@

@

共謀罪法案の強行採決に抗議する声明ー香芝九条の会

2017-06-30 09:06:17 | ネットワークニュース

共謀罪法案の強行採決に抗議する声明

 

5月15日、参議院本会議において共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案) が強行採決され、成立した。香芝九条の会は、民主主義原理を無視した与党・日本維新の会の参議院での強行採決を糾弾する。

 民主主義国家においては、より広い国民の意思を反映させるとともに、多数派による少数派の抑圧を防止し、また、よりよい方針の構築にもつなげるため、多数派だけではなく少数派の意見も取り入れ議論を積み重ねることが本来の姿である。ところが、共謀罪法案の国会における審議・採決過程は、少数派の意見を全く無視し、多数派がただ採決に猛進したものであった。衆参の法務委員会での審議では、政府は野党議員の質問にまともに答える姿勢を放棄し、的の外れた回答を延々と繰り返し、「一般市民は捜査の対象にもならない」など根拠のない答弁を機械的に繰り返した。また、担当大臣が法案の内容をそもそも把握しておらず答弁できないなど常識的な質疑応答の体すらなしていないものであった。にもかかわらず、衆議院法務委員会では、与党と維新の党が形式的な審議時間が経過したことのみをもって審議を打ち切り、強行採決をし、参議院においては、法務委員会での採決すら行わず、「中間報告」(国会法第56条の3)という緊急手段を用いて本会議を開催して採決を強行した。このように、常識的な審議もせずに少数派を全く無視して採決を強行したのは、もはや民主主義国家の体をなしているとは言えず、独裁国家そのものである。

 

 このような民主主義原理を否定する国会のあり方は、特定秘密保護法、安全保障関連法制など安倍政権が「戦争をする国」にするために進めてきた一連の立法過程において繰り返し現れてきたものであったが、今回の共謀罪法案の審議では、一層ひどい形で繰り返されたと言わざるを得ない。とりわけ、安倍政権が「森友疑惑」「加計疑惑」の責任追及を逃れるために、会期内での法案成立を最優先して強行採決を行ったことは、政治を私物化するものであり、絶対に容認できるものではない。

 

 共謀罪法案は、これまでの声明・決議で述べたとおり、憲法19条、21 条、31条に違反する法案であり、行為主義原理・罪刑法定主義という我が国の刑法体系における根本原理を破壊し、強力な萎縮的効果の下で国民の自由な行動を大きく制限するものである。

 政府答弁からも「一般人」が共謀罪の対象になることは明らかあり、様々な市民の運動を抑圧するために濫用されるおそれが大きい。また、処罰対象が前倒しされることで、捜査機関の権限が拡大し、これまで以上に監視社会が深刻化することも明らかである。さらに、政府が言うように、テロ対策のための国連越境組織犯罪防止条約の締結のためには共謀罪の制定は不要であって、その必要性すらなかったものである。

共謀罪法案に対しては、国連人権理事会プライバシーに関する権利の特別報告者であるジョセフ・カナタッチ氏が、安倍首相宛に「法律の広範な適用範囲によって、プライバシー権に関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」と指摘する書簡が寄せられた。しかし、政府は、これに誠実に答えるどころか、「抗議」を行い、結局、回答を行う前に強行成立させた。このことは、わが国の国際社会における信頼を著しく損なうものにほかならない。

 香芝九条の会は、憲法違反である共謀罪を民主主義原理を無視して強行採決・成

立させたことに強く抗議する。

 

 

2017年6月20日               香芝九条の会世話人会


最新の画像もっと見る

コメントを投稿