今晩も、今から7年前、311(2011)を遡って2年前、ヴァン・デ・コーク教授が、2009年に出した、発達トラウマ障害(DTD : defelopmental trauma disorder)をDSM-Ⅴにハッキリと入れてね、という提案書(http://www.traumacenter.org/announcements/DTD_papers_Oct_09.pdf) の3日目。
序章(イントロダクション)から、昨日の第3と第4パラグラフの続きで、今晩は第5パラグラフ。
PTSDは、一回のトラウマになるような出来事の結果である場合が多いです(グリーンら,2000)。研究によれば、PTSDは、いくつかの小さな修正を経て、安心・安全で、約束に基づいた、見通しと一貫性のある養育のやり方で育てられた子ども達が、一回の事件・事故によるトラウマの影響を捉えるのに相応しい診断だとされます。しかし、いろんなトラウマを繰り返し負わされた、たくさんの子ども達が、たとえPTSDの症状をいくつか示した(下記のシカゴ・子どものトラウマ・センターのデータをご参照ください)としても、たくさんのデータに基づけば、PTSDと診断することは、不適切な養育のやり方で、対人間暴力の犠牲者になっている子ども達が示す症状を、適切に捉えたことにならない、ということが明らかになっています。実際に、いくつかの研究によれば、いろんなトラウマを負わされた、たくさんの子どもたちの大多数が、DSMのいくつもの診断基準を満たしていることが、明らかになっています。ある研究では、364人の虐待を受けた子どもの内、58%の子どもが、最初は分離不安障害、ないしは、過剰不安障害と診断されていましたし、36%の子どもが、最初は恐怖症と診断されていましたし、35%がPTSD、22%がADHD、22%が、反抗的行為障害と最初は診断されていました。ノル、トリケッティ、パットナムによる、将来を展望した研究(2003)では、性的虐待を受けた女の子たちの集団の中で、分離不安障害、反抗性行為障害、恐怖症の子どもが1つの塊を作り、うつ、自殺念慮、ADHD、行為障害がもう1つの塊を作っています。
このように、東日本大震災の2年も前から、発達トラウマ障害とPTSDとは別物で、発達トラウマ障害≒愛着障害と診断しないかぎり、診断が混乱することが、ヴァン・デ・コーク教授によって、明らかになっていたのですね。
いま、発達トラウマ障害の診断が、ほとんど知られていない日本で、ADHDやら自閉症やらの発達障害などと、診断が混乱しているのは、このアメリカでの研究が、日本ではほとんど知られていないからでしょう。
その道の「専門家」がいかに堕落していたかが、ハッキリと分かりますでしょ。
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