テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

名探偵登場

2005-08-04 | コメディ
(1976/ロバート・ムーア監督/ピーター・セラーズ、デヴィッド・ニーヴン、マギー・スミス、ピーター・フォーク、アイリーン・ブレナン、トルーマン・カポーティ、エルザ・ランチェスター、ナンシー・ウォーカー、ジェームズ・ココ、ジェームズ・クロムウェル、アレック・ギネス)


 NHK-BS「懐かしの映画劇場」で放送された。タイトルは聞いたことがあったが初めて観る作品だった。製作:レイ・スターク、脚本:ニール・サイモンという名コンビの作品だし、出演者になんとトルーマン・カポーティ(「ティファニーで朝食を(1961)」「冷血(1967)」の原作者)がいるというので録画したもの。

 謎の億万長者ライオネル・トウェイン(カポーティ)が世界中の5人の名探偵に招待状を出す。彼の豪邸に招かれたのは、養子の日本人を運転手にしている中国人探偵シドニー・ワン(セラーズ)、奥さん(スミス)とやって来たディック・チャールストン(ニーヴン)。そして、ポアロがモデルらしいベルギーの探偵ミロ・ペリエ(ココ)も運転手と二人連れ、サム・ダイヤモンド(フォーク)は情婦らしき女性(ブレナン)と、ジェシー・マーブル(ランチェスター)も年老いたナースと二人でやって来る。
 彼等を最初にもてなすのは盲目の執事(ギネス)で、急遽雇われたらしいコック(ウォーカー)も英語は読めず、口も耳も不自由な女性だった。

 なかなか始まらない食事の支度に客人がイライラしている頃、トウェインが現れ、『午前0時になったら、このダイニング・ルームでこの中の誰かが殺される。この殺人事件の謎を解いた人には100万ドルを渡す。』と言い、アッという間に姿を消す。
 狐につままれたような探偵達は、とりあえず手を繋ぎ合って時計の針が12時を指すのを待つことにする。そうすれば、誰も殺さないし、殺されない。しかし、部屋の外から色々な物音がし、調べに行くと執事が死んでいたり、コックが居なくなったりする。
 やがて時刻は午前0時になるも、ダイニング・ルームの探偵達は全員無事だったのだが・・・。

 コメディです。ニール・サイモンですから当然ですが、推理ものというのは珍しい。但し、アレッという不思議な場面があるのに、見終わって考えるとその謎は解決されていないというのがたくさんありましたな。一つのドアなのに、開ける度に違う部屋に通じているというシーンが何回かあったけど、アレのからくりは解らないままだ。

 コメディ部分も、シチュエーションで笑わせるのではなく、台詞によるものが多いようで、私には分かりにくいお笑いでした。ピーター・セラーズの少し出っ歯の中国人は、クルーゾー警部とは違う表情が可笑しくて笑えました。

 見終わった感想を一言でいうと、『で、結局この話、真犯人と被害者は誰やったん・・・?』です。

▼(ネタバレ注意)
 最後の方で、トウェインが探偵達に「最後の5頁で初めて犯人登場とは汚いぞ」という様な事を言うが、この作品もラスト近くで、招かれた全員にトウェインの殺害動機があるとバラしているので、『そのセリフ、全部返すわい』と突っ込みたくなりましたな。アガサ・クリスティーの“オリエント急行”みたいです。
▲(解除)

 データを調べると、ムーア監督はサイモンの「第2章(1979)」の演出もやってましたな。
 「ハリー・ポッター」のマクゴナガル先生、マギー・スミスが若い!40歳をちょっと超えた頃ですな。オスカーを獲った「ミス・ブロディの青春(1968)」から8年目の作品でした。
 オビ・ワンのアレック・ギネスは、頭剃っちゃってて、全然判りませんでした。

 尚、この作品には「名探偵再登場(1978)」という続編があって、スタッフはほとんど同じだが、内容はピーター・フォークを主役にした<「マルタの鷹」と「カサブランカ」をモチーフにしたハードボイルド・コメディ>とのことだ。続編が出来るくらいだから、それなりにヒットしたんでしょうな。
 
 その他のニール・サイモンの作品でよく知っているのは、「裸足で散歩(1967)」「おかしな二人(1968)」「スイート・チャリティ(1969)」「おかしな夫婦(1970)」「グッバイガール(1977)」etc・・・。都会的なコメディが多いが、1988年の「ブルースが聞こえる」は自身の戦争体験を元にしたコメディではないドラマでした。

 コレが唯一の映画出演作となる作家カポーティ。なかなかどうして、堂々としたもんでした。データを調べていたら、デ・シーカの「終着駅(1953)」の脚本も書いていたのを知りました。

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6 コメント

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こんばんは (十瑠)
2005-08-07 22:12:48
「再登場」録画したんですけど、後回しになりました。



>どうも、2番煎じの感がありましたね・・・。



あんまり、笑えないということですか。「登場」もサイモンらしさはないですけど。
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Unknown (みー)
2005-08-07 19:30:29
「名探偵登場」を録画し忘れたので^^;

翌日の「再登場」を録画して観ました。

どうも、2番煎じの感がありましたね・・・。

「登場」を観たかったな~。

当時映画館で観たつもりでいたのですが、

よく覚えてないんです^^;
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それは、残念! (十瑠)
2005-08-04 21:34:54
録画、確認はしてませんが、多分大丈夫でしょう。

さりとて、週末にかけて忙しそうなので観れるかどうか・・・?
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録画し忘れましたぁ (kiyotayoki)
2005-08-04 17:47:38
「名探偵登場」は録画したんですが(まだ見てません)、

そうだ「再登場」もあったんですね。忘れてました。「再登場」こそ未見だったので録画したかったのにィ。残念!

そうそう執事はオビワン・アレック・ケノビでしたね。

今夜、見ようっと。

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なんと! (十瑠)
2005-08-04 13:26:18
今日の午後、「名探偵再登場」が放送されます。

あんまり期待してないんですが、いきがかり上録画します。でも、意外とこっちの方が面白いかも、とも思ってます。



「終着駅」はもう一人の人との共同作品となってました。
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Unknown (TARO)
2005-08-04 10:36:56
あ、ありましたねえ。この映画、見ました。

もうストーリーも出演者もすっかり忘れていましたが(映画の存在のものも忘れてました)、なんだか段々思い出してきました。



そうそう、カポーティが出てくるんですよね。怪演という感じだったかと・・・

それにしても「終着駅」の脚本も書いていたんですか。驚きました。
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