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コラム「風知草」ー超監視社会ー特別編集委員山田孝男

2017-07-03 10:17:50 | 憲法動向

 これから<監視社会>になるのではない。既に<超監視社会>である。
 専門家によれば、それがンターネット時代のグローバルな現実だ。
 監視に気づくこと、理解して対策を立てることが重要-と情報セキュリティ
のプロは言う。
    ◇
 街角にあふれる無数の防犯・監視カメラは、<超監視社会>の構造の一部に過ない。監視が増殖する最大の理由は、コンピュータの進化にある。何もかも電脳化した社会システムのものにある。
 昨年末、邦訳が出た「超監視社会」 (ブルース・シユナイアー、草思社)によれば、ウクライナ政府は反大統領デモが激化した2014年某日、首都キエフの某所にいた携帯電話の所有者に一斉通知した。    「親愛なる利用者殿。貴殿は騒乱の参拙者として登録されました……」
 携帯電話は、電話やメールで交信する必要上、基地局と常時、やりとりしている。政府は、携帯電話会社の協力さえあれば、データを捕捉して端末を特定、移動を追跡できる。

  ◇

 元NSA(米国家安全保障陣局)職員、スノーデンの暴露(13年)によれば、NSAは「インターネットや
電話を含む通膚回線を世界中で傍受し、膨大なデータを蓄積している。
 マイクロソフト、グーグル、アップル、フェイスブックなどのネット企業はNSAに協力した。ネット上の暗号化された通信ではなく、各企業が持っている生のデータを提供した。
 スノーデンの暴露で表向きは<官民連携監視>が断たれたと見えるが、NSAが傍受をやめたわけではない。中国、ロシアの実情は不明だが、両国はもともと傍受「先進国」で、先端技術のレベルも高い。
    ◇
 電脳化しているのは通借手段だけではない。スーパ一のレジも、新型の乗用車や冷蔵庫もコンピューターの塊だ。クレジットカードによる支払いも、高速道路のETC(自動料金収受システム)もコンピューター
に結びついており、利用者の行動は記録される。
 警察や企業がその気になれば、特定個人の行動を洗い出して追跡できるし、実際、やっている。
 長年、コンピューターのセキュリティーを研究している知人いわく、
 「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、確信をもって発信する人はいいですが、予期せぬ人間が見ているという自覚が必要。私はフェイスブックもツイッターもやりません。メールをやりとりする場合も、重要なことは本文ではなく、添付ファイルに書いて暗号化する(パスワードを入力しなければ読めないようにする)をお勧めします」
 

   ◇
 「超監視社会」いたシュナイアー(54)は米国の一コンピューターセキュリティーの権威で世界的な暗号研究者。監視の現実と暴走を活写し、新しい社会規範の確立を促す。
 政府に対しては監視活動の分権化、裁判所のチェック強化など。企業に対しては、プライバシー漏えい防止やデータの収集・利用制限の立法化など。
 いずれにせよ、既に監視されている現実に気づかなければ始まらない。
 その上で、専守防衛の日本は、他の主要国並み以上の力を注いで対外情報を集めるべきではないのか。新しい現実を踏えた議論を求めたい。  (敬称略)
   

「毎日」


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