これは、前橋市の亀泉清掃工場です。ヒゲクマが一番頻繁に眺めるごみ焼却施設、理由はお隣の亀泉霊園に両親の墓所があるからです。
前橋にはごみを焼却する清掃工場が三つあります。
六供清掃工場は、平成3年竣工、建設費116億円、24時間運転で日量135トン処理できる焼却炉を3基、処理能力405トン/日です。平成13年にダイオキシン等の低減対策で39億円かけて改修、自家発電は1,889kw、隣接する温水プールに熱源を供給。
亀泉清掃工場は、昭和52年竣工、8時間運転で日量25トン処理できる焼却炉1基、処理能力25トン/日です。ここも平成13年に10億円かけてダイオキシン等の対策をしています。
大胡クリーンセンターは、平成2年竣工、24時間運転で日量54t処理できる焼却炉2基、処理能力108トン/日です。lここは、平成12年に12億円をかけてダイオキシン等の対策をしています。
三つの清掃工場で、6基の焼却炉、合計538トン/日の処理能力です。
<その538トン/日で、前橋のごみ燃すのに間に合っているの?>、キキから質問です。
うん、間にあっているんだよ。前橋の可燃ごみの総量は年間11万トンほど、一日当たり約300トン、それもね、5年ほど前をピークに減り始めているの、みんながごみの減量化に努力してるから。
だから、焼却炉の能力が燃さなくてはいけないごみの量の1,8倍ぐらいあるから、メンテナンスやなんかで焼却炉が運転できない日があることを考慮しても十分に間に合っているの。今はね。
<でもさ、みんな古くなって壊れそうになっているんじゃないの?>
六供が21年目、亀泉が35年目、大胡が22年目を迎えている。焼却炉の一般的な耐用年数は25年から30年ぐらいなんだ。結構余裕を持って使ってきているから、六供と大胡はきちんとしたメンテナンスをすればまだ使えると思うよ。
現にね、高崎市は、25年目を迎えた高浜清掃工場について、もっと長く使って行くことを基本に、改修の検討を始めているよ。だから、六供と大胡を今止めちゃうのはもったいないよね、高崎の高浜工場に比たって見劣りする施設ではないもの。
<ふ~ん、市が計画している新清掃工場の大きさはどのくらいなの?>
新工場の計画はね、24時間運転で日量132トンの能力を持つ焼却炉が3基、処理能力は396トン/日、六供工場とほぼ同じ能力なんだ。
<それで間に合うの?>
うん、今のごみの量が1日300トンぐらいで、減量化もさらに進むだろうから、計算上では間に合うよね。でも、今の3工場の焼却能力に比べると4分の3に減るから、余裕はあまりなくて、フル稼働しなくてはいけないときもあると思う。
その上、もし、一基でも故障すると、処理能力が不足する可能性は否定できないよ。今の3工場ならね、焼却炉が1基故障しても十分にやりくりできるけどね。
普通に考えれば、清掃工場は大事に長く使うことが良いことだと思う。「もったいない」と思うよ、六供と大胡は…。大きな欠陥でもあるのなら問題だけど、市はそういう欠陥があるとは言ってないよ。
それからね、ごみ問題ってのは行政だけでは解決できないんだ。リユースやリサイクルを増やして、ごみを減らすこと、それから、ごみを分別収集すること、こういうことはみんな市民が責任もってやらなくてはいけないことなんだ。自分たちの問題だって意識があるからできるんだ。
前橋だって、30年以上かけて、リユースやリサイクルのシステムを作って、分別収集がスムーズになってきたのだから、時間もかかるし、それに費やす努力も大事だよ。
清掃工場をつくることも、こういうごみ全体をどうするのか、資源をもっともっと大切にしてゆくことと一緒に考えていかないといけないと思っているよ。
だから、何を焦って新清掃工場をつくろうとしているのかな、そこが分からないんですよね。新清掃工場の建設には、200億円から270億円かかると想定されるし、既存の3工場の解体除去にかかる費用だってものすごく大きな金額になると思いますよ。
去年の3月11日、大地震と大津波に見舞われて、それまで安全だと考えられていた原子力発電所や防災施設・公共施設がたくさん壊れてしまったよね。この悲惨な経験から、私たちが何を学ぶかが大きな問題だ。
一か所まとめれば効率が良いかもしれないけど、「安全」というのは確率の問題だから、6基の焼却炉を3基に減らせば壊れるリスクは当然大きくなる。新しくても古くても壊れない施設や機械はないと考えなくてはいけないよ。
だから、今、発電だって巨大な原子力や火力から、太陽光や水力みたいな小さいけど数多くつくってリスクを減らしていこうという考えが強くなっているわけで、ごみ処理も一緒だよ。
だから、ヒゲクマは三つの工場を廃止して一つの新工場にするというのはリスクが大きくなってしまうと考えているんだ。
どこでも、どんな分野でも、去年の3月11日の大震災を契機にいろいろな既存のシステムを検討しなおす作業が始まっている。だから、前橋でも、大震災以前に計画された新清掃工場計画は、当然のこととして、見直すべきだよ。幸い、当分の間は、六供工場と大胡工場で対応できる余力を持っているんだから…
誰でも言えることだけど、自分が決めたことを変えたくないって気持ちはあるよね。理由は分からないけどさ…
それとね、市長さんはごみの焼却熱で発電をして売電利益を得たいと考えてるみたい、だから、新清掃工場は高効率発電を導入して発電効率を上げ、そうすると国からの交付金も増えるってそろばん勘定しているみたいなんだ。
でもね、高効率発電をするためには焼却炉の温度を今よりずっと高くしなくてはいけないという問題があるの。つまり、今まで燃さずにリサイクルしていたペットボトルや塩ビ系の樹脂のように高温を出すものを一緒に燃さないとうまく行かないかもしれない。
焼却炉の温度を上げることは、当然リスクが大きくなることだし、ペットボトルを燃すことになると、今まで市民が苦労して作り上げてきたリサイクルの仕組みが壊れるよね。
高効率発電には、いろんな問題がありそうだな…、このことについて詳細な情報が公開されてないからわからないことが多いけど…
ありがたいことにね、六供工場と大胡クリーンセンターは正常に機能しているのだから、すぐにごみ処理ができなくなるわけではないんだよ。
だから、建設することを前提にした建設財源の議論よりもね、清掃工場のあり方によるリスクの違いの問題をしっかり議論することと、リユース・リサイクルも含めたエコな地域社会をつくるためにみんなで何をすれば良いのかをしっかり議論して、その中で新清掃工場が本当に必要があるのかないのか考える方がいいよ。
大震災を経験したこの国は、他の分野でも、確実にそういう方向に向いているよ。
震災前に作られた計画は、すべて震災の経験に照らして見直すことが絶対に必要だ。そうでないと、たくさんの犠牲者に申し訳がない。
ヒゲクマはそう考えて、山本龍さんが言う「落ち着いた議論をするべきだ」という意見に賛成するんだ。
これで、清掃工場の問題はおしまいです。いろんな意見があると思います。これは、10年前、群馬県庁で環境生活部長を務め、廃棄物行政を担当していた私の意見です。皆さんも考えてください。
皆さん、東北の被災地をを支援している寺さんのお願いにも応えてね! 寒い思いしてる東北の仮設住宅に暮らす皆さんに、暖房器具、毛布、防寒着などの温かいものを届けましょうね。2月12日(日曜日)13時から16時、前橋市笂井町456-12 ジャーナル印刷(株)オフ輪工場で受け付けます。すみませんが運んでください。
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「ヒゲおじさん厨房に入る」、次回は2月11日の朝日新聞群馬県版に掲載予定になりました。紙面都合で一週遅れです。すみません
どうするのがベストなのかはよくわかりませんが、震災の経験を踏まえ、子供たちの未来につけがまわることのないような解決策が見つかったらいいなと思います。2月25日には公聴会もあるようですし、関心をもって生活したいです。
市役所の担当レベルでは、なぜ下増田に清掃工場をつくらなくてはいけないのかちゃんと答えられる職員はいないと思います。
以下は、昨年の9月5日に開かれた前橋市の新清掃工場整備検討委員会で事務局が行った報告です。この報告に対して、委員会の委員の誰一人が質問も意見も述べていません。困ったものです。
「都市計画法に基づき、新清掃工場を都市施設として、位置、面積、区域等を定めるもので、都市計画案では、ごみ焼却場の名称を「仮称前橋市下増田清掃工場」、位置を「前橋市下増田町」、面積を「約40,400平方メートル」と定めている。この計画案について7月20日から8月3日の間、閲覧が行われた。また、閲覧に先立ち、都市計画案の内容を広く周知するために前橋市内2か所、伊勢崎市内2か所の計4か所で5月下旬に説明会が行われ176名の参加者があった。この説明会で出された主な意見は、安全に関する意見として、浸水や地震で施設が稼動不能になり、二次災害の発生に対する意見、環境に対する意見では、風下の伊勢崎市への排ガスの影響、放射性物質を含むごみを処理する事の不安、風評被害による経済への影響を心配する意見、リスクを分散するため現3工場体制を維持すべきとの意見もあった。計画地の変更を求める意見も多くあった。また、伊勢崎市三郷地区の説明会では決議文が提出された。さらに8月20日に公聴会が開催され28名の公述申出の内、内容が同じ意見を集約し、当日は16名からの公述意見があった。主な公述意見としては、伊勢崎市民の意見を無視して都市計画決定しようとしているとの意見、排ガスの影響、放射能物質の拡散、浸水、地震被害、収集効率の低下、各対策を行う事への費用の増加等問題点を指摘する意見が述べられた。この公述意見は、市の見解を付したうえで公表する予定だ」(新清掃工場整備検討委員会議事録・前橋市HPより)
都市計画案に関する公聴会で、賛成意見を述べた人は一人もいなかったのです。にもかかわらず、検討委員会は、環境影響評価の準備書を承認したわけです。それで、25日に県が主催する公聴会が開かれるわけです。
高木政夫市長と新清掃工場整備検討委員会の皆さん方は、すべての批判を黙殺し続けてきました。