地球温暖化防止対策でも米国に追随する日本なのでしょうか。
新自由主義ばかり追いかけず、被曝国日本は環境重視をお願いしたいものですね。
篠原孝議員メルマガから転載します。
<首の皮1枚でつながったCOP17、京都議定書>
12月11日、南アフリカのダーバンで開かれていた国連の気候変動枠組み条約の第17
回 締約国会議(COP17 )は、地球温暖化防止に取り組む国際協力体制を大きく転換
する節目となった。
新しい枠組みは、2012年末に期限を迎える京都議定書の下で、温暖化ガス削減義務
を負っていない中国やインドなどの新興国や、議定書から離脱したアメリカも参画を
約束しており、これが実現すれば、温暖化ガスの7割近くをカバーする協定となるこ
とになっている。その意味では一歩前進である。
WTOと同様に失敗に終わることも危惧される中、新しい枠組みの中身は決まらず、
問題を先送りにしたということも言われているが、ここで日本の変な対応が目立った。
<不可解な日本の京都議定書延長不参加>
国際条約には、よく開催国なり開催地の地名をとったものがある。残念ながら日本
のものは数少ないが、その一つが1997年に日本がリードしたCOP3京都議定書である。
ところが、日本は、前回のカンクン合意以来、CO2排出量の半分を占める上位3か
国、中・米・印が参加しない約束は無意味だと主張し始め、今回第2約束期間が設定
されてもそれには加わらないと表明してしまった。それにロシアも同調し、カナダも
呼応する形でアメリカ同様離脱を表明した。3ヶ国ともいつものとおり、NGOから
ダメな国に贈られる「化石賞」2位をもらっている。
感心するのはEUである。京都議定書に踏みとどまり、削減義務を負いながら約束を
履行していくことになっている。NZ、豪州、ノルウェーといった健気な国が続いて
いる。
<新エコノミック・アニマル、地に落ちた日本の評判>
「国際的な任務を果たせ」、「環境の世紀だ」と言われるけれども、日本は自国の
経済成長にばかりに目が行くようになり、再びエコノミック・アニマルになってし
まった。
鳩山政権の発足当初、「CO2を2020年までに1990年比で25%削減する」と国際舞台
で宣言し、各国から喝采を浴びてから2年ほどしか経っていない。それを、この目標
も地球温暖化防止法案から削除などと言い出した。菅前総理もフランスのドービルで
開かれたサミットにおいて、再生可能エネルギーや省エネルギーに全面的に取り組む
ことを宣言している。その舌の根も乾かないうちに、ダーバンでは細野環境相が京都
議定書の延長に不参加という日寄った態度を示し、世界の環境関係者からは冷たい視
線を浴びてしまった。日本では、米倉経団連会長に歓迎されているが、産業界に褒め
られる姿勢など、環境省には不名誉この上ないことなのだ。
<アフリカ、島嶼(しょ)諸国にとっては死活的問題の地球環境温暖化防止>
自分の国の地名のついた条約から、その国が離脱するようなことは、あってはならな
いことである。日本が、先進国のみに排出削減義務を課した京都議定書の単純延長に
反対するのは、公平性からみても実効性からみても一理ある。しかし、当初より「先
進国と途上国の共通だが差異ある責任」が原則であり、アメリカも削減義務を負うか
ら、中国、インド等新興国も負うべきだと、両者の溝を埋める努力をするのが、
COP3開催国日本の役割のはずである。それを進んで不参加表明してしまうのは、
無責任すぎるのではないか。
これで、大半の国が2020年まで拘束力のある削減義務も負わない状態が続いてしまう。
2℃上昇に抑えるという目標を早く達成しないと、ツバル等の島嶼国は海面下になっ
てしまい、アフリカでは農業生産が半分以下になる国も出てくる。渇水が国際紛争の
種になり、シロクマも解氷により生息地を奪われ、アマゾン川流域も乾燥してしま
う。地球温暖化防止は「待ったなし」なのだ。
<TPPなどよりずっと緊急度の高いCOP>
貿易の自由化という、前世紀の遺物めいたことと緊急度が異なるのだ。超大国が核の
拡散には異様に熱心なのに、地球温暖化防止には何の手も打てないのは怠慢である。
地球温暖化は人類や地球生命の将来にとっては、核による放射能汚染よりも重大な危
機をもたらすかもしれず、呑気なことを言っていられないのだ。
世界の貿易ルールを司るWTOは、ドーハラウンドが頓挫してしまい、二国間の
FTAや地域貿易協定に走り出した。しかし、貿易問題など欲の皮の突っ張った国、
アメリカや日本のどうということのない揉め事であり、TPPなど日本に害はあって
も益はほとんどない。それに対し、地球環境問題、特に温暖化は全世界が一つになら
なければ阻止できない。
<国際連帯税がピタリの「緑の気候基金」(GCF)>
日本も東日本大震災・原発事故でてんやわんやだが、欧米諸国も財政危機で環境外
交に力を注ぐ余力がない。途上国向けに1000億ドルの「緑の気候基金」の発足が決め
られたものの、資金的裏付けは不明確だという。日本も経済状況はよくないし、かつ
てのように大盤振舞はできないが、国際連帯税(国境を越えて展開される経済活動に
課税し、それを途上国に活用する。航空券連帯税、通貨取引税、武器取引税等があ
る)の導入を主張し、マネーゲームで世界を混乱させている国や投資家に鉄槌を下す
一方で、途上国に一肌脱いでもよさそうなものである。
もとはと言えば、京都議定書のまとめ役は、アメリカのゴア元副大統領だった。そ
れを2001年に離脱している。アメリカは勝手に振舞っては世界を混乱させている。こ
ういう時こそ日本の出番かと思うが、ここでもアメリカ追従の姿勢は変わらなかった。
<TPPでルール作りに参加と言い、COP17では逃げる弱腰日本>
TPPに入るのはルール作りに参加するためだと言いつつ、環境外交ではさっぱりルー
ル作りなどに動かず、日本の経済的利益のみを追い求めて、さっさと不参加表明であ
る。EUが小島嶼国連合や後発開発途上国の肩を持ち、京都議定書の第2約束期間の合
意に向けて共同歩調をとっているのと比べると好対照であり、日本の評判を一段も二
段も下げたことが窺える。2013年以降何の約束もなくなり、資金支援について何も積
極的な役割を果せなかったのだ。
上述のルール作りへの参加を旗印に、入らなくてもいいTPPに、カモがネギを背負
い、鍋まで持ち込み、炭まで持って入っていこうとしているのだ。どう速やかにアメ
リカの手続きが進んでも、日本が交渉に参加できるかもしれない来年6月頃にはルー
ルはすっかりできあがり、日本は受け入れるか、拒否するかだけしかできない恐れが
ある。
留まるべき京都議定書に留まらず、入らなくていいTPPに入ろうとする日本のこの
矛盾した対応というのは、どのマスコミも評論家諸氏も比較して論じていないのが不
思議である。
あちこちで都合の良い言い訳をするだけで、世界をリードするルール作りなど参加し
ようともしない日本の外交の罪は重い。
<もってのほかの原発輸出>
前回のブログでも触れたが、税制においても自動車二税を廃止し、自動車をもっと
もっと売ろうという姿勢が見え見えである。その一方で、環境税(地球温暖化税)は
まだ導入できないでいる。環境などそっちのけで経済活動にだけ専念し、まだまだ経
済成長を捨てきれずにいる日本というのは、世界から見ると、なんという国だろうと
思われているに違いない。
挙句の果てに、福島第一原発事故を起こし、終息の目途もたっていないのに、外国に
原発を輸出するというのだ。日本のように技術水準の高い国でも事故が起こるのだか
ら、と肝を冷やし、原発を2020年までにすべて廃止すると決定したドイツからみる
と、とても正気の沙汰とは思えないだろう。環境などそっちのけで自国の経済的利益
だけに汲々とする姿に批判の眼が向けられて当然である。
環境外交や核(原発)外交における日本の地に落ちた評価がこの先心配である。
転載終わり
新自由主義ばかり追いかけず、被曝国日本は環境重視をお願いしたいものですね。
篠原孝議員メルマガから転載します。
<首の皮1枚でつながったCOP17、京都議定書>
12月11日、南アフリカのダーバンで開かれていた国連の気候変動枠組み条約の第17
回 締約国会議(COP17 )は、地球温暖化防止に取り組む国際協力体制を大きく転換
する節目となった。
新しい枠組みは、2012年末に期限を迎える京都議定書の下で、温暖化ガス削減義務
を負っていない中国やインドなどの新興国や、議定書から離脱したアメリカも参画を
約束しており、これが実現すれば、温暖化ガスの7割近くをカバーする協定となるこ
とになっている。その意味では一歩前進である。
WTOと同様に失敗に終わることも危惧される中、新しい枠組みの中身は決まらず、
問題を先送りにしたということも言われているが、ここで日本の変な対応が目立った。
<不可解な日本の京都議定書延長不参加>
国際条約には、よく開催国なり開催地の地名をとったものがある。残念ながら日本
のものは数少ないが、その一つが1997年に日本がリードしたCOP3京都議定書である。
ところが、日本は、前回のカンクン合意以来、CO2排出量の半分を占める上位3か
国、中・米・印が参加しない約束は無意味だと主張し始め、今回第2約束期間が設定
されてもそれには加わらないと表明してしまった。それにロシアも同調し、カナダも
呼応する形でアメリカ同様離脱を表明した。3ヶ国ともいつものとおり、NGOから
ダメな国に贈られる「化石賞」2位をもらっている。
感心するのはEUである。京都議定書に踏みとどまり、削減義務を負いながら約束を
履行していくことになっている。NZ、豪州、ノルウェーといった健気な国が続いて
いる。
<新エコノミック・アニマル、地に落ちた日本の評判>
「国際的な任務を果たせ」、「環境の世紀だ」と言われるけれども、日本は自国の
経済成長にばかりに目が行くようになり、再びエコノミック・アニマルになってし
まった。
鳩山政権の発足当初、「CO2を2020年までに1990年比で25%削減する」と国際舞台
で宣言し、各国から喝采を浴びてから2年ほどしか経っていない。それを、この目標
も地球温暖化防止法案から削除などと言い出した。菅前総理もフランスのドービルで
開かれたサミットにおいて、再生可能エネルギーや省エネルギーに全面的に取り組む
ことを宣言している。その舌の根も乾かないうちに、ダーバンでは細野環境相が京都
議定書の延長に不参加という日寄った態度を示し、世界の環境関係者からは冷たい視
線を浴びてしまった。日本では、米倉経団連会長に歓迎されているが、産業界に褒め
られる姿勢など、環境省には不名誉この上ないことなのだ。
<アフリカ、島嶼(しょ)諸国にとっては死活的問題の地球環境温暖化防止>
自分の国の地名のついた条約から、その国が離脱するようなことは、あってはならな
いことである。日本が、先進国のみに排出削減義務を課した京都議定書の単純延長に
反対するのは、公平性からみても実効性からみても一理ある。しかし、当初より「先
進国と途上国の共通だが差異ある責任」が原則であり、アメリカも削減義務を負うか
ら、中国、インド等新興国も負うべきだと、両者の溝を埋める努力をするのが、
COP3開催国日本の役割のはずである。それを進んで不参加表明してしまうのは、
無責任すぎるのではないか。
これで、大半の国が2020年まで拘束力のある削減義務も負わない状態が続いてしまう。
2℃上昇に抑えるという目標を早く達成しないと、ツバル等の島嶼国は海面下になっ
てしまい、アフリカでは農業生産が半分以下になる国も出てくる。渇水が国際紛争の
種になり、シロクマも解氷により生息地を奪われ、アマゾン川流域も乾燥してしま
う。地球温暖化防止は「待ったなし」なのだ。
<TPPなどよりずっと緊急度の高いCOP>
貿易の自由化という、前世紀の遺物めいたことと緊急度が異なるのだ。超大国が核の
拡散には異様に熱心なのに、地球温暖化防止には何の手も打てないのは怠慢である。
地球温暖化は人類や地球生命の将来にとっては、核による放射能汚染よりも重大な危
機をもたらすかもしれず、呑気なことを言っていられないのだ。
世界の貿易ルールを司るWTOは、ドーハラウンドが頓挫してしまい、二国間の
FTAや地域貿易協定に走り出した。しかし、貿易問題など欲の皮の突っ張った国、
アメリカや日本のどうということのない揉め事であり、TPPなど日本に害はあって
も益はほとんどない。それに対し、地球環境問題、特に温暖化は全世界が一つになら
なければ阻止できない。
<国際連帯税がピタリの「緑の気候基金」(GCF)>
日本も東日本大震災・原発事故でてんやわんやだが、欧米諸国も財政危機で環境外
交に力を注ぐ余力がない。途上国向けに1000億ドルの「緑の気候基金」の発足が決め
られたものの、資金的裏付けは不明確だという。日本も経済状況はよくないし、かつ
てのように大盤振舞はできないが、国際連帯税(国境を越えて展開される経済活動に
課税し、それを途上国に活用する。航空券連帯税、通貨取引税、武器取引税等があ
る)の導入を主張し、マネーゲームで世界を混乱させている国や投資家に鉄槌を下す
一方で、途上国に一肌脱いでもよさそうなものである。
もとはと言えば、京都議定書のまとめ役は、アメリカのゴア元副大統領だった。そ
れを2001年に離脱している。アメリカは勝手に振舞っては世界を混乱させている。こ
ういう時こそ日本の出番かと思うが、ここでもアメリカ追従の姿勢は変わらなかった。
<TPPでルール作りに参加と言い、COP17では逃げる弱腰日本>
TPPに入るのはルール作りに参加するためだと言いつつ、環境外交ではさっぱりルー
ル作りなどに動かず、日本の経済的利益のみを追い求めて、さっさと不参加表明であ
る。EUが小島嶼国連合や後発開発途上国の肩を持ち、京都議定書の第2約束期間の合
意に向けて共同歩調をとっているのと比べると好対照であり、日本の評判を一段も二
段も下げたことが窺える。2013年以降何の約束もなくなり、資金支援について何も積
極的な役割を果せなかったのだ。
上述のルール作りへの参加を旗印に、入らなくてもいいTPPに、カモがネギを背負
い、鍋まで持ち込み、炭まで持って入っていこうとしているのだ。どう速やかにアメ
リカの手続きが進んでも、日本が交渉に参加できるかもしれない来年6月頃にはルー
ルはすっかりできあがり、日本は受け入れるか、拒否するかだけしかできない恐れが
ある。
留まるべき京都議定書に留まらず、入らなくていいTPPに入ろうとする日本のこの
矛盾した対応というのは、どのマスコミも評論家諸氏も比較して論じていないのが不
思議である。
あちこちで都合の良い言い訳をするだけで、世界をリードするルール作りなど参加し
ようともしない日本の外交の罪は重い。
<もってのほかの原発輸出>
前回のブログでも触れたが、税制においても自動車二税を廃止し、自動車をもっと
もっと売ろうという姿勢が見え見えである。その一方で、環境税(地球温暖化税)は
まだ導入できないでいる。環境などそっちのけで経済活動にだけ専念し、まだまだ経
済成長を捨てきれずにいる日本というのは、世界から見ると、なんという国だろうと
思われているに違いない。
挙句の果てに、福島第一原発事故を起こし、終息の目途もたっていないのに、外国に
原発を輸出するというのだ。日本のように技術水準の高い国でも事故が起こるのだか
ら、と肝を冷やし、原発を2020年までにすべて廃止すると決定したドイツからみる
と、とても正気の沙汰とは思えないだろう。環境などそっちのけで自国の経済的利益
だけに汲々とする姿に批判の眼が向けられて当然である。
環境外交や核(原発)外交における日本の地に落ちた評価がこの先心配である。
転載終わり