「L’ 英雄」は、富士河口湖町で開催されるL’Eroica公認サイクルイベントです。
「L’ 英雄」は、かつて未舗装路をその過酷さをものともせず、情熱を持って走り続けた先人の「英雄」たちに敬意を表して行われる、イタリアのヴィンテージ自転車イベント「L'Eroica(エロイカ)」オフィシャル姉妹イベントです。
タイムを競わない、古くて新しいスタイルの自転車イベントとして2013年第1回が開催され、100名を超える日本人・イタリア人サイクリストが、新緑の富士山や富士五湖、フードを楽しみながら、50km/100kmのコースを走りました。
2014年の第2回では日本独自の企画としてトレジャーライドをあわせて開催。西湖・河口湖の景観と地元グルメを楽しみながら約30kmを走りました。
今年は精進湖・本栖湖の湖畔ライドが楽しめる約25kmのショートライドが加わり、ロングライド(約100km)・ミドルライド(約50km)・トレジャーライド(約30km)とあわせて4コースを設定します。
イタリア、日本、イギリス、カリフォルニア、スペインの世界5カ国に拡がるL'Eroicaの素晴らしい雰囲気と富士山・富士五湖の景観を体力・経験にあわせて楽しめます。
L’Eroica(エロイカ)の始まり
L’Eroicaは、1997年に92名の参加者を集めて第一回目を開催しました。
しかし、それに先立ち1995年にL’Eroicaの発案者であるジャンカルロ・ブロッチが友人と一緒に20数名でシエナ近郊の砂利道(イタリア語で「ストラーダビアンカ」、白い道の意。)をマウンテンバイクとロードバイクでゆっくりと走ったのが始まりです。
イタリアのトスカーナ地方は丘陵が広がる世界で最も美しい田園風景を持っていると言われ、世界中の人々が憧れる地でもあります。
ジャンカルロは、この美しい田園風景になくてはならないのが「ストラーダ ビアンカ」であるとの認識を強く持っていました。
「年々消えていく美しい白い道を将来に残すために、何かしなければならない」という危機感を持って考えられたのが「L’Eroica」だったのです。
未舗装路とヴィンテージ自転車
サイクリストで、自転車をこよなく愛するジャンカルロのアイディアは、「ストラーダ ビアンカ」とヴィンテージ自転車を組み合わせることでした。
1950年代のイタリアは、まだ未舗装路が多く残され、美しい田園風景が各地に残されていました。
そして、自転車乗りたちは過酷でも美しいストラーダビアンカを走り続け、イタリアの自転車史上の数々の伝説を築いていったのです。
そこで、その伝説上の「英雄」たちにちなみ、ストラーダビアンカをヴィンテージ自転車で走るミーティングが「L’Eroica(エロイカ)=英雄」と名付けられました。
あの時をもう一度…
未舗装路をヴィンテージ自転車で走るという「L’Eroica」はもう一つの遊びを提供してくれることになります。
ヴィンテージ自転車を走れるようにレストアしてエロイカで完走すると言う目的は、自転車と人間の深い関係を構築することです。
これ以上の乗り物との付き合い方は今までにあったでしょうか。
ガレージの隅に忘れ去られたヴィンテージ自転車は、もう一度チャンスを与えられ、レストアする時間は自転車ファンには至福の時間となり、時間をかけて完成した古い友人は、過去の栄光の時と同じくオーナーとともに「ストラーダ ビアンカ」に挑戦するのです。
L’Eroica(エロイカ)が気づかせてくれるもの
L’Eroicaは今や多くのファンを生み、イベントとして成功しただけではありません。
L’Eroicaの長年の取り組みが認められ、シエナ県は「ストラーダ ビアンカ」の保全を公式に行うようになりました。
さらに、L’Eroicaで走られるストラーダビアンカのコースは常設コースとして整備され、標識が建てられており、自転車愛好家たちがいつでもL’Eroicaのすばらしさを味わえるようになっています。
L’Eroicaは見事に未舗装路がシエナ県の観光資源として重要な価値を持っていることを証明して見せました。
誇り高きエロイカの「ストラーダ ビアンカ」はシエナの美しい田園風景からこれからも消えることはなく、イタリアの伝説は受け継がれていくのです。
Note:「ストラーダ ビアンカ」とは「白い道」の意味でイタリアでは砂利道、つまり未舗装路のことです。
イタリアのほとんどは石灰質の地層なので、地面は乾燥すると白くなるためです。
一般的に「ビアンカ(白)」は未舗装路、反対に「ネーラ(黒)」の道はアスファルト道路をさします。