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エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

エリクソンの叡智: #希望の源 #倫理の源

2017-07-02 02:58:42 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

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インターメッツォ : ≪見る≫不思議  見る=話し言葉=出来事
      今宵は、雨宮慧先生の言葉から学びたいと思います。『福音書のことば  上 旧約聖書から読み解く』(NHK出版)から。     ......
 

 今宵のエリクソンも、Insight and Responsibility 『自分を内省していたら、相手の気持ちがまるで手に取るように、スゥーッと理解来ますし、相手の気持ちに応答できますから』の、p.231 ,第2パラグラフ。 また,ゴールデンルールの論文に戻ります。改訳版の翻訳者が,決定的に重要なactualitymutualityrecognitioninitially pertnerを理解してないことを示すとともに,意味が通らない直訳に慣れっこになってしまった結果,日本語としてもおかしい文書を見直して,理解しやすいものにしようとはしない怠惰な姿勢がもたらす誤訳もあることを,今宵も,ここに示しておきます。今宵も,皆さんにも実際どれくらいひどい翻訳なのか,より明瞭に理解していただくためにも,原文も示すことにしましょう。

 

 

 I would call mutualty a relationship in which partners depend on each other for the development of their respective strenghs. A baby's first responses can be seen as part of an actuality consisting of many details of mutual arousal and response. While the baby initially smiles at a mere configuration resembling the human face, the adult connot help smiling back,filled with expectations of a "recognition" which he needs to secure from the new being as surely as it nees him. The fact is that the mutuality of adult and baby is the original source of hope, the basic ingredient of all effective as well as ethical human action.

 色付けは,私の訳と,あの方の改訳とを比較するために,私が施しました。

 まず,私の翻訳です。

 私は,≪互恵的なやり取り(お互いさまの関係)≫を,いろんなパターンの,対になった2人が,それぞれの強さを発達させるために,お互いさまの関係になっている関係だと呼びたいんですね。1人の赤ちゃんの最初の受け応えは,≪互恵的なやり取り(お互いさまの関係)≫を呼び覚ましたり,≪互恵的なやり取り(お互いさまの関係)≫に応えたりする細々した,一つの≪やり取りを始める関係≫の一部に見えるかもしれません。その赤ちゃんは,まず最初に,人間の顔に似た単なる形に向かって微笑みかけただけなのに,微笑みかけられたその大人は,微笑み返さずにはおられませんでしょ。その微笑返しは,生まれたばかりの赤ちゃんが大人を必要としているのと同じくらい確実に(≪お互いさまに≫),大人もその生まれたばかりの赤ちゃんから確かめたい「気付いてほしい(価値を認めてほしい)という気持ち」を満たしてもらえたからこそ、溢れた微笑みです。この,大人と子どもの≪互恵的なやり取り(お互いさまの関係)≫が,相手に応答し,相手から応答してもらう人間らしい活動の根源的な源でもありますし,また,倫理的で人間らしい活動の根源的な源でもあるわけですね。

 

 次に,あの方の改訳です。

「ここで述べている相互性(ミューチュアリティ)とは,今後の発達に必要な自分の内的な強さを培っていくために,お互いにかかわりあっている関係のことである。乳児の初めての種々の反応は,親との間の細かい組み合わせでできていると見ることができる。最初,乳児は単に顔に現れた笑いの形をしたものにすぎないが,この笑顔を見ると大人は微笑みを返したくなる気持ちをかきたてられる。子どもには「認知された」という期待が満たされる。大人が赤ん坊を必要としているのと同じく,赤ん坊も大人からの認知を確かなものにすることを求めているのである。大人と赤ん坊とのお互いの関わり合いの相互性(ミューチュアリティ)が,「望み」の根源であり,倫理的な行為を含めて,すべての効果的な行動の基本的な要因となる。」

 ただし,改訳でルビだったものは,()に入れて示しました。

1)まず,respectiveは,「今後の発達に必要な」と訳すのは,誤訳です。これは「対になっている2人それぞれ」という意味です。

2)effectiveは,「効果的な」と言われても,何に効果的かチンプンカンプンでしょ。改訳者もチンプンカンプンだからです。これは,≪互恵的なやり取り(お互いさまの関係)≫を生み出すことにとって効果的だということですから,私はそれが分かるように,「相手に応答し,相手から応答してもらう」と翻訳しています。

3)ここでは,mutual arousal and responseが「組み合わせ」という訳語になっているのですが,これも完全な誤訳です。エリクソンが何を言っているのか,この改訳者が全く分かっていないことが,皆さんにもお分かりでしょ。ここは,とても大事なところでして「≪互恵的なやり取り(お互いさまの関係)≫を呼び覚ましたり,≪互恵的なやり取り(お互いさまの関係)≫に応えたりする」という意味になります。

4)「最初,乳児は単に顔に現れた笑いの形をしたものにすぎない」は,そもそも日本語がおかしい。意味の分からない直訳に甘んじている(ホッタラカシにしている)せいで,いかに,意味の通らない日本語に慣れっこになっているかが分かりますでしょ。

5)recognition,「認知された」となっていますが,夫婦間で子どもの認知を争う話ではないんですよ。この改訳者が,エリクソンのコンテキストを,いかに理解していないのか如実にわかるところです。

 もう,間違いの箇所が多すぎですから,この程度にしておきましょう。

 ここからわかることはどういうことでしょうか? 

 この改訳者は,エリクソンの言いたいことが,本当にわかっている,と言えますでしょうか???,…!!!

 

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