弁当日記

ADACHIの行動記録です。 
青年海外協力隊で2006年4月からバングラデシュに2年間住んでました。

バングラデシュのニュース(2017/11/05) ◆ロヒンギャ難民について その1

2017年11月06日 | バングラデシュのニュース
◆イベント情報◆
〇日本バングラデシュ協会 第22回行事のお知らせ 2017年11月11日(土)
「『エクマットラ』の渡辺大樹さんに聞く」
 https://goo.gl/4qw9cv
〇日本ベンガルフォーラム リサーチ部門懇話会1
 「シュンドルボン開発の歴史を繙く」 2017年11月11日(土)
 http://www.tufs.ac.jp/ts2/society/japanbengalforum/fevent.html
〇東京外国語大学 外語祭 ベンガル語劇『チャンパの7人兄弟と妹』
 2017年11月22日 10:00?10:50
 http://gaigosai.com/events/gogeki/bengal2/
〇2017年度第4回ちば海外ビジネス塾 11/30
 https://www.jetro.go.jp/events/chb/4b485a2adcd7111e.html


■見出し(2017年11月05日) No2017-54
〇ミャンマー、ロヒンギャ迫害続く 難民流出止まらず
〇ロヒンギャ難民間でのコレラ流行は「時限爆弾」、赤十字
〇ロヒンギャがバングラデシュ人を斬殺、難民の大量流入で犯罪増加
〇英仏、安保理にロヒンギャ決議案配布 中国は反発
〇バングラ入りしたロヒンギャ難民、60万人超える 国連推計
〇ロヒンギャ難民帰還、合意至らず 交渉難航か
 バングラ・ミャンマー内相が会談
〇帰還条件、合意至らず バングラ・ミャンマーの内相が会談
〇日本は働き掛けを=ロヒンギャ帰還、政治力必要-赤十字国際委
〇ロヒンギャ難民キャンプ建設の意向、トルコ大統領
〇経済協力の強化確認 イスラム諸国首脳会議
〇ロヒンギャ問題、軍がもたらした最速の難民危機
〇傷ついたロヒンギャを日に200人治療、難民キャンプの野戦病院
〇ロヒンギャ、続く迫害 バングラ難民キャンプルポ
〇「掃討終了」後も焼き打ち=ロヒンギャの村破壊と人権団体-ミャンマー
〇ロヒンギャ難民、受け入れ国への支援を 国連機関が声明
〇ロヒンギャ難民50万人超「集団感染」の危機
〇バングラデシュに避難のロヒンギャ、58万人超に 国連発表
〇ロヒンギャ難民、「帰還は1日100~150人」担当相 迫害行為は否定
〇世界の国会議員がミャンマーの少数民族ロヒンギャに対する民族浄化を非難
〇ロヒンギャ問題「ミャンマーは国際法違反」 国連幹部
〇ロヒンギャ、傷深く 村追われバングラへ
〇国連、「バングラデシュでのロヒンギャ族の難民の数が約59万人に到達
〇米、ミャンマーへの軍事支援縮小 ロヒンギャ迫害で個人の制裁も
〇ロヒンギャ支援へ380億円=国連会合で各国表明-ジュネーブ
〇バングラデシュ:「このままでは数万単位の命が失われる」......
 MSF日本会長が見たロヒンギャ難民50万人の危機
〇米、ロヒンギャ問題でミャンマー制裁を検討
〇国際赤十字が、ロヒンギャ族のイスラム教徒の惨状を懸念
〇米、ロヒンギャ問題でミャンマー制裁を検討
〇苦しみ物語るロヒンギャ難民の顔、バングラデシュ


■ミャンマー、ロヒンギャ迫害続く 難民流出止まらず
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23057490S7A101C1FF1000/
 (日本経済新聞  2017年11月3日)

ミャンマー政府が国内のイスラム系少数民族ロヒンギャへの弾圧を続けているもよ
うだ。国際社会がミャンマー政府への非難を強めた後もロヒンギャ住民に流れる食
料支援を止める事例が報告されており、難民の流出も続く。経済的に追い詰めるこ
とで大半の住民を国外に追いやり、民族問題を一気に解決しようとするミャンマー
政府の思惑が透ける。

 バングラデシュ南東部の都市コックスバザールから車で1~2時間走ると、丘の
斜面に見渡す限り竹とビニールシートを組み合わせた粗末なテントが連なる。この
周辺の難民キャンプは12を数える。

 「住んでいた村が治安部隊に焼かれ近くの村に逃げたが、生活資金が尽きた」。
難民キャンプで暮らすアブル・カラムさん(65)は最近、難民として避難した経緯
を説明した。迫害を受けた直後は別の村に逃れるなどしてミャンマーに残った人々
も、農業や漁業の収入が絶たれたことで生存が難しくなり、バングラに流入してい
る。

 国連難民高等弁務官事務所の現地拠点のビビアン・タン広報官によると、村の焼
き打ちなどの直接的な迫害だけでなく、最近は食料不足を理由に難民になった例が
増えている。難民たちの証言によると、治安部隊は市場と村との通行を厳しく制限
し、食料の入手が難しくなったという。

 英国に拠点を置くビルマ人権ネットワークは10月中旬、ロヒンギャが多く住む西
部ラカイン州北部での食料不足が深刻化しているとする声明を発表。食料支援を行
う国連機関や非政府組織(NGO)の活動を差し止めたミャンマー政府の対応を非
難した。

 世界食糧計画(WFP)は10月27日、支援再開に向けて政府との調整を始めたと
明らかにした。ただ、協議は長引く気配があり、支援再開のめどは立っていない。
一方、ロヒンギャ難民がミャンマーで耕作していた約1万8千ヘクタールの田畑は
国家管理に移されており、収穫物も同州政府が押収するとの見方も出ている。

 人権団体の関係者の中には、ミャンマー政府はミャンマー国籍を持たないロヒン
ギャを排除するための中長期の計画を立てていたとの見方も出ている。実際、8月
25日の治安部隊とロヒンギャ系武装集団の衝突を受けて今回の難民流出が始まる以
前からロヒンギャの経済的権利への圧迫は強まっていた。

 夫を治安部隊に殺害されたと訴えるロヒンギャ難民、ハシム・ベガムさん(25)
は「3年前から川での漁業が禁止されていた」と証言する。帰還の意思を示す他の
難民も「現状では帰国しても生存ができる状態にない」と話す人が大半だ。

 アウン・サン・スー・チー国家顧問はロヒンギャ難民の帰還を受け入れる方針を
示しており、2日にはラカイン州を視察した。ただ、こうした動きは国際社会の批
判をかわすためのパフォーマンスという側面もあり、住民の人権状況の改善につな
がるか懐疑的な見方が多い。



■ロヒンギャ難民間でのコレラ流行は「時限爆弾」、赤十字
 http://www.afpbb.com/articles/-/3149190
 (AFP通信 2017年11月3日)

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のエルハッジ・シィ(Elhadj Sy)事務総長は
今週、AFPのインタビューに応じ、バングラデシュに大量に流入したイスラム系少
数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民の間で、コレラの脅威が「時限爆弾」のように
迫っていると警告した。

 シィ事務総長は「コレラの大発生につながりかねない事態に陥る恐れを抱く、あ
らゆる理由がある」とし、「われわれは間違いなく、時限爆弾の上に座っている」
と述べた。

 8月25日に始まったミャンマーのラカイン(Rakhine)州での軍事弾圧を逃れ、こ
れまでに60万人以上のイスラム教ロヒンギャがバングラデシュ南東部コックスバザ
ール(Cox's Bazar)地区の仮設キャンプに押し寄せており、ここ数十年間で最悪
の難民危機の一つとなっている。

 貧困と人口過多に見舞われているバングラデシュは、この大量の難民流入の対応
に苦闘している。難民の半分以上が子どもで、その多くは数日から数週間に及ぶ旅
で疲労し、栄養不良の状態で到着する。

 先週、コックスバザールに3日間滞在したシィ氏は、現地の状況は「形容し難く」
「とても悲痛」だと語った。

 最大の懸念の一つは、コレラ発生の恐れを引き起こしている劣悪な衛生状態と衛
生設備の欠如だ。コレラは汚水を通して広がり、治療をしなければ死に至る可能性
もある。

 先月、難民キャンプの近くに野戦病院を開設したIFRCはこれまでに、下痢の症状
が見られる多数の患者の治療にあたっている。一方、国連はコレラ流行を防ぐため
に大規模な予防接種の取り組みを開始した。これまでのところコレラの症例は見ら
れていないが、シィ氏は、不衛生な状況下ではコレラ流行の可能性があると警告し
ている。



■ロヒンギャがバングラデシュ人を斬殺、難民の大量流入で犯罪増加
 http://www.afpbb.com/articles/-/3148489?cx_position=15
 (AFP通信 2017年10月29日)

隣国ミャンマーから大量の難民が押し寄せ、緊張が高まっているバングラデシュ南
東部で28日、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の若い男がバングラデシ
ュ人の男性を切り殺した。

 警察は、このロヒンギャの男による攻撃は家族間の争いに絡んだものだと発表し
た。バングラデシュ南東部では犯罪が相次いでおり、当局は警戒を強めている。

 コックスバザール(Cox's Bazar)県の検察官はAFPに対し、同国南東部では最近
犯罪が増加していると述べた。

 今年8月にミャンマー治安部隊とロヒンギャの武装勢力の衝突が始まって以降、
60万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュに大量脱出し、貧困国バングラデシ
ュの資源を圧迫している。

 コックスバザール県の主要な難民キャンプがある2つの町、テクナフ(Teknaf)
とウキヤ(Ukhia)では、ロヒンギャの数はバングラデシュ人の2倍に膨れ上がって
おり、地元住民の間では緊張が高まっている。

 地元住民は労働市場、特に好況の建設業や漁業でロヒンギャが地元コックスバザ
ールの村人たちの職を奪っていると訴えている。



■英仏、安保理にロヒンギャ決議案配布 中国は反発
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2277666027102017000000/
 (日本経済新聞 2017年10月27日)

 英国とフランスは26日までに国連安全保障理事会の理事国に対し、ミャンマー政
府にイスラム系少数民族ロヒンギャへの軍事行動を即座にやめるよう求める決議案
を配布した。バングラデシュに避難する難民の安全な帰還を要求することも盛り込
んだ。ただミャンマーに影響力を持つ中国が反発しており、採決のめどはたってい
ない。

 デラトル仏国連大使は26日、記者団に「(ミャンマーでロヒンギャに対する)民
族浄化が起きていることを考えれば、安保理がはっきりした対応をすることが必要
だ」と述べた。ミャンマー政府に圧力をかける狙いだが、ミャンマーに配慮する中
国は同調していない。

 ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者の李亮喜(イ・ヤンヒ)氏は26日、
国連本部での記者会見でロヒンギャは差別され続け、暴力の対象になってきたと指
摘。「安保理に強い決議を出すよう求める」と訴えた。



■バングラ入りしたロヒンギャ難民、60万人超える 国連推計
 http://www.afpbb.com/articles/-/3147688?cx_position=3
 (AFP通信 2017年10月23日)

国連(UN)は22日、ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州で8月に軍の作戦が始ま
って以降、隣国バングラデシュへと避難したイスラム系少数民族ロヒンギャ
(Rohingya)の住民が60万人を超えたと発表した。国境の川沿いでは渡河の機会を
うかがってなお大勢が立ち往生しているとみられ、バングラデシュ当局はさらなる
大量流入に警戒を強めている。

 人道支援を指揮している国連の部門間調整グループ(ISCG)の報告書によると、
8月25日以降にラカイン州からバングラデシュに入ったロヒンギャ難民は推計で60
万3000人となった。この1週間だけで1万4000人以上が越境したことが確認された。

 一方、国境を流れるナフ(Naf)川が流れ込むベンガル湾(Bay of Bengal)で22
日に一部の魚を対象とした禁漁が解かれることから、バングラデシュ国境警備隊は
漁業従事者らが金もうけ目的で難民を船に乗せて密入国させようとする恐れがある
と懸念を示している。



■ロヒンギャ難民帰還、合意至らず 交渉難航か
 バングラ・ミャンマー内相が会談
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22661540U7A021C1FF1000/
 (日本経済新聞 2017年10月24日)

バングラデシュのカーン内相は24日、ミャンマーの首都ネピドーで同国のチョー・
スエ内相と会談し、イスラム系少数民族ロヒンギャの難民の帰還手続きなどを協議
した。ただ帰還条件など具体的な合意内容の発表には至らず、交渉は難航している
もようだ。

 難民帰還を巡る両国の閣僚級協議は、10月初旬にバングラデシュで開催されて以
来、今回が2回目。帰還手続きについての早期妥結も期待されたが、国境警備での
協力強化といった合意を発表するにとどまった。

 ロヒンギャ難民の帰還について、アウン・サン・スー・チー国家顧問は「前例が
あり、すぐにも開始できる」と述べていた。だがミャンマー側は、同国が持つ記録
と照合し住民だったと確認できることを条件に挙げた。受け入れも「1日100~150
人」(ウィン・ミャ・エー社会福祉・救済復興相)と、早期帰還を求めるバングラ
デシュの要求と相いれなかったものとみられる。

 バングラデシュ政府関係者は会談後、日本経済新聞の取材に対し「1カ月以内に
両国で作業部会を設立し、帰還手続きについて検討する」と前回の閣僚級会議と同
じ内容に終始した。



■帰還条件、合意至らず バングラ・ミャンマーの内相が会談
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2266154024102017FF1000/
 (日本経済新聞 2017年10月25日)

バングラデシュのカーン内相は24日、ミャンマーの首都ネピドーで同国のチョー・
スエ内相と会談し、イスラム系少数民族ロヒンギャの難民の帰還手続きなどを協議
した。ただ帰還条件など具体的な合意内容の発表には至らず、交渉は難航している
もようだ。

 難民帰還を巡る両国の閣僚級協議は、10月初旬にバングラデシュで開催されて以
来、今回が2回目。帰還手続きについての早期妥結も期待されたが、国境警備での
協力強化といった合意を発表するにとどまった。

 難民の帰還について、アウン・サン・スー・チー国家顧問は「前例があり、すぐ
にも開始できる」と述べていた。だがミャンマー側は、同国が持つ記録と照合し住
民だったと確認できることを条件に挙げた。受け入れも「1日100~150人」(ウィ
ン・ミャ・エー社会福祉・救済復興相)と、早期帰還を求めるバングラデシュの要
求と相いれなかったものとみられる。

 バングラデシュ政府関係者は会談後、日本経済新聞の取材に対し「1カ月以内に
両国で作業部会を設立し、帰還手続きについて検討する」と前回の閣僚級会議と同
じ内容に終始した。



■日本は働き掛けを=ロヒンギャ帰還、政治力必要-赤十字国際委
 http://www.afpbb.com/articles/-/3147944?cx_position=9
 (AFP通信 2017年10月24日)

来日している赤十字国際委員会(ICRC、本部ジュネーブ)のシュティルハルト事業
局長は24日、ミャンマー西部ラカイン州に住むイスラム系少数民族ロヒンギャが迫
害を受け隣国バングラデシュに逃れている問題で「日本はミャンマーの友好国なの
で、友人として話ができる。(帰還に向け)建設的な役割を果たせる」と訴えた。
帰還に非協力的なミャンマー政府に対する日本の働き掛けに期待を示した。

 東京都内で、時事通信の取材に語った。ICRCはバングラデシュだけでなくラカイ
ン州でも国際人道支援組織として唯一活動し、食料や水、医薬品の支援などを行っ
ている。

 シュティルハルト氏は「心身共に疲弊し、家族がばらばらになるなど絶望的な状
況で難民は逃れている」と現状を説明。一方で「物質的な窮乏よりも、将来の見通
しが立たないのが最も大変だ。移動の自由、医療、教育を保障し、通常の生活に戻
れるようにすることが重要だが、帰還には政治レベルの解決が必要だ」と訴えた。

 問題はミャンマーだけに限らず、今や欧米をはじめ世界的に自国中心の排他的風
潮が強まっていると警告した。しかし「どんなに人々が国内だけに目を向けたいと
思っても、難民といった課題は決して消えることはない」と強調。「一国だけでは
解決できず、右派やポピュリズム政党が政権に就いたとしても国際的な関心、関与
が必要だ」と国境をまたいだ連携の重要性を呼び掛けた。



■ロヒンギャ難民キャンプ建設の意向、トルコ大統領
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22545460R21C17A0000000/
 (日本経済新聞 2017年10月21日)

トルコのエルドアン大統領は20日、ミャンマーから隣国バングラデシュに難民とし
て逃れたイスラム系少数民族ロヒンギャ10万人を収容できるキャンプを同国に建設
する意向を表明した。イスタンブールで開いたイスラム途上国8カ国(D8)首脳
会議後の記者会見で語った。

 エルドアン氏はバングラデシュ政府に対し3平方キロメートルの土地の提供を要
求し、回答を待っている段階と説明。学校や病院なども建設すると述べたうえで、
インドネシアやイランなどD8諸国の支援も求めた。



■経済協力の強化確認 イスラム諸国首脳会議
 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171021/mcb1710210837022-n1.htm?view=p
c
 (SankeiBiz 2017年10月21日)

 「イスラム途上国8カ国」(D8)首脳会議が20日、トルコの最大都市イスタ
ンブールで開かれ、各国は「経済協力と発展への新段階に入った」として、さらな
る関係強化の重要性を確認した。アナトリア通信などが伝えた。

 会議で演説したエルドアン大統領は、外国為替市場の圧力を回避するため、D8
内の貿易はドルやユーロ建てでなく参加国の通貨を使うべきだと訴えた。トルコ政
府は19日、トルコとイランの中央銀行が両国間の貿易で双方の通貨を使うことで
合意したと発表した。

 トルコの提唱で1997年に始まったD8は両国のほかエジプト、パキスタン、
インドネシア、マレーシア、バングラデシュ、ナイジェリアで構成している。首脳
会議は今回が9回目。



■ロヒンギャ問題、軍がもたらした最速の難民危機
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22498350Q7A021C1000000/
 (日本経済新聞 2017年10月22日)

 ミャンマーの実質的な最高指導者であるアウン・サン・スー・チー氏は、イスラ
ム教徒の少数民族、ロヒンギャの問題で板ばさみに追い込まれている――。このコ
ラムでそう書いたのは昨年12月でした。あれから10カ月。事態はいよいよ危機的に
なっています。ミャンマー軍の迫害を逃れようと、隣国のバングラデシュに流入し
たロヒンギャ難民が、50万人を超えたというのです。

■報告書、読むに堪えない蛮行を列記

「民族浄化の教科書的な例」。10月11日のOHCHRの報告を踏まえ、ザイド・フ
セイン人権高等弁務官はミャンマー軍の行動をこう評しました。ロヒンギャの人た
ちの間に「肉体的、感情的、心理的な恐怖とトラウマを深く植えつける戦略」があ
る、というのです。多くの人たちに移住を強制し、しかも帰還の可能性を奪うよう
な「ひねくれた策略」をすすめているようにみえる、とも指摘しました。

 実はOHCHRの報告は、8月25日の襲撃事件の前から軍が掃討作戦を始めてい
たと示唆しています。ミャンマー政府はARSAを「過激派テロ組織」に指定しま
したが、先に手を出したのは軍だった可能性があるわけです。8月25日の警察施設
などへの襲撃についてARSAは「防衛措置」とする声明を発表しているのですが、
それにはもっともな理由があったとも考えられるのです。

 もちろん、スー・チー氏はじめ政府も軍も「民族浄化」の意図を否定しています。
実際、スー・チー氏はロヒンギャ難民の帰還につとめると繰り返し表明し、10月12
日にはそのための専門組織の設立を発表しました。とはいえ、フセイン高等弁務官
のいう「ひねくれた策略」があるのでは、との疑念を拭いきれてはいません。逆に、
軍の最高司令官であるミン・アウン・フライン上級大将が10月12日に米国のスコッ
ト・マルシエル駐ミャンマー大使と会談したときの発言は、そんな疑念を強めた観
がありました。

 「ラカイン州のベンガリたちはARSAの指導の下での攻撃にかかわっていた」。
ミャンマー情勢に焦点をあてているニュース・サイト「エヤワディ」によれば、上
級大将はこう述べたそうです。ここで「ベンガリ」というのは「ベンガルの人」あ
るいは「バングラデシュ人」といった意味で、ロヒンギャの人たちにミャンマー国
籍を認めない立場に基づいた言い方です。上級大将はさらに「だから彼らは不安に
なり、逃げていった」と指摘しました。掃討作戦が多数の難民を生んだ原因でない、
というわけです。国際的な非難の高まりを念頭に、軍は違法行為をしていない、と
も述べました。

 そのうえで、ロヒンギャはことばや民族、文化が同じ国に行った方が「安全に感
じられるだろう」と語ったそうです。ロヒンギャの人たちが、年来のすみかである
ミャンマーで安全を感じられないでいることを当然だとみなす感覚が、伝わってき
ます。こんな発言を最高司令官が公然と口にするようでは、軍が「民族浄化」を目
指しているとみられても無理はありません。

■他の少数民族も軍をけん制

 こうした軍の暴走をスー・チー氏は制御できていません。それどころか、スー・
チー氏自身、ロヒンギャの人たちを「ベンガリ」と呼び続け、国籍を認めない立場
を示しています。かつて軍事政権によって自宅に軟禁され、その間も「恐怖からの
自由」を訴え続けてノーベル平和賞を受賞した人物だけに、こうした姿勢は人権団
体などから失望を買っています。とはいえ、ロヒンギャを救済しなければならない、
との思いは持っているはずです。軍の力が強いいびつな権力構造や、多数派の仏教
徒の間で根強い反ロヒンギャ感情などを踏まえ、うかつに動けないのが実情だと推
測できます。

 それでも、事態を好転させるための足がかりは多少でてきたようにみえます。ひ
とつはアナン委員会が8月に出した報告です。この報告は今後すすめるべき政策と
して、ロヒンギャに国籍を認めることなどを勧告しました。仏教徒たちの感情的な
反発を考えれば容易なことではありませんが、元国連事務総長という権威を背景に
した第三者的な勧告という形をとっているので、政府としては反発を避けるための
盾として利用しやすいと考えられます。

 もうひとつは、国内の他の少数民族から軍をけん制するような声が上がり始めた
ことです。ミャンマー政府は2015年10月15日、武装闘争を展開していた少数民族グ
ループのうち8つのグループとの間で「全国停戦協定」(NCA)を締結しました。
このNCAに加わった少数民族グループのひとつであるカレン民族同盟(KNU)
が、NCA締結2周年に際して、次のような声明を出したのです。「ラカインの危
機をめぐる政府と軍の対応は、KNUとカレンの人たちがかつて経験したつらい記
憶を呼び起こす」

 ミャンマーには国民のおよそ7割を占めるとみられるビルマ族の他、130を超え
る少数民族が暮らしています。そのうちの有力な民族は独立や自治を求めて武装闘
争を長く続けてきました。そんな流血の歴史に終止符を打つための一つのステップ
がNCAでした。このNCAに参加した有力な少数民族グループのひとつであるK
NUがロヒンギャ問題をめぐって不快感を公然と表明したことは、政府や軍として
も重く受けとめざるを得ないでしょう。

 そして国際的な批判と関心の高まりも、スー・チー氏が事態を好転させる足がか
りとなる可能性を秘めています。世界銀行は10月12日、すでに決まっていた200万
ドルのミャンマーへの無利子ローンの供与を先送りする、と発表しました。一方で
「エヤワディ」の報道では、ミャンマーではラカイン州に限らず欧米からの観光客
が減っている、との声が出ています。ロヒンギャ問題は経済建設の足を引っ張り始
めたのです。これはスー・チー氏にとって不利にはたらく可能性もありますが、軍
に圧力をかける材料ともなるはずです。スー・チー氏の政治手腕が問われるところ
です。

 もっとも、国際的な反応は必ずしも批判的なものばかりではありません。中国政
府はミャンマー政府への支持を表明していて、ロヒンギャに対する迫害を問題にす
る構えを見せていません。「内政不干渉」という外交の基本路線に忠実だといえる
のですが、生臭い政治的、経済的な思惑もうかがえます。ラカイン州は中国とミャ
ンマーを結ぶ石油・天然ガスパイプラインの通り道にあり、ラカイン州のチャウピ
ュー港を中国は開発しているところなのです。

■過激派がはびこる温床にも

 こうみてくると、ロヒンギャ問題を軸にスー・チー氏と軍のつばぜり合いが水面
下で激しくなっている可能性が浮かんできます。その行方は見守るしかありません
が、どう展開するにしても、ロヒンギャ難民たちが安心して帰還できるような環境
は簡単に整いそうもありません。深刻な難民危機が続くわけで、その国際的な影響
にも注意が必要です。

 まず危機の影響をもっとも強く受けているのは、当然のことながらバングラデシ
ュです。ロヒンギャの人たちの処遇をめぐってミャンマー政府とバングラデシュ政
府はこれまでもいろいろと交渉してきましたが、ロヒンギャが安心して暮らせるよ
うな結論を出せたことはありません。そんななかで起きた今回の危機に際し、バン
グラデシュ政府が難民を追い返すのではなく少なくとも当面は受け入れる姿勢をと
っているのは、評価できるところです。

 とはいえ、バングラデシュに難民を支援する余裕がそうあるわけではありません。
すでにきれいな水やトイレの不足は深刻だと伝えられています。国連とその傘下の
国際機関は援助資金を集めるのに躍起になっていて、10月23日にはそのための国際
会議を開くことも決めましたが、危機が長びく可能性を踏まえるなら一時的な資金
集めでは不十分といえるでしょう。

 AFP通信によると、バングラデシュ政府は80万人を収容できる世界最大級の規
模の難民キャンプを、コックスバザールのちかくに建設する計画を打ち出しました。
当面の人道危機をやわらげる効果を期待できるでしょうが、80万人もの難民を収容
するキャンプを運営するのは大変な仕事です。資金の面だけでなく、人材やノウハ
ウなどもふくめた包括的な国際支援が必要になってくると考えられます。ロヒンギ
ャの人たちのラカイン帰還を難しくするような副作用を生まないようにする目配り
も、求められます。

 難民危機の影響としては、世界的なテロの拡散の可能性も指摘しなければなりま
せん。すでに国際テロ組織のアルカイダはミャンマー攻撃を唱えていて、ARSA
のような過激派組織の台頭と合流すれば事態は深刻になります。バングラデシュで
は多数の難民の到来が社会的緊張が高めているとされ、過激派がはびこる温床にな
りかねません。



■「掃討終了」後も焼き打ち=ロヒンギャの村破壊と人権団体-ミャンマー
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017101700712&g=int
 (時事通信 2017年10月17日)

ミャンマー西部ラカイン州のイスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題で、国際人
権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは17日声明を出し、アウン・サン・スー・
チー国家顧問が武装集団に対する掃討作戦の終了を宣言した後も、ロヒンギャの村
に対する焼き打ちが続いていたと明らかにした。最新の衛星写真の分析で判明した
という。

 9月21日に撮影したとされる衛星写真では、ロヒンギャの村が灰燼(かいじん)
に帰しているのに対し、隣接する仏教徒の村は無傷のままとなっている。
 声明によると、ロヒンギャの武装集団と治安部隊の衝突が8月25日に始まって
以降、焼き打ちで少なくとも288の村が完全あるいは部分的に破壊された。スー・
チー氏はロヒンギャ問題に関する9月19日の演説で、掃討作戦は同月5日以降は
行われていないと語ったが、その後も少なくとも66の村が焼かれていた。
 国連などによれば、戦闘を逃れるため、隣国バングラデシュに脱出したロヒンギ
ャ住民は衝突開始後、58万2000人に達した。ヒューマン・ライツ・ウオッチ
は「ミャンマー国軍は殺害や性的暴行、その他の人道に対する罪を働きながらロヒ
ンギャの村を破壊し、住民を脱出に追い込んでいる」と非難。「関係各国は迫害を
終わらせるよう強く求めるべきだ」と訴えた。



■ロヒンギャ難民、受け入れ国への支援を 国連機関が声明
 http://www.asahi.com/articles/ASKBJ7WLHKBJUHBI02Y.html
 (朝日新聞 2017年10月17日)

 ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャが隣国バングラデシュに難民として
流入している問題で、グランディ国連難民高等弁務官らが16日、受け入れ国に対
する支援などを求める共同声明を出した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
などの国連機関は、欧州連合(EU)とクウェートとともに23日、スイス・ジュ
ネーブでロヒンギャ支援の会合を開く。

 共同声明は、グランディ氏と国際移住機関(IOM)のスイング事務局長、国連
人道問題調整事務所(OCHA)トップのローコック人道問題担当国連事務次長の
連名で出された。

 声明では、「(ロヒンギャ難民の隣国への)流入の速度と規模により、世界で最
も早く拡大している難民危機および人道危機になった。バングラデシュ政府や地元
の慈善団体、ボランティア、国連、NGOも支援をしているが、喫緊にさらなる支
援が必要とされている」と指摘。国際社会に対して、50万人以上とされるロヒン
ギャ難民問題の解決の努力と支援を呼びかけている。



■ロヒンギャ難民50万人超「集団感染」の危機
 http://toyokeizai.net/articles/-/193162
 (東洋経済 2017年10月18日)

ミャンマー西部ラカイン州に居住するイスラム系少数民族ロヒンギャが今年8月下
旬以降、弾圧を逃れて隣国バングラデシュに流入し、国連機関よると難民が1カ月
半で約54万人(10月13日現在)に上る緊急事態に陥っている。バングラデシュ側の
難民キャンプで医療支援活動を展開する国際NGO「国境なき医師団(MSF)日本」会
長の加藤寛幸医師に現地の状況を聞いた。

劣悪な衛生状態、食糧も水もない

――難民キャンプの現状は。
医療支援のニーズ調査のために9月中旬に現地に入り、10月1日にバングラデシュ南
東端コックスバザール県のマイナゴナに診療所を開設した。このエリアには同国政
府公認のクトゥパロン、バルカリという既存のキャンプがあり、数十万人のロヒン
ギャ難民がいたが、新たに50万人超が流入し、数キロ四方の“メガキャンプ”が形
成されている。バングラデシュ政府軍が国境を越えた難民をトラックでキャンプに
集めている。

 難民たちは20カ所近い山中のエントリーポイントを通って越境してくるほか、一
部は小舟で国境のナフ川を渡ってくる。みな着の身着のまま、何日も食べておらず
憔悴しきっている。自分たちの身に何が起きているのかも理解できていない印象を
受けた。たいてい家族単位で逃れてくるが、全体を見ると20~40代の女性と子ども
たちが多い印象で、「ミャンマー軍に村を焼かれ、男たちは殺された」と訴える難
民もいる。

キャンプの環境は劣悪だ。住居やトイレ、食料、飲料水など何もかも不足している。
難民たちは自分たちで工面した竹の柱にビニールシートを張っただけの粗末なシェ
ルターで雨風をしのいでいる。急ごしらえの手掘り井戸は清潔な水を得られるだけ
の深さがなく、トイレの多くも穴を掘っただけだ。井戸とトイレの距離が十分では
なく、モンスーン(雨期)の降雨で至る所がぬかるんでいる。膨大な数の難民が限
られたエリアに極端に密集しているため、衛生状態は非常に悪い。

――食糧配給はあるのか。

新たな難民は全面的に人道援助に頼らざるをえず、国連機関がバングラデシュ軍を
通じてコメや食用油、野菜などを供給しているが、難民の急増に追いつかず絶対的
に不足している。到着時に1世帯にコメ25キロが支給されるらしいが、配給は不定
期で滞りがちなため、乳幼児を抱えた母親たちが炎天下や雨の中、いつ来るともわ
からない食料を待って路上にあふれる姿が見られる。

難民の多くは鍋釜など調理器具や日用品を持っておらず、仮にコメを支給されても
どうやって食べるのだろうか……。近隣住民からもらった米飯を家族で分け合って
食べることもあるようだ。難民たちの表情や様子を見ていると、この数週間で体力
的にも精神的にも限界に来ているという印象を受ける。

大型テントの診療所に患者が連日殺到

――医療支援活動の現状は。

MSF日本としてマイナゴナに開設した大型テントの診療所で診察・治療を開始し、8
月25日以降、MSF7カ所の診療所で計3万人以上を治療した。私自身は10月1~5日、
日本人看護師や薬剤師、ロジ担当者、通訳、現地医療スタッフと診療に当たった。

近日中にスタッフを増派して新たな診療所4カ所を設ける計画で、MSFの別のチーム
も医療支援を展開中だ。バングラデシュ政府は国連機関や国際NGOの活動を受け入
れているが、手続きに時間がかかり、医薬品や資機材、現地スタッフの調達が滞っ
ている。

私たちの診療所には1日約300人の患者が連日殺到しているが、治安の関係で夕暮れ
前に閉めるため、診療しきれずに翌朝出直してもらうこともある。症状は呼吸器感
染症(風邪、肺炎など)、消化器感染症(嘔吐、下痢など)、皮膚病のほか、難民
の約半数が裸足なので足のケガが目立つ。避難の最中に銃で撃たれたり切りつけら
れたりした負傷者、性暴力を受けたとみられる女性患者もいる。

食糧不足による乳幼児の栄養失調は深刻で、意識もうろうとした状態で運び込まれ
る子どもが少なくない。いずれの場合も重症患者はキャンプ内にあるMSFの既設の
医療施設に緊急搬送するが、そこも50床を70床に増やしたが追いつかず、百数十人
を収容せざるをえない状況だ。地域の公立病院もキャパシティを大きく超えて患者
を受け入れている。

清潔な飲料水が得られないのが何より深刻

――衛生状態が劣悪で重篤な感染症が懸念される。

公衆衛生の観点でいうと、清潔な飲料水が得られないのが何より深刻だ。難民たち
は手掘りの浅い井戸や水田、水たまりから集めた水を飲んでいるが、こうした水の
多くは排泄物で汚染されているため、診療所でも下痢性疾患の患者が目立つ。

脱水症状で生死の境をさまよう成人患者も多いが、これは成人にはめったに見られ
ないことだ。バングラデシュ政府も(はしか、コレラ、チフスなど)重篤な感染症
が蔓延することを非常に警戒している。

正確なデータはないが、ロヒンギャの予防接種率はミャンマー国内の水準に照らし
ても低いと考えられ、数十万人が不衛生な環境で密集して暮らす状況が長引けば、
数万人が死亡する集団感染がいつ起きてもおかしくない。集団予防接種を至急実施
するとともに、感染が疑われる患者を隔離する必要があるが、バングラデシュ当局
がそうした措置をとれる状況にはない。MSFはクトゥパロンの医療施設に隔離用区
画を独自に用意した。



■バングラデシュに避難のロヒンギャ、58万人超に 国連発表
 http://www.afpbb.com/articles/-/3147086?cx_position=4
 (AFP通信 2017年10月17日)

 ミャンマーから隣国バングラデシュへと避難したイスラム系少数民族ロヒンギャ
(Rohingya)の人数が8月末以降、約58万人に上ることが分かった。国連(UN)が
17日、明らかにした。

 国連によると、8月25日以降ミャンマーから国境を越えてバングラデシュ入りし
たロヒンギャは58万2000人に上るという。先週末の時点で国連は、ロヒンギャ避難
民の数を53万7000人としており、4万5000人増となった。

 ただ、スイス・ジュネーブ(Geneva)で記者会見を行った国連児童基金(ユニセ
フ、UNICEF)の報道官によると、数の増加は突発的な流入によるものではなく、多
くの避難民の数が集計されていなかった地域へのアクセスが改善されたことによる
ものとみられるという。



■ロヒンギャ難民、「帰還は1日100~150人」担当相 迫害行為は否定
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22357950X11C17A0FF1000/
 (日本経済新聞 2017年10月17日)

 ミャンマーのウィン・ミャ・エー社会福祉・救済復興相はこのほど日本経済新聞
の取材に応じた。隣国バングラデシュに難民として逃れたイスラム系少数民族ロヒ
ンギャの帰還について、受け入れ可能な人数は「1日あたり100~150人だ」と言及。
難民は60万人近くに上るが、全員の帰還には単純計算で10年以上かかる見通しを示
した。帰還の遅れは、国際社会の非難を再び招きそうだ。

 ウィン・ミャ・エー氏は難民帰還を所管する閣僚。ロヒンギャ問題の解決に向け、
アナン元国連事務総長率いる政府の諮問委員会が8月末にまとめた勧告を実行する
責任者でもある。

 帰還について今月下旬にバングラデシュ政府と協議し、合意に至れば11月から難
民受け入れを始めるとの見通しを示した。村を焼かれた住民には「元の居住地や耕
作地から遠くない所に政府が家を提供する」と述べた。

 政府はミャンマー領内に住む住民だったことの確認を帰還条件とするが、多くの
難民は証明書類を持っていないとみられる。ウィン・ミャ・エー氏は仮に証明書類
がなくても「申告した名前や住所がミャンマー側の住民記録と一致すれば帰還を認
める」と説明した。

 だが、難民帰還は予断を許さない。ウィン・ミャ・エー氏は難民の全体数を「40
万~50万人とされるが正確な数字は分からない」としたうえで「過去の(難民帰還
の)経験からして1日に受け入れられるのは100~150人で、相当の時間が要る」と
した。

 アウン・サン・スー・チー国家顧問が先月19日の演説で難民の早期帰還を表明し
て以降も難民は増えている。スー・チー氏は帰還難民の安全確保を約束したが、難
民側は治安部隊が村への放火や住民殺傷を主導したとして「ミャンマーに戻りたく
ない」という人が大半だ。

 国軍など治安部隊への疑念払拭に向けた政府の動きは鈍い。ウィン・ミャ・エー
氏は、掃討作戦中の過剰な武力行使の可能性について「事実なら法律に基づき処分
する」と述べた一方、調査するのは国軍の影響下にある「国防省や内務省だ」と言
明した。そもそも政府は治安部隊による意図的な迫害行為は「全くない」(ウィン・
ミャ・エー氏)と否定する立場を崩していない。

 仏教徒など多数派の間ではロヒンギャの帰還自体に反発する雰囲気が根強い。ス
ー・チー氏は円滑な難民帰還に向け「国際社会の意見に耳を傾けるべきだ」と国民
に呼びかけたうえで、市民社会や企業を巻き込みロヒンギャ難民の帰還や人道支援
を進める組織創設を表明した。国内外でロヒンギャ問題の事態の改善に動いている
が、一筋縄では進みそうにない。



■世界の国会議員がミャンマーの少数民族ロヒンギャに対する民族浄化を非難
 http://www.sankeibiz.jp/business/news/171019/prl1710191452100-n1.htm
 (SankeiBiz 2017年10月19日)

全世界の議会コミュニティーは18日、ミャンマー・ラカイン州北部の少数民族ロヒ
ンギャの民族浄化を非難した。議員らはミャンマー政府に暴力、ロヒンギャの強制
退去、甚だしい人権侵害の即時停止を求めた。

18日に第137回列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union、IPU)会議で採択され
た緊急追加議題の決議で議員らは、前例のない100万人ものロヒンギャのバングラ
デシュへの大規模逃亡、また、国と地域への人道的影響および起こりうる安全性へ
の影響に深刻な懸念を表明した。暴徒の攻撃が軍事的な報復を引き起こした際、ロ
ヒンギャは避難を開始した。

IPUのサベル・チョードリー議長は「この決議案は世界の議会コミュニティーに、
ラカイン州におけるロヒンギャの民族浄化に終止符を打つこと、そしてさらなる人
権侵害に歯止めをかける具体的な対策をとるよう強く要請するものである」と説明
し、「100万人もの人々が暴力や迫害から逃れようとしているときに外から傍観し
ているわけにはいかない。この危機は地域の平和と安全にとって重大な脅威である」
と語った。

この決議では、宗教や民族に関わらず全ての民間人を保護するために国連管理下で
ミャンマー国内に一時的な安全地帯を設置することが強く勧められる。議員らはミ
ャンマー議会に暴力行為をやめるために、またこの悲劇的状況に終止符を打つため
にあらゆる努力をするよう強く要請した。

「今年の会議において緊急追加議題の決議案は、全世界共同体がこの状況を懸念し
ていることを反映し、世界の議員らの圧倒的多数で可決された。私はこの警告がミ
ャンマー当局や現地議員に届くだろうと信じている。そして、彼らが状況を正常化
し、人道的大惨事を防ぐための効果的な措置を講じることが可能になることも信じ
ている」とワレンチナ・マトヴィエンコ議長は説明した。

IPUのマーティン・チュンオン事務総長は「ロヒンギャの状況は決して容認できる
ものではない。世界中の議員がこの残虐行為を非難するため団結することが不可欠
だ」と説明した。

緊急追加議題として提出された他の問題としては、ベネズエラの政治危機、そして
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)によって行われた核実験が平和と世界的安全に
もたらす脅威だった。世界的安全と平和を維持する上での議会の役割に関する決議
案を提案したジブチは、1件の議題が合意に達するように連帯感を表して、その決
議案を撤回した。

会議では緊急追加議題は1件しか採択されないため、選択過程は本会議での投票で
成り立つ。申請が通るためには、投票総数3分の2の多数を得なければならない。そ
のうち、賛成票が最も多かったものが受諾される。第137回IPU会議では、北朝鮮の
核実験とロヒンギャ危機の2案が3分の2の多数票を得た。本会議ではロヒンギャ危
機が大多数を獲得し、緊急追加議題として採用された。



■ロヒンギャ問題「ミャンマーは国際法違反」 国連幹部
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22470060Z11C17A0FF2000/
 (日本経済新聞 2017年10月19日)

国連のアダマ・ディエン事務総長特別顧問らは19日、ミャンマーのイスラム系少数
民族ロヒンギャが迫害を受けているとされる問題について、「ミャンマー政府は国
際法が求める義務を履行せず、ロヒンギャ住民を保護する基本的な責任を果たして
いない」と非難する声明を発表した。ミャンマー政府に迫害行為の存在を認めて停
止するよう要求。国際社会にも「(ロヒンギャを保護する)責任を果たせていない」
と指摘した。

 17日までミャンマーを訪問したフェルトマン国連事務次長(政治局長)は、アウ
ン・サン・スー・チー国家顧問と会談し、隣国バングラデシュに逃れた60万人近い
ロヒンギャ難民の帰還と、人道支援機関による立ち入りを認めるよう求めた。

 国際社会においては内政不干渉が原則だ。ただし、主権国家が自国住民を迫害す
る場合は、国際社会が人々を「保護する責任」を負い、強制介入できるとされる。
「保護する責任」は、1990年代にアフリカやユーゴスラビアで発生した民族虐殺を
教訓に国連の場で提唱された原則。国際社会が人道危機に際して武力行使を含めて
主権国家にも介入できることを示した。



■ロヒンギャ、傷深く 村追われバングラへ
 https://mainichi.jp/articles/20171021/dde/012/040/002000c
 (毎日新聞 2017年10月21日)

「家を燃やされ仕方なく避難してきた。とにかく家族が全員助かってよかった」。
ミャンマーからバングラデシュに逃れたミャンマーの少数派イスラム教徒「ロヒン
ギャ」のモハンメド・アユさん(28)は妻と幼い子ども4人を連れ、身分証交付
のための長蛇の列に並んでいた。難民キャンプが集中しているのはミャンマーと国
境を接しているバングラデシュ南東のコックスバザール。

 8月にミャンマーで武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)が治
安部隊を攻撃したのがきっかけとなり、混乱が続いている。バングラデシュに避難
する難民は58万人以上と言われる。

 難民は国境警備隊に見つかりやすい日中は避け、夜間や早朝に国境を流れるナフ
川を渡って来るケースが多い。対岸では9月下旬ごろまで民家が燃やされ煙が上が
る様子が確認できたという。川岸では、渡って来る人々を助けようと待つ住民たち
の姿もあった。

 激しい雨が降ったりやんだりを繰り返し、日差しが降り注ぐと真夏のような暑さ
となる。難民キャンプ付近の道ばたには汚物の混ざった水たまりができ、多くの人
たちが裸足で歩く。あたりは刺激臭が鼻を突く。道路から離れた山林内に所狭しと
テントが立てられた光景が1キロ以上続く。

 難民キャンプで横たわる娘を看病するモッソバ・ファティマさん(50)。取材
した日の早朝にバングラデシュに到着したという。「娘がミャンマーの軍人に乱暴
され、家も焼かれた。恐怖と混乱で娘の心は壊れてしまった」と、うつろな表情の
娘の手を優しく握っていた。

 コックスバザール中心部の国立病院に入院していたサノアラ・アノアナさん(2
2)は家を焼け出され、夫と3人の子どもと逃げていた時に背後から銃で4発撃た
れた。「今も体に2発の銃弾が残っている。痛くて眠ることもできない。けがが治
るまで何も考えられない」と横たわりながら4カ月になる娘を包帯の巻かれた手で
あやしていた。



■国連、「バングラデシュでのロヒンギャ族の難民の数が約59万人に到達
 http://parstoday.com/ja/news/world-i36279
 (ParsToday 2017年10月21日)

国連のファルハン・ハック報道官が、、バングラデシュの難民キャンプにいるミャ
ンマーのロヒンギャ族のイスラム教徒難民の数が58万9000人に達したことを
明らかにしました。

中国の新華社通信によりますと、ファルハン・ハック報道官は、バングラデシュの
難民キャンプでの健全な飲料水の不足により、ロヒンギャ族の難民子供32万人の
命が危険に晒されている、と語りました。

8月25日から始まった、ミャンマー西部ラカイン州のロヒンギャ族のイスラム教徒
に対する同国軍の弾圧により、これまでに6000人以上が死亡、8000人が負傷してい
ます。

ラカイン州では、2012年から、ロヒンギャ族のイスラム教徒に対する軍や過激派仏
教徒の攻撃が行われています。ミャンマーではロヒンギャ族100万人が市民権を
奪われています。

イランを含む一部の国や国際機関は、バングラデシュに避難したロヒンギャ族の難
民だけのために人道支援物資を送ることができています。



■米、ミャンマーへの軍事支援縮小 ロヒンギャ迫害で個人の制裁も
 http://www.afpbb.com/articles/-/3147836
 (AFP通信 2017年10月24日)

ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が迫害を避けて隣国バン
グラデシュに大量に避難している問題で、米国は23日、ロヒンギャの住民に対する
暴力行為に関わったミャンマー軍の部隊や幹部らに対する軍事支援を停止すると発
表した。また、「残虐行為」に関与した個人を標的とした経済制裁を検討するとも
している。

 米国務省のヘザー・ナウアート(Heather Nauert)報道官は「(ミャンマー西部)
ラカイン(Rakhine)州で最近起きた出来事やロヒンギャの人らが受けた暴力、悲
惨な虐待に対する最も深刻な懸念」を表明。残虐行為に関わったいかなる個人、団
体も責任を負わなければならないと強調した。

 米国とミャンマー軍との関係は限定的で、米国は長期にわたってミャンマーへの
武器売却も禁じている。今回の措置は従来の立場を強化する形となる。

 国務省はこのほか、ミャンマー軍幹部らを対象とした渡航制限の検討を凍結する
ことなども明らかにした。

 レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官は先週、ロヒンギャの難
民危機について、アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問率いる
ミャンマーの文民政権と区別して軍の方に責任があるとの見解を示していた。

 ラカイン州では8月末に武装集団が治安部隊を襲撃したことへの報復として、軍
が大規模な掃討作戦とロヒンギャへの迫害行為を実施。国連(UN)は民族浄化が起
きていると非難している。

 同州からはこれまでに60万人を超えるロヒンギャの人がバングラデシュに逃れて
いる。



■ロヒンギャ支援へ380億円=国連会合で各国表明-ジュネーブ
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017102301341&g=int
 (時事通信 2017年10月24日)

国連などは23日、ミャンマーから隣国バングラデシュに逃れているイスラム系少
数民族ロヒンギャへの支援を強化するため、ジュネーブでハイレベル会合を開催し、
参加各国・組織は計3億3500万ドル(約380億円)の資金拠出を表明した。
 国連のローコック人道問題担当事務次長は冒頭演説で「われわれは大きな難民危
機に直面している。包括的対応が不可欠だ」と強調。バングラデシュ政府代表は
「国際社会の政治経済、人道面にわたる支援が今後も必要だ」と訴えた。



■バングラデシュ:「このままでは数万単位の命が失われる」......
 MSF日本会長が見たロヒンギャ難民50万人の危機
 http://www.msf.or.jp/news/detail/voice_3573.html
 (国境なき医師団 2017年10月24日)

国境なき医師団(MSF)の日本会長、加藤寛幸は、難民問題が深刻化した2017年9月
からバングラデシュ入りし、ロヒンギャの避難所を調査。10月1日に南東部コック
スバザール近郊のマイナーゴナで診療所を開設し、暴力から避難してきた人びとを
治療してきた。加藤会長が目撃したロヒンギャ危機とは――。

患者数は増える一方

MSFはクトゥパロンとバルカリの2大難民キャンプに新たに診療所を増設すると同時
に、バルカリに新しい入院病棟の開設準備を進めていました。そのすぐ南にあるマ
イナーゴナというキャンプで私たちのチームが外来診療をスタートしたのが10月1
日です。1日目は170人、2日目が200人、3日目は240人、4日目は300人…と患者数は
増え続ける一方で、さらなる受け皿が必要とされています。

難民キャンプで活動できるのは日中だけに限られています。そのため、明るいうち
に活動を終えられるよう、夕方4時前になると待っている人たちをトリアージ(※)
し、重症患者以外にはチケットを配布して翌日来てもらうようにしていました。制
限がなければ、もっと多くの患者を診ることができたでしょう。マイナーゴナの人
口は約7万人と言われていますので、潜在患者数は非常に多いと考えられます。

現地には、バングラデシュのNGOによる小さな診療所が散在していますが、入院で
きる施設は非常に限られているため、30~50床を備えた入院対応が可能な病院を設
置すべく準備を進めています。

重症度や緊急度などにより治療の優先順位を決めること
感染症の大流行がすぐそこまで迫っている

現地に到着した当初、MSFの移動診療所を受診する重度の栄養失調の子は必ずしも
多くありませんでした。それがここ2~3週間で急速に栄養状態が悪化してきている
のを感じます。10月1日にマイナーゴナに診療所を開設して以降、連日、急性重症
栄養失調の子どもたちが診療所に連れてこられていました。私たちのチームでは、
今後の状況の悪化に備えて入院栄養治療プログラムの準備も進めています。

バングラデシュ軍などが、国際機関や援助団体から届いた支援物資をトラックで搬
送していますが、未曾有の事態ということもあり、効率的でスピーディな配給をま
だ模索している印象を受けました。配給物資が絶対的に足りていないのと同時に、
流動する難民に偏らないように配給することは至難の技でしょう。

水やトイレ、食糧は圧倒的に足りません。難民キャンプ内に井戸を掘り生活用水を
まかなってはいるものの、浅い井戸が多く、汚水等による感染がとても心配です。

人口が非常に密集していて、患者を隔離することもできません。このような状況で
は、いつ爆発的な感染症流行が起きてもおかしくない。MSFは疫学的調査の専門家
も派遣し、ブロックごとにアンケート調査を実施しながら状況把握を急いでいます。

急増する難民に支援が追いつかない

現地では国際NGOの調整に最大限の努力を払っているようですが、必要とされてい
る支援はあまりにも大きく多岐にわたっており、また、援助に入るNGOの数が多い
こともあり、迅速かつ適切な調整は難航しています。そのため、大規模援助がなか
なか実現していないのが実情です。医療ニーズがそこにあって、気持ちばかりは焦
るのに、活動を加速できないというジレンマがありました。

ワクチンに関しては、バングラデシュ政府が認可した国産の製剤もしくはWHOから
提供されたものによって接種率向上が計られていますが、50万人を超える新たな難
民に接種を行うには莫大な人材とロジスティクスが必要です。MSFも接種率向上の
ために支援していますが、求められるだけの接種率の達成は困難であろうと予想さ
れます。

このままでは、はしかや重篤な下痢症などの命に関わる感染症が大流行する可能性
が高く、そうなれば、数万人単位の命が失われることになっても不思議ではないで
しょう。

日本社会からも後押しを
MSFは、ミャンマーで長年ロヒンギャの人びとに対する援助活動を続けてきました
が、今年の8月中旬以降、スタッフの立ち入りが制限され、現地での活動を停止せ
ざるを得ない状況に追い込まれました。結果として、ミャンマーでいま何が起きて
いるのか知る術はありません。しかし、立ち入りが制限されている地域で医療への
アクセスを奪われた数多くの人たちがいることは間違いありません。

医療を受けられない状況がずっと続き、バングラデシュに避難してきたときには重
症化している患者さんを難民キャンプで数多く目にしました。ミャンマーで活動す
ることが、バングラデシュに避難してきた人たちへの援助にもなる。

一刻も早くラカイン州へ入り活動再開できるよう、国際社会に対して求めていく必
要があると私は考えています。

また、バングラデシュやミャンマーにおけるロヒンギャの問題が日本のメディアで
取り上げられる機会が激減していることも大変危惧しています。2014年のエボラが
そうであったように、多くの命が失われてから慌てるのではなく、取り返しのつか
ない悲劇が繰り返されないよう、今もっと関心を持ち、できる限りの支援のために
お力をお借りできたらと心から願っています。



■米、ロヒンギャ問題でミャンマー制裁を検討
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2264489024102017FF1000/
 (日本経済新聞 2017年10月24日)

ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャが迫害されている問題で米国務省は23
日、ミャンマー国軍の幹部らを対象にした制裁措置を検討していると明らかにした。
隣国バングラデシュに逃れる難民が60万人に達しテロ組織への人材供給源となる懸
念が浮上、同問題に距離を置いていたトランプ米政権が姿勢を変化させつつある。

 米国務省は声明で「ロヒンギャをはじめとする住民が受けた衝撃的な人権侵害を
深刻に懸念している」と表明した。「ミャンマー政府に説明責任を果たさせるため、
同盟国やパートナー機関と必要な措置を検討している」と強調した。

 声明は、人権侵害に加担した人物が米国に入ることを拒否できる米国内法に触れ、
独自の制裁措置を発動する可能性を示唆した。米国が資金援助する行事への国軍幹
部の招待取り消しや、住民迫害に加担した国軍部隊への軍事支援の停止を決めたこ
とも明らかにした。

 欧州連合(EU)も16日の外相理事会で、ミャンマー国軍幹部のEU加盟国への
招待停止を決定。ミャンマー政府に問題解決に向けた行動を取るよう促した。

 欧米がロヒンギャ問題でミャンマーへの圧力を強める背景には、人権侵害に対す
る批判が各国内で高まっていることが大きい。難民の間に蓄積した不満がイスラム
過激派に利用されかねないとの懸念もある。

 バングラ南東部に位置し、ロヒンギャ難民が大勢押し寄せているコックスバザー
ルの自治体幹部は、武装集団のメンバーが難民キャンプに紛れ込む可能性を指摘し
「規模が膨らめばテロリストの活動を防げなくなる」と警戒する。

 米政府はアウン・サン・スー・チー氏の民主化運動を支援する目的で軍事政権下
にあったミャンマーへの経済制裁を科していた。ただ、現在のスー・チー政権発足
後の16年10月、前オバマ政権時に米国は制裁対象リストにあった軍事政権の元幹部
ら個人や企業すべてを制裁から除いた。

 今後、ミャンマー政府が国連の調査団受け入れを拒否するなど、国際社会の関与
を阻む姿勢を取り続ければ、一段の制裁強化に動く可能性もある。内容によっては、
11年に民政に移管してから積極的に進出してきた日本企業の事業活動に影響する恐
れも出てきた。

 トランプ政権はこれまで人権問題を声高に問題視してはいなかった。ロヒンギャ
問題で従来の米政府の対応を翻して強硬な姿勢を示した背景にはオバマ時代のレガ
シーを否定したい思惑もにじむ。

 8月25日のロヒンギャ系武装集団による治安部隊の襲撃に対し、治安部隊が掃討
作戦を始めたのを受け、多数の住民が隣国バングラデシュに逃れている。国連の集
計によると難民の数は約60万人に達している。




■国際赤十字が、ロヒンギャ族のイスラム教徒の惨状を懸念
 http://parstoday.com/ja/news/world-i36366
 (ParsToday 2017年10月26日)

国際赤十字・赤新月社連盟のエルハジ・アマドゥ・シィ事務総長が、バングラデシ
ュにおけるロヒンギャ族の難民のキャンプを視察し、「ミャンマーからバングラデ
シュとの国境へと追いやられた難民は、精神的に非常に懸念すべき状況にある」と
語りました。

エルハジ・アマドゥ・シィ事務総長は25日水曜、「バングラデシュのキャンプで
過ごすロヒンギャ族の難民は、多くの困難を抱えており、彼らの精神面での健康の
問題が忘れられてはならない」と述べています。

また、「彼らが、家族や財産を失い、精神的な打撃を受けた中、ここにやってきて
いる。このため、彼らの精神的健康のニーズに応えることは、必ず実施されるべき
最も効果的な措置の1つだ」としました。

さらに、バングラデシュにおける数十名の外国の救急隊員の活動にふれ、ロヒンギ
ャ族の難民の苦しみを緩和するために更なる支援が必要だとしています。

ミャンマー西部ラカイン州では、ロヒンギャ族のイスラム教徒に対する政府軍と過
激派仏教徒の攻撃が新たに始まっており、この中で6000人以上が死亡し、80
00人が負傷、数十万人が難民化しています。

ラカイン州では2012年から、イスラム教徒に対する政府軍と過激派仏教徒の攻
撃が行われています。
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