2016年1月、北朝鮮による4回目の核実験がありました。
それから、国連の制裁決議、北朝鮮のさらなるミサイル挑発まで
嵐のように突っ走ってきた気がします。
先週の24日には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試験発射もありましたが、
その後、5回目の核実験も行われるんじゃないかという説もほのめかされているようです。
このような厳重な時こそ、
恐れることなく、慌てることなく、
毅然として冷静に、我々の方針に自信を持って対応していくべきだと思います。
相手は、私たちが慌てて混乱に落ちることに一番喜びますから。
8月はじめに、豊渓里(プンゲリ)の核実験場周辺の住民たちの
健康異常に関する記事が出ましたが、
今、Huffington Postに掲載する記事を書いていて
参考資料としてまた確認してみたら、
日本のニュースサイトからは、関連記事が全部削除されていますね。
資料保存の意味も兼ねて、韓国記事の日本語訳をアップしておきます。
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豊渓里(プンゲリ)核実験場周辺住民、頭痛・体重減少・憑き物の噂も
(풍계 核실험장 주변 주민들, 두통·체중감소·귀신병 소문)
朝鮮日報 2016.08.01 03:00
「視察王」金正恩が影すら見せないところがある…核実験場周辺
脱北者団体「統一ビジョン研究会」、現地出身脱北者13人調査
- 核実験場のある山から流れてくる水
キツジュ地域に合流する地形…地下水・土壌放射能汚染
- 寧辺(ヨンビョン)付近でも奇形児の噂
政治犯収容所の収監者らを核実験場トンネル工事に動員
【写真:Naver まとめ 【成功?失敗?】北朝鮮の核実験をまとめてみた【水爆?原爆?】】
北朝鮮が2006年から今年1月まで4回の核実験を行った吉州(キルジュ)豊渓里(プンゲリ)周辺の住民の中、原因の分からない頭痛や体重減少、感覚機能低下など身体異常で苦しむケースが多いという調査結果が出た。核実験場周辺の住民はこのような症状を「鬼病」と呼んでいる。北朝鮮当局が核実験による被爆の可能性について全く教えなかったため、豊渓里地域の住民は脱北してはじめて健康異常と放射能汚染との関連性について知ったという。金正日と金正恩が核実験場付近を視察したとの報道が一回もない背景にも被爆への懸念があると分析されている。
脱北者団体の「統一ビジョン研究会」が1~3回目の核実験を近い地域で経験した吉州地域出身の脱北者13人を最近インタビューした結果、13人全員が健康異常を自ら経験したか近所で異常症状を訴える人を見たことがあると答えた。彼らが住んでいた村は、核実験場の豊渓里からおよそ27km離れている。13人のうち2人は核実験を3回(1・2・3回目実験)経験し、5人は2回(1・2回目実験)、6人は1回(1回目実験)を経験して脱北した。4回の核実験を全部経験した人はいなかった。
3回の核実験を経験したという40代の脱北者A氏(2015年7月脱北)は、「2013年の夏頃からキルジュ地域一帯には、脱力感がひどかったり、食べても体重が減ったり、頻繁に頭痛が起きたりするなど、原因不明の病気の人がたくさん増えた」「こんな患者は‘鬼病にかかった(憑き物につかれた)’と囁かれた」と話す。A氏は「鬼病の人たちは体調が悪くても病院でろくに診療を受けることができないから占い師に会いに行く」とも言った。
A氏のように3回の核実験を経験して去年1月に脱北をしたB氏(50代女性)も「私は昔からにおいをよく嗅ぐことで有名だったが、3回目の核実験直後の2013年5月から急に嗅覚能力が落ちた。その時期あたりに味覚も弱くなって頭がぼうっとするなど異常症状が生じた」と証言した。最近キルジュ地域に住んでいる親戚と電話で話したというB氏は、「20代後半の息子が2013年(3回目核実験)以降、全身が汗だくになって体に力が入らない病気にかかったが、4回目の核実験(今年1月)以降その病気がさらに悪化したと聞いた」と述べた。
2回の核実験を経験したC氏は「2010年から視力低下と不眠症で悩まされた。お医者さんに行ったら‘希少疾患’としか言われなかった」と話している。C氏のように2回の核振動を感じたことのあるD氏も「2010年からキルジュ地域には肋膜炎や急性結核にかかる人が急速に増えた。薬も飲んでちゃんと食事を摂っても治らないという噂が回った」と証言した。1回目の核実験だけを経験して脱出した人も「消化不良や胃炎の症状があった」そうだ。
しかし、キルジュ地域出身の脱北者たちは「韓国に来てはじめて核実験が健康に影響を及ぼすことを知った」と口を揃える。脱北者A氏は「キルジュで暮らすときには核実験をする度に、危険を感じるどころか‘我々も核大国になった'というプライドが強くなった。核実験による放射能汚染の恐ろしさなぞ全く知らなかった」と述べた。脱北者B氏も「核基地のある寧辺(ヨンビョン)地域では奇形児が生まれるとの噂を聞いたことはあるが、キルジュ地域は特に問題がないと信じて暮らしていた。去年韓国で広島原爆投下70年関連のドキュメンタリーを見て、原爆被害者の症状とキルジュの「鬼病」の症状が似ていることい気づいた」と話している。
北朝鮮による過去4回の核実験で放射性物質が直接漏れることはなかった。1回目の実験を除いては、米韓の情報当局は地下核実験直後に外部の大気を捕集し分析したが、不活性気体(キセノン・クリプトンなど)は確認できなかった。しかし、放射性物質が核実験場付近の地下水や土壌を汚染させ、キルジュ地域住民の安全を脅かす可能性は濃厚であると分析されている。キム・テウ「統一研究院」元院長は「北朝鮮は地下核実験上の坑道に放射性物質の漏洩を遮断するために9重の遮断ドアと3重の核爆風遮断壁を設置しておく。しかし強い放射能はすぐには消えないので周辺の土壌と地下水などを汚染し続ける」と説明する。中国の「国際問題研究所」ヤン・シウィ先任研究員は、2013年の3回目の核実験直後「豊渓里核実験場で3回も核実験を行ったので、その分の放射能による深刻な地下水汚染が懸念される」と指摘したことがある。
特に、キルジュ地域は核実験場のある豊渓里の萬塔山から流れてくる水が合流する地形であるそうだ。キルジュ出身のある脱北者は、「村の住民のほとんどは核実験場から12kmほど離れた貯水池の水を飲んでいる」と言う。被爆危険があるため、核実験場の工事には政治犯収容所の収監者らが動員されるとの証言もある。北朝鮮消息筋によれば「北朝鮮がキルジュ近くの化城(ファソン)地域にある16号政治犯収容所の収監者を核実験場トンネル工事に投入しているとの諜報がある」とのことだ。
キルジュ出身の脱北者たちは、1~3回目の核実験当時の状況についても話してくれた。2006年1回目の実験の時には数秒間弱い振動しか感じられなかったが、2回目の時には家が揺れて一部窓も割れることもあり、3回目には台所の食器が落ちてくるほどの強い振動を体験したと言う。これは、北朝鮮の核実験が回数を重ねる度に強度が強くなったという分析を裏付けている。
【写真:毎日新聞 図説集 北朝鮮「水爆実験」 2016年1月7日】
「統一ビジョン研究会」の会長は「4回の核実験が全部同じ場所(豊渓里)で行われたのに、核実験場周辺の環境と住民の健康問題に関しては特に関心がなかった。寧辺地域の核施設と豊渓里の核実験場周辺の被爆問題も、結局、統一の後私たちが解決すべき課題になる」と語った。