(1959/マイケル・ゴードン監督/ロック・ハドソン、ドリス・デイ、トニー・ランドール、セルマ・リッター/103分)
ドリス・デイといえば、「♪ケ・セラ・セラ」、「知りすぎた男」、「♪ティーチャーズ・ペット」、「カラミティ・ジェーン」、「パジャマ・ゲーム」・・・などなど、主に音楽絡みのアレコレが浮かんでくるわけですが、NHK-BSのアカデミー特集の一編で放送された今回の「夜を楽しく」も、当然音楽関連の賞かなと思いましたら、なんとこれが脚本賞の受賞作品でした。
ニューヨークの赤の他人の男女が、電話回線を共用した事から始まるラブ&コメディで、スタンリー・シャピロ、モーリス・リッチリンの共作による脚本。この二人は同年「ペティコート作戦」でも脚本賞にノミネートされたようです。
ドリス・デイが扮するのは少しいき遅れたインテリア・デザイナー。35歳の時の作品ですから、等身大の役ですね。彼女の職業からも推察できるように、当時のニューヨークは建築ラッシュだったのでしょう、電話の回線工事が間に合わずに、見ず知らずの他人が電話回線を共用することもあったようです。
一方のロック・ハドソンが扮するのはプレイボーイの作曲家。ドリスにとって電話は仕事の依頼等もあり大事なモノなのですが、作曲家は(複数の)ガール・フレンドとの他愛のない甘い囁きに使い放題で、『くだらない電話は早く切り上げて』と文句を言うドリスにも、オールドミスが他人の恋路を邪魔していると茶化したりする。
そんな二人は、顔も知らない内から犬猿の仲。ところが、ハドソンの友人で資産家の男がドリスのお得意さんで、しかも彼女にプロポーズをしているという設定。友人はショーのプロデュースもしていて、ハドソンにショーに使う曲作りを頼んでいるんだが、打ち合わせの最中に、資産家の意中の女性が電話を共用している彼女だと感づいた作曲家は、友人が惚れたという女性に一目逢いたいと思うようになるという次第。
偶然、バーで知り合う二人。作曲家は彼女を知っているが、彼女は相手が例の電話回線を共用しているイヤミな男だとは知らない。友人が惚れるのが納得の魅力的な女。プレイボーイの作曲家は、自分のことを打ち明けようかどうしようかと迷いながらも、偽名を使い、いつしか彼女をモノにしようとあの手この手を仕掛けるのだが・・・というお話。
原題が【PILLOW TALK】。“PILLOW”は枕で、TALKとくっつくと、<寝室の会話、寝物語、睦言>なんていう意味になり、その名の通りちょっぴりアダルトな雰囲気のコメディであります。オープニングのタイトルロールで、ドリスが唄う「♪PILLOW TALK」が流れてきますが、字幕ではまんま、独身女性がベッドで枕相手に独り言を呟いているという嘆きの意味も入っているようでした。
ロック・ハドソンとドリス・デイのコンビは3作あり、これが最初の作品だそうです。
やっとこさ理想的な男性に巡り会ったと思っている女性と、とりあえずはモノにしようと考えている男性の心理戦は、心の声がモノローグで流れるという、安直ですがコメディとしては分かり易い手法でも描かれます。プレイボーイの手練手管が色々と披露され、いよいよ彼女が落ちようとする頃、あるきっかけで彼の正体がばれる。彼女に去られ、自分の本気に気付いた男のアプローチは・・・。
ドリスのアパートへ来る通いの家政婦に扮するのがセルマ・リッター(「三人の妻への手紙」)。いつも二日酔いの頭で出勤して、終盤ではドリスとの仲を取り持つようにハドソンに頼まれたりする。彼女の出勤シーンは何度か繰り返し流され、エレベーターボーイのオジさんとの会話がギャグのようなのですが、最後にはオチが用意されています。
彼女以外の小ネタのシーンも幾つかあって、それなりのオチがあったりして、コメディとしての膨らみになっているようです。
友人のオフィスでドリスと鉢合わせしそうになったハドソンが、急遽飛び込んだのが産婦人科のクリニックで、“産婦人科”と気付かずに入ったハドソンのとんちんかんな受け答えで、医者が彼を世にも珍しい“妊娠した男性”と勘違いするのは、ロック・ハドソンの将来を暗示しているようで、素直に笑えないエピソードでした。これは、ラストのオチに繋がるネタとなるのですが。
面白かったトリビアは、ドリスとハドソンがお互いの家族について話すシーンで、『そういえば最近は大家族が少なくなった。深夜番組や朝のワイドショーのおかげで、子作りの時間が削られているからだろう』なんて言うところ。50年代のアメリカは既にそういう状態だったんですねぇ。
ドリス・デイはこの作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされたとのこと。ナイトクラブでのデート中に黒人歌手が「♪ローリー・ポーリー」を唄いますが、ドリスも客として1コーラス披露していました。
アカデミー賞では、助演女優賞(リッター)などにもノミネートされたようです。
ドリス・デイといえば、「♪ケ・セラ・セラ」、「知りすぎた男」、「♪ティーチャーズ・ペット」、「カラミティ・ジェーン」、「パジャマ・ゲーム」・・・などなど、主に音楽絡みのアレコレが浮かんでくるわけですが、NHK-BSのアカデミー特集の一編で放送された今回の「夜を楽しく」も、当然音楽関連の賞かなと思いましたら、なんとこれが脚本賞の受賞作品でした。
ニューヨークの赤の他人の男女が、電話回線を共用した事から始まるラブ&コメディで、スタンリー・シャピロ、モーリス・リッチリンの共作による脚本。この二人は同年「ペティコート作戦」でも脚本賞にノミネートされたようです。
ドリス・デイが扮するのは少しいき遅れたインテリア・デザイナー。35歳の時の作品ですから、等身大の役ですね。彼女の職業からも推察できるように、当時のニューヨークは建築ラッシュだったのでしょう、電話の回線工事が間に合わずに、見ず知らずの他人が電話回線を共用することもあったようです。
一方のロック・ハドソンが扮するのはプレイボーイの作曲家。ドリスにとって電話は仕事の依頼等もあり大事なモノなのですが、作曲家は(複数の)ガール・フレンドとの他愛のない甘い囁きに使い放題で、『くだらない電話は早く切り上げて』と文句を言うドリスにも、オールドミスが他人の恋路を邪魔していると茶化したりする。
そんな二人は、顔も知らない内から犬猿の仲。ところが、ハドソンの友人で資産家の男がドリスのお得意さんで、しかも彼女にプロポーズをしているという設定。友人はショーのプロデュースもしていて、ハドソンにショーに使う曲作りを頼んでいるんだが、打ち合わせの最中に、資産家の意中の女性が電話を共用している彼女だと感づいた作曲家は、友人が惚れたという女性に一目逢いたいと思うようになるという次第。
偶然、バーで知り合う二人。作曲家は彼女を知っているが、彼女は相手が例の電話回線を共用しているイヤミな男だとは知らない。友人が惚れるのが納得の魅力的な女。プレイボーイの作曲家は、自分のことを打ち明けようかどうしようかと迷いながらも、偽名を使い、いつしか彼女をモノにしようとあの手この手を仕掛けるのだが・・・というお話。
原題が【PILLOW TALK】。“PILLOW”は枕で、TALKとくっつくと、<寝室の会話、寝物語、睦言>なんていう意味になり、その名の通りちょっぴりアダルトな雰囲気のコメディであります。オープニングのタイトルロールで、ドリスが唄う「♪PILLOW TALK」が流れてきますが、字幕ではまんま、独身女性がベッドで枕相手に独り言を呟いているという嘆きの意味も入っているようでした。
ロック・ハドソンとドリス・デイのコンビは3作あり、これが最初の作品だそうです。
やっとこさ理想的な男性に巡り会ったと思っている女性と、とりあえずはモノにしようと考えている男性の心理戦は、心の声がモノローグで流れるという、安直ですがコメディとしては分かり易い手法でも描かれます。プレイボーイの手練手管が色々と披露され、いよいよ彼女が落ちようとする頃、あるきっかけで彼の正体がばれる。彼女に去られ、自分の本気に気付いた男のアプローチは・・・。
ドリスのアパートへ来る通いの家政婦に扮するのがセルマ・リッター(「三人の妻への手紙」)。いつも二日酔いの頭で出勤して、終盤ではドリスとの仲を取り持つようにハドソンに頼まれたりする。彼女の出勤シーンは何度か繰り返し流され、エレベーターボーイのオジさんとの会話がギャグのようなのですが、最後にはオチが用意されています。
彼女以外の小ネタのシーンも幾つかあって、それなりのオチがあったりして、コメディとしての膨らみになっているようです。
友人のオフィスでドリスと鉢合わせしそうになったハドソンが、急遽飛び込んだのが産婦人科のクリニックで、“産婦人科”と気付かずに入ったハドソンのとんちんかんな受け答えで、医者が彼を世にも珍しい“妊娠した男性”と勘違いするのは、ロック・ハドソンの将来を暗示しているようで、素直に笑えないエピソードでした。これは、ラストのオチに繋がるネタとなるのですが。
面白かったトリビアは、ドリスとハドソンがお互いの家族について話すシーンで、『そういえば最近は大家族が少なくなった。深夜番組や朝のワイドショーのおかげで、子作りの時間が削られているからだろう』なんて言うところ。50年代のアメリカは既にそういう状態だったんですねぇ。
ドリス・デイはこの作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされたとのこと。ナイトクラブでのデート中に黒人歌手が「♪ローリー・ポーリー」を唄いますが、ドリスも客として1コーラス披露していました。
アカデミー賞では、助演女優賞(リッター)などにもノミネートされたようです。
・お薦め度【★★★=オールドファンは、一度は見ましょう】
何かと変調も来す季節の変わり目です。ご自愛下さい。
そんな時には、ドリスの明るい歌声でも聞きましょうよ。
十瑠さんの「夜を楽しく」の詳しいレビューを、いま拝読させて頂きました。
私はちょろちょろと書いただけで、厳しい評価をしまして、目下反省中です。(笑)
なお、最近はパワー不足気味で、ご訪問頂いた方へ、お礼のご挨拶に伺うのがやっとこさ状態です。よろしくご了承のほどを伏してお願い申し上げます。
主演オスカー候補にも一度なっているし・・。
♪ピーロ トック・・・
唄えるなんて、司郎さんも大した人です