野に撃沈

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。ペンタックスK10Dをバッグに野山と路地を彷徨中。現在 野に撃沈2 に引越しました。

大谷石の郷を歩く

2008-03-09 | 旅行
 宇都宮からバスに乗って30分。市の中心部から西方7kmの地にある大谷公園の前で降りた。
削り取られた断崖の下にある駐車場。車がおもちゃのように小さく見える。


 大谷寺は入らず遠くから眺めただけ。


大谷公園。




 巨大な平和観音像。


 垂直に切り立った崖。


 大谷観音公園。


 暫く歩くと前方に大谷資料館が見えてきた。 


 入ってすぐ奥が資料室となっている。


 入館料600円を払って旧採石場坑内へ。すぐにひんやりとした空気に包まれ、曲がりくねった急な階段が続く。この先に野球場がすっぽり入るほどの地下空間(深さ30m、広さ2万㎡)があるとはとても思えない。


 坑内は思ったより広々としていてしかも整然としている。


 壁の表面は所々ゼオライトと呼ばれる白い綿のような結晶体で覆われている。


 幾何学的な模様が続く。



 側坑に入っていくとなにやら不思議な物体があった。一体どんな用途に使われたのか見当がつかない。

 天井の穴は位置確認のために開けられたものらしい。

 正面突き当りには神殿の柱のようなものが見える。

 ここでは時おり結婚式や美術展などが催されるらしい。



 ここはコンサート用のステージ。




 立ち入り禁止の鉄柵。


 室温は7℃。年間平均気温は1℃~13℃の間で安定している。


 石を切る機械が幾つか無造作に置かれていた。




 出口近くに巨大な空間があった。ここはかって豊作で余った米を政府から委託され貯蔵保管していた所らしい。


 地下から出ると閉館間際の4時半になろうとしていた。奇岩の向こうに日が落ちかかっている。


 あいにくバスの時刻までは30分近くあるので、帰りがてら歩くことにした。門構えのどっしりした石材商の豪邸。


 塀も門も無い全体が錆び果てた小屋。味のある廃屋と写真を撮っていたら、中から人が出てきた。大谷石をふんだんに使った邸宅と錆びたトタン張りの物置のような家と幸せはどちらにあるのかないのか。


 バス停で時間を確認しながら風に吹かれ歩いていくうちに、何時の間にか日が暮れかかってきた。遠くからバスのエンジン音が聞こえてきた。





烏山線に乗って那須烏山へ

2008-03-07 | 旅行
 今年の春も青春18きっぷが発売された。ここ数年来、発売されるとほぼ条件反射的に5枚綴り11500円のキップを買う事が慣わしとなっている。今回も早速それを購入し、未だ乗る機会のなかった烏山線に乗ることにした。
 宇都宮から2駅目の宝積寺駅が烏山線の起点となっている。


 2007年10月に新築されたばかりの駅舎。天井の木組みのデザインがかなり斬新だ。

 

 階段を下りた先は多目的広場の”ちょっ蔵広場”となっている。近在で産出される大谷石をふんだんに使った建物の中では、観光情報の発信や土産物などが販売されていてレストランもある。


 建物全体がなまこ壁のようだ。


 再び駅に戻り3番線に立つ。10分ほどの待ち合わせで、やってきた一両編成の電車に乗った。車両は入り口が前後2つしかないのに超ロングシートで、中央には大きな消火器とゴミ箱が置かれている。初めて見る風変わりな車両だ。乗り合わせている客は20人位で、その半数は通学の高校生が占めている。
 発車してすぐ沿線にはのんびりした里山の風景が広がっていく。トンネルをぬけちょうど30分立った所で、烏山駅の一つ手前の滝駅に着いた。

 電線とパンタグラフの無い気動車は田園風景に良く似合っている。

 この駅は休日はハイキング客で賑わっているそうだが、今日は平日なので降りた客は私一人。坂を下って橋を渡った先には1200年前建立された太平寺があった。


 寺の下を流れる江川(那珂川の下流)が落ち込んで龍門の滝となっている。

 反対側から見る。


 ハイキングコースを通って一時間と少しで那須烏山市街へ。途中には殆ど標識が無いので、地図を持ちながらも何度か迷ってしまった。
 市内の観光名所は何箇所かある。そのうちの一つ和紙会館。バスを待つおばあさん達が印象的だった。


 山あげ祭りの屋台が常設されている山あげ会館のある広場。


 武家屋敷風の造りの山あげ会館。


 街の造り酒屋である島崎酒造。


 市の真ん中にある公園、せせらぎ広場。


 パンフレットにある観光スポットはそんなもの。が、市内をぶらつくと味のある建物が多くて歩いていて飽きることがなかった。


 薄れ掛けた看板の下、店のスペースの一部が駐車場となっている。


 ここでも商店街には閉じてしまった店が多い。寂しいことに今日では日本全国至る所で見られる、ありふれた風景だ。


 通りには関東地方以北の町でよく見かける”聖書看板”も多い。





 黄色の髭の人形は何かのマスコットキャラクターなのか。”掛売りOK”の文句も良い。



 渋い色の壁だ。50m先では工事はやってなかった。


 意味の分からない矢印、とてもシュールだ。


 閉店したタバコ屋のショーケースにはミニチュアの車の模型が置かれている。趣味の展示だろうか。



 マルコ書店、この名前は不思議と良い。何かしら親しみを感じる。毎日でも通いたくなる名前だ。


 トタン張りの平和荘。横から見ると一軒一軒が異様に細かった。



 狭い路地の先にある駐車場つきの富士食堂。汲めども尽きせぬ興味溢れる物件が通りには目白押しだ。


 園児募集の可愛らしいポスターの貼ってある古い民家から、幾世代も超えて手押し車のおばあさんが出てきた。



 前方に烏山駅が見えてきた。一時間に一本しかない汽車の発車時刻が迫っている。残念ながらこの辺で楽しいタイムトラベルは終わりのようだ。



新宿御苑にカンザクラを見る

2008-03-05 | 公園
 <前回からの続き>
 都営地下鉄の一日乗車券を使っていたので、向島からは無理やり都営バス、都営浅草線、都営新宿線と乗り継いで新宿3丁目駅で降りた。新宿御苑はほぼ1年振りだ。何時の間にか入園料が200円に上がっていた。日曜のせいか大勢の人が入り口へと入って行く。


新宿門を入ってすぐの広場はちょっとした梅園になっている。見頃を迎えた梅が紅白の彩りを見せてきれいだ。日本庭園のある方へ歩いていくと、満開のカンザクラの前に大勢の人が集まっている。後に見えるのは通称ドコモタワーで広い御苑の何処からでも見ることができる。

 











 上の池から台湾閣の前を通り抜け中の池に向かう。



 池の周りではサンシュユやマンサク等早春の木の花が咲き始めている。






 ネコヤナギも見つけた。


 中の池は現在水質改善中ということで一部水を抜いていた。


 足元にも春の兆しは及んでいる。園内には至るところに様々な品種のスイセンやクリスマスローズなどが植えられていた。




 これはアツバキミガヨラン。


 下の池からバラ園を抜けてフランス庭園へ。葉を落としたプラタナスの並木が異様な風景を見せていた。来るたび思うのだが、この前衛的な風景は現在の新宿そのもののようだ。ごつごつとした枝の間を緑色したワカケホンセイインコが、甲高い声を叫びながら頻りに飛び交っている。



 大木戸門のある玉藻池の周りまできた。ここにもちょっとした梅園がある。




 変り咲きの梅。


 新宿門へ戻る途中に大温室へ寄ろうとしたのだが、現在は大規模な建替え中ということで入館出来なかった。新温室開館は平成23年予定ということで随分先になる。
 大輪の花を咲かすカンヒザクラはまだ蕾の状態だったが、スイセンとクリスマスローズの咲き誇るイギリス庭園の一角では、河津桜と十月桜がひっそりと咲いていた。多くの人が気づかず通り過ぎて行く。





 閉園の音楽が鳴り出した。名残惜しいが帰り支度を始めた人々に倣って帰路につくとしよう。






向島百花園

2008-03-03 | 植物園
 向島百花園は去年の3月に訪れて以来だから、ほぼ一年ぶりになる。園内は狭いながら、多くの草花を趣向を凝らした形で間近に見ることの出来る。近いところなら月に一度でも尋ねたい所なのだが、いかんせん私の住んでいる所からは遠すぎる。今回も10時少し前に家を出て、着いたのは昼前だからほぼ2時間かかってきたことになる。

 入園料は150円。木戸の両脇にはそれぞれ「春夏秋冬花不断」、「東西南北客争来」とあるのがゆかしい。


 園内の梅がそろそろ終わりごろか。これは藤牡丹枝垂れ。


 赤い野点傘を背景に撮ろうとしたのだが……。






 薄桃色の侘助椿は花弁が鳥や虫に食われていて綺麗なのがなかなか無い。


 ミツマタがここでは満開に咲いていた。




 シナマンサクも手入れが行き届いているからか他所で見かけるものより綺麗だ。


 水琴窟や一両から万両まで集めたコーナーや、春の七草のコーナーなど随所に工夫が見られる。また園内には所狭しと句碑や歌碑が立ち並び、謂れを記した石碑などが置かれていて客を飽きさせない。

 足元を見るとセツブンソウが顔を覗かせていた。。


 福寿草もまだ咲き残っている。


 スイセンも数種類植えられていて甘い香りを放っていた。


 手入れがしっかりしているのは良いのだが、道端で普通に見られる野の草花が全く見られないのは少し寂しい。オオイヌノフグリやホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ハコベなどは繁殖力が強いので除草されてしまったのだろうか。

 池の反対側に廻るとキブシが花を綻ばせ始めていた。


 早春、奥多摩の低山を歩いているとこの木をよく見かける。


 花の名前を記した立て札の数に比べて、咲いている草花はまだまだ数少ない。野の花の数を楽しむならもう一月程、桜の咲く時期までは待つ必要がありそうだ。

 帰り際、揃いの半纏を着込んだ地元の人たちが大勢入ってきた。園内の茶屋でなにやら宴会でもはじめようというのか、手に手に料理を盛りつけた皿を持って傍若無人げだ。騒がしくなりそうので、これを機に退却することにした。

 バス停までの帰り道は紅白のアセビが目を楽しませてくれた。