「ギルガメッシュ叙事詩」をご存知でしょうか?
私の持論として、コロナ禍に覆いつくされる現在の世界を考えるときには、
人類が感染症と戦ってきた歴史を紐解くべし、と説いてきました。
で、感染症の歴史を紐解きついでに、思い出したのが「ギルガメッシュ叙事詩」。
確か、文字として残る世界最古の文学作品だったと記憶しています。
正確な記録はわかっていませんが、古代メソポタミア文明の紀元前27世紀
(紀元前2700~2601年)ころウルク朝の伝説の王ギルガメッシュの物語です。
気の遠くなるような昔むかしのお話ですが、神と人間の交流が普通にでてくるところが
神話の域にあるんだろうとは思いながらも、”今も昔も人間の本質は変わらないのだ”
という気づきがある物語でもあります。
内容の概略は、王の人生の起こった出来事を、友情と冒険と愛憎と幸福と欲、
極めつけは不死を求めるなど、人間心理を鋭く描いた物語のような感じですが、
切り口によっては、さまざまな示唆に富んだ話のように感じられます。
「都市の城壁づくり」という大事業が冒頭から結びにでてきますが、
建設資材として必要な杉の木を悪魔(?・・神だったかも)から奪う冒険物語は
=資源を得ること
城壁建設を早期に達成するために、労働者を家族と会わせないで仕事に没頭させる
=効率性を高めること →まあ、これは反発をくらいますが(笑)
自然界の守護人のような敵としてあらわれた者が、お互いを認め合い親友になる
=文明社会に生きる人間が自然を取り込むさま
・・・などなど、多くの示唆があったような気がします。
ちなみに「ギルガメッシュ叙事詩」というのは後世の人が命名したそうで、
本来の題名は「深淵を覗き見た人」。
・・・納得がいきました。
4000年以上前から人間は変わってないのかもしれませんね。
ということで、いま「新しい生活様式」が求められる中でも
変わらないのは人間がその時代を生きて、試行錯誤しながら時代をつくるということ。
逆に、変わったのは、確実に地球の資源は枯渇しつつあり、人口は爆発し、
情報が一瞬で飛び交う時代のなかにいるということ。
さて、現在の人類の存亡は、感染症という直接的な敵だけでなく、
ギルガメッシュが長い長い物語のなかで、経験し、悩み苦しんだように、
人類は、いままたさまざまな意味での深淵を覗かねばならないのでは、
と、感じている今日この頃です。