野に撃沈

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。ペンタックスK10Dをバッグに野山と路地を彷徨中。現在 野に撃沈2 に引越しました。

双輪花

2008-09-30 | 野の花
 雨が降っていて出かけられないので、というよりも出かける気になれないので、9月の花の中からツーショットという視点で選びなおしてみました。


 まずはヒガンバナ


 花期の長いツユクサは、雨の多い今年色艶が際立つ。


 山地に咲くコウリンカ



 似たような名だがこちらは野に咲く外来種のコウリンタンポポ



 ゲンノショウコ



 ヒヨドリジョウゴ



 九月中旬過ぎて少しずつ咲き始めた秋バラ



 十月桜は9月でも咲く


 クコの花はやがて赤い実を熟す。この実はおいしそうな見かけと違って不味いが果実酒として珍重される。


 ウメバチソウは高山の花だ。



 ナツズイセンはヒガンバナの仲間。


 キツリフネ。以前山の中で白花を見つけたことがあった。



 今時分、野原のいたるとこで見かけるキツネノマゴ。白花は少しだけ珍しい。


 これは温室で撮ったハカタガラクサという花。


 恐らくクルマバナ。しそ科の花はよく似ている。


 タデの仲間なのにこんなに艶やかとは。


 秋分の節気も第二候の蟄虫坏戸(ちっちゅうこをはいす)となった。これは虫類が巣篭もりを始める時期の謂で、春の啓蟄に対して言うらしい。秋の夜長を楽しませてくれた虫たちのコンサートもそろそろお開きだ。

金峰山を登る②

2008-09-27 | 登山
 五丈石の西側に廻りこみ、絶景をおかずに昼飯とした。コンロを使ってお湯を沸かし、コーヒーとおにぎり一個、カップラーメンを食べる。眼前には南アルプスの峰々が雲を従え神々しく浮かんでいる。足元の頂上付近でははや紅葉が見頃だ。


 ピラミッドのような鋭角の頂が錦秋に染め上げられている。奥には青くたおやかな山々が控え、風が紅葉した葉を震わせながら通り過ぎて行く。何人かの登山者ががザックを置いて休んでいる。


 様々な形を見せながら雲が流れていく。風と雲の作り出すアートの素晴らしさに箸を止めて見入ってしまう。





 頂上標識のある辺りでも人が増えてきた。たくさんの人が絶景を眺めながら、もくもくと昼食を使っている。人々は祝福の時を歓び、穏やかに何事か語り合いながら憩っている。




 足元ではコケモモの実が真っ赤に色づいていた。


 レンズを望遠に換えて南アルプス方面を撮る。後に見えるのは中央アルプスなのだろうか。


 紅葉は絶妙なグラデーションを見せて、頂から少しずつ麓へと降りて行く。





 北側を見ると瑞牆山の向こうには八ヶ岳がどっしりとした山容を見せている。



 生きてて良かったと心底思える、至福の時を過ごすことができた。感謝。

金峰山を登る

2008-09-25 | 登山
 3年前の10月以来の金峰山(きんぷさん)登山だ。途中、高速ではガスが出ていて少し心配したが、登山中は天気に恵まれた。久しぶりに雨具を出すことなく、展望を楽しみながら稜線を歩くことが出来た。

 <行程概略>8時半過ぎ大弛峠着、既に峠の駐車場は満杯。仕方なく200mほど前の路肩にとめる→小屋で水を補給(有料100円)してから8時50分歩き始める→9時20分朝日峠→9時55分朝日岳→10時30分鉄山口を通過→11時金峰山登頂→五丈石付近で早めの昼食→12時20分来た道を下山→14時大弛峠に戻る。

 薄明りの下ダケカンバやシラビソなどが生い茂っている。原生林の中をゆっくりと登って行く。


 稜線上にはデッドツリーが多い。




 遠く南アルプスの連峰が望めた。






 久しぶりの富士が立ち枯れの木の彼方にある。


 ずっと左手に富士の姿を望みながらの稜線歩きだ。




 標高も2500mになろうとするこのあたりではナナカマドも紅葉が旬を迎えている。


 朝日岳を過ぎたら金峰山の五丈岩が遠くに小さく見えてきた。


 稜線上を吹きすぎる風が雲をさまざまな形に変えて行く。ほんの少し目を離しただけで、素晴らしい形が惜しげもなく変わってしまう。見逃せない、風と雲の一瞬の芸術だ。


 少しずつ五丈岩が近く、大きくなってきた。


 鉄山を右に巻いて100mほどの坂を登りきったら、ガレバの広い尾根道に出た。
向こうに見えるのは八ヶ岳だ。手前に奇岩の頂を持つ瑞牆山がみえる。何と言う絶景だろう。


 ハイマツ帯にでた。高山特有の風景が眼前に広がる。


大小のケルンがあちらこちらに築かれている。風もなく、日差しも雲に薄く遮られ穏やかだ。雲上を歩く。いつもながら至福の時だ。


 空を見上げると流れ行く雲の美しさに暫く見入ってしまう。


 錦秋色に染められ始めた頂上まではあと少しだ。




 大岩の間を縫って頂上に向かう。


 あっけなく頂上だ。


 少し下には巨大な五丈石がある。遠くから見たときにはあんなに小さく見えたのに、近づいてみるとかなり大きく重量感がある。


 北側に廻ってみた。


 <続く>

廃村倉沢集落を訪ねる

2008-09-19 | 旅行
 東京奥多摩にあるという廃村倉沢集落を訪ねた。家屋がまだ残されていると思っていたのだが、残念ながらH17年に全て解体された後だった。

 倉沢谷に架かる鉄橋。


 苔むした岩肌


 タマアジサイがこの時期でも咲いていた。




 日原街道の倉沢バス停から100mほど先を急な山道に入る。暫く登っていった所に都指定天然記念物の倉沢のヒノキがある。


 大ヒノキの脇を下っていった先が元倉沢集落だ。空気が一変した。


 数十戸あったという家屋はほとんど解体されていて、立ち入り禁止のロープの向こうに古材が積み重ねられている。






 集落全体は急な階段で結ばれている。


 ここは共同炊事場だったようだ。


うち捨てられたビン。何か寄り集まって、ひそひそと昔語りを交わしているかのようだ。






 建物が解体された後には剥きだしの暮らしの跡が残されている。家屋がないせいか、生活臭はあるもののそれほどの生々しさは感じない。がそれも、やがては時の経過とともに自然に飲み込まれていくのだろう。





積み上げられた石垣を破って木が生えている。



 斜面の一番上に唯一残されていた廃屋。太い水道管が引かれていたところを見ると浄水場だったのか、それとも共同浴場だったのだろうか。



 今は殆ど使われることのなくなった金属製の湯たんぽ。どんな人の懐に抱かれ、冬の厳しい寒さを凌いだのだろうか。






 子供のビニール製の玩具があった。他の物達が時の流れに任せて朽ちて行くのに気づかず、取り残されてしまったようだ。色のない世界の中で、原色の断片が切なく胸を締めつける。




 僅か数十分の滞在にもかかわらず、妙に体がけだるい。次第に辺りの空気が濃く重くなってきた。このままでは座り込んで暫く動けなくなってしまいそうだ。呪縛に耐え切れなくなくなる前に、集落から離れ倉沢谷に降りた。


 谷はここ数日の雨で、山の随所から小滝のように水が噴き出していた。ちっぽけな人の営みや盛衰など、ましてや安っぽい感傷など一気に押し流すかのような清清しい水の勢いだった。

大菩薩嶺を登る

2008-09-15 | 登山
 先日は久しぶりに大菩薩を登ってきた。裂石から入り上日川(にっかわ)峠で車をとめた。峠は3連休の中日のせいか人と車でいっぱいだった。

 <行程概略>9時峠着→9時半福ちゃん荘前通過、唐松尾根方面へ→雷岩10時半到着→10分で大菩薩嶺、ここで休憩→再び雷岩前を通過し11時50分妙見の頭付近で昼食→12時半過ぎ大菩薩峠着→13時15分石丸峠→15時少し前上日川峠に戻る。ほぼ6時間の行程中、天気はめまぐるしく変わった。

今にも振り出しそうな薄曇りの中、針葉樹林帯を歩く。


 やっと樹林帯を抜けた、吹き過ぎるガス。ナナカマドが色づき始めていた。


 少しずつ花の姿も見えてきた。ヤマホタルブクロ


 オレンジ色がきれいなコウリンカ


 ハナイカリ


 背の低いウメバチソウはススキの下に隠れている。


 ノコギリソウ


 登りきった所が雷岩だ。多くの人が柔らかい日差しの中で憩っている。


 本日の最高地点、大菩薩嶺。ここは木立に囲まれ見通しはきかない。


 再びガスが山の斜面を登ってきた。


 意外なことに稜線上にはバッタが多い。歩く先から次々と飛び跳ねて行く。近づいてみると下界のそれと違ってなかなか精悍な顔を見せている。




 シャクナゲ、レンゲツツジ、ズミなどの木に混じってホツツジの花がこの時期でも咲き残っていた。


 年々少なくなっているマツムシソウ。


 眼下に見えるのは賽の河原の避難小屋。天気が良ければこの向こうの空の高みに富士が浮かんでいるのだが……。






 真っ赤に染め上げられたナナカマドの実。


 丈高い笹の下にはフウロソウが顔を覗かせる。


 ウスユキソウ


 小一時間の楽しい稜線歩きも終わりに近づいたようだ。はるか下に大菩薩峠と介山荘が見えてきた。


 めまぐるしく過ぎ去るガス。時々はっとするほど真っ青な秋空が覗く。澄み切った空気、心地よい風が汗を吹き飛ばしてくれる。


 下に見えるのは上日川ダム。


 岩の上で早めの昼食にした。暫く休んだ後、ガレバを下る。下りきった先が大菩薩峠だ。お昼時ともあって、介山荘前は騒がしく人が多い。


 また時間があるので石丸峠方面を迂回して帰ることにする。山荘の売店前を抜けて、原生林の中を登る。先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返っていく。


 木についている地衣類はサルオガセだ。


 石丸峠の分岐が見えてきた。


 毀れかかった古い道標。


 この一帯はウメバチソウやフウロソウ(タチフウロ)、コウリンカ、ハナイカリ、マルバタケブキ(殆ど枯れかかっていた。)等々花が多かった。上日川ダムを背景にハンゴンソウ。


 苔の上から顔を見せていたトリカブト。


 途中林道を跨いだ辺りから小雨が降ってきた。峠手前に親水公園があったので休んで、下りで火照った脚を冷やした。公園にはヒヨドリバナの群落があり、渡り蝶のアサギマダラが数匹、優雅に飛び回っていた。


 帰りはのめこい湯に浸かっていく予定だったが、道が混み遅くなったので断念した。総歩数は約17000歩、富士と南アルプスの展望が見られなかったのは残念だったが、それを除くと結構充実した山行だった。