(2013/J・C・チャンダー:監督・脚本、フランク・G・デマルコ:撮影、ピーター・ズッカリーニ:水中撮影、ピート・ボドロー:編集、アレクサンダー・イーバート:音楽/ロバート・レッドフォード/106分)
追っ手に追われて追われて、まさに崖っぷちの絶体絶命のピンチなのに最後の逃げ道の河になかなか飛び込めなかったカナヅチのサンダンス・キッドが、独りでインド洋をヨットで彷徨うなんてねぇ・・・。
きっかけは大海に浮かんでいた漂流コンテナの角っこがヨットの横っ腹に穴を空けた事でした。
そう、「ゼロ・グラビティ」と同じく公の場に流れ出した“ゴミ”が原因であります。
7月のある日の夕方。ヨットの船室で横になっていて、突然ガツンと音がしたと思ったら、ザブザブと海水が・・・。
スマトラ島から3000キロ以上離れたインド洋で、そんな事故が原因で積んでいた電子機器が壊れ、どことも連絡手段が無くなったヨットの独り旅の男が辿る、過酷な運命を描いたサバイバル物語であります。
出演者はロバート・レッドフォードただ一人。クレジットの紹介は「Our Man(我らの男)」。男の名前も分からないし、ヨットの旅の目的も、どこから出発してどこに向かっていたのかも分からない。最後まで彼の人生の背景は語られないし、推測できるような情報も出てこない。
オカピーさんの言葉を借りれば“純度の高い”ストーリーですが、も少し情報があったほうが、エンターテインメントとしては面白かったかなぁと思いますがね。
しかも、冒頭に事故後8日目の男のモノローグが僅かに聞こえてくる以外台詞はほぼゼロというのも個性的です。前半で、壊れた無線機が一度微かに復活しかけて「SOS」を発信する時と、終盤に万策尽きて「くそーっ!」と叫ぶくらいしか男の声は聞こえてこない。つまり、映画のほとんどは無言の男がただひたすらにアクシデントに対処し、翻弄される様子が描かれるだけなのです。
ある意味製作スタイルとしてのチャレンジでしょうか。大いにその精神は買いますが、個人的には内的モノローグなりが欲しかった気がしますな。男の頭の中に論理的な思考が流れていたのは明らかですから、説明過多に気を付けてれば、面白い台詞もあったと思うんですがね。
お薦め度は★二つ半。おまけして三つというところでしょうか。
★半分のマイナスは、最初の事故で空いた船体の補修が、その後の嵐に備えるにしては中途半端だったこと。ベテランで用心深い男の処理にしては如何なものかと、素人目には見えたんです。
それと、中盤以降の嵐の中でのヨットの転覆やら、救命ボートの転覆など、あれくらいで済むのかなぁと、これも素人の疑問でした。ボートの浸水の件のその後も?マークが付いちゃったかなぁ。
<監督はデビュー作となる前作「マージン・コール」が各方面から高い評価を受けた注目の新鋭J・C・チャンダー。>(allcinemaの解説より)
「マージン・コール」は ケヴィン・スペイシーやポール・ベタニー、デミ・ムーアなどが出演する大手投資銀行を舞台にした群像劇みたいで、「オール・イズ・ロスト」とは対照的。この監督はしばらく要注意ですね。
2013年のアカデミー賞で音響賞(編集)にノミネートされたそうです。
それにしても、老いたとはいえサンダンスキッドの体力には恐れ入りやした。
追っ手に追われて追われて、まさに崖っぷちの絶体絶命のピンチなのに最後の逃げ道の河になかなか飛び込めなかったカナヅチのサンダンス・キッドが、独りでインド洋をヨットで彷徨うなんてねぇ・・・。
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きっかけは大海に浮かんでいた漂流コンテナの角っこがヨットの横っ腹に穴を空けた事でした。
そう、「ゼロ・グラビティ」と同じく公の場に流れ出した“ゴミ”が原因であります。
7月のある日の夕方。ヨットの船室で横になっていて、突然ガツンと音がしたと思ったら、ザブザブと海水が・・・。
スマトラ島から3000キロ以上離れたインド洋で、そんな事故が原因で積んでいた電子機器が壊れ、どことも連絡手段が無くなったヨットの独り旅の男が辿る、過酷な運命を描いたサバイバル物語であります。
出演者はロバート・レッドフォードただ一人。クレジットの紹介は「Our Man(我らの男)」。男の名前も分からないし、ヨットの旅の目的も、どこから出発してどこに向かっていたのかも分からない。最後まで彼の人生の背景は語られないし、推測できるような情報も出てこない。
オカピーさんの言葉を借りれば“純度の高い”ストーリーですが、も少し情報があったほうが、エンターテインメントとしては面白かったかなぁと思いますがね。
しかも、冒頭に事故後8日目の男のモノローグが僅かに聞こえてくる以外台詞はほぼゼロというのも個性的です。前半で、壊れた無線機が一度微かに復活しかけて「SOS」を発信する時と、終盤に万策尽きて「くそーっ!」と叫ぶくらいしか男の声は聞こえてこない。つまり、映画のほとんどは無言の男がただひたすらにアクシデントに対処し、翻弄される様子が描かれるだけなのです。
ある意味製作スタイルとしてのチャレンジでしょうか。大いにその精神は買いますが、個人的には内的モノローグなりが欲しかった気がしますな。男の頭の中に論理的な思考が流れていたのは明らかですから、説明過多に気を付けてれば、面白い台詞もあったと思うんですがね。
お薦め度は★二つ半。おまけして三つというところでしょうか。
★半分のマイナスは、最初の事故で空いた船体の補修が、その後の嵐に備えるにしては中途半端だったこと。ベテランで用心深い男の処理にしては如何なものかと、素人目には見えたんです。
それと、中盤以降の嵐の中でのヨットの転覆やら、救命ボートの転覆など、あれくらいで済むのかなぁと、これも素人の疑問でした。ボートの浸水の件のその後も?マークが付いちゃったかなぁ。
<監督はデビュー作となる前作「マージン・コール」が各方面から高い評価を受けた注目の新鋭J・C・チャンダー。>(allcinemaの解説より)
「マージン・コール」は ケヴィン・スペイシーやポール・ベタニー、デミ・ムーアなどが出演する大手投資銀行を舞台にした群像劇みたいで、「オール・イズ・ロスト」とは対照的。この監督はしばらく要注意ですね。
2013年のアカデミー賞で音響賞(編集)にノミネートされたそうです。
それにしても、老いたとはいえサンダンスキッドの体力には恐れ入りやした。
・お薦め度【★★★=一見の価値あり】
ありゃ、僕のことですね^^;
恐縮です。
>純度の高い
はい、一年間に数回は使っておりますデス。
映画用語としては、僕の発明なのかなあ?
純度の高さから思い出す作品では、トラックに追いかけられるのが「激突!」なら、こちらは言わば時間に追いかけられるわけですが、記事にも書いたような少し材料不足でしたね。
その辺り、意見の一致を見ましたようで、ご同慶の至りです。
チャンダーという若手ですが、所謂ドキュメンタリー手法を使わないのに、ドキュメンタリー・タッチを感じさせることができる優秀な監督(本作に限り、それがマイナスと思いましたが)かと。
僕も次回作が楽しみです。
「ゼロ・グラビティ」を観た後だから、ついお名前を出しちゃったみたいッス。
>チャンダーという若手
姐さんも「マージン・コール」は楽しまれたご様子で。
ただ、特殊なテーマと特殊な手法にこだわっていると先細りも心配にはなりますな。
自信過剰でなければいいですが