ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

俳優座「セチュアンの善人」を観劇する

2024年09月30日 | 演劇

六本木の俳優座劇場で「セチュアンの善人」を観劇した、14時開演、17時終演、シニア料金5,000円、観客の平均年齢は高かった、ここは300人くらい入る劇場だが満員であった

俳優座は、文学座・劇団民藝と並び日本を代表する新劇団の一つ。1944年(昭和19年)2月に青山杉作・小沢栄太郎・岸輝子・千田是也・東野英治郎・東山千栄子・村瀬幸子ら10人によって創立された。初代の劇団代表は千田是也(せんだ これや)。2000年から浜田寅彦、大塚道子と続き、現在の代表は岩崎加根子。

昨年6月に、六本木の俳優座劇場が2025年4月末で閉館することがわかったというニュースがあった(こちら参照)、「劇場の老朽化と収支の悪化」が理由としている、この劇場では東野英治郎、東山千栄子、仲代達矢、加藤剛、市原悦子、栗原小巻ら数多くの名優が舞台に立ってきた

「セチュアンの善人」(神様のおつくりになったこの世は難しすぎます)

原作:ベルトルト・ブレヒト(1898-1956)
脚色・上演台本・演出:田中壮太郎

ものがたり

  • 3人の神様は世の中の乱れを聞かされて、確かめに地上に降りてくるとと、善人は全然いなかった
  • 唯一、セチュアンの男娼のシェン・テのみが神様たちに一夜の宿を提供する善人であったが、生活苦であった
  • そこで神様はお礼にシェン・テに大金を渡し、善人であり続けるよう言って消え去る、シェン・テはそのお金でコーヒー屋を始めるが、金を目当てに親類縁者・隣近所の人間が押しかけ、その大金は使われそうにる
  • シェン・テは時々冷酷な資本家の従弟のシュイ・タに変装し、シェン・テの利益を確保し、コーヒー屋の事業を効率的に進める
  • シェン・テはパイロット志望の恋人ヤン・スンがいるが、だらしないので愛想をつかした、ところがシュイ・タはヤン・スンをコーヒー事業の管理職にすると能力を発揮して、住民をこき使い、効率を上げ、業績を拡大させたが事故で死亡
  • シュイ・タのやり方は資本主義の貪欲さ丸出し、人をこき使い、怪しい原料を使った商品を売るなど問題が多いが、事業を拡大し、地域住民に雇用と安定した生活をもたらし、善人のシェン・テを悩ませる、善人では幸せになれないのかと
  • 神が再び現れると、善人だと思っていたシェン・テと資本家のシュイ・タが同一人物であったことがわかり嘆く、どうしたら良いかとのシェン・テの質問に神は答えられず、最後は勝手にしろと匙を投げる

今日の公演ではめずらしく公演プログラムを購入した、500円。それを読むとこの演劇の概要、問題設定などが少しわかる、いつくか参考になる部分を書くと

  • 俳優座がこの演目を上演するのは38年ぶり
  • この演目は社会主義の応援歌、資本主義下では善人は人間らしい生活はできず、社会主義に変革しなければならないという思想がこの演劇の根底にある
  • 原作者のブレヒトはファシズムに反対して労働運動に関わり、共産党の立場から教育劇などを作るようになった
  • 神様という存在、善人や善が、作者により皮肉られている
  • 対照的な二つの性格が一人の人間に仮託されている、善人の男娼シェン・テと、社員を搾取する男性経営者のシュイ・タ
  • 本来女性が演じるシェン・テを、男性俳優の森山智寛が演じた

観劇した感想を述べたい

  • 原作は資本主義を批判し、社会主義礼賛のようだが、今時その結論では劇は成り立たず、資本主義の批判をパロディーにした演劇だと思った、それはうまくいったと思う、神や善に対する強烈な皮肉が効いている
  • 舞台演出が良かった、第1幕と2幕の冒頭、舞台の床には相撲の土俵のような丸い輪が設置してあり、水売りのワンがその周りをぐるぐる歩く、その時点では客席の照明はまだ落ちていない、劇の開始時の客席のざわつきを静める効果を狙ったものかと思ったが、それはそれでうまいやり方だと思った
  • その土俵のような丸い輪が、演劇が進んでいくと、途中で垂直に立ち上がり、繁盛しているコーヒー屋の名前の文字が輝くゲートのようなものになるところなど、面白かったし、舞台右横ではいろんな道具を使ってちょっとした音を出して劇に味付けしていたのも良い工夫だと思った
  • 舞台背面には電気の照明により飛行機が飛ぶ姿などが映し出され、効果的な演出だと思ったし、最後の方では歌を歌う場面などもあり、飽きない工夫が凝らされていた
  • 出演者では、シェン・テ/シュイ・タの森山智寛は頑張っていた、特にシュイ・タの演技が良かった、ヤン・スンの八柳豪も憎らしい役をうまく演じていた、パイロットになろうとじゅうたん屋の夫婦から金を出させようとするところなど、本当にパイロットになろうとしているのか、金をだまし取ろうとしている悪党のかよくわからないほど、いい加減さをうまく演じていた、その後、コーヒー屋の管理職になるとそれもピッタリとはまった演技だった
  • 床屋の加藤頼も個性が強い役を、いや、加藤個人の個性が強いのかわからないが、よく演じていた、普通の人物か悪人かよくわからなかった、また、女家主の坪井木の実の演技も良かった
  • 若手で最高に良かったのは水売りの渡辺咲和であろう、大きな声で歌を歌ったり、懸命の演技をした、途中、床屋に手をケガさせられるが、その後、水売りの商売がうまくいき、意気揚々と自慢するなど、意外と才能ある女をうまく演じていた
  • 神様の三人も面白かった、最後のシェン・テから「どうしたら良いのですか」と問いかけられた時の困った表情などは笑えた、水売りの渡辺咲和も神様の今野まいもピンチヒッターであるにも関わらず最後まで頑張れたのは立派だと思う

楽しめました


日本女子オープンゴルフ2024を観戦する

2024年09月29日 | その他いろいろ

9月26日から4日間、日本女子オープンゴルフ選手権が茨城県坂東市の大利根カントリークラブ西コースで開催されている、その2日目に観戦に行ってきた、初日は晴れであったが、この日は雨予想

チケットがは日付指定の販売、前日の晴天を自分がプレーするゴルフに使ったため、平日観戦は雨予想のこの日にせざるを得なかった

チケットは5,000円、その他に日付指定でギャラリー駐車場の利用料が1,000円かかった

この日は9時ころにコースについたが天気は運よく曇り、12時ころまでいたが、雨はほとんど降らなかった、傘を持ってこなくても良かったほどだ

さて、このコースはプレーしたこともなければ観戦で来たこともなかった、なかなか敷居の高いゴルフ場で、初代理事長は安西浩氏(東京ガスの元トップ)、著名な財界ゴルファーが集まった株主会員制クラブ、茨城県下では名門、会員権は1000万円、名義書換料330万円、入会金100万円、先ずゴルフにこのくらいの金を出せることが最低限必要となり、あとは会員の紹介と入会審査がある、庶民はお呼びでないコースだ

今日は庶民でもコースに入れるので、プロのプレーを見るのと同じくらいコースをなるべく観察するというのも目的だ

到着して1番ホールに行くと、ちょうど笠りつ子、山内日菜子、アマチュアの肥後莉音の組がスタートするところだったので、その組について歩くことにした、笠りつ子は初日3アンダーで上位につけている

7番ホールまでほぼ一緒について歩いたが、ちょっと疲れたので、7番ホールの途中で休みながら次の組以降のプレーもしばらく見た、2組後に古江彩佳、山下美夢有、竹田麗央の人気プロの組が来るのでそれを7番のティーグラウンドに戻って見る

あとは適当に7番から9番ホールをうろちょろしていろんな選手のプレーを見た、その後、9番と並行に走る13番ホールを見ながらクラブハウスに戻り、観戦終了とした

今回の観戦での発見は

  • 写真撮影、動画撮影OKであった、但し、シャッター音のしない写真アプリを使うことが条件、これはうれしい、今回は動画も取ってみた
  • コースは平坦で、ほとんどアップダウンがない、その分観戦は楽だ、ラフは結構伸びていて、先日の日本シニアオープンほどではないが、10㎝くらいだろうか、日本シニアオープンではティーグラウンドから200ヤードくらいまでは通常の刈高だったが、大利根はティーグラウンドからグリーンまで全部のラフを伸ばしていた
  • 大利根は歩きのラウンドスタイルだが、ティーグラウンド横から約40mか50mの舗装道路があった、ティーグラウンド近辺の芝の保護のためか、良いアイディアだと思った

  • ホールを横切るギャラリー通路はやりほとんどなかった、これがJGA公式競技のコース設定の標準なのでしょう
  • 手のひらサイズの望遠鏡のような形の距離測定器を普段のゴルフで使っており、それを持参すると、選手の打った球が何ヤード飛んだか測定できる、7番ホールのティーグラウンドにいて山下の組のティーショットを見て、そのままそこに残り、選手がセカンド地点に到着したところで、測定器をのぞいて距離を出すと、山下220ヤード、古江235ヤード、竹田250ヤードと出た、他のホールで今度はセカンド地点に陣取り、山下の打ったティーショットの横に行き、そこで測定器をのぞき込み、ティーグラウンドのホール表示板に的を当てて測定すると240ヤードと出た、距離測定器は観戦の必須アイテムであろう、持っている人はあまりいなかったのでまだそこまで思いつく人は少ないのかもしれない


7番ホールの古江彩佳のティーショット

  • このコースはあの井上誠一の設計である、平坦なコースでの井上の設計の特徴は、松の枝を空中ハザードになるようにする、グリーンを砲台にして砲台の半分くらい、あるいは部分的に砲台の下まで刈り込み、ちょっとでもボールがグリーンをこぼれると下まで転がって落ちてしまう、というところであろうか、その特徴がいかんなく出ているコースだった

  • このコースは2グリーン方式だ、私は2グリーンのコースは好きではないが、大利根の特徴は2つのグリーンが大きく離れているホールがいくつかあることだ、例えば7番ホール、100m近く離れており、間に松林がある、これなら問題ない、井上誠一の工夫であろう


奥に見えるのが同じ7番ホールの使っていないグリーン、間に松がある

  • 真夏の猛暑の影響でフェアウェイやグリーンが茶色に変色している現象が名門コースでも見られるが、この日観た範囲ではそのようなところは全く見られなかったのはすごいと思う

楽しめました


トリオ・ミンストレル <東京公演>を聴きに行く

2024年09月28日 | クラシック音楽

東京文化会館、小ホールで開催されたトリオ・ミンストレルの公演を聴きに行った、5,000円、自由席、小ホールの半分以上の席は埋まっていた、シニア層が多い感じがした、14時開演、16時終演

出演

トリオ・ミンストレル

  • ヴァイオリン:木野雅之
  • チェロ:小川剛一郎
  • ピアノ:北住淳

トリオ・ミンストレスは1993年結成、1997年に吟遊詩人と南仏プロバンス地方に吹く季節風の用語を合わせてMinstrelsと名付けた、メンバーの3人ともそれぞれ、同じような時期にロンドン、パリ、ブタペストに住み、研鑽を積み、ヨーロッパの香りや文化をたっぷりと吸収した、そしてワインと同様、年を重ねるごとに熟成が進み、最高のヴィンテージものの演奏を聴かせるという

若い音楽家も良いが、シニアの年季の入った演奏というのも良いものだ

曲目

トビュッシー:ミンストレル(小川剛一郎編曲)
シューベルト : ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 Op.99 D898
ショスタコーヴィチ : ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 Op.67

(アンコール)

ショスタコーヴィッチ:抒情的なワルツ
プロコフィエフ:戦争と平和(小川剛一郎編曲)
八木節
カタルニア民謡:鳥の歌(小川剛一郎編曲)

演奏された曲について

シューベルト : ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調

ピアノの北住の説明によれば、この曲はフランス革命の反動があり、王政復古の保守的な状況になってきた時期に作曲された作品で、おとなしい変化のないとも評される曲であるとのこと

私はこの曲を聴くと村上春樹の小説「海辺のカフカ」を思い出す、「海辺のカフカ」では、シューベルトのピアノソナタ17番のほかに、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲「大公」も出てきて、こちらの方がこの小説のイメージにピッタリはまっていると思っていた。

そして、私の持っている「大公」の2つのCD(ルービンシュタイン、ヤッシャ・ハイフェッツ・フォイアマンの三重奏とカザルストリオ)には両方ともシューベルトのピアノ三重奏がカップリングされており、両方ともよく聞いていたからだ。海辺のカフカ⇒大公トリオ⇒シューベルトピアノ三重奏、という連想である。特に第1楽章の雰囲気が「大公」の第5楽章かと勘違いするほど似ており、「海辺のカフカ」の雰囲気にも合っていると思っている、その曲を今日はじっくり聴けて良かった

ショスタコーヴィチ : ピアノ三重奏曲第2番はピアノの北住の説明だと第2次大戦の最期の1944年の作品で、友人のソレルチンスキーの死を悼んで作曲されたもの、初めて聴く曲だと思うが、確かに全体的に戦時中かつ友人の死ということに接して重々しい曲であった

そして、北住はピアノを使いながらこの曲に込められいる「ファシズム糞くらえ」というショスタコーヴィッチの暗喩が音符に込められているところを具体的に説明してくれたのは興味深かった、音符が読めないのでよくわからなかったが、音符のある部分を連続してドイツ語で読むと、そのように読める部分があるとのこと

つい先日聴いた彼の交響曲第5番もベートーヴェン風に「苦悩から歓喜へ」というスタイルをとっているが、実はそうではなく、スターリン体制の批判が込められていると言われているが具体的にどうそれが表れているとかの説明はなかったので、本当かな、と思っていたが、今日のように説明を受けると「なるほど、そういうこともあり得るな」と思った

さて、今日の観劇の感想を少し述べたい

  • 上にも書いた通り、今日の公演では主としてピアノの北住淳がマイクを握り、曲の説明などを丁寧にやってくれたのは有難かった、最後の方ではヴァイオリンの木野雅之も曲の紹介をしてくれて良かった、ただ黙って出てきて演奏して黙って終わる、というのは人気演奏家ならまだしも、特にこれからの若い人たちはどんどん自分たちをさらけ出して観客との距離を縮めてほしいと思う
  • 今日はプログラムの曲目を1時間40分くらいで終わり、残りの時間はアンコールを4曲も演奏してくれたのは良かった、特に日本の八木節は演奏中に「いよー」の掛け声も入れながらの熱演に盛んな拍手が起こった、アンコールは全曲良かった

いつまでもお元気でご活躍ください


元浅草「天三」で天ぷら定食を食べる

2024年09月27日 | グルメ

この日は午後、東京文化会館でクラシック音楽公演を聴きに行く予定、その前に近くで昼食をと思って探してみると、地下鉄銀座線の稲荷町の駅のすぐ近くに天ぷら屋の「天三」があるのを見つけ、行ってみようと思った、東京生まれ東京育ちの江戸っ子の自分は寿司、天ぷら、鰻、蕎麦などは一番の好物で、よく食べたくなる

12時半くらいに到着、店に入ると先客はなし、なんだか心配になる、1階はカウンターと座敷、2階もあるようだ、カウンター席に腰掛け、メニューを見ると天ぷら定食は3種類ある、安いほうから1,650円、2,200円、2,700円とあり、さらにその上の特別もある、今日は2,700円のものを注文した

メニューには鰻もあるようだ、料理を待っていると次々と客が入ってきた、いいタイミングで入ったみたいだ、しばし待つと料理が出てきた、一見して天ぷらの量がすごい、これは注文を間違えたなと思ったが、好きなので食べ始めると、やはりシニアには量が多かった

メニューに書いてある値段ごとに出される天ぷらの種類と量を見ると、自分には1,650円の一番安いもので十分だと思った、ちなみに注文した2,700円には海老2本、きす、イカ、ホタテ、かき揚げ、しめじ、茄子、レンコン、いんげんの10品目だ

先日、ラーメン天神下大喜に行ったときに全部乗せラーメンをたのんで失敗した教訓が生かされなかった、初めての店ではその店の一番基本料理、つまり一番安いものをまずはたのむのが教訓だった、店はそれで勝負しているはずだ、それを忘れた

さて、この店の良いところは、天つゆが既に容器に注がれて出てくるのではなく、ポットのようなものにたっぷりと入って出てくるかだら、つゆが足りなくなることはない、これはうれしい、また最近はやりの塩をつけて食べる人用に塩も少し出てくるのも配慮が行き届いていると思った

なんとか食べれました、おいしかった、安くてうまい店だ、食べてる間も続々と客が入ってきてほぼ満員状態だ、人気があるのもわかる、良い店を見つけた

ご馳走様でした


ティアラこうとう定期演奏会を観に行く

2024年09月26日 | クラシック音楽

9月下旬の3連休の初日、江東区のティアラこうとうで開催された第78回ティアラこうとう定期演奏会を観に行ってきた、1階S席3,500円、チケットは完売とのこと、値段が安いこともあるだろう、区が補助金を出して安くしているのでしょうか、ここは初訪問、開演15時、終演17時10分、中高年の観客が多かった

出演

指揮:出口大地
ヴァイオリン:中野りな
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

演目

ハチャトゥリアン:バレエ音楽「スパルタクス」より「ガディスの娘の踊り~スパルタクスの勝利」(7分)
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35(33分)
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47(45分)

指揮者の出口大地は、大阪府生まれ、 関西学院大学法学部卒業後、東京音楽大学作曲指揮専攻卒業、2023年3月ハンスアイスラー音楽大学ベルリンオーケストラ指揮科修士課程修了、第17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門にて日本人初の優勝、クーセヴィツキー国際指揮者コンクール最高位及びオーケストラ特別賞、大学が法学部卒業というのが面白い

バイオリンの中野りなは、2004年生まれ、東京都出身、3歳よりヴァイオリンを始め、桐朋女子高等学校音楽科を卒業後、2023年9月からはウィーン市立芸術大学に在学、2021年第90回日本音楽コンクール優勝、2022年第8回仙台国際音楽コンクールにおいて、史上最年少の17歳で優勝、まだ20才というのがすごい

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35

音楽評論家の増田良介氏のネット記事「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は年下青年との恋から生まれた!?」を読むと、この作品が誕生した背景には、12歳年下の教え子の青年コーテクとの熱い恋が関係していた、たった1年のあいだに、コーテクとの破局、女性との結婚、短期間で離婚、そしてコーテクとの再会を果たし、それをきっかけにヴァイオリン協奏曲の作曲を思いつき、25日という短期間で書き上げたのがこのヴァイオリン協奏曲である、どうしてそんなに急いで作曲しだしたのかは謎であるが、コーテクが持ってきたラロのスペイン交響曲がきっかけになったと言われている

本日もらったプログラムによれば、コーテクが持ってきたラロの「バイオリン協奏曲」(1874年初演・出版)から多大な刺激を受け、自分もぜひヴァイオリン協奏曲を描いてみたいと発奮して仕上げた、と書いてある

この曲は、昨年8月にテレビで読響とヴァイオリン荒井里桜との共演を見てブログを書いたところだった、その時のブログから曲の説明部分を引用してみると

「この曲は作曲当時著名なバイオリニスト、レオポルト・アウアーに初演を依頼したところ、演奏不可能と拒絶された曲だ。宇野功芳氏によれば、初演時に高名な批判家ハンスリックは「悪臭を放つ音楽」と酷評した、ロシアの家畜小屋のわらの匂いがするというわけである、保守的で気品が高いウィーンの聴衆にも同じような印象を与えたはずた、とした上で、確かに上品さや高貴さには欠けるが、ロシアの雪景色が眼前に彷彿とするような第二楽章や、両端楽章もドイツ音楽には見られぬものだ、と述べている。」、これと同じことが本日もらったプログラムにも書いてあった

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47(45分)

この曲は、昨年11月に東京芸術劇場で開催された東京都交響楽団 第986回定期演奏会でジョン・アクセルロッド(米、57)指揮の演奏を聴いたところだ、曲の説明だけそのブログから引用してみると

「交響曲第5番は、ソ連によって歌劇『ムツェンスク郡のマクベス夫人』が厳しく批判され、絶体絶命の危機に陥った時に作曲した曲だ。ベートーヴェン風の「苦悩から歓喜へ」という明快な構成、輝かしいフィナーレで終わるこの曲の初演は大成功、危機を脱した。指揮したムラヴィンスキーは、このときが彼との初めての出会いだったが、以後、多くの作品の初演指揮を任せられた。彼の存命中は、社会主義の闘争と勝利を描いている曲と思われていたが、その後、実は彼がこの曲にスターリンに対する批判を込めたという考え方が広まった」、これも本日もらったプログラムに同じ説明が書いてあった

さて、本日鑑賞した感想を書いてみたい

  • 今日の眼目は何といってもヴァイオリニストの中野りなだ、彼女の演奏を聴くのは3回目である、過去2回の彼女の演奏を聴いてすっかり彼女のファンになったので、また彼女の演奏を聴けるのを楽しみにしていた
  • 今日の彼女は、赤いドレスを着飾りステージに登場した、そして、完成当時、難しくて演奏できないと言われたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を見事なテクニックで演奏してくれた、技術的なことはわからないが、私には完璧な演奏に聞こえた
  • 彼女の演奏している姿を見ると、曲に合わせて体を前後左右に振り、優雅にリズムをとって弾いているように見える、まるで蝶が舞うようだ、髪をアップにし、清楚な感じのイメージを出し、上品に、かつ、優雅に舞うようにヴァイオリンを弾く、素晴らしい演奏姿だと思った
  • 演奏後、アンコールの拍手に答えて、小さな声で曲目を紹介したが聴きとれず、なんという曲かわからないが(その後、東京シティ・フィルのwebページで、パガニーニ作曲24のカプリースより第5番イ短調と知る)、非常にテクニックが要求される難しい曲を演奏してくれた、これはこれで素晴らしかったが、ヴァイオリン協奏曲が派手な終わり方をして観客の興奮度がマックスになった後なので、むしろ、観客の気分の高まりを抑えるような静かな曲を演奏してくれた方が組み合わせの妙があって良かったのではと思った
  • ショスタコーヴィチの5番は、いろんな楽器を使って演奏がされるところが面白いと思った、バスドラム、スネアドラム、タムタム、グロッケンシュピール、シロフォン、チェレスタなど、楽器名を聞いただけではどんな形をして、どんな音が出るかわからない楽器が多く使われていた、ただ、舞台左側のピアノの蓋の陰に隠れていた部分が多く、演奏する姿がよく見えなかった楽器があったのは残念だった、左側の座席だったから仕方ない

  • 今日の公演では、チャイコフスキーもショスタコーヴィチもフィナーレが派手な終わり方をするので、最後に演奏が終了すると、間髪を入れず、あるいは若干フライングして拍手をする御仁が私の後方にいたのには閉口した、ロックコンサートではないので、やはり、派手に終わる曲でも若干の余韻を楽しむ心の余裕が欲しいものだ
  • このホールは初訪問だが、ホール内は特にステージはずいぶん上品なデザインであったと感じた、正式名称は江東公会堂であり、クラシック公演だけでなく、歌謡曲の公演、子供のファミリーコンサートなどいろんなことに使われているようだが、そのような公共的性格を持つホールはN●Kホールのように、まるで学校の体育館の舞台のような殺風景なものになりがちだが、ここは非常にセンスの良い舞台であった、写真を撮れなかったのが残念だ
  • 写真撮影は演奏開始前でも終了後のカーテンコール時も禁止であったのは残念だ、東京シティ・フィルの方針なのか、ホールの方針なのか、サービス精神がもう少しあっても良いと思う

良い演奏会でした


亀戸「珈琲と音楽クレシェンド」にて

2024年09月25日 | カフェ・喫茶店

この日は午後から「ティアラこうとう」にクラシック音楽の公演を聴きに行くことになっており、その前にどこか近くの喫茶店を開拓しようと探してみたら、亀戸駅の近くに「クレシェンド」という音楽喫茶があるのを見つけた、駅から歩いて7分くらい

事前にGoogleマップで調べると、店内の写真があり、そこには本格的なオーディオ装置があり、おいしい珈琲と音楽を聴かせる喫茶店らしいので一度訪問してみたくなった

午後1時半くらいに到着、あとの予定が控えているので30分か40分くらいしかいられないが、よかったらまた来ようと思って店に入った、先客は若干名、店内はかなり広い、右側にカウンター、正面にいろんな種類のスピーカーがずらりと置いてある、LPとCD両方をかけられるようだ

暑い日だったので、アイスコーヒー550円を注文、しばし待っていると、店主が豆を挽き、抽出している、作り置きではなく本格的な珈琲を提供しようとしている店だとわかる、従って出てくるまで若干時間がかかる、そして、テーブルには「ケーキ類の持ち込みOK」とめずらしい掲示がしてあるのに驚いた

他の客を見ていると、会話は自由、かかっている音楽は、例のShazamで調べるとクラシック音楽やジャズではなく、フランスのイージー・リスニング界の巨匠フランク・プウルセルという作曲家のSoleadoというアルバムだった

珈琲を運んできてくれた店主とちょっと話をすると、クラシック音楽喫茶やジャズ喫茶とよく間違えられるとのこと、自分はそちらにはあまり興味がなく、オールディーズという古い音楽が好きだという、ベンチャーズなどが好きだとのこと、しかし、クラシックやジャズのアルバムもあるので希望があればかけますよ、とのこと、なんでもいいと言うと、ドボルザークの交響曲8番をかけてくれた、客は私一人になったのでサービスでしょう

帰りがけにもちょっと話をすると、店主はオーディオ装置を自分でいろいろいじるのが好きだとのこと、趣味が高じてリタイア後の商売になったのかもしれないが、ちょっと商店街からは外れているし、お客さんがいっぱい入っているようでもないし、出すのはコーヒーだけのようだから、もともとあまり商売っ気がないようだ、きっと金には困っていなくて、趣味でオーディオをやって他の人にもその音楽を聴かせたい、オーディオを見せたいということかもしれないな、と思った

あとの予定があるため時間があまりとれなかったのが残念だが、帰宅してからこの店のホームページがあるのに気づき見てみると(⇒こちら)、店主のオーディオや音楽にかける思いがいっぱい綴ってあり、興味をひかれた、また行ってみたくなった

ご馳走様でした、また来ます


ドラマチック・ボイス ~プッチーニ没後100年メモリアルコンサート~を聴きに行く

2024年09月24日 | クラシック音楽

9月の2回目の3連休が過ぎて、さすがに猛暑も収まり、涼しくなってきた、「暑さ寒さも彼岸まで」昔の人が言ったとおりになってきた、先人たちの経験に基づく知恵のすごさに感服する

ドラマチック・ボイス ~プッチーニ没後100年メモリアルコンサート~を聴きに行ってきた、東京文化会館小ホール、6,000円、19時開演、21時10分終演、席は8割がた埋まっていた

出演

ソプラノ:平野雅世

藤原歌劇団所属のオペラ歌手、猫大好きソプラノ、文化庁海外研修でニューヨークに留学、大阪と東京を中心に活動

バリトン:今井俊輔

群馬県出身。東京芸術大学首席卒業。同大学院修了。その後イタリアへ渡り研鑽を積む。松田トシ賞、アカンサス賞、同声会賞受賞。第19回 2021年度上毛芸術文化賞受賞。皇居内の桃華楽堂にて御前演奏会に参加。今上天皇皇后両陛下、上皇后陛下、皇后方に披露する

エレクトーン:神田 将(かんだ ゆき)

1967年生まれ。東京都出身。たった1台のエレクトーンでフルオーケストラに迫るサウンドを奏で、電子楽器の常識を覆したエレクトーン奏者。とくにクラシック作品の演奏を得意とし、カザルスホールなどのクラシック音楽専用ホールでのリサイタルを2006年以来続ける

曲目

第1部:プッチーニ没後100年メモリアル(プッチーニ、愛の物語)

  • 歌劇「マノン・レスコー」より、間奏曲、この柔らかなレースの中で
  • 歌劇「トスカ」より、行けトスカ、二重奏、歌に生き愛に生き
  • 歌劇「蝶々夫人」より、手紙の二重奏、第3幕への前奏曲、ある晴れた日に
  • オペラ「外套」より、何もない、静かだ

第2部:ドラマチック・ボイス

  • 歌劇「ボーギーとベス」より、サマータイム
  • 歌劇「カルメン」より、闘牛士の歌
  • 大河ドラマ、翔ぶが如く(一柳慧)
  • 大河ドラマ、龍馬伝(佐藤直紀)
  • 「オペラ座の怪人」(A.L.ウェバー)、序奏から第1幕の終わりまで
  • グラナダ(A.ララ)
  • ユーレイズミーアップ(You raise me up、ラブランド)

(アンコール)

  • マイウェイ
  • 不詳

夏場はクラシックの公演には足が遠のいていた、そこで先日美術館に寄ったときだったか、東京文化会館にも行き、公演チケットを何枚か買った、そのうちの一つが今日の公演

出演者は初めて聴く人ばかりだが、小ホールでの公演は好きだ、公演を聴き終わっての感想を述べたい

  • この公演はエレクトーンの神田将が歌手の平野雅世と今井俊輔の両名を迎えて行う公演であったように見えた、そして、良かったのは通常のクラシック音楽の公演と違い、神田将が司会をして、曲の情報やいろんなことを話してくれたことだ、他の2人にもマイクを持たせ話をうまく引き出していた
  • 神田将のエレクトーンを初めて聴いたが、エレクトーンでオーケストラの楽器のかなりの部分を代替できていた、ヴァイオリンのみならず、フルート、トランペットや打楽器などに似た音を出せるのに驚いた
  • 平野雅世と今井俊輔の歌唱力のすごいのにも驚かされた、小ホールと言っても600名は入る広いホールで二人の声は素晴らしい迫力で響いていた
  • ステージ後方のギザギザ模様の白い音の反射パネル、そこがこの日は演奏に合わせて照明でいろんな色に照らされて華やかだった、こういう照明はこのホールで初めて見た
  • 平野雅世は歌の都度、衣装(ドレス)を変えて出てきた、蝶々さんの時などはドレスの上に振袖を羽織り、良いムードを演出していた、私はてっきり衣装はレンタルだと思っていたら、インタビューの時に衣装は全部、大阪からトランクに入れて持ってきた、タクシーの運転手に引っ越しと勘違いされたと話していた
  • 来ている人は中高年が多いと感じた、3名の出演者それぞれに熱烈なファンがついていてその人たちが来ているように見えた、拍手や声援がすごかったので驚いた、アンコールが2曲になったのも拍手や声援がすごかったからだ
  • 多くの曲を演奏してくれたが、事前の東京文化会館の案内では2、3曲しか紹介していなかった、やはり曲目は開催直前でもいいので事前にオープンにしてもらいたい、予習して公演に行きたいからだ
  • 今日聞いた曲では、最後のYou raise me upとアンコールの2曲が抜群に良かった、いずれも二重奏、デュエットであり、曲もよく、かつ、二人の歌唱力が存分に発揮され、素晴らしかった、拍手が一番大きかったように思えた、残念なのはアンコール曲を公演後紹介していないことだ、翌日でもいいのでHPやXなどで紹介してほしい

素晴らしい公演に満足しました


「蔵前いせや」で天ぷら定食

2024年09月23日 | グルメ

石川県能登半島の大雨で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。年初の地震被害に続く災害でさぞかし大変なことと思います、一刻も早い救助が行き届きますよう祈念しています。

この日は、夜7時から東京文化会館でクラシック音楽の鑑賞、その前に腹ごしらえしようと思い、蔵前のいせやで天ぷらを食べてみたくなった、何回か来たことがある店

夕方、店に入ると先客はわずか、1階のテーブル席に座り、メニューを見る、天丼か天ぷら定食かどちらにしようか、ここは丼物のメニューが多いが、私は天丼より天ぷら定食の方が好きだ、天丼は天ぷらにかけるタレが甘くべたべたする感じがするからだ

今日は天ぷら定食の一番高い2,800円を注文した、それでも値段はリーズナブルだろう、出来上がるのを待つ間に店内を眺めると、向かいの壁に芸能人らの色紙がびっしりと貼ってある、テレビなどにも出て有名な店なのかもしれない、また、テーブルの上には小さな人形などの手芸品がかわいらしく置いてあるのが家庭的な雰囲気がして微笑ましい、近くのうなぎやしまもそうだった

さて、料理が出てきた、写真には写っていないが、これに味噌汁がつく、天ぷらは大海老2本、レンコン、茄子、シシトウ、かき揚げである、ほうれん草のおひたしに、お新香がついているの

ここの天ぷらは江戸前で、ごま油であげているのか、衣の色が少し濃い茶色になっているのが良い、さらに衣がしっとりとしている感じがするのが特徴である、衣や衣に入れる材料に何か工夫がしてあるのでしょう、料理しないのでその辺はわからないが、嫌いではない

おいしく頂きました、やはりたまに無性にここの天ぷらが食べたくなる、ただ、天つゆの量が少なかった、言えば足してくれるだろうが、もうちょっと大きな器に入れてくれたら有難い

ご馳走様でした


文学座9月アトリエの会『石を洗う』を観劇

2024年09月22日 | 演劇

久しぶりに演劇公演を観てきた、今回は、文学座アトリエの会『石を洗う』、5,000円、14時開演、16時半終演、途中休憩1回15分含む

作:永山智行(1967年生れ、劇作家/演出家/劇団こふく劇場代表)
演出:五戸真理枝
場所:信濃町・文学座アトリエ(初訪問)

九州の演劇界を牽引する永山智行氏が文学座に初めて書き下ろす戯曲との触れ込み

文学座アトリエとは、ホームページから引用すると、1950年竣工、イギリスのチューダー様式が採用されている文学座の稽古場で、前衛的実験的な作品を上演する「アトリエの会」を行う文学座の拠点。 1950年より現在に至るまで「アトリエの会」の上演場所として活動を続け、 日本の演劇界に歴史を刻み続けてきました、 劇団のほぼ全ての演劇活動がこのアトリエで作られています、とある

信濃町の駅から歩いて10分弱、事前に地図を見ておいたので場所は直ぐに分かった、劇場内は120席くらいか、先日行った俳優座スタジオと違い、舞台を正面に見てすべての座席が配置してあり、奥行きは全部でG列までか、舞台は非常に見やすかった、また、1階のため火事などの非常時にも心配不要な劇場だと思った

舞台正面から観客席奥まで行く通路が2つあり、これが歌舞伎の花道みたいに利用されており面白かった

文学座(代表角野卓造)は、1937(昭和12)年9月、久保田万太郎、岸田國士、岩田豊雄(=獅子文六)の文学者の発起によって創立、「真に魅力ある現代人の演劇をつくりたい」、「現代人の生活感情にもっとも密接な演劇の魅力を創造しよう」を理念としている

活動は本公演、アトリエの会、附属演劇研究所という三本柱があり、今回はアトリエの会の公演だが、本公演の方は、創立者の3名に始まり、森本薫、加藤道夫、三島由紀夫、有吉佐和子、宮本 研、平田オリザ、なかにし礼、鄭義信、川﨑照代、マキノノゾミ、中島淳彦らがかかわってきた、海外作品でもシェイクスピア、チェーホフなどの名作に加えて、テネシー・ウィリアムズ、ソーントン・ワイルダーの作品をいち早く採り上げてきた

また、森本薫『女の一生』、有吉佐和子『華岡青洲の妻』、E・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』、T・ウィリアムズ『欲望という名の電車』などの数々の名舞台を生み出してきた

なかなか由緒ある劇団のようだ、ただ、文学座をはじめとする演劇の集団も路線の違いなどにより離合集散を繰り返しているようだ、この文学座は現存する劇団で一番古い創立、これに続いたのが俳優座で1944年創立となっている

出演

寺田路恵、玉井 碧、鵜澤秀行、高橋ひろし、鈴木弘秋、太田しづか、杉宮匡紀、森 寧々

あらすじ(劇団の説明を引用)

九州南部のとある集落、だんだんと人が減っていき、いまは数十世帯のみが暮らしている。元清掃公社職員の小川和士は、現在は個人で墓石の清掃などを請け負いながら暮らしている。

ある日、小川に墓石の清掃の依頼をしている若い女が横浜からやってきた。同じ頃、その集落にひとりで暮らす石津サエの許には孫の拓己が訪ねてくる。また同じ頃、都内に住む会社員・半谷誠生の周りでは不思議な出来事が起きていた。

その年、それぞれに起きた出来事たちは、まったく無秩序で無関係なものなのだろうか・・・ここにいる者とここにいない者たちの邂逅の物語

いつも感じるのは出演者が誰の役をやるのか劇団ホームページで開示されていないことだ、予習して当日を迎えたい人にとっては有料でもいいから公演ノートをwebで事前に閲覧できるようにしてもらいたい

けっこう筋書きは複雑で、それぞれの登場人物の位置づけが上記のあらすじの説明だけではわかりにくかった、最後まで見て、何となくわかったという感じだった

今回の劇の問題意識としては、これまた劇団の説明を引用すれば、

やがてその集落は緑に覆いつくされ消えていくのだろうか。家も田畑も、そこにあった暮らしも。ここにあるのは、わたしたちの原風景。そしてわたしたちの現実。わたしたちはいつも、なにかを忘れている気がする。わたしたちは、こう生きるしかなかったのだろうか

この問題意識も最後まで演劇を観て何となく、そうなんだ、と言う感じで理解できた、劇の途中で、元タクシー運転手の谷元勤が足を怪我して入院している病院のベッドで「自分は国鉄に勤めていた、もっと働きたかったが民営化の時に余剰人員と言われ退職した、このころから日本はおかしくなった」と言っていたのが印象的だった

藤原正彦教授によれば、「日本は帝国主義、共産主義、新自由主義など、民族の特性に全くなじまないイデオロギーに明治の開国以来、翻弄され続けてきた国である」とある、そうかもしれない

さて、今日の演技を観て、いつものことながら出演者の演劇にかける情熱を感ぜずにはいられなかった、それぞれの出演者は精一杯演技していた、明日が最終日だから一番油が乗った所でもあったのであろう、セリフにつっかえるところも全然なく、自然な感じで話していたのが好印象だった、座席と舞台が接近しているのも迫力を感じられて素晴らしかった、演劇というのはこのくらいの規模で観るべきものかもしれないと思った、ただ、収容能力がもっとあるところでやるか、チケット代を値上げしなければ採算的にはきついだろうなと感じた

出演者は物語の内容から年配者と若者と適度にミックスしていて、その面でも、ベテランと若手の両方の役者の演技をじっくり観れて良かった、ベテランはベテランの味を出し、若者は元気溌剌としたきびきびした演技で良かったと思う

なお、タイトルの「石を洗う」だが、これは劇中に元清掃公社職員の小川和士が墓石の清掃を仕事として、そこを中心に劇が進められ、祖先を大事にする、故郷を大事にする、仕事しつづけることが大事である、などのいろんな意味が墓石を清掃することに込められてるし、我々の祖先と生き方を象徴するものである石を今生きている皆で支えていくべきでは、という意味がポスターの絵になっているのかな、と思った

楽しめた演劇でした


「まぐろ人」で寿司

2024年09月21日 | グルメ

浅草にある「まぐろ人」雷門出張所で寿司を食べてみた、この店は浅草中心に数店、店を構えている、浅草では新仲見世通りの例の浅草アンダーグラウンドのすぐ近くに本店がある、本店の方はカウンター席とテーブル席があり、いずれも座って食べるスタイルだが、こちら雷門の方は立ち食いスタイルである

立ち食い寿司は新橋烏森口にある「鮨処みやこ」に何回か行ったことがあり、また、最近訪問した立石駅にも「栄寿司」という呑兵衛には有名な立ち食い寿司店であり、一度行ったことがあるが、まだまだ普及してはいないだろう

さて、この日は開店時間の11時少し過ぎに行ってみたが、まだ誰も先客はなく、直ぐに入れた、11時半過ぎに店を出るときには4、5人の客が入っていた、もうちょっとゆっくり来ても大丈夫だったがあとの用事があったので早めに来てよかった

メニューは壁や白板に書いてあるし、目の前のカウンターのガラス張りの冷蔵庫の中に寿司ネタが入っているのでそれを見て注文する、一貫ずつ注文できるし、ランチメニューでお任せで盛り付けたセットもあった、今日はランチセットではなく、好きなものを順番に頼むことにした


まず、白身魚から、左からシマアジ、カンパチ、鯛

次に光り物、サンマ、小肌、しめ鯖(これは写真撮るのを失念 )


次にイカや貝を、ヤリイカ、白イカ、ホタテ貝


大トロ、中トロ、赤身


サーモン中落ち軍艦


最後に巻物を、梅しそ巻き

全部で13貫と巻きもの一本で3,560円、若干足りないかなと感じたが、この日はこの後観劇する予定だったので満腹になっていはいけないと思い、腹八分目で抑えることにした

店内はカウンターのみで、10人くらい入れる広さか、カウンターの中に寿司職人が二人、会計を含めてテーブル係りが1名で運営していた

外国人観光客も入ってきていた、英語メニューもあった、気軽に寿司を食べられる店として回転寿司とは一味異なった普通の寿司屋のような雰囲気で食べられるのが売りなのでしょう

2000年に浅草に一号店を出店してから業容を拡大してきているようだ、それなりに客に支持されているのでしょう、おいしかった

ご馳走様でした