2023年。1年を振り返って

2023年12月31日 | Weblog

今年はブログの更新ができなかった一年でした。

せめて、最後くらいはしっかり一年の振り返りをしておこうと、掃除の手を止めてPCに向かっています。

 

振り返れば、コロナ終息気配のなかで今年はスタートしました。

今年は自分自身の選挙、4月に統一地方選挙の年でしたので、1月~3月は完全な選挙モードでした。

後援会のみなさまの手厚いご協力もあり、後援会役員さんの増強もいただき強力な後援会体制を組んでいただいて

選挙に臨みましたが、結果は無投票当選となりました。ご支援いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

これで県議5期目の当選をさせていただいたことになりますが、無投票ということは裏返せば、

現職としての信任がどの程度されているのかわからないという側面もありますので、

油断することなく気を引き締めての5期目のスタートとなりました。

 

新任期がスタートしてからの新会派では、要職を後輩たちにお願いしたものの、

会派はいくつもの危機的状況に見舞われ、また知事与党としての議会対応に追われ、

後輩たちに重責を負わせてしまったことに申しわけない気持ちがありましたが、

一方ではチームとしての対応力の養成ができたことは、会派としても、議員それぞれ政治家としても、

一定の成長ができたのでは、とも感じています。私自身も反省と勉強の一年でありましたが、

ポジティブに考えようと思っています。

来年も予断を許さない議会対応であることは変わりありませんので、

より一層気を引き締めてことにあたってゆく所存です。

また、浜松での県営球場建設推進のために就任した建設委員長としての業務は、

天地人さまざまなお力添えもあり、大胆かつ丁寧に進めることができたと思っています。

こちらも2月議会が勝負になってくると思いますので、しっかり取り組んでゆきたいと思っています。

 

コロナ禍の明けた後援会活動、地元での政務調査活動は、コロナ前の多忙さが戻ってきました。

これでこそ、「歩く、話すあべたく」というキャッチフレーズを持つ、私らしさを発揮できると

一年通して西に東に縦横無尽飛び回ってきた気がします。

後援会活動は毎月のように各種行事を正副会長、幹事長、事務局長と事務局団のみなさまが

企画をしていただき忙しかったですが、本当に充実した一年の活動を取り戻せたと感謝しております。

みなさまには心からの御礼を申し上げたいと思います。

そして「縁の下の力持ち」となってくださった、事務所スタッフさんや事務局団のみなさまには

ただただ感謝、感謝です。ほんとうにありがとうございました。

 

コロナ禍の移動制限などがなくなったことで、フットワークよく仕事ができたと思っていますが、

ことし特に印象に残っているのは、南アルプス登山調査と建設委員会の県内視察および北海道視察です。

南アルプスは、荒川三山、最高峰は3141mの悪沢岳(東岳)に登ったのですが、

途中リニアの残土置き場に悪影響をおよぼす危険性を指摘されている千枚崩れや

県管理の山小屋の状況、登山道の整備状況、高山植物やライチョウなどの動植物の生態状況などを

チェックしながらの登山でしたが、7年ぶりの本格登山でしたので不安もあり、かなり身体をつくってから臨みました。

登山は順調でしたが、登山靴が登山開始早々壊れるというアクシデントに見舞われ、前途多難でしたが

なんとか靴をテーピングでぐるぐる巻きにしてしのぎ、そのせいで最後変なところの筋肉の硬直に見舞われましたが

同行者のフォローもあって無事下山することができました。

しっかりと来年度以降の南アルプス行政等に「現場を見た強み」で活かしてゆきたいと思っています。

建設委員会の視察は委員長である私が主導するので、自画自賛するようで心苦しいのですが、

いずれも相当濃密な視察ができました。

静岡大学浜松キャンパスにある「土木情報学研究所」では地元にこれだけの知の集積があることに驚きと誇り、

そして、産官学が連携してこそ静岡県の土木建設の底上げができてゆくと確信できました。

新年度さらに積極的に取り組んでゆきます。

北海道では、會澤高圧コンクリート社のバクテリアを使った「自己修復するコンクリート」など

土木系ものづくりの世界での先進性を知り、これをきっかけにさまざまな可能性を探ることとなりましたし、

エスコンフィールド、北広島市ではこのプロジェクトの仕掛け人である、日本ハムファイターズの前沢さん、

北広島市の川村さんから直接お話をお伺いすることができたのは、「球場を中心としたまちづくり」を志向する上で、

大きな財産となりました。

 

また振り返ると、今年はとくに素晴らしい出会いが多かった一年であったと感じています。

「出会いは人生を変える」と言いますが、わたしたち政治家の場合は自分自身のことではなく、

その責務を果たすべきミッションに対してこの「出会い」を活かさねばならないと思ってきましたが、

今年は特にそれを実感し、体現できるような「出会い」に恵まれた気がします。

すでにお力を借りて各種のミッションに取り組み始めてはいますが、来年も引き続きお力をお借りしつつ、

あこがれのふじのくにづくりに全力を尽くしてゆきたいと思っています。

 

この一年を、短くまとめようとすることなど無理ではありますが、

振り返ると本当に濃密な一年であったと感じています。

2023年に阿部卓也とかかわってくださったみなさまに、

あらためてこころからの感謝を申し上げ、御礼とさせていただきます。

 

みなさま、どうそよいお年をお迎えくださいませ。

 

 


森田実先生を悼む

2023年02月09日 | Weblog

政治評論家の森田実先生ご逝去の報に接し、心からのお悔やみを申し上げご冥福をお祈りいたします。

 

森田先生には、私がお仕えしていた熊谷弘先生が大変ご懇意にされておられたことで、

秘書時代の若い私にまで、たびたびご薫陶をいただきました。

その後私自身が政治家となってからも、ご厚意によりご指導をいただいてまいりました。

 

森田先生は、常に日本の政治のありかたに危機感をお持ちになられ、

世界のなかでの日本を考える大局観についてご教示いただきました。

また、一方で市民目線のものの見方を貫かれ、地方政治の大切さをよくご理解していただいており、

伊東市のご出身というご縁もあって、静岡県政にもついてもたびたびお気づきのことなど

ご指導をいただいておりました。

『もはや地方からこの国の政治を変えるしかない』

『あなたは筋の通った、骨のある政治家にならねばならぬ』

と、最後にお目にかかった際にご教示をいただいたことが、昨日のことにように思い出されます。

しっかりとご遺訓を胸に刻み、さらなる精進をお誓いしたいと思います。

 

あるべき日本政治の姿を語ることのできる巨星がまたおひとり去られたことに、

あらためて尊敬と敬意を表し、惜別の念深く、重ねてご冥福をお祈り申し上げます。

 


日常が戻ってきた

2023年01月22日 | Weblog

コロナ禍でこの2年間、いや3年になろうとしてるのでしょうか、

その間、我々議員の日常業務も様変わりしていました。

全員が全員このような日常業務ではないかもしれませんが、多くは地域の各種行事にお伺いして

そこでのさまざまな会話から、地域課題を知って改善に努めたり、各種陳情要望をいただいたり、

逆にこちらからさまざまなご提案を申し上げて、一緒になって地域振興やくらしのなかでの利便性向上など

に努めてきたのが、政治家の仕事であり、日常でありました。

それは極端に言うと24時間体制で、現在のワークライフバランスという思想からはほど遠いものでもありますが・・。

それが、このところようやく日常が戻ってきた気がします。個人的には大歓迎です!

今日も朝から分刻みで各種行事に参加したり、陳情の現場を見に行って直接お話したりと、

以前の日曜日の風景が戻ってきました。

人によっては、日曜日は休みたいというかたもいるのかもしれませんが、私はこういう政治家の日常が大好きです。

「ワーカーホリックだ」と言われるかもしれませんが、政治家とは命がけでやるものだ、と恩師である

熊谷弘先生から教えられ、それに納得し、「政治はミッションである」という信条で取り組んでいるだけに、

私にとっては嬉しい日常の復活です。

 

ただ、健康には留意しないとやるべきミッションもできなくなってしましますので、

年齢と身体と相談しながら(笑)精力的に仕事に取り組みたいと思っています。


NY首相辞任に思う

2023年01月21日 | Weblog

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が辞任を表明されました。

2017年に37才で同国初の女性首相に就任後、現職首相として出産と育児休暇をとるなど

女性が妊娠や出産をしても国家のトップを務められることを実証されてきただけに

ダイバーシティ時代の政治を切り拓くパイオニアのお一人として尊敬の念をもって見ていました。

ゆえに今回の辞任は残念ではあります。

また、辞任のコメントが『国を率いるための余力が底を突いた』というものであっただけに、

一部ではまたぞろ「やはり女性では無理だ」という見方をされるかたもあられるかもしれませんが、

私はそうは思ってはいません。

彼女の辞任のコメントにはこういう言葉もありました。

『自分がこのまま続けるために必要なものを探したが、見つからなかったので、

このまま続けるのはニュジーランドのためにはならないから』という言葉です。

私は、『政治はミッションである。ミッションがないのに惰性でやるべきことではない。

ミッションがないのであれば、ミッションのある人間と交代すべきだ』と言ってきました。

まさに今回の彼女の辞任に際しての心中はそうであったのでは、と推察しています。

ゆえに、またきっとミッションをみつけたときには立ち上がってそのミッションの遂行のために

動き出すのだろうと、楽しみにしているのです。

コロナのパンデミックのなかの国の舵取りは困難であったと思います。

人間休養も必要ですから、良いご判断ではと感じています。

拍手をもって退陣を見送りたいと思います。

 

最後に、ぜひみなさまにお願いしたいのは、

「女性だから無理」とか「○○だからダメ」というような単眼的な評価はしないでいただきたい感じています。

政治に限らず「業務執行能力の合否」の判断をされるときは、性別や氏素姓、人種、国籍、学歴などではなく、

人間性や仕事の内容など多様な観点からぜひご評価をいただきたいと思います。

当然私も現職政治家である以上、常に業績評価をいただいているという緊張感のなかで毎日を過ごしています。

より一層の努力精進をしてゆく所存でおりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくおねがいいたします。

 


大寒

2023年01月20日 | Weblog

今日は大寒。

小寒から大寒までを寒中といって、暦のうえではほんとうは一番寒い時期のはずですが

今年は少し様子が違いましたね。とくに日中は、3月からときには4月なみの暖かい日々が続いています。

しかし、このまま暖かくなるはずもなく、来週は「倍返しだ!」とばかり、大寒波がやってくる予報です・・・

寒暖の変化には気をつけましょう!

また、寒波による交通機関への影響も心配です。

県としてもできることはしっかり準備してゆかねば、と気を引き締めてゆきます!

 

コロナ対応については、政府が春には感染症法上の分類を現在の2類から5類に引き下げる見解を示しました。

個人的には概ね賛同したいとは思いますが、既存症のあられるかたや不安をお持ちのかたへの配慮は

最大限にできる体制作りを同時並行でしてから引き下げをおこなわないとならないと感じています。

地方の現場の声をしっかり国にも伝えてその日に備えたいと思います。


韓国政府の大人な対応

2023年01月13日 | Weblog

元徴用工問題について、韓国政府が独自の解決案を示しました。

元徴用工問題についての詳しい説明は報道に譲ることにしますが、今回の解決案はいままでの韓国政府とはちがう

「大人な対応」だと個人的には評価したいと思っています。

いままでは、独りよがりな主張を繰り返すことが多いお国柄でしたが、今回は国際法に照らし、

また緊迫する北朝鮮情勢を鑑み、また、まだ数多くある訴訟への今後の対応なども考えて

今回の解決案を示したのかもしれません。どちらにしろ、韓国国内では賛否両論ぶつありあうものと思いますので、

日本とすれば静観しておくべきでしょうが、もし韓国政府がこの案でまとめてきたときはしっかりとした対応で

即応できないとまた泥沼化するので、ぜひ世論を喚起し、日本のスタンスをある程度決めておいていただきたいものです。

 

日韓関係は、今後地政学上も非常に重要性を増すモノと痛感していますので、

日本政府もしっかりと対応していただきますようお願いします。

国民的には、近現代史と地政学をしっかりと復習して、新しい日韓関係の構築ができるように努めなければなりませんね。

 


総理カナダ訪問

2023年01月12日 | Weblog

岸田総理が各国を歴訪中ですね。

混迷を深める世界情勢の中で、友好国を訪問しさまざまな角度から友好や連携を深めることは非常に重要であり、

タイムリーな訪問であると感じています。

 

さて、本日岸田総理はカナダ訪問中ですが、トルドー首相と会談機材安全保障分野での連携確認などをされたようですが、

実はカナダは学ぶことがとても多い国なのです。

まずはカナダがいまも移民を受け入れ続ける移民国家であること。

しかしその割には差別や分断が少ない国として知られています。

それは他民族だけでなく多文化主義も取り入れているからであると私は考えています。

また、日本同様アメリカとの相互依存や関係性の深さはあるものの、

時にアメリカに対しても毅然とした態度をとってきている、独立の気風を持った国柄でもあります。

そして、憲法改正を柔軟にしている国でもあります。

1867年法のときに17回。1982年の新憲法になってからも2回。

これは自由闊達な議論と相互尊重ができてこその賜物でしょうか。

・・・とりあげたらキリがないほどカナダには学ぶべきコトが実は多いのです。

ぜひアメリカや欧州ばかりでなく、カナダにもご注目を!

 

岸田総理もそんな学びをしていきていただいてると、信じたいものです。

 


ニッポンのかたちを考える⑤教育

2023年01月11日 | Weblog

 近年教育の混乱ぶりは目に余るものがあります。

 

「部活動を地域に委ねる」なんて、各種スポーツクラブが林立する都市部とちがい地方には受け皿になる組織や人材はいない。

「インクルーシブ教育」。確かにそうであるべきだしそうしたい。でも、現場にはそれを実践できる教育人材が圧倒的に不足している。

また、発達障害児は全国で激増しており、発達障害児に対する幼児期からの対応さえしっかりできればインクルーシブにできるのに

肝心の幼児期の対応支援が国としてひどすぎるので、現場が疲弊する。地方自治体におまかせ丸投げでは、あまりにも酷である。

ほかにも「ゆとり教育からの転換」「プログラミング義務化」などなど、理想はよくわかるのだけれど、

なんとなく”付け焼き刃”な気がするのは私だけではないはずです。

 

本来なら、教育こそじっくり腰をすえて、ひとりの人間のライフサイクルをしっかりにらみながら、土台となる基礎をしっかり造り、

そのうえに筋の通った教育方針を貫き、さらには、さまざまな可能性への挑戦への選択肢をちりばめる。

そうでなくてはならないはずです。

なのに、「○○国のこれがよい」「△△のあれがよい」「××は世界みんながやっているみたいなのでとりいれよう」などと

一部だけを切り取ってきて、切り貼りするようにしてしまうので、ニッポンの教育に一本の筋というか背骨というか、

「軸」ができないようになってしまっていると思います。

 

本来、日本には「道を究める」という精神性の高い教育の規範がありました。

「武道」「華道」「茶道」・・・・などなど。

それは世界に誇るべき教育であるはずなのに、なぜか軽んじられているように感じます。

世界基準も大切ですが、まずは日本人の土台となる基礎部分がどこになのか、

ということをきちんと整理してから教育改革なるものをすべきではないでしょうか。

 

「私が経済産業大臣であったら」と先日書きましたが、不遜ながら文部科学大臣もぜひやらせていただきたく存じます。

少なくともいまよりは、もっとしっかりと日本の国風にそった土台と基礎をつくり、

もっと現場目線で人材育成や末端組織づくりからきちんと準備できそうな気がします。

 

教育は誰しも人生の中で関わりをもつ社会づくりの重要なパーツです。

もっと国民参加で議論したら、相当よい意見が飛び交う豊潤な議論がなされ、よりより教育方針ができると感じています。

私は、そんな教育議論ができる国にしたいと考えています。

まずは、静岡県、ふじのくにから始めます!


ウルフムーン

2023年01月06日 | Weblog

今日はシリーズ化している「このくにのカタチ」をひとやすみして、

美しいこの国の風景についてお伝えしたいと思います。

 

1月の満月は「ウルフムーン」。

あす1月7日午前8時過ぎが満月です。 

今夜は満月前日ということになりますが、現在23時45分、すでに99.1%の月でほぼ満月状態です。

都会の街灯のなかに暮らしているかたにはおわかりにならないかもしれませんが、

我が家のある周辺は灯はポツンとたたずむ街灯と散在する個人宅の灯しかありませんので、月明かりの明るさを実感できます。

私はこんな月明かりの夜散歩するのが大好きで、今夜も仕事から帰宅した23時すぎに犬をつれて散歩をしてきました。

まちあかりのない田舎では、月明かりの明るさは際立っており、人影がはっきり見えるのはもちろん、

2、3㎞先くらいまでの風景は輪郭はしっかりわかりますし、おぼろげでもかなり詳細な情景をみることができます。

静寂のなかの月明かりに浮かぶ風景。これじつはすばらしい絶景です。

田舎暮らしの本当の豊かさを、こんな瞬間にも感じます。

田舎の月は想像を超える美しさですよー

都市部から田舎に移住をお考えのかたには、ぜひ満月の夜の美しさも味わっていただくと、

田舎の魅力をより感じていただけると思います。


ニッポンのかたちを考える④

2023年01月05日 | Weblog

今日は「防衛」の問題について考えたいと思います。

この問題は、この国のカタチを考えるなかで実は最重要かもしれません。

 

近現代の日本政治に詳しいかたならば「吉田ドクトリン」のことはご存じかと思います。

これは、第2次世界大戦後の政権を担った吉田茂首相によって打ち出された、

「日本の安全保障の多くをアメリカに担ってもらい、日本は経済成長と経済発展最優先する」という国家方針です。

「国としてのプライドを捨てた」とか「対米従属」だという批判はあったものの、国防費に国家予算を割く必然性が薄れ、

経済政策に傾注できたことで、日本はその後の高度成長期を迎えたことは紛れもない事実です。

その後冷戦終結までは、日本政府は、なんだかんだ言いながらも、

「平和憲法とアメリカによる安全保障のもとでの経済成長をめざす」という国家方針で

このくにのカタチを考えればよかったことも紛れなき事実です。

政権担当者にとって楽な時代でしたね。

でも、いま時代は変わっています。劇的にしかも複雑に。

 

冷戦終結後、事態が変わり始めます。

2001年9月11日のアルカイダのテロ攻撃は、アメリカを中心とした世界秩序に対する攻撃であり、

ここにアメリカを中心とした欧米的価値観とイスラム主義の対立が表面化、先鋭化し、

さらには2008年のリーマン・ショックによって、市場中心主義とアメリカによる世界秩序そのものが

揺さぶられ始めた、いや崩壊し始めたと私は考えています。

 さらには、冷戦の敗者であったはずの共産主義国家である中国がアメリカの地位を脅かす大国となったことで、

アメリカ自体が混乱し始めて、今日のアメリカ国内の分裂につながっているのだ、とも考えています。

現在の不安定化した世界秩序のなかで世界は危機の時代に突入しています。

もはや日本が信奉してきた「吉田ドクトリン」は空虚な方針となり、有名無実化し、

戦後はじめて日本は自国の防衛を真剣に考えねばならなくなったのです。

 

 2022年は日本政治にとって大転換であったと後世の教科書に書かれるかもしれません。

昨年12月16日、政府は安保三文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を改定し、

「敵基地攻撃能力(反撃能力)」を明記しました。字句に対する法解釈解説は諸議論があるので、

私なりの解釈だと「存立危機事態(敵国基地が日本を攻撃する準備を始めた)と認定すれば集団的自衛権を行使できる」

ということですが、これ冷静に現実的に考えて、現状の日本の能力で大丈夫なのか、という不安を覚えます。

 

まず、この改定で世界が日本をどうみているかというと、

乱暴な言い方をすれば「日本は存立危機事態になれば米軍と共同作戦(軍事行動)をすることになった」ということであり、

どこであれ日本の敵国となる国からすれば、

「これで、米軍基地と同時に緒戦から日本の自衛隊基地も攻撃対象にしなければならないな」ということになります。

エーワックスが配備されている浜松基地は間違いなく最初の攻撃対象確定的です。

 

また、私が問題視する「日本の能力」というのは、自衛隊には悲しいかな独自の情報収集能力がないということです。

専守防衛に徹してきた我が国は各国の軍事情報をスパイ衛星などを使って入手することはできませんでしたから、

当然といえば当然です。そうすると、存立危機事態と認定し集団的自衛権を発動するとき、

その判断材料がすべて米軍情報だとしたら、はたしてそれで本当に大丈夫か、と警鐘を鳴らしておきたいと思います。

かつて、アメリカブッシュ政権は「イラクに大量破壊兵器がある」としてイラク戦争を始めましたが、

結局大量破壊兵器はなかった。こんなことが万が一繰り返されたら、第3次世界大戦になりかねない。

しかも今度は地球を滅亡させかねないレベルの兵器をもった国々の戦争となることを考えたら、

ゾッとするどころか、人類滅亡の危機的戦慄を覚えます。

 

岸田総理は昨年12月13日の自民党総務会で『防衛費増額は国民が自らの責任として背負うべき』という趣旨の

発言をして、批判されると『我々が自らの責任として』と言い換えて批判逃れをしましたが、

私からすれば、ちがうでしょと思って聞いてました。

ちゃんと、この一連の方針変更ででどういう事態になってゆくのか解説し、

日本が防衛力として備えねばならないことはこういうことが必要です、

また、そのためにはこのくらいのお金と人材育成が必要です、そして国民のみなさまには

今現在の世界の危機的状況をご認識いただき、日本がどうあるべきか、日本の防衛をどうすべきか、

いっしょに考え、議論していただきたい。場合によってはご負担もご理解いただきたい。

・・・と、はっきりなぜ言えないのか。

 

昨日も書いたように政府が「目先の選挙を優先する」的な感覚で政治をしているのであれば、

本当に日本は危ないと痛感しています。

世間には、「防衛力を整備するべき」という趣旨のことに言及すると、すぐ「右翼だ」というような

レッテル張りをするかたがたもいらっしゃるようですが、もはや現在の日本は

「右翼だ左翼だ」と国内で言い合っているヒマはないんですよ、と申し上げたいと思います。

私はかつて内閣官房長官秘書として官邸で緊迫する国際情勢と隣り合って仕事をしてきただけに、

国家のありようについてものすごく気になります。

生意気な書きぶりに映るかもしれませんが、

それだけ皮膚感覚的に現在の日本の防衛問題には深刻な心配があるということを感じていることだけは、

お伝えしておきたいと思っています。