(1966/ウィリアム・ワイラー監督/オードリー・ヘプバーン、ピーター・オトゥール、イーライ・ウォラック、ヒュー・グリフィス、シャルル・ボワイエ/126分)
オードリーの主演したワイラー作品は3本あるが、3本目のコチラはパリを舞台にしたロマンチックでちょっぴりスリルも楽しめる正に”おしゃれ”な泥棒映画だ。「ローマの休日」から13年目。37歳のオードリーは、ジバンシーのドレスに身を包み、お色気も感じさせる大人の女性になっておりました。ホントに美しい!
オードリーは父親のために彫像を盗みに美術館に忍び込む女性で、オトゥールは成り行きでそれを手伝う青年に扮している。二人が美術館の狭い小部屋に隠れるシーンがあって、ある評論家は『体型の細い二人が共演したのは、このシーンがあったからではないか・・・』何てことを書いてました。
“アラビアのロレンス”オトゥールも、ここでは珍しく軽~い感じを出しています。その他の顔ぶれを見ると何か文芸作品でも出来たのかと思いますが、リッチな雰囲気もあるソフィスティケイテッド・コメディであります。特に美術館の警備員が面白い。
脚本を書いたのが、先日<どんでん返しが面白かったミステリー作品あれこれ>で最初に紹介した、ビリー・ワイルダーの「情婦」をワイルダーと共作したハリー・カーニッツ。今回はなにも賞に絡んでいないようですが、これも面白い本でした。アメリカン・ニューシネマが台頭する直前ですから、インパクトに欠けていたのかも知れませんな。【原題:HOW TO STEAL A MILLION 】
前回はTV洋画劇場の吹き替え版。今回は美しくリマスター(多分)されたDVDの鑑賞でした。
ニコル(ヘプバーン)の父シャルル・ボネ(グリフィス)は、ゴッホやセザンヌなどが得意な贋作画家。贋絵を描いては自宅にコレクションとして飾り、欲しい人が出てきたら売りつける。時にはオークションにも出したりする。
パリの美術館がボネ家に伝わるチェリ-ニのビーナス像を展示したいと申し出てきて、実はソレはシャルルの亡父が作った偽物なんだが、売るわけではないからとシャルルは快く承諾した。
或る夜、父親や執事が出かけている時にボネ家に泥棒が入る。サイモン(オトゥール)というその男は、ニコルも出かけていると思って侵入したんだが、不審な物音に気が付いたニコルの拳銃の弾が当たってしまい、行きがかり上サイモンをホテル迄送ることになった。泥棒のくせにスポーツカーを乗り回し、リッツに泊まっているという男だった。
チェリー二のビーナス像に保険をかけると美術館から担当の者が来る。保険料は美術館持ちだというのでシャルルはサインをするが、保険会社に出すために、形式的ではあるが彫像の鑑定をすると言う。絵画の鑑定は難しいが、彫刻の鑑定は科学的な手法が進んでおり、一発で見破られるらしい。それを知っているシャルルとニコルはあわてふためく。
監獄に入らなければいけないと落ち込む父親を見て、ニコルは先日のサイモンを思い出す。彼にビーナス像を盗んでもらおう。自分の家のモノを盗めと言うニコルの依頼に最初は驚くが、『訳は言えないけれど、真剣なの』という彼女の為にひと肌脱ぐことにするサイモンであった。
二人で美術館に下見に行くと、100万ドルの価値があるといわれるビーナス像は最新式の光センサーにガードされていてとても盗むことは出来ないと思われるのだったが・・・。
▼(ネタバレ注意)
盗む方法は書きますまい。道具にはブーメランも入っているとだけ言っておきましょうか。
二人が美術館の小部屋(=物置)に隠れた後に、外から鍵をかけられたのをどう外すかというシーンも面白いし、コメディでありながらヒヤヒヤさせてもくれます。
小部屋の中でお互いの恋心を認めあう二人。ビーナス像を手に入れた後、物置から出ていく時に、ニコルが物置の中を愛おしそうに振り返るのがオードリーらしい可愛さでありました。
彫像を盗んだ後、美術館から抜け出るまでが本当は難しいんだろうが、その辺は詳しく描いてない。ストーリーとしては、ちょっと弱いところでしたな。
▲(解除)
サイモンが最初にボネ家に侵入する時に、ニコルがベッドで読んでいた本がヒチコックだったり、「ローマの休日」ではスクーターで暴走したオードリーが、この作品ではスポーツカーで危なっかしい運転をしたりと、ワイラーの茶目っ気も感じました。
尚、パリが舞台でニコルもフランス娘の役ですが、台詞は全て英語です。父親を『パパ』と呼ぶ時はフランス語らしい雰囲気を出していましたが。
それと、音楽はジョン・ウィリアムズです。SFやパニック物とは違う音ですが、センスの確かさを感じましたな。
オードリーの主演したワイラー作品は3本あるが、3本目のコチラはパリを舞台にしたロマンチックでちょっぴりスリルも楽しめる正に”おしゃれ”な泥棒映画だ。「ローマの休日」から13年目。37歳のオードリーは、ジバンシーのドレスに身を包み、お色気も感じさせる大人の女性になっておりました。ホントに美しい!
オードリーは父親のために彫像を盗みに美術館に忍び込む女性で、オトゥールは成り行きでそれを手伝う青年に扮している。二人が美術館の狭い小部屋に隠れるシーンがあって、ある評論家は『体型の細い二人が共演したのは、このシーンがあったからではないか・・・』何てことを書いてました。
“アラビアのロレンス”オトゥールも、ここでは珍しく軽~い感じを出しています。その他の顔ぶれを見ると何か文芸作品でも出来たのかと思いますが、リッチな雰囲気もあるソフィスティケイテッド・コメディであります。特に美術館の警備員が面白い。
脚本を書いたのが、先日<どんでん返しが面白かったミステリー作品あれこれ>で最初に紹介した、ビリー・ワイルダーの「情婦」をワイルダーと共作したハリー・カーニッツ。今回はなにも賞に絡んでいないようですが、これも面白い本でした。アメリカン・ニューシネマが台頭する直前ですから、インパクトに欠けていたのかも知れませんな。【原題:HOW TO STEAL A MILLION 】
前回はTV洋画劇場の吹き替え版。今回は美しくリマスター(多分)されたDVDの鑑賞でした。
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ニコル(ヘプバーン)の父シャルル・ボネ(グリフィス)は、ゴッホやセザンヌなどが得意な贋作画家。贋絵を描いては自宅にコレクションとして飾り、欲しい人が出てきたら売りつける。時にはオークションにも出したりする。
パリの美術館がボネ家に伝わるチェリ-ニのビーナス像を展示したいと申し出てきて、実はソレはシャルルの亡父が作った偽物なんだが、売るわけではないからとシャルルは快く承諾した。
或る夜、父親や執事が出かけている時にボネ家に泥棒が入る。サイモン(オトゥール)というその男は、ニコルも出かけていると思って侵入したんだが、不審な物音に気が付いたニコルの拳銃の弾が当たってしまい、行きがかり上サイモンをホテル迄送ることになった。泥棒のくせにスポーツカーを乗り回し、リッツに泊まっているという男だった。
チェリー二のビーナス像に保険をかけると美術館から担当の者が来る。保険料は美術館持ちだというのでシャルルはサインをするが、保険会社に出すために、形式的ではあるが彫像の鑑定をすると言う。絵画の鑑定は難しいが、彫刻の鑑定は科学的な手法が進んでおり、一発で見破られるらしい。それを知っているシャルルとニコルはあわてふためく。
監獄に入らなければいけないと落ち込む父親を見て、ニコルは先日のサイモンを思い出す。彼にビーナス像を盗んでもらおう。自分の家のモノを盗めと言うニコルの依頼に最初は驚くが、『訳は言えないけれど、真剣なの』という彼女の為にひと肌脱ぐことにするサイモンであった。
二人で美術館に下見に行くと、100万ドルの価値があるといわれるビーナス像は最新式の光センサーにガードされていてとても盗むことは出来ないと思われるのだったが・・・。
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▼(ネタバレ注意)
盗む方法は書きますまい。道具にはブーメランも入っているとだけ言っておきましょうか。
二人が美術館の小部屋(=物置)に隠れた後に、外から鍵をかけられたのをどう外すかというシーンも面白いし、コメディでありながらヒヤヒヤさせてもくれます。
小部屋の中でお互いの恋心を認めあう二人。ビーナス像を手に入れた後、物置から出ていく時に、ニコルが物置の中を愛おしそうに振り返るのがオードリーらしい可愛さでありました。
彫像を盗んだ後、美術館から抜け出るまでが本当は難しいんだろうが、その辺は詳しく描いてない。ストーリーとしては、ちょっと弱いところでしたな。
▲(解除)
サイモンが最初にボネ家に侵入する時に、ニコルがベッドで読んでいた本がヒチコックだったり、「ローマの休日」ではスクーターで暴走したオードリーが、この作品ではスポーツカーで危なっかしい運転をしたりと、ワイラーの茶目っ気も感じました。
尚、パリが舞台でニコルもフランス娘の役ですが、台詞は全て英語です。父親を『パパ』と呼ぶ時はフランス語らしい雰囲気を出していましたが。
それと、音楽はジョン・ウィリアムズです。SFやパニック物とは違う音ですが、センスの確かさを感じましたな。
・お薦め度【★★★★★=オードリーファンなら、大いに見るべし!】
良さそうですね。正月休みの宿題にしよっと
ネグリジェにゴム長という珍しい格好も見せてくれますよ。
なんせ「ソフィスティケイト」なんて言葉には縁のない、東北の中学生にはかったるいだけでしたが、今見たらまた別の感想を持ちそうです。
ただ冒頭のシーンでの、クリームだかベージュだかのトルコ帽をかぶって車を運転するオードリーと、ジョン・ウィリアムスの音楽が素敵にマッチして、そこは好きでした。
>ニコルがベッドで読んでいた本がヒチコックだったり
そんな悪戯が仕掛けられてたんですか!
実は今回は、つまらなく感じはすまいかと案じておったんですが、やっぱりイイ映画でした。
タイトルバックに名画が色々と出てきたりして、絵の好きな人にもお薦め・・・かも。
どこまでも洒落っ気とおしゃれで貫き通した作品。洒落が成立するには良い呼吸が必要ですが、
オードリーは、ワイラー、ビリー・ワイルダー、スタンリー・ドーネンと呼吸の良い監督に恵まれましたね。いずれも尊敬に値する大監督です。
駄作「緑の館」と凡作「パリで一緒に」以外は繰り返し観たい作品ばかり。言っているそばから見たくなってきました。
オカピーさん。
何本か観てないのもあります。「緑の館」は流石に二度と観ようとは思いませんが(笑)。
<今回は3歳下のオトゥール
ええ!オードリーは年上だったんですか!二人は「戦争と平和」でも共演してますよね。オトゥールの方が10歳ぐらいは年上だとばかり思ってました^^;)。この作品、今まで観たオードリーの作品で3本指に入る好きな作品です。
「戦争と平和」はロシア版もオードリー版も観てないんですよ。
私も結構好きな方です♪。
この作品は、以前こちら様のバナーに貼ってありましたので気になっていました。
泥棒とはいっても、アニメの「キャッツ・アイ」みたいに美術専門の美女怪盗というわけではないんですよね。
狭苦しい小部屋でのやりとりは絶妙。いまの状況から考えると、あんな杜撰な警備アリか?とツッコミたくなるのですが、それもご愛嬌。
そしてなにより、邦題がすばらしい作品ですね。今でしたら、平気で味気なくカタカナにしてそうな気がします。
>狭苦しい小部屋でのやりとりは絶妙。
十代の頃に洋画劇場で観た時から大好きな映画です。特に、あの狭い小部屋が楽しい思い出の場所に変わる瞬間が素敵ですよね。