~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

文学サロン 火曜の会 vol.4

2010年04月28日 | おはなし会・語りの会
文学を楽しむ火曜の会。

今月のプログラム、私の思う主題は、『道はひとつ』。

*幸田文作『父・こんなこと』より『あとみよそわか』
*山本周五郎作『内蔵允留守』

春4月は、気持ちもフレッシュに、あれやこれやと新しい事柄も次々やってきます。
あっという間の日々に流されないよう、落ち着いて、若葉の5月を迎えるために、すっきり整えていたい我が心。
そんな想いで選書しました。

『あとみよそわか』
時々、思い返し、自分にも子どもたちにも、繰り返しつぶやくおまじないのような露伴さんのお言葉。
幸田文さんが、父上からしっかり躾けられた掃除の極意が、グサッとくるほど、胸に入ってくる随筆です。
箒の埃を、縁側の横腹をなするようなことはみっともない。
絶対するまいと、毎回思うのです。
私には、必読書ですね。
会の方が、
「娘が出来た時、幸田文さんに、見習いさせてほしいと本気で思ったことあったのよ。幸田さんの本読んで勝手に想像してね。」
と笑いながらおっしゃってました


『内蔵允留守』
愛情込めて庶民を描く山本周五郎さんの文章は、もう、潔く、誠実で、人びとの交わりの細かなやり取りに、優しさが溢れて、真っ直ぐ心に響いてきます。
「内蔵允は留守」のうち、主人公岡田虎之助が真の師に出会い、兵法の殻から脱出し、自分の行く道を見つけていく、直向で純粋な想い。
「道は一つだ。無窮に八方へ通じている。それが大きく、のびのびと眼前に展開されたようだ。そして、その大道の一端に、しっかりと立ち上がることができた」
ストレートな言葉です。
分りやすいけれど奥が深い。
なんども触れながら考え、大事にしたいです。


すくっと、まっすぐ立ちたい。ふと、そう思いました。
丹田に意識を持って、背筋を伸ばし、胸を開き、良い姿勢で立つ事、
立つとか、歩くとか、そんな、毎日の動作も、すっきり、しっかりせねばと思いたくなるような本に出逢うことは嬉しいことです。

自分の歩いていく道の途中で、時々立止まり、未来に通じる自分の道の先を思い浮かべ、待ち受ける何かに向かっていく力を養っている感じがいたします。


お茶菓子に、桜餅をいただきました
その上品な塩漬けの桜の葉の香りが、二つの作品の香りとなって、心に刻まれました
心もお腹も美味しい、文学の時間でした

次回は、5月25日(火)14:00~です。

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