ギルガメッシュ叙事詩

2020年05月17日 | Weblog

「ギルガメッシュ叙事詩」をご存知でしょうか?

 

私の持論として、コロナ禍に覆いつくされる現在の世界を考えるときには、

人類が感染症と戦ってきた歴史を紐解くべし、と説いてきました。

で、感染症の歴史を紐解きついでに、思い出したのが「ギルガメッシュ叙事詩」。

確か、文字として残る世界最古の文学作品だったと記憶しています。

 正確な記録はわかっていませんが、古代メソポタミア文明の紀元前27世紀

(紀元前2700~2601年)ころウルク朝の伝説の王ギルガメッシュの物語です。

気の遠くなるような昔むかしのお話ですが、神と人間の交流が普通にでてくるところが

神話の域にあるんだろうとは思いながらも、”今も昔も人間の本質は変わらないのだ”

という気づきがある物語でもあります。

 内容の概略は、王の人生の起こった出来事を、友情と冒険と愛憎と幸福と欲、

極めつけは不死を求めるなど、人間心理を鋭く描いた物語のような感じですが、

切り口によっては、さまざまな示唆に富んだ話のように感じられます。

 

「都市の城壁づくり」という大事業が冒頭から結びにでてきますが、

建設資材として必要な杉の木を悪魔(?・・神だったかも)から奪う冒険物語は

=資源を得ること 

城壁建設を早期に達成するために、労働者を家族と会わせないで仕事に没頭させる

=効率性を高めること  →まあ、これは反発をくらいますが(笑)

自然界の守護人のような敵としてあらわれた者が、お互いを認め合い親友になる

=文明社会に生きる人間が自然を取り込むさま

・・・などなど、多くの示唆があったような気がします。

 

ちなみに「ギルガメッシュ叙事詩」というのは後世の人が命名したそうで、

本来の題名は「深淵を覗き見た人」。

・・・納得がいきました。

4000年以上前から人間は変わってないのかもしれませんね。

 

ということで、いま「新しい生活様式」が求められる中でも

変わらないのは人間がその時代を生きて、試行錯誤しながら時代をつくるということ。

逆に、変わったのは、確実に地球の資源は枯渇しつつあり、人口は爆発し、

情報が一瞬で飛び交う時代のなかにいるということ。

さて、現在の人類の存亡は、感染症という直接的な敵だけでなく、

ギルガメッシュが長い長い物語のなかで、経験し、悩み苦しんだように、

人類は、いままたさまざまな意味での深淵を覗かねばならないのでは、

と、感じている今日この頃です。