アイヌ民族関連報道クリップ

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コートジボワール:先住民族と移民、深まる溝(IPSJapan)

2007-01-04 00:00:00 | 先住民族関連
【タブーIPS=フルジャンス・ザンブレ、1月4日】

 ブルキナ・ファソ(西アフリカに位置し、ニジェール、マリ、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベナンの6カ国に囲まれた内陸国:IPSJ)出身の小作農民ブラヒマ・ウエドラオゴは3年前、耕作地を求めて家族と共にコートジボワール南西部Tabou(タブー)に移住してきた。

 南部Klotouの住民たちがこのような移民を暖かく迎え入れたのは最初の頃だけである。現在では住民の多くが、移民を追放することを望んでいる。

 Klotouに住むマーク・カッレは「移民たちは森林資源を搾取・略奪し環境を破壊している」と述べる。

 さらに「南部に移動してきたブルキナベ人や西アフリカの農民は、森林地帯で野営をして火を熾し狩猟をする。このような状況があと数年も続けば、我々の土地は移民に全て奪われてしまうだろう。時期が来れば移民を排除することができるだろう」と語る。

 コートジボワールでは、移民流入に反発する南部住民の怒りが次第に表面化し、激しい衝突にまで発展した。

 1999年、南西部地域Tabou近隣農村では村人と移民との間で大規模な衝突が起こり、約50人が死亡。ブルキナ・ファソから移住したLobi族やDagare族は、先住民であるKroumenの人々によって追放された。また、Tabouよりもさらに西のDuekoue(ドゥエクエ)の町でも2005年、同様の衝突が勃発し、10人が死亡、約1万人が追放された。

 近年、Tabouでは(移民の排除を求める)住民と移民との対立により、再び状況が悪化している。

 Duekoueの先住民族と移民との間の緊張は、ここ2ヶ月間でさらに高まってきている。(同国のアビジャンに派遣された)国連の人道調査官ユスフ・オマール氏は「この衝突で数十人が死傷し、数千人がここから追放された」と述べた。

 さらにオマール氏は「この衝突は、主に土地を巡る争いである」とIPSの取材に応じて語った。

 2002年9月のクーデター勃発後、同国内では反政府の支配下にある北部と政府軍の支配する南部に分断された。北部と南部の間の緩衝地帯では現在、国連軍が監視活動を展開している。また、国連世界食糧計画(World Food Programme: WFP)を通じて、国連児童基金などの国際団体も(先住民族と移民との間で生じる)深刻な問題を抱える地域で人道支援活動を行っている。

 移民への反発を強める住民に対して、移民はこの状況を何とか鎮めたいと願っている。

 Tabouのブルキナベ人コミュニティの代表イッソウ・サワドゴ氏は「我々は、コートジボワールの人々に以前我々が暮らしていた村の実情を理解して欲しい。我々の村は酷い旱魃に見舞われ、開拓するための土地がない。しかし、ここ南部は肥沃な土地に恵まれ、おまけに降雨量も豊富である」と語る。

 一方、ココア栽培の重労働を終えて帰宅したウエドラオゴは、風呂で汗を流し、畑に隣接する丸太小屋でIPSの取材に応じた。

 「昔、平均的な雨量があった頃は、ココア生産量は私の予想を超えるほど(1ヘクタール当たりの生産量:ココアは3.4トン、米・トウモロコシは各2トン)であったため、子供たちの学費や家族の食費は十分に賄えていた」と語った。

 しかし、政府の統計によれば、コートジボワール南西部で暮らす移民の数は現在20万人を超え、毎年約100世帯が移住していると見られている。Grand-Berebyの職員ブルノ・ヤオ・クアッシ・エッセは「移民の大半はココア栽培をはじめとする農業に従事している」と説明した。

 環境相によると、1988年から2005年の間に西アフリカの森林地帯は1,000万ヘクタールから300万ヘクタールに激減した。1984年まで、コートジボワールにおける砂漠化の割合は年間約2.5%であったが、ココアやコーヒー栽培の拡大により年間11%に上昇。同国の砂漠化の進度は加速化する一方だ。

 国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP))は、悪いのは移民だけではなく、(コートジボワール北部から移動してきた人々の移住に伴う)大規模な森林搾取にも原因があると言及する。

 首都ヤムスクロに拠点を置く国際NGO団体『Friends of the Forest』(AMIFOR)もこの意見に賛同している。同団体は「北部の土壌は肥沃さに欠け耕作地には適さない。一方の南部地域は雨にも恵まれ豊かな土壌環境にあるが、『砂漠化防止』へ向けた早急な対策を講じなければ、北部と同じ状況に陥る可能性がある」と懸念を示す。

 アビジャンのAbobo Adjame大学で環境の管理・評価を専門としているエティエンヌ・グエヒィ氏は「なんとか生き延びようと切羽詰った人々は、森林を無秩序に伐採して畑を作ったり、過剰耕作により土地を細らせるなど、砂漠化を促進させるような行動をとる」と分析する。

 AMIFORのクラ・クアディオ代表は「コートジボワールでは、一刻も早く移民の流入や森林破壊を食い止めなければ、砂漠化の被害が益々拡大するだけだ」と同国の現状に警鐘を鳴らしている。(原文へ)http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=36067

翻訳=松本宏美(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩


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