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「N響/マーラー交響曲 第3番」を聴きに行く

2025年04月28日 | クラシック音楽

2025年5月のN響のAプログラム、マーラー交響曲第3番の公演に行ってきた、場所はNHKホール、2階A席、ほぼ満席に見えた

曲目:マーラー/交響曲 第3番 ニ短調(全6楽章、演奏時間100分)
全曲初演:1902年6月、クレーフェルトの音楽祭

この日の演目はN響が今年ヨーロッパ公演で演奏する予定の曲であり、この日の演奏はその事前お披露目であろう

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プログラム・ノートによれば「グスタフ・マーラー(1860〜1911)は1891年3月にブダペストのハンガリー王立歌劇場監督を辞したあと1897年にウィーン宮廷歌劇場に移るまで、ハンブルク市立劇場(現ハンブルク国立歌劇場)の首席楽長の職にあった中、1893年夏の休暇からは風光明媚なオーストリアのアッター湖畔シュタインバッハで作曲に没頭するようになる。その環境は彼の創造力を搔き立て、《交響曲第3番》は《第2番》とともにそこで生まれた大作である。《第2番》が人の死と復活をテーマにしたのに対し、続く《第3番》と《第4番》では生きる喜びが表現されている」としている

マーラーは当初、各楽章に標題をつけていたが出版時にすべて削除したという、今日のプログラム・ノートには参考のためであろうか、以下の標題が記載されていた

第1楽章〈力強く、決然と〉
第2楽章〈テンポ・ディ・メヌエット、とても穏やかに〉
第3楽章〈コモド・スケルツァンド、慌てないで〉
第4楽章〈きわめてゆるやかに、ミステリオーソ、一貫してppp〉
第5楽章〈活発な速度で、表情は大胆に〉
第6楽章〈ゆるやかに、平静に、感情をこめて〉

この曲についてマーラーは、「従来のありきたりの形式に依るところはなく、交響曲と呼ぶのにふさわしくない」と語り、「常に新しく変化を続ける内容が自ずとその形式を決定する」としている、そして、非常に長い両端楽章が4つの楽章を包み込む構成となっている

ライプツィヒ時代の1887年頃に見つけたドイツ民謡詩集『こどもの不思議な角笛』は、詩から呼び起こされる霊感が大自然を前にしてさらに膨らみ、互いに深く関わるオーケストラ付きの歌曲群と交響曲群へとつながった、とプログラム・ノートにある

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指揮/ファビオ・ルイージ
メゾ・ソプラノ/オレシア・ペトロヴァ
女声合唱/東京オペラシンガーズ
児童合唱/NHK東京児童合唱団

オレシア・ペトロヴァはレニングラード生まれ、ファビオ・ルイージ指揮のN響とは2022年9月ヴェルディ《レクイエム》、2023年12月マーラー《一千人の交響曲》に続く共演、ヨーロッパ公演でも共演するそうだ

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感想

  • この曲はテレビで放送されることもあまりなく、私が持っている宇野功芳先生の本でも取り上げられていないため、映画に出てくる第4楽章以外は聴いたことがなかった、初めて聴く100分の長い曲なので集中力を維持するのが大変だろうなと思っていたが、全然そんなことはなかった
  • ヨーロッパ公演と同じ演目ということで、出演していたN響メンバーも主席クラスがずらりと並んでいた、コンマスは読響から移籍した長原幸太で、その横には郷古簾という豪華さ、さらにホルンには退任した福川伸陽の姿もあったのには驚いた
  • 第4楽章(きわめてゆるやかに、神秘的に)は、ルキーノ・ヴィスコンティ監督の映画「ベニスに死す」のいくつかのシーンで流れている曲であり素晴らしい楽章、大好きだ
  • この第4楽章は、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの著作『ツァラトゥストラはかく語りき』の「真夜中の歌」を歌詞としたアルト独唱を伴う楽曲で、歌詞には「深い夢から私はいま目覚めた」という一節があり、ヴィスコンティ監督はこの詩句に着目し、アッシェンバッハが官能の美の世界に足を踏み入れる象徴としてこの楽章を選んだとされている
  • この日、普段聴きこんでいる第4楽章を特にじっくりと聴いた、全体的な演奏は素晴らしく、吉村結実のオーボエがよかったし、オレシア・ペトロヴァの歌もうまいと思った、ただ、この楽章でオーボエと同じくらい大事な役割を果たすホルンについて少し不満が残った、途中で音が割れるような感じがしたし、音が大きすぎると思った、標題にもある通りこの楽章は「一貫してppp(ピアニッシシモ)」だからもっと優しく吹かないといけないのではないかと思う

  • 第1楽章だったかどうか忘れたが、トランペット(orポストホルン)を舞台裏で長いことソロで吹く場面がある、舞台に出ているメンバーには長谷川智之がいなかったのでたぶん彼が吹いているのだろうと思ったが、最後のカーテン・コールで出てきて盛大な拍手を浴びていた、演奏はうまいと思った
  • マーラーの交響曲は熱心に聴いてないので好きとも嫌いとも言えないが、この日の3番の第4楽章と最後の第6楽章も非常に良かった、また、映画「ベニスに死す」で使われた交響曲第5番第4楽章(アダージェット)も好きだ、その意味で「ベニスに死す」という映画はマーラーファンにとって必見の映画でしょう(そのブログはこちら
  • 映画関連、マーラー関係でもう一つ、上に書いた曲目の説明に出てきた「1893年夏の休暇からは風光明媚なオーストリアのアッター湖畔シュタインバッハで作曲に没頭するように・・・」の部分だが、この湖畔の屋敷はケン・ラッセル監督の映画「マーラー」に出てくるあの湖に突き出たような作曲小屋のことであり、この映画の中ではかなり強烈な印象を与えるものである、プログラム・ノートを読んでそのシーンを思い出した(そのブログはこちら
  • ルイージの指揮は初めてだと思うが、けっこうアクションが多いと思った、熱心にやっている証拠なので、本人がそれでよいなら文句はないが、私は指揮者のオーバーアクションは好きではない、この日の100分にわたる演奏で一番疲れたのは100分立ったまま熱心に指揮していたルイージだと思った
  • 久しぶりにNHKホールに行ったが、開演前のアナウンスでは「写真撮影はカーテンコール時に可能である」と放送していたのには感心した、ここまできちんと観客にアナウンスしている例は他では経験したことがなく評価できる対応である

楽しめました



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