私の亡くなった実母が残してくれた指輪が一つだけありました。
一年中着物で過ごしていた明治生まれの母だったので、あまりアクセサリーなども持っていなかったのですが、アメジストの指輪を残してくれました。
私の誕生石なのですが、指輪のサイズが合わなかったので、ずっとそのまま宝石入れに入れたままにしていました。
数年前、たまたま個人でジュエリーショップを運営している方を紹介していただき相談したら、折角の形見なのだからデザインを少し今風に変えて、サイズも私の指に合わせて使えるようにしたらと言われ、お願いして私が使えるように指輪をリフォームしてもらいました。
アメジストの石のカットがやはり昔風なので、なかなか出番はなかったのですが、たまに紫系の服を着た時などに使っていました。
先日、鎌倉の川喜多映画記念館で淀川長治特集上映が行われていて、そのときに「おすぎ」が講演にくるというので、本当に久しぶりに講演を聞きに行きました。
おすぎ本人に会うのも何十年ぶり、40年以上昔の知り合いで、ピーコとおすぎ、二人ともまだメジャーになる前の頃、試写会などで知り合い、ときどき遊んでもらっていました。まだ二人ともほっそりとしていて、ベージュのパンタロンをきれいに着こなしていたのを覚えています。
川喜多かしこ夫人は紫の君というか、いつも紫色の和服姿で世界中の映画を観て、日本に紹介された方です。かしこ夫人に敬意を表してというか、私もその日はアメジストの指輪をして、おすぎに会いに行きました。
講演はとても楽しく、しかも淀川長治先生のご様子をとてもよく表現してくれた面白い内容でした。
講演が終わった後で、字幕翻訳で有名な戸田奈津子さん、黒沢明監督の名スクリプター、野上照代さんなどとおしゃべりしているおすぎに、挨拶に行き、旧交を温めました。
毒舌のおすぎにはやはり「ばばあになって・・・」と言われてしまいましたが、仕方ないですよね。24、5歳のころに知り合い、40歳になる前くらいまでしか知らないのですから、確かに「ばばあ」にはなってしまいました。
楽しく懐かしい時を過ごして、帰り道、いつもは右手の薬指にはめていたアメジストの指輪をなぜか中指にはめていて、それが抜けにくくなっているのに気づきました。
指に嵌めるときにきついなとは思ったのですが、それほど苦労せずに入ったので、うっかりそのまま一日嵌めていたのです。
帰宅してから外そうとしても、中指の関節にぶつかり、油をつけて回しても抜けません。明日の朝なら指のむくみも引いているから大丈夫だろうとそのまま寝てしまいました。
それからです。毎日、なんとかして指輪をはずそうとして努力をしたのですが・・・ サラダオイルを塗っても、オリーブオイルを塗っても、ごま油を塗っても、抜けません。石鹸を塗ってもダメです。
しかもだんだんうっ血してきて、中指が太くなってきてしまいました。赤くむくんだみたいになってきました。
無理に抜こうとして指のあちこちが擦り剥けてきました。
「どうしよう、困ったな」とラムパパに相談すると、一言「痩せれば?」 憎らしいですね。
家の近くのジムに行き、ランニングマシンで走ってくれば・・・とも言います。「そうね、ジムで走れば痩せるかも」と本気で聞いていたら、「ランニングマシンのそばに座って、中指と人差し指でマシンで走ればいいよ」ですって。
ジムのスタッフに追い出されるでしょう、そんなことをしたら。
でも、だんだんそんなバカ話にも付き合えなくなってきました。指が腫れて痛くなり、右手が使いにくくなってきました。ネットで調べると、糸をぐるぐる巻いて少しずつ指輪を動かして取る方法もあるようですが、石が大きいので指輪のそばまで糸を巻くことができません。
後は消防署に連絡して、ペンチみたいなので切ってもらうようなことも書いてあります。うーん、困った。
ネットには、宝石店に行き取ってもらったという書き込みもありました。そうしよう、宝石店に相談してみようと思っても、知り合いの宝石店などありません。個人のショップではそのような対応をしてはくれません。
ふと、以前知り合いに新宿にあるT貴金属店にゆるい指輪にはめるクッション材が置いてあると聞いたことを思い出しました。あそこなら、なんとかしてくれるかもしれない。
かすかな希望を抱いて、土曜日の朝、新宿に出かけました。
開店時間を待って電話をして、なんとか対応してくれるというので、開店早々のお店に駆け込みました。
担当の方に見てもらうと、やはり指輪を切るより仕方がないとのこと。それでもいいので、早く指輪をはずしてほしいとお願いしました。
前振りが長くなってしまいましたが、外れなくなった指輪をどうやって取ったかという報告です。
まず、特別な小さなチェーンソーのような器具を持ってきました。初めての体験、私はドキドキです。
リングカッターという器具だそうです。
それを指の腹の方から指輪の下にねじ込みます。
しっかりと指輪の下に固定すると、器具についているくるくる回す所を少しずつ動かしていきます。ゆっくりやらないと指を傷つけます。
小さな輪にはギザギザの刃がついていて、回るたびに指輪の金属を削っていきます。少しずつ削られた金属の粉が落ちてきました。削られていくのが伝わってきます。
結構痛いです。
少し金属が削れてきたようです。
最初、指輪に食い込むまでは器具が逃げてしまって、なかなか手間取っていましたが、だんだん切れていく感じになってきました。
作業を続けること、約20分、ポキッと音がして、やっと指輪が切れました。
あとは、ペンチで切れた指輪を広げて、指から外してもらいました。
指輪が取れました。よかった!
切れた指輪と途中でとびちった金属片です。
T貴金属店のお世話になった方々、ありがとうございます。こんなに大変な目に会うとは思いもしませんでした。指輪一つと言ってもバカにはできません。こうした器具や技能をもっていてくださるところがあり、本当に良かったです。
形見のアメジストなので、石だけにしてもらい、また何かにして身に着けたいと思っています。
一年中着物で過ごしていた明治生まれの母だったので、あまりアクセサリーなども持っていなかったのですが、アメジストの指輪を残してくれました。
私の誕生石なのですが、指輪のサイズが合わなかったので、ずっとそのまま宝石入れに入れたままにしていました。
数年前、たまたま個人でジュエリーショップを運営している方を紹介していただき相談したら、折角の形見なのだからデザインを少し今風に変えて、サイズも私の指に合わせて使えるようにしたらと言われ、お願いして私が使えるように指輪をリフォームしてもらいました。
アメジストの石のカットがやはり昔風なので、なかなか出番はなかったのですが、たまに紫系の服を着た時などに使っていました。
先日、鎌倉の川喜多映画記念館で淀川長治特集上映が行われていて、そのときに「おすぎ」が講演にくるというので、本当に久しぶりに講演を聞きに行きました。
おすぎ本人に会うのも何十年ぶり、40年以上昔の知り合いで、ピーコとおすぎ、二人ともまだメジャーになる前の頃、試写会などで知り合い、ときどき遊んでもらっていました。まだ二人ともほっそりとしていて、ベージュのパンタロンをきれいに着こなしていたのを覚えています。
川喜多かしこ夫人は紫の君というか、いつも紫色の和服姿で世界中の映画を観て、日本に紹介された方です。かしこ夫人に敬意を表してというか、私もその日はアメジストの指輪をして、おすぎに会いに行きました。
講演はとても楽しく、しかも淀川長治先生のご様子をとてもよく表現してくれた面白い内容でした。
講演が終わった後で、字幕翻訳で有名な戸田奈津子さん、黒沢明監督の名スクリプター、野上照代さんなどとおしゃべりしているおすぎに、挨拶に行き、旧交を温めました。
毒舌のおすぎにはやはり「ばばあになって・・・」と言われてしまいましたが、仕方ないですよね。24、5歳のころに知り合い、40歳になる前くらいまでしか知らないのですから、確かに「ばばあ」にはなってしまいました。
楽しく懐かしい時を過ごして、帰り道、いつもは右手の薬指にはめていたアメジストの指輪をなぜか中指にはめていて、それが抜けにくくなっているのに気づきました。
指に嵌めるときにきついなとは思ったのですが、それほど苦労せずに入ったので、うっかりそのまま一日嵌めていたのです。
帰宅してから外そうとしても、中指の関節にぶつかり、油をつけて回しても抜けません。明日の朝なら指のむくみも引いているから大丈夫だろうとそのまま寝てしまいました。
それからです。毎日、なんとかして指輪をはずそうとして努力をしたのですが・・・ サラダオイルを塗っても、オリーブオイルを塗っても、ごま油を塗っても、抜けません。石鹸を塗ってもダメです。
しかもだんだんうっ血してきて、中指が太くなってきてしまいました。赤くむくんだみたいになってきました。
無理に抜こうとして指のあちこちが擦り剥けてきました。
「どうしよう、困ったな」とラムパパに相談すると、一言「痩せれば?」 憎らしいですね。
家の近くのジムに行き、ランニングマシンで走ってくれば・・・とも言います。「そうね、ジムで走れば痩せるかも」と本気で聞いていたら、「ランニングマシンのそばに座って、中指と人差し指でマシンで走ればいいよ」ですって。
ジムのスタッフに追い出されるでしょう、そんなことをしたら。
でも、だんだんそんなバカ話にも付き合えなくなってきました。指が腫れて痛くなり、右手が使いにくくなってきました。ネットで調べると、糸をぐるぐる巻いて少しずつ指輪を動かして取る方法もあるようですが、石が大きいので指輪のそばまで糸を巻くことができません。
後は消防署に連絡して、ペンチみたいなので切ってもらうようなことも書いてあります。うーん、困った。
ネットには、宝石店に行き取ってもらったという書き込みもありました。そうしよう、宝石店に相談してみようと思っても、知り合いの宝石店などありません。個人のショップではそのような対応をしてはくれません。
ふと、以前知り合いに新宿にあるT貴金属店にゆるい指輪にはめるクッション材が置いてあると聞いたことを思い出しました。あそこなら、なんとかしてくれるかもしれない。
かすかな希望を抱いて、土曜日の朝、新宿に出かけました。
開店時間を待って電話をして、なんとか対応してくれるというので、開店早々のお店に駆け込みました。
担当の方に見てもらうと、やはり指輪を切るより仕方がないとのこと。それでもいいので、早く指輪をはずしてほしいとお願いしました。
前振りが長くなってしまいましたが、外れなくなった指輪をどうやって取ったかという報告です。
まず、特別な小さなチェーンソーのような器具を持ってきました。初めての体験、私はドキドキです。
リングカッターという器具だそうです。
それを指の腹の方から指輪の下にねじ込みます。
しっかりと指輪の下に固定すると、器具についているくるくる回す所を少しずつ動かしていきます。ゆっくりやらないと指を傷つけます。
小さな輪にはギザギザの刃がついていて、回るたびに指輪の金属を削っていきます。少しずつ削られた金属の粉が落ちてきました。削られていくのが伝わってきます。
結構痛いです。
少し金属が削れてきたようです。
最初、指輪に食い込むまでは器具が逃げてしまって、なかなか手間取っていましたが、だんだん切れていく感じになってきました。
作業を続けること、約20分、ポキッと音がして、やっと指輪が切れました。
あとは、ペンチで切れた指輪を広げて、指から外してもらいました。
指輪が取れました。よかった!
切れた指輪と途中でとびちった金属片です。
T貴金属店のお世話になった方々、ありがとうございます。こんなに大変な目に会うとは思いもしませんでした。指輪一つと言ってもバカにはできません。こうした器具や技能をもっていてくださるところがあり、本当に良かったです。
形見のアメジストなので、石だけにしてもらい、また何かにして身に着けたいと思っています。
外れた後の指も、痛そうです~
私も外れ無くて苦労して抜いた事が
ありますが、ラムママさんの様に
本当に抜けなくなる事もあるのですね。
私もラムママさんと同じ、2月生まれなので
誕生石がアメジストです。
昔持っていたリングを娘にあげたら
無くされました。残念・・・
私は自分で購入したアメジストは持っていないのですが、母からもらったたった一つのアメジストなので、なんとかまた使えるようにしたいです。
アクセサリーって無くすんですよね。私もこの前、指輪が一つ見つからなくなし、焦って探したのですが、なかなか見つからず、ラムのお腹に入ったのかなと疑っていました。
ごめんね、ラムたん! 一度使ったハンドバッグの底に落ちているのを1週間くらいしたら見つけました。やれやれ、自分のせいでした。