中央線の阿佐ヶ谷にある名曲喫茶「ヴィオロン」に久しぶりに行ってみた。3年くらい前に一度来たことがある。この店の存在は以前から知っていたが、阿佐ヶ谷に用事がなく、訪問できていなかった。喫茶店文化を愛する者としてだいぶ前からその手の本を買って、紹介されている店には近くに用事があった際に寄るようにしてきた。
この店は、2002年刊行の「東京喫茶店案内」(沼田元気著、東京喫茶店研究所編集)に紹介されていた。あの高円寺の「ネルケン」も紹介されている。今では書店に行くとレトロ喫茶や洒落たカフェの紹介本はいっぱい出ているが、今から20年くらい前はそれほど注目はされていなかった。ヴィオロン(VIOLON)というのは仏語でバイオリンという意味のようだ。
さて、阿佐ヶ谷駅の北口から歩いて5分ちょっとで到着するこの店だが、店の近くに来ると大きな看板が出ているので直ぐにあそこだと気がつく。12時開店で、開店直後に訪問すると既にお客さんが若干名入っていた。入口を入り、正面に大きなスピーカーが2つ、ドンと鎮座している。その前の位置は入口より30㎝くらい低くなっており、そのまわりに木製の柵のような仕切りがあり、その周辺の一段高いところにも座席がある。入って直ぐに左手にも窓側の座席もあった。ネットの情報だとこのレイアウトはウィーンの楽友協会の大ホールをイメージして作ってあると出ている。
今日は、真ん中の一段低くなった位置、スピーカーの正面の一番離れた位置に腰かけた。入口から歩くと、木の板の床になっており、ミシミシと音がするのが趣があってよい。このエリアには帰るまで誰も入ってこなかった。注文はコーヒー500円。年配の店主らしき男性が注文を取り、運んでくれている。
正面のスピーカーからは比較的大きな音で曲がかかっている。知らない曲もあったが、チャイコフスキーの交響曲、モーツアルトのピアノ協奏曲、そして私が好きなグリーグのピアノ協奏曲(リパッティーのピアノ)などがかかっており、うれしくなった。CDではなくLPをかけているようだ。
ゆっくり寛いでいると、結構お客さんが入ってくる。駅から5分程度とはいえ、まわりは住宅街で若干のレストランがある程度のところである。知らない人が偶然通りがかって入ってくると言うよりは、私のようなクラシック音楽ファンが調べた上で訪問してきたか、常連客であろう。
内部は「お静かに」の注意書きがあり、基本的には話をするための場所ではないと言う考えの店であり1人で行くべき店であろう。また、この店は夜はほぼ毎日、ライブ演奏をしているようだ。
落ち着いた雰囲気でゆっくりクラシック音楽を2時間程度聴いて店を後にした。
ご馳走様でした。また来ます。