかったと思う。これを加味すればオーシャンエイプスという馬自体の持つ器自体はそれなりのものがあると思うし、それがなければ坂路で終い1ハロン12.0で上がるなんていうことはなしえないだろう。少なくとも無事ならばOPクラスまでは上がっていけると思う馬だが、ここで気をつけなければならないのはこの馬の適正ではないかと思う。父がマヤノトップガンであることから皐月賞どころか三冠云々とまで吼える輩(海猿基地)がいたが(一応過去形)、このマヤノトップガンという種牡馬がまた曲者なのである。
マヤノトップガン自体は現役時代は菊花賞・有馬記念・天皇賞(春)を制するなど成績はステイヤーのものだが、天皇賞(秋)での2着や天皇賞(春)でのあの末脚に示されるとおり母父Blushing Groom譲りのスピード・瞬発力も兼ね備えた近代スピード競馬の範疇におけるステイヤーとも言え、一昔前の典型的ステイヤーと一括りにすることは間違い。ステイヤーの子供はステイヤーを輩出するのはそれまた一昔前の時代であり、近年のステイヤーはそこもまた違う。マヤノトップガン産駒で中央競馬の重賞を制したのは5頭。その中で、父親に似て2400m以上のステイヤーカテゴリーに分類される重賞を制したのは2頭。その2頭はバンブーユベントスとチャクラであり、バンブーユベントスの母父はワッスルタッチであり、チャクラの母父はCaerleonとスタミナ偏重型。他の3頭にしても先日の平安Sを制したメイショウトウコンの母父はダート得意のジェイドロバリー、エプソムC・新潟記念を制したトップガンジョーは9ハロン~12ハロン得意のゴールデンフェザント、1400~1800で重賞3勝のプリサイスマシーンはサンデーサイレンスとトップガン自体は自身のスタミナを伝えるというよりも母方の特徴を引き伸ばす特徴が見られるかと。
同じように母父を伸ばすのが今日勝ったアサクサキングスの父でもあるホワイトマズル。リアルシャダイ牝馬に付ければイングランディーレ、Mill Reefを父に持つサウスアトランティック牝馬に付ければスマイルトゥモロー、ミスプロ牝馬に付ければビハインドザマスク。これほど母系によって産駒の性質が分かりやすい種牡馬もまた珍しい罠。フレンチデピュティやアサティスのように父親が我を強く出す種牡馬もある意味産駒の性質を把握しやすいが、ホワイトマズルやらマヤノトップガンのように母系を尊重するフェミニスト系の種牡馬も把握しやすい。思い出してみれば、サンデーサイレンスは毛色&馬体は強く主張したが、産駒の距離適正は母親に依存する傾向が強かった。それに比べると息子であるアグネスタキオンは、栗毛の両親からは栗毛の仔しか生まれないという遺伝法則はあるが毛色といい適正といい父親が強く主張しているようにも感じるのだがね(あくまでも主観ですが)。
で、話が大幅に逸れてしもうたが結局はオーシャンエイプス自体は母系をよく活かすマヤノトップガンということを考えると母系の近親はゴールデンキャストを始めとする短距離系。それを踏まえると、マヤノトップガンが父親ということでスタミナ補強が多少行われるとしても1600~2000がベストの馬になると思うのだがどうなのであろうかね。。