野に撃沈

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。ペンタックスK10Dをバッグに野山と路地を彷徨中。現在 野に撃沈2 に引越しました。

鳩待峠から湯の小屋山荘へ②

2008-07-29 | 登山
<続き>
悪沢岳を過ぎると樹林帯のじめじめした泥道を暫く行く。小一時間やっと小笠についた。


 竹の花が咲いている。


 枯れかけたキヌガサソウ。大きな花だ。


 ヒメシャクナゲもみえる。



 ミヤマダイモンジソウ

 小笠から笠が岳分岐まではガレ場の尾根伝いの道だ。陽射しが強い。斜面にはちらほらとニッコウキスゲの姿も見える。


 湿地帯から抜けたからか植生も大分変わってきた。ジョウシュウアズマギクやウスユキソウ、ハクサンチドリの花が咲いている。






 花を一つ一つ観察すると千鳥によく似ている。


 チングルマの実。


 大きな岩にへばりついているのはオトギリソウとイブキジャコウソウだ。




 やっと笠が岳分岐まで来た。ここから笠が岳の頂上までは目の前だが、この暑さでは登る気力が湧いてこない。


 タカネシュロウソウとリンネソウ




 再び湿地帯が始まる。片藤沼、蛍池を過ぎた所で日影を見つけ本格的な朝食とする。


 近くでホシガラスが木に止まり鳴きだした。2000mの標高では日陰にいると汗が自然にひいて行く。


 樹林帯の急坂が始まった。手足で岩や木の根につかまりながら真南に400mを一気に降りて咲倉沢の頭の避難小屋まで。其処から先は北西に折れワラビ平まで再び400mを下る。途中花を見る余裕は全くない。ワラビ平から先は小さなのぼりおりを何度も繰り返す長丁場だ。ツルアリドオシやトンボソウの仲間(クモキリソウか)、イチヤクソウなどを見かけた。







 林道に降り立った時は手持ちの水もなくなり、喉が渇いてしょうがなかった。炎天下の林道歩き十数分後、湯の小屋温泉の建物が見え、風に揺れるヤナギランが迎えてくれた時は無性に嬉しかった。


 水上駅までのバスは1時間先。それまでは喉を潤し、立ち寄り温泉で汗を落とし着替えてから帰った。

鳩待峠から湯の小屋山荘へ

2008-07-26 | 登山
 池袋発の尾瀬夜行バスに乗って鳩待峠まで出かけた。池袋を23時に出発して鳩待峠に5時10分頃到着。鳩待峠はやっと明るくなり始めたばかり。殆どの人が尾瀬ヶ原へと向かう中、至仏山への山道を選んだのはほんの数名だけだった。

<山行概略>
5時20分鳩待峠出発→7時オヤマ沢通過→7時半小至仏山の麓まで→引き返して8時悪沢岳→8時30分小笠通過→9時10分笠が岳分岐軽い朝食をとる→10時10分咲倉沢避難小屋→林道ゲート12時→道を間違い林道を大回りする→湯の小屋温泉到着12時45分→洞元荘で入浴後、1時55分のバスで水上へ

 やっと白み始めた鳩待峠。


 朝もやの立ち込める中を緩やかに高度を上げて行く。


 実のついたマイヅルソウやハリブキ、ギンリョウソウなどが目立つ。




 大きなカタツムリがいた。


 急坂を登りきったら尾根筋に出た。向こうに見える山は武尊山だろうか。


 ヤマブキショウマが斜面を覆い尽くしている。


 暫く小休止して見つけたタケシマランの花。普通に歩いていると笹と見分けがつかない。


 オヤマ沢田代まで来た。雲間から漏れる日差しが次第に強くなってきた。
終わりかけのアヤメが所々に咲いている。


 登り口では実になっていたユキザサも、高度が上がったせいかこの辺りでは花が見頃だ。


 タテヤマリンドウ


 暫く花を見ていたら空の雲がすっかりとれ、爽やかな夏空になっていた。


 小至仏との分岐に荷物を置いて、もう少し先の花畑を観察することにした。イワイチョウやチングルマ、ヨツバシオガマなど高山植物の定番とでも言うべき花々の姿が見える。







 3本仲良く並んで咲いているヨツバシオガマ。


 コイワカガミもまだ咲いている。


 黄色の比較的大きな花はシナノキンバイ。


 尾瀬の近辺は花の多い山が多い。が、尾瀬の名を冠する花はこのオゼソウしかない。オゼソウはユリ科オゼソウ属の花で、北海道の天塩山地に咲くテシオソウと酷似する。



 アカモノやベニサラサドウダンなどの低木の花も多い。




 向こうに見えるのが小至仏山。もう少し先に行ってみたいのだが、残念ながらこの先の長い行程を考えるとここで引き返すしかない。


 <この辺で>

浅草岳を登る

2008-07-22 | 登山
 時季を失した感は多少あるが、どうしても野に咲くヒメサユリを見たくて、新潟福島の県境の山浅草岳に登ってきた。まずは山行概略から、

 <山行概略>

9時少し前、ネズモチ平登山口着。駐車場には既に30台ほどの車。→9時20分登り始める。暫く緩やかな林道を歩く→10時桜ゾネ通過。浅草の鐘をたたいた後、山道を登り始める→11時20分嘉平与ボッチ、途中多くの下山する人とすれ違う→11時50分前岳、雪渓を通る→12時10分浅草岳頂上到着。頂上には十数人の人。少し下ったところで昼食にする→帰りも同じ道を通り、14時50分ネズモチ平に戻った。

 今回は愛用のペンタックスK10Dを忘れるという大失態をおかしたので、つれあいのコンパクトデジカメを借りて撮る羽目になった。

登山口から桜ゾネまでの林道は、ヤマブキショウマとシモツケとヨツバヒヨドリが見頃を迎えていた。

 開花しかけのヨツバヒヨドリ。

 ヤマホトトギスも咲き始めていた。


 チョウ類は大型のアゲハチョウの仲間は殆ど見られず、ヒョウモンチョウやシジミチョウが多い。


 桜ゾネからは急な山道が始まる。取っ掛かりに「浅草の鐘」があったので、叩いて拝んでから登った。暫くは薄暗い森の中を登って行く。終わりかけのマイヅルソウやゴゼンタチバナを発見。ギンリョウソウもあちこちに見られた。




 尾根にたどり着く少し前から一段と急な登りになった。ウラジロヨウラクやアカモノの姿が見える。





 嘉平与ボッチを通ると木道が始まる。やっとお目当てのヒメサユリが咲いていた。今まで植物園などで見かけたことはあるものの、野に咲く姿を見るのはこれが初めて、嬉しい。




 丈高い草の合間にキンコウカやイワカガミの姿も見える。




 ワタスゲの穂。


 前岳を通り過ぎると小規模だが雪渓があった。


雪渓の周辺にはウメバチソウや、イワイチョウ、イワカガミ、キンコウカ、トキソウなどが咲いている。




 これは後で図鑑を調べてミヤマママコナと知った。


 ニッコウキスゲも数は少ないものの咲いてはいる。


 登り始めて3時間ほど意外とあっさりと頂上に着いた。


 頂上から南面眼下に見える田子倉湖の水面が神秘的だ。


 その右手には鬼が面岸壁が急峻な岩肌を見せている。心地よい風が下からガスとともに吹き上がってきた。汗がスーッとひいていき、火照った体を心地よく冷やしてくれる。やがて太陽が厚いガスの彼方に白い点となって消えていった。暫くは視界が遮られ、半径10mだけの世界に取り残されてしまう。世界と時がギュッと圧縮される至福の一瞬暫く味わうことが出来た。

小峰公園

2008-07-19 | 公園
 あきる野市にある小峰公園に行ってきた。

 標高が幾らか高いせいかアジサイがまだ色褪せず咲いている。


 都内の公園とは思えぬほど豊かな自然が残されている。


 道脇にはハグロソウが咲いている。


 おもしろい。こんなぐるぐる巻きのクモの巣ははじめてみた。これもかくれ帯の一種なのだろうか。


 大広場の奥には水田のある一角がある。背の高いガマの穂。


 オモダカの仲間。


 おたまじゃくしから手足が生えたばかりのカエルが必死に草にしがみついていた。


 クズの葉には蝶の幼虫が体をくねらせながら、吹く風に振り落とされまいと必死だ。


 突き当りから右に折れて、ジグザグの山道を登って行く。ひんやりとした森の香気を含んだ空気が体を包み、心地よい。道の両側にはヤブミョウガの花が見られる。


 これは初めて見た。図鑑で調べてみるとムラサキニガナというようだ。背の高い花で花の終わりにはタンポポのような綿毛をつけている。


 オオバノトンボソウも見つけた。


 これはよく見かけるオオバノジャノヒゲ。


 しそ科のイヌゴマ。イヌと言う名を付けられた花は何かしら可愛そうだ。この花もゴマには似ているが、食用にならないことから名づけられたようだ。


 登って尾根道までたどり着くと周囲はオカトラノオだらけになった。


 そのオカトラノオの花に隠れるようにしてヤマホトトギスが咲いていた。7月のこの時期に見られるのは珍しい。


この時期はまだ緑色をしていて目立たないが、春の花の実を見つけることも出来る。アマドコロの実。


 ハナイカダの実はもう黒く色づいている。


 尾根筋を反対側に下っていくとオオバノギボウシやヤマユリが多くなってきた。
オオバノギボウシは薄紫色から白色まで個体差があり楽しめる。今の時期は蕾から咲きかけ、完全な開花の状態までいろいろ楽しめる。





 ヤマユリは蕾の方が多く、咲いていたのはそのうち1割程度。




 背の高い花の下にも、良く見ると幾つか花が咲いている。

 ヒメヤブランの可愛らしい花。

 ウツボグサもまだ咲いている。


ヒヨドリバナの葉が変色しているのは何故なのだろう。この花が咲き出すとアゲハチョウも多く見られるようになるのだが……。


 白系統の花が多い中アザミの花は良く目立つ。

 この花が目立つようになったらいよいよ夏の到来だ。日が傾き始め、セミもうるさく鳴き始めたようだ。滞在2時間余り、気持ちの良い汗をかかせてもらった。
 

多摩川源流笠取山に登る

2008-07-16 | 登山
 笠取山は今までにも何度か登っている。好きな山の一つだが、7月の中旬に登るのは初めてだ。この日の天気予報は雨のち曇り、山あいでは雷雨の恐れありというものだった。

 <行程> 8時半、作場平登山口着。駐車場には既に車が10台ほど置かれている、こんなに多いのは今まで見たことがない。→8時40分登山開始→一休坂への分岐通過→ヤブ沢峠10時→笠取小屋10時20分、小屋前でロケをしていた。→10時40分、分水嶺通過→11時25分頂上到着、見晴らしきかず残念→11時45分、水干尾根分岐。10分ほどで水干→雁峠分岐を右折し12時35分雁峠へ。ここで昼食とする。広瀬湖の新地平から登山者が二人登ってきた。→遠くで雷の音が聞こえ出してきたので、下山開始。13時35分笠取小屋→14時50分作場平口着。帰りは丹波村ののめこい湯によって垢を落としてから帰った。




 暫くは平坦な針葉樹林帯を行く。看板が程よい間隔で設置されている。


 登りが急になってからは小沢に沿って行く。道の両脇にはクワガタソウやミゾホオズキが見える。




 何度も沢にかかった梯子段状の橋を渡る。やっと笠取小屋が見えてきた。


 ここで小休止の予定だったが、何かのロケをしていて落ち着かないのですぐに出発する。手前に雁峠との分岐、向こうには小さな分水嶺の碑が見えてきた。


打ち捨てられた機械。


 ここから笠取山までは急な登りが待っている。


 やっと頂上に着いた。富士も南アルプスも見えない。


 本当の頂上の標識はもう少し奥の見晴らしのきかない所にある。


 もう枯れて見られないと思っていた石楠花がまだ咲いていたのは嬉しかった。


 水干にある水神社の石碑。ヤマブキショウマが咲いている。


 ミヤマカラマツも見える。


 水干から少し下ったところに多摩川の源流部がある。夜帰ってから飲む水割りのため、ペットボトルに水を汲む。


 雁峠の分岐から雁峠までは10分ほどで着く。ここは風が吹き渡り、見晴らしもよい気持ちの良いところだ。コンビニで調達してきた100円セールのおにぎりをぱくつく。眼前の風景が何物にも代えがたいおかずだ。


 近くには湿地がありクリンソウの群生が見られる。この群生を初めて発見した時は小躍りしたものだ。


 いつ見ても野の花とは思えない華麗な姿をしている。


 近くにはバイケイソウも咲いていた。


 分水嶺の付近の草原にはデッドツリーが点在している。


 丈高く生えた草原の上を涼やかな風が渡って行く。草むらをより分けて探してみると幾つか花を見つけることが出来た。
 ヤマオダマキはこの一輪しか見つけられなかった。


コバノトンボソウ


 笠取小屋の水場のところに咲いていたのはクルマムグラか


 下山路は針葉樹林帯の急坂をハルゼミの声を聞きながら下っていった。途中ミヤママタタビの白と赤の混じった葉をよく見かけた。


 花は葉の下に隠れるように、ひっそりと甘い香りを放ち咲いている。


 後半、雷の音は聞こえていたものの、雨に降られることもなく、良い山行だった。丹波村で寄ったのめこい湯も良い日帰り温泉だった。