『菅政権は、二酸化炭素(CO2)の排出を減らすための専門資格「カーボン(炭素)マネジャー」を創設する。地球温暖化対策についての専門知識やノウハウを客観的に評価する「ものさし」を整えて、環境分野で活躍する人材を育てるねらいだ。月内にも閣議決定し、2012年からの本格導入を目指す。
カーボンマネジャーには七つの「段位」を設ける。省エネルギーなどの法律を理解している人は「1段」とし、CO2排出量の算定や排出量取引の審査など、能力によって段位が上がる。「5段」は顧客に有料サービスができるレベルとし、「7段」は海外でも認められる名人クラスの人材と定義した。
段位の内容については、内閣府の「実践キャリア・アップ戦略」の専門チームが検討してきた。夏までに日本経団連や連合の意見を聞きながら詳細を詰める。今秋以降には複数地域で、実際に段位を与えるモデル事業をおこなう。
新制度は、今後、温室効果ガスの削減に取り組む「環境ビジネス」が広がっていくことをにらみ、企業が社員や就職希望者の能力を判断しやすくするのがねらい。
政府は職業訓練の研修プログラムをつくり、失業者などが訓練を通じて、マネジャーの段位を取得できる仕組みを整える。公的機関が提供する職業訓練を「段位」と結びつけることにより、非正規社員などが、より質の高い仕事に就くチャンスを増やすことにもつながる。
モデルは英国の能力評価制度だ。約700の職種の職業訓練が用意され、受講すると「ジョブカード」に能力評価が蓄積されていく。能力は5段階に分けられ、求職者はどの程度の能力を持っているかを企業に証明できる。
菅政権は、「介護」や「農業」などでも同様の制度を検討している。介護の場合、介護福祉士などの資格があるものの、賃金に差がつきにくく離職率が高い。このため、7段階程度の段位を導入し、介護報酬が段階的に増える仕組みを検討。農業では、1次産業に商品開発やマーケティングなど2次、3次産業的な側面も加え、付加価値を高める「6次産業化プランナー」の創設を検討している。(鯨岡仁) 』
管政権の発案かどうかは別として、このような制度でどのような事を期待しているのだろうか?企業の省エネであれば、エネルギー管理士の制度もあり省エネ分野では多くの資格者がいる。二酸化炭素の排出量取引であれば、排出量の算定を行う検証人もいる。地球温暖化対策で企業のマネジメントを強化したいのであれば、ISO14001やエコアクション21の制度もある。また、環境カウンセラー制度もあり、新たな制度を作らなくても、今の制度で人も、組織も整備されていると思う。省エネの専門的な分野や排出量取引や検証人には、資格認定が必要となり、新たな試験制度を造るのか?または今ある資格で認定することになるが、目指すところがいまひとつ見えてこない。