野に撃沈

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。ペンタックスK10Dをバッグに野山と路地を彷徨中。現在 野に撃沈2 に引越しました。

冬の名残り

2008-01-31 | 野の花
 まだ一月だというのに気ぜわしく春の兆し、芽生えを求めて野をうろついてしまう。まだ吹きすぎる風は冷たいというのに。



 一面の茶色の風景の中にも昨年の命の痕跡がしっかりと残されている。
これはピンク色をした毛色の美しいコウヤボウキ。



 名札にはユウゼンギクとあった。



 この黄色の実は何というのだったか、思い出せない。



 梔子の実。栗きんとんの色付けや薬用にも用いられる。



 秋には繊細な白い花を咲かしていたオケラ。京都の八坂神社では大晦日の深夜に境内でオケラを焚き,初詣に来た人たちはこのおけら火を持ち帰り,元旦の雑煮の種火にする行事(おけらまいり)があるときく。


 アオイ科の綿。実が弾け、中から白い綿毛が見えている。



 イチジクの実を小さくしたようなイヌビワの実を見つけた。




 ……まだ頬に当たる風は冷たい。

雪景色の東大田無農場

2008-01-26 | 散歩
 2年ぶりに東京に雪が降り積もった朝、近くの東大田無農場をのぞいてみた。

 雪はしきりに降っていてやみそうにない。




この農場には古い木造の建物がたくさん残されている。こうした建物には雪がよく似合い、雪国で育ったものとしては郷愁を覚えずにはいられない。















 放置された農機具も侘しげだ。









 最近は殆ど見かけなくなった木製の電柱がここでは今なお使われている。








 牧舎の方には背の高いポプラの木が植えられていて、まるで北海道の牧場風景と
錯覚しそうな広々とした風景が広がっている。普段、煩雑な直線の入り混じった、せせこましい風景の中で生きている僕の視線をストレッチしてくれる。







 最近飼われはじめたダチョウが数羽、ゲージの中で凍えていた。



 何時の間にか風が止み、雪の粒が次第に小さくなってきたようだ。この雪ももうすぐ止んでしまうのだろう。暫くは、郷愁を誘う異風景を楽しむことにしよう。

18キップの旅-五浦海岸

2008-01-21 | 旅行
 <行程概略>
9時半新田駅(東北本線)から小牛田行きに乗る→9時50分小牛田着、56分白石行きに乗る→岩沼11時12分着、ここで常磐線に乗り換える。37分原ノ町行き→原ノ町12時39分到着。ここから先は1時間ほど電車がないので市内をぶらつく。13時40分いわき行きに乗る。→15時01分いわき着、11分水戸行きに乗り換え。→大崎港15時42分着。普通運賃4310円→2300円(18キップ一回分)となった。


 大津港は茨城と福島の境にある港町だ。風光明媚な五浦海岸は日本の音風景百選にも選ばれている。




 五浦灯台。


 この日は海岸近くの温泉民宿に泊まった。翌朝、日の出を見るため早起きして海岸に出た。




 岡倉天心が立てた六角堂。


 白み始めた沖合いを船がゆっくりと通り過ぎて行く。


 
 どういう訳だろうか、数羽の水鳥が松の枝から飛び立っては巣に戻るという行動を何度も繰り返している。


 待つこと30分、やっと雲間から陽ざしが見えてきた。


 いったん宿に戻って朝食を食べる。宿を出た後は五浦海岸を散策し、天心の墓や黄門の井戸、日本美術協会の碑などを見てまわった。これは戦争中日本がアメリカに向かって飛ばした風船爆弾の碑。


 鳴き砂の海岸ということで水辺まで降りてみたが一向に鳴かなかった。


 この日は大津港から途中勝田に寄り湊線に乗った。那珂湊で海産物を土産に買ってから帰宅した。

18キップの旅ー伊豆沼のマガン

2008-01-18 | 旅行
 <前回からの続き>
 その日は、伊豆沼の畔の旅館に泊まった。翌朝未明6時過ぎ、起きて伊豆沼へ向かう。辺りはまだ暗い。東北本線の踏切を渡ったすぐそばに沼はある。。



 踏み切りの近くの小さな池には白鳥やカモ類が多い。警戒心の強いガン類はこの辺りには近寄ろうとしない。野に生きる生き物達は、その種に応じて人との間合いを計っている。白鳥やカモの仲間はガンに比べその距離がかなり近い。


 今日はこの冬一番の冷え込みとか、鳥たちも氷結したかのように身じろぎもしない。



 池の中央部のまだ凍ってない所にキンクロやホシハジロ、オナガ等の小型カモ類がいた。

 そこに起き出した白鳥が一羽割り込んできてカモ達を追い払った。


 対岸では寒々とした風景が広がっている。


 漁具も凍り付いている。


 空は次第に色づいてきた。マガンは眠ったままだ。


 山の端が明るくなってきた。日の出は何度も見ているのに、いつだって崇高な気持ちに襲われてしまう。自然の壮大なドラマを見ていると少し謙虚な気分になる。


 白鳥のいる小さな池にも日が差し込んできた。 


 やっと2,3羽の白鳥が起きだしてきた。



 そのしぐさは何処となく滑稽で、新しい一日にとまどっているかのようだ。


 沼の反対側は日も差し込まずガンたちは依然眠ったままだ。


 7時少し前、やがて眠りが少しずつ破られてきた。身じろぎを始めるガンが現れ、小さなざわめきが段々と大きなくってくる。飛翔は間もなくだ。


 何がきっかけだったのかだろう。何の前触れもなかった。ただ突然大きな力強い羽音ともに群れが宙に浮き上がった。すさまじい羽音だ。

 眼を閉じて日本の音風景百選の一つ、伊豆沼のマガンの大飛翔の音を堪能した。

 空を旋回しながら隊列を整え、やがてガンたちはそれぞれの餌場へ向かって飛んでいった。

 私も餌場へといったん戻ることにしよう。

宿に戻って朝食を済ませ再び沼にやってきた。




 ハクチョウたちも起き出したようだ。





 これは珍しい。白鳥のそばにいるのは沼に多いマガンではなく、ヒシクイのようだ。


 沼の西側を岸沿いに少し歩いた。


 ガンの飛び去った後の水面は何か空虚だ。


 打ち捨てられた小舟と凍りついたハスの実。生き物の姿は見当たらない。



 水面を覆い尽くすハス、花の咲く季節にも訪れてみたいものだ。対岸の洒落た建物は伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターで、沼に飛来する野鳥たちの拠点となっている。

駅から少し遠いのが難点だが、沼の周囲にはこうした施設が4箇所も設けられ、そのうちのウェットランド交流館では安く宿泊も出来る。

 葦原の中に入っていく。



 背の高い枯れた葦の向こうに、一羽だけ嘴を羽の中に突っ込んで眠っている白鳥が見えた。

 寒そうで寂しそうで胸に来るものがあった。




 この後、電車に乗って五浦海岸へ向かった。
 

 

18キップの旅-鳴子温泉

2008-01-16 | 旅行
 18キップを利用して3泊(うち車中泊1日)4日の旅行に行ってきた。

 <行程のあらまし1日目>
23時16分ムーンライトえちごで池袋を出発、連休前夜とあって席は満席だった→4時51分定刻どおり新潟着→隣のホームの村上行きに乗る、4時55分発→ 村上6時過ぎ到着、強風のため列車遅れ始める。→8時50分余目に予定より1時間半遅れて着く→9時21分発の陸羽西線新庄行きに乗った。途中予定していた最上ライン下りは断念。30分遅れで10時半新庄着
 →10時58分発陸羽東線小牛田行きに乗って12時40分過ぎ、またも40分遅れで鳴子温泉に着く。→14時03分発の小牛田行き40分遅れに乗る。→15時40分過ぎ小牛田に着く。強風のため東北線は大混乱していてなかなか下りの一関行き来ず。一時間待ってやっと乗れた。→17時過ぎ新田に着いた。

 羽越線車中から


 未明、暗い雪景色が続く


 強風のためしばしば止まる。そして特急列車をやり過ごす。


 やっと余目駅に着いた。


 陸羽西線は最上川を遡るように進んでいく。


 山間に入り雪はますます深くなっていった。


 新庄駅構内。以前来た時も吹雪だった。



 新庄から陸羽西線に乗って鳴子温泉へ着いた。


 吹雪はやんで、時おり薄曇の向こうに青空が透けて見えるようになって来た。


十数年ぶりの鳴子温泉。駅舎にかかる木札は各温泉の効能を記したもの。その下には今温泉地の何処に行ってもある足湯が設けられていた。。


 2時間ほどあるので散策してから立ち寄り湯に入ることに決める。坂が多く、路面が凍っているので歩きづらい。








 休日なのだが人通りはそれほど多くない。


 高台にある温泉(ゆのかみ)神社にお参りした。


 雪をかぶった狛犬も寒そうだ。


 寂れているわけではないが、温泉地特有のけばけばしい看板が見られない。


 ここのこけしは首をひねると鳴子こけしの名の通り鳴った。


 実際使われたことがあったのだろうか。


 はじめに予定していた共同浴場の滝の湯(150円)は混んでいたのでやめにして、530円と少々高いが「早稲田桟敷の湯」にした。





 昭和23年に地熱開発のボーリングにやってきた早稲田の7人の大学生が掘り当てたもの。ここの湯の良いところは桟敷(時には催し物もあるようだ)で自由に休憩したり、飽きたら街をぶらついて再び湯に入ったりできることだ。今回は時間に余裕がないのが残念。泉質は含硫黄-ナトリウム-硫酸塩-塩化物泉とあった。肌に絡まるような入り心地が素晴らしかった。低張性弱アルカリ性高温泉ということで醒ます工夫はしていたが、それでも私には熱かった。ぬるい浴槽もあれば……。

 鳴子温泉から1時間、小牛田から乗り換えてワンマン電車で20分。ダイヤの遅れで伊豆沼の夕景を撮ることは出来なかった。