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映画「新幹線大爆破」を観る

2025年05月16日 | 映画

映画「新幹線大爆破」をネットフリックスで観た、2025年製作、137分、監督:樋口真嗣

高倉健が主演、千葉真一、田中邦衛、宇津井健らそうそうたる俳優たちが共演した1975年東映製作の名作サスペンスパニック大作「新幹線大爆破」を「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督がメガホンをとり、現代版として新たに映画化したもの、ネットフリックスで人気だというので観てみた

新青森から東京へ向けて出発した新幹線「はやぶさ60号」、車掌の高市和也(草彅剛)はいつもと変わらぬ思いで乗客を迎える。そんな中、1本の電話が入る、それは、はやぶさ60号に爆弾を仕掛けたというもので、爆弾は新幹線の時速が100キロを下回ると即座に爆発するという、高市は極限状況の中、乗客を守り、爆発を回避すべく奔走する、一方、犯人は爆弾解除のかわりに1000億円を要求してくる、はやぶさ60号の乗務員・乗客はさまざまな窮地と混乱に直面し、事態は鉄道会社や政府、警察、国民をも巻き込み、犯人とのギリギリの攻防戦へと展開していく

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鑑賞した感想(一部ネタバレあり)

  • 面白かった
  • 東京駅まで走り続けなければならない新幹線の上り線の延長線上に故障して動けなくなった新幹線が停まっており、衝突回避のため下り線に時速100キロで線路変更する、実際にこれをやれば大惨事になるであろうがそこはドラマだ、最後の大宮近くの線路上でも同じような線路変更を使った後部車両切り離し策を実行するが、これも実際には実現不可能でしょう、もう少し、ぎりぎりあり得ると思わせる方策がなかったのかと感じた
  • この100キロ以下のスピードになると爆弾が爆破するというのは1994年のアメリカ映画「スピード」と同じだ、「スピード」の場合はバスだった、「スピード」の脚本家グレアム・ヨストや製作側は「新幹線大爆破(1975年)」からの影響を認めていない、アイデアは「父との会話の中で浮かんだ」というのが脚本家の証言のようだ

  • この事件の直接的な犯人である柚月と、彼女をそそのかし爆弾を仕掛けさせた昔の新幹線爆破事件の犯人の息子 (ピエール瀧)がもう一人の真犯人だったが、分かりづらかった、複雑すぎると思った、犯行動機がいまいち説得力がないと思った
  • 出演した俳優で一番いい演技をしていたなと感じたのは車掌役の草彅剛ではなく、JR東日本の新幹線運行管理室の責任者笠置雄一役を演じた斎藤工(たくみ)だ、常に冷静で、乗客の安全第一を最重要な使命として任務を遂行する凛々しい姿をよく演じていた、草彅剛があまり印象に残らなかったのは現場の車掌として自分で意思決定できることがほとんどなかったからではないか
  • もう一人出演者で気になったのは新幹線の運転手をしていた松本千花役の女優だ、「どこかで見たことがあったな」と思って観終わった後で調べたら映画「わたしにふさわしいホテル」に出ていたあの「のん」だった、今回は違ったキャラクターをうまく演じていたと思った
  • この映画で最も印象に残ったのはJR東日本の新幹線指令室の社員、新幹線の運転手や車掌、鉄道現場の保線作業員からワゴンサービス販売員に至るまでのすべての現場の社員たちの使命感や責任感の強さである、これこそ日本企業の強みであろう点を存分に見せてくれた、これがある限りまだまだ日本は大丈夫だと思わずにはいられない

  • 同じことを感じさせる実際の事件がつい最近でも起こった、それは昨年1月2日の羽田空港における日航機と海上保安長機の滑走路上での衝突事故後の日航機の機長や客室乗務員による救出劇だ、極限状態において冷静に日ごろの訓練通りの救出ミッションを実践して乗員・乗客全員を無事に事故機から避難させたあの「羽田の奇跡」だ、テレビで日航機が炎上しているのを見て誰しも最悪の結果を思い浮かべただろう、彼ら彼女らの行動はもっと称賛されるべきでしょう
  • このようなことは日本では枚挙にいとまがない、もう一つ例を挙げれば東日本大震災時の福島第一原子力発電所の事故の東電現場所長や社員たちの必死の対応だ、これは2020年に渡辺謙、佐藤浩一主演の「Fukushima 50」という映画にもなったのでご覧になった方もいるだろう、原発が全部爆発して東日本全体が放射能汚染されるという最悪の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた社員たちの姿を明らかにしたもので、命がけの作業だった
  • この素晴らしい例があるにもかかわらず、現場の社員を非難したのが新聞である、例えば原発事故の際は「現場社員が所長の待機命令に違反して10キロ南の福島第二原発に撤退した」との批判記事をでかでかと出した新聞があったが大誤報だった、この件で新聞社の社長が引責辞任した
  • 最後にもう一つ日本企業の素晴らしい現場力のある事例を紹介したい、それは同じく東日本大震災の際の東京スカイツリー建設を請け負った大林組と協力会社の現場社員たちの必死の対応だ、NHKの新プロジェクトXの第1回目で取り上げていた、当時はスカイツリーの完成一歩手前で、最上部の電波塔がもう少し上昇し最終的に固定される直前に大地震が起こった、次に大きな余震が来たら電波塔は下まで落ちてしまう可能性があった、その時、現場の人たちがとった決死の対応だ

まだまだ日本は大丈夫だ、一番ダメなのは新聞だ、政治家もダメだがそれは新聞がしっかりとした役割を果たさないからだ


映画「ビーキーパー」を観る

2025年05月05日 | 映画

映画「ビーキーパー」を観た、2024年、105分、アメリカ・イギリス合作、原題:The Beekeeper、監督:デビッド・エアー

アメリカの片田舎で養蜂家(ビーキーパー)として隠遁生活を送る謎めいた男アダム・クレイ(ジェイソン・ステイサム)、ある日、孤立している彼に優しく接してくれていたある善良な老婦人がフィッシング詐欺に遭って全財産をだまし取られ、絶望のあまり自ら命を絶ってしまう、怒りに燃えるクレイは、社会の害悪を排除するべく立ちあがる、その老婦人の娘がFBIの捜査官ヴェローナ・パーカー(エミー・レイバー=ランプマン、1988、米)だった

米政府の秘密組織「ビーキーパー」に所属していた過去を持つ彼は、独自の情報網を駆使して詐欺グループのアジトを突き止め、単身乗り込んだ末にビルごと爆破、その後も怒涛の勢いで詐欺集団の黒幕に迫っていくが、その先に立ちはだかるのは絶対に誰も手が出せない最高権力の・・・

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映画の感想

  • 主演のジェイソン・ステイサム(1967年、英)は、リュック・ベッソンの『トランスポーター』(2002年)で初めて観てそのアクション俳優ぶりに驚いた記憶があるが、それ以来、1、2度彼の出演した映画は観た、もう若くないがアクション映画が似合っている俳優だと思った
  • 物語りのとっかかりがひっそりと隠れて暮らし周囲から孤立していたアダムにやさしく接してくれた老婦人のフィッシング詐欺被害という最近日本で起こったオンライン株取引詐欺被害と同じような事件を題材にしていたので興味を持った、実際、老人がフィッシング詐欺で大金を失えばそのショックは大きいでしょう、日本ではまだオレオレ詐欺などで多額のお金をだましとられる不幸な事件が映画になっていないが誰か作ってくれないものだろうか
  • 映画の冒頭に老婦人が詐欺にあい、アダムがその犯人の会社を突き止め乗り込んでいき、オフィスに灯油を撒いて火をつけて復讐をする・・・これが冒頭の30分以内に起こり、「はて?」、犯人を探し出し、復讐を成し遂げるまでのドラマだろうと思っていたからこの先、どういう展開になるのだろうかと思ったが、そこは脚本家や監督の腕なのでしょう、どんどん意外な展開があり面白かった

  • 国家は蜂の群れに似ている、群れに何か問題が起こると群れは崩壊する、それを崩壊させないためのプログラムがビーキーパーだ、米政府の指揮系統には属さない体制外に位置し、体制を維持することが唯一のミッションである、あらゆる手段を有し自らの判断で行動し何十年も群れの安全を維持してきた極秘のプログラムということだが、何だか聞いたことがある話だ・・・そうだ、つい最近観たばかりのあの「VIVANT(別班)」だ、どこの国も同じようなものがある、同じような想像をする脚本家がいるということか、あるいはVIVANTをパクったのか?
  • 映画でのアクションは子供だましの有り得ないようなものだが、そこはチャンバラ映画やプロレスと同じで、許されるでしょう、ただ、最後の終わり方が何だか次回のシリーズにつなげるような形だったのか気になった

楽しめた


ドラマ「VIVANT」を観る

2025年04月21日 | 映画

Netflixで「VIVANT(全10話)」を観た、このドラマはTBSテレビで2023年7月から9月まで放送された、『半沢直樹』などで演出を務めた福澤克雄氏が原作を手掛けたオリジナルドラマ、異例とも言える高額の製作費用が投入され、撮影はモンゴルと国内8都県県)で行われた

けっこう人気があるテレビドラマであることは知っていたが、知人から「見ましたか」と聞かれるほどなので自分も観てみようとなった

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出演

堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、迫田孝也、富栄ドラム、二宮和也、林遣都、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司

原作/福澤克雄
脚本/八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
演出/福澤克雄、宮崎陽平、加藤亜季子

演出を務める福澤克雄氏は、『3年B組金八先生』『砂の器』『華麗なる一族』『南極大陸』『99年の愛 ~JAPANESE AMERICANS~』などの超大作をはじめ、近年は『半沢直樹』シリーズ、『下町ロケット』シリーズ、『陸王』『ドラゴン桜』など数多くの大ヒットドラマを世に送り出してきた業界の有名人で、今回は原作も手掛けたという凄腕だ

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大手商社「丸菱商事」の社員・乃木憂助(堺雅人)が、誤送金事件の責任を問われ、その損失を取り返すために中央アジアのバルカ共和国へ向かう、現地で奮闘するが誤送金問題はテロ組織「テント」の工作員が丸菱商事にいると睨む公安の野崎守(阿部寛)から捜査対象とされ事態はどんどん予測できない方向に進んでく・・・

全10話を観た感想としては、

  • けっこう面白かった、ヒットするだけのことはあるドラマだと思った、モンゴルで多く撮影がなされたようだが、モンゴルの砂漠の雄大な景色も良かった
  • テレビドラマなので、実際にはこんなこと有り得ないだろうという場面が多くあった、例えば踏破することが不可能と言われている広大な砂漠地帯を10日間くらいかけてラクダに乗って横断することなど、でもそれはドラマを面白くするためのものだから良いと思う
  • ストーリーは途中から何度もどんでん返しがある、誰か味方か敵か、何度も驚かされハラハラする、「そうだったのか」と意外な展開に驚き、楽しめた、よく考えられていると思う
  • 出演者の中では公安警察役の阿部寛が良かった、彼の出演する映画やドラマはいくつか見たが良い作品が多いと思う、今回も適役だと思った
  • 世界医療機構医師をやった二階堂ふみという女優も良い演技をしていると思った、その他の女優では大使役の檀れいもよかった、ただ、こんな美人大使は実際にはいないだろうが

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  • 一方、主役の堺雅人は実はあまり好きではない俳優だ、彼を一躍有名にした「半沢直樹」も良いドラマだったが、彼の演じる役柄か彼自身の性格かわからないが強烈な個性を出しており、押しの強さと独特なセリフ回しと表情がどうも好きになれないのだから仕方ない、演技を離れればごく普通の人であれば、それは大した演技力だと思うが、実は演技では地の性格も出して成功しているのではないかと思えるのだがどうだろうか
  • テントのリーダーであるノゴーン・ベキ(役所広司)の子供役の二宮和也は役柄に合っていないと思った、優男のイメージがあるので今回の役柄には合わないと思った
  • 役所広司は好きな俳優だが、今回のベキ役はどうかなと思った、髪を伸ばし、ひげ面にした姿で親分の迫力を出そうとしたのだろうが、似合っていないと思った、役所広司は男前であり、ダーク世界の実力者というイメージがどうも合わないと思った、こういう役は一癖ある俳優が向いていると思った、具体的に誰が良いかは思い浮かばないが、歌舞伎俳優で言えば松緑のような人が良いと思う

楽しめました


映画「教皇選挙」を観る

2025年03月29日 | 映画

映画「教皇選挙」を観た、2024年、120分、米・英合作、原題Conclave、監督エドワード・ベルガー

ローマ教皇選挙の舞台裏や内幕に迫ったミステリー、第97回アカデミー賞で作品、主演男優、助演女優、脚色など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した作品

コンクラーベ(Conclave)はラテン語の「cum clave(鍵をかけて)」に由来し、外部からの干渉を防ぐために密閉された空間で行われる教皇選挙、密閉の様子が映画でも描かれていた、また、主人公であるレイフ・ファインズはConclave(kɑ'nkleiv | kɔ'ŋ-)を英語で「コンクレイブ」と発音していたが音声付ネットの辞書でもコンクレイブと発音している

全世界14億人以上の信徒を誇るキリスト教最大の教派・カトリック教会、その最高指導者でバチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった、新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうで極秘の投票がスタートする、票が割れる中、水面下でさまざまな陰謀、差別、スキャンダルがうごめいていく、選挙を執り仕切ることとなったイギリス出身のローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)は、バチカンを震撼させるある秘密を知ることとなる

この映画を理解するためには教皇選挙の仕組みを事前に簡単に調べておく方が良いでしょう、私はそうはしなかったが、事後的に調べると概略以下の通りであった

選挙権:80歳未満の枢機卿のみが投票権を持つ(通常120名以内)

被選挙権:カトリックの男性なら誰でもOK、実際には枢機卿の中から選ばれる

投票の手順

  • 「2回ずつ投票→開票」を繰り返す方式で行われる(この2回ずつの意味が?)
  • 1日最大4回の投票が可能
  • 投票は紙の用紙、各枢機卿が候補者の名前を書き折りたたんで投票箱に入れる
  • 票を集計し候補者ごとの得票数が発表される

当選の条件

  • 有効票の3分の2以上を獲得
  • 投票が続いても決着しない場合、一定回数後に規則が変更されることがある

煙の合図

投票の結果はシスティーナ礼拝堂の煙突からの煙で示される

  • 黒い煙:新しい教皇がまだ選出されていない
  • 白い煙:新しい教皇が決定した

新教皇の発表

当選者が結果を受諾すると、新教皇名を選び、枢機卿団の長が外に向けて「Habemus Papam(我々は新しい教皇を持つ)」と宣言する

鑑賞した感想などを述べたい

  • 日本ではあまり報道されないが、最近、現ローマ教皇が肺炎で長期間入院してカトリック教徒をやきもきさせたが先日めでたく退院できた、もう88才の高齢であるという、もしかしたら次の教皇選挙が近いかもしれないこの時期にこの映画が封切りされたのは単なる偶然か?
  • レイフ・ファインズ(1962、英)は007シリーズなどいくつかの映画で見てきたが、今回の役回りは似合っていたと思う
  • この映画でショッキングなこととして描かれる「バチカンを震撼させるある秘密」の内容は、そんなに大した内容とは思わなかった、というのも最近では各国の教会内で修道女らに対する性的虐待、性犯罪があったとのニュースが少なくないからだ、また、そのようなスキャンダルが教皇に告発されていたにもかかわらず、握り潰し、適切な対応をとってなかったことが映画で描かれているが、これもあり得ることだと思った

  • 水面下の交渉でカギを握る枢機卿らとローレンス枢機卿との会話の中では、教皇はどういう人であるべきかの議論がされているのが興味深い、教皇はカトリック教徒のために働く存在ではなく、教会のために働く存在である、などの本音と建前のぶつかり合いが参考になった
  • この映画では何人かの有力候補が出てくるが、その人らはリベラル的だったり保守的だったり、アメリカ出身だったりナイジェリアやカナダ、イタリア出身など多国籍にわたっているのが興味深かった、退院したばかりの現教皇のフランシスコ教皇もブエノスアイレス出身で地球環境保護を訴えたり、LGBTQ+、離婚問題などに対する柔軟な姿勢を示したりしており、リベラル派なのでしょう、やれやれだ
  • 最後の結末だが「どうもなー、これかよー」という感想を持った、映画界もリベラルを気取っている人が多く、そういう傾向が出た結末だと思った、いい加減にしてくれ

事前に教皇選挙の仕組みなどちょっと調べてから見た方がより楽しめる映画でしょう


映画「タワーリング・インフェルノ」を見直す

2025年03月25日 | 映画

テレビで「タワーリング・インフェルノ」を放送していたので録画して観た、過去、2回は観ていると思うが、しばらく観ていなかったのであらすじなども忘れており、見直してみようと思った、良い映画だったとの印象がある、1974年製作、165分、アメリカ、原題:The Towering Inferno(そびえ立つ地獄)、監督:ジョン・ギラーミン

サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が落成の日を迎えた、設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)とオーナーのジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、屋上に立って眼下にひろがる市の光景を見下ろしていた、この日はビル落成式が行われる予定で代議士や市長、既に入居した人など多くの人が招待され最上階に集まっていた

しかし、惨事はそのときすでに始まっていた、地下室にある発電機が故障し、81階にある物置室の配線盤のヒューズが火を発し、燃えながら床に落ちた絶縁体の破片が発動機のマットをくすぶらせ始めたのだ、保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)の緊急報告を受けたロバーツは落成式の一時中止をダンカン申し入れたが拒絶された、しかしそのとき81階では火が大きく拡がりはじめ・・・

鑑賞の感想

  • 50年前の映画だが、色あせない素晴らしい作品だった、138階の高層ビルは現在のタワマンを思い出させるではないか、超高層ビルの怖さをまざまざと見せつけたこの映画の価値は高いと思う
  • 最初に火災の報告を受けたダンカンは火事はだいぶ下の階で起こったので最上階までの距離を考えれば簡単に消火できるので落成式を今さら中断などできないと自分に都合よく解釈した、ここが運命の分かれ目だった、企業の成否や人間の運命などは全てこんなものだろう、「見たくないものは見ない、それが悪い結果につながる」というのが教訓ではないか

  • この火災の通報を受けた消火隊の隊長マイケル・オハラハン(スティーヴ・マックィーン)のチームメンバーが現場に駆け付ける途中の消防車の中で話した会話が印象に残った、曰く「高層ビルの火災はそんなに大変か?」、「まるで煙突の中さ」、確かにそうだろう、考えただけでゾッとする
  • ビルの最上階からの招待客の救出というのがこのドラマの見せどころだが、いろんな策を考えては実行するが、火災が一段と悪化して救出策が次々と失敗する、そのハラハラ・ドキドキが面白い、そして招待客のそれぞれについてドラマがあることが絡み、救出劇に味付けをしている、それはダンカン親子でもありロバーツと婚約者(フェイ・ダナウェイ)などにもある

  • その救出劇は現実には有り得ないようなものだが映画だから良いでしょう、そして極めつけは最後の手段だ、このアイディアはなかなか思いつかないものであろう、この奇想天外なアイディアを最後に残したことは監督や脚本家の腕だろう
  • この高層ビル火災の大惨事を招いたビルのオーナーのダンカンだが、途中からだんだんとその人間性を変化させていると感じた、良い方向にだ、そこは立派だと思った、こういった惨事でリーダー的な人が我先に逃げ出す例がいくつもあるからだ

  • 鎮火した後の現場で焼け焦げたビルを見上げて設計者のロバーツは婚約者に「どうかな?、このままの姿で残すのさ、世界の虚構の象徴として」と言わせている
  • その後、仕事を終えたオハラハン隊長が通りかかり、ロバーツと話しをする内容が意味深だ、「死者は200人を超えなかった、こういうビル火災でいつか1万人が死ぬだろう、誰かが自分にビルの建て方を聞きに来るまで自分は死体を運び続けるだろう」、「分かった、僕が聞きに行こう」・・・監督や脚本家は高層ビルが次々とできる当時の状況に警鐘を鳴らすのが目的なのだろう、それは十分に伝わった、現在の高層ビルが火災にどれだけの対応策が講じられているのだろうか、そういうところで働いたり住んでる人は確認しないではいられなくなる映画だ

楽しめました、素晴らしい映画だった


映画「赤ひげ」を見直す

2025年03月16日 | 映画

映画「赤ひげ」を見直した、1965年製作、185分、監督黒澤明、原作山本周五郎

この映画を観るのは2度目か3度目、原作「赤ひげ診療譚」も読んだ、非常にいい小説・映画だったという印象がある、最近テレビで放送していたので見直したくなった

黒澤映画は好きだ、そして黒澤映画の常連俳優、三船敏郎らも好きだ、このブログでも今まで「用心棒」や「隠し砦の三悪人」などの鑑賞ブログを書いてきた、それ以外でも「七人の侍」も良いし、「椿三十郎」や「天国と地獄」なども良い、折に触れて見直したいと思っている

江戸時代の小石川養生所を舞台に、そこを訪れる庶民の人生模様と赤ひげと呼ばれる所長の新出去定(にいできょじょう、三船敏郎)と青年医師保本登(加山雄三)の心の交流を描く。長崎で医学を学んだ青年保本は、医師見習いとして小石川養生所に住み込む。養生所の貧乏臭さやひげを生やした無骨な所長赤ひげに反発する保本は、養生所の禁を犯して破門されることすら望んでいた、しかし、赤ひげの診断と医療技術の確かさに触れ、また彼を頼る貧乏人に黙々と治療を施すその姿に次第に心を動かされていく

鑑賞後の感想を述べよう

  • 良い映画は何度見ても感動するものだと改めて思った、べらんめえ口調の三船敏郎が役柄にピッタリとはまっているのが心地よい、また長崎で蘭学を学んで帰ってきたまだ自己中心的で視野が狭い青年医師を加山雄三が実にうまく演じていたのが印象に残った
  • ただ、3時間はやはり長いと思った、途中、患者の来歴の人情話が2つ出てくるが(長屋に住む人の好い佐八の人生と、臨終を迎えていた老人の六助の人生)、そこを何とかしないと冗長な感じがすると思った
  • 映画の中で赤ひげが青年医師の保本に言い聞かせる言葉にはっとさせられる名言が少なくない、「医者は病気を治せない、個人の持って生まれた生命力にちょっと働きかけるだけだ」、「病気にならないためには貧困と無知を無くすことだ」、「人の一生で臨終ほど荘厳なものはない」、「医師は病気の診断だけでなく、患者の心の診断もするのだ」などだ

  • 「貧困と無知を無くすことと」は今でも重要であろう、同じようなことを誰か他の人が主張していたのを聞いたことがある、曰く「後進国の支援は、金だけ与えてもダメだ、衛生環境の整備と教育に金を使わせないといつまでたってもダメなままだ」と、その通りでしょう、山本周五郎の観察眼の鋭さである
  • 赤ひげは必ずしも立派なだけの医師には描かれてないのが良い、時に清濁併せ飲むところを見せるのがうまいと思う、これは我々が政治家を見るときにも当てはまるでしょう、品行方正やクリーンさを求め、しかも政治家としての能力も求めるのは無いものねりだ、現実的な問題解決能力が無ければいくら立派なことを言っても政治家としては無能であろう、赤ひげはそれを示している、保本にも「先生のそういうところが好きだ」と言わせてる

「赤ひげ」の名称は今でも残っている、「日本医師会 赤ひげ大賞」だ、これは「地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に地域住民の生活を支えている医師にスポットを当てて顕彰すること」を目的として、平成24年に創設されたもの、webページ(こちら)には次のような説明がある

「赤ひげ大賞」の命名の由来である「赤ひげ先生」は、山本周五郎の時代小説「赤ひげ診療譚」を基にしており、実在のモデルは、江戸中期に貧民救済施設である小石川養生所で活躍した小川笙船(しょうせん)です。黒澤明監督が映画化したことで広く知られ、貧しく不幸な人々に寄り添い、身を粉にして働く頼もしい医師というイメージを思い起こさせます

さて、この映画の舞台となった小石川養成所と隣接の御薬園は、現在は小石川植物園となっており所属は東大である、そういえば小石川植物園は少し前に植物学者の牧野富太郎をモデルにした朝ドラ「らんまん」でも東大の植物学の研究場所として出てきていた、ただ、小石川植物園のwebページには御薬園のことや牧野富太郎の朝ドラのことは出ているが養生所のことがちょっとしか書いてないのが残念だ

良い映画だった


映画「ANORA アノーラ」を観る

2025年03月09日 | 映画

映画「ANORA アノーラ」を観た、2024年製作、139分、アメリカ、監督ショーン・ベイカー、原題Anora

本年度アカデミー賞では6部門にノミネートされ、作品、監督、主演女優、脚本、編集の5部門を受賞した作品というので観てみようと思った、ただ、私はアカデミー賞受賞作と言っても好きになれない映画も少なくないのでそれほど期待せずに観た

ニューヨークでストリップダンサーをしながら暮らすアニーことアノーラ(マイキー・マディソン、1999、米)は、職場のクラブでロシア人の御曹司イヴァン(マーク・エイデルシュテイン、露)と出会い、彼がロシアに帰るまでの7日間、1万5000ドルの報酬で「契約彼女」になる。パーティにショッピングにと贅沢三昧の日々を過ごした2人は、休暇の締めくくりにラスベガスの教会で衝動的に結婚する。幸せ絶頂の2人だったが、ロシアにいるイヴァンの両親は、息子が娼婦と結婚したとの噂を聞いて猛反発し、結婚を阻止すべく屈強な男たちを2人のもとへ送り込んできてイヴァンを懸命に探すが・・・

鑑賞した感想などを書いてみたい

  • 最初の40分くらいは、金持ちバカ息子イヴァンが金を湯水のごとく使ってアニーと放蕩三昧するところばかりで眠りかけてしまったが、二人の身分違いの結婚が親にバレて、親から送りこまれた屈強な男たちが血眼になってイヴァンを探すあたりから目が覚めて面白くなって観た
  • このイヴァンを探し回る場面がかなり続くが内容的には大した追跡劇ではないと思った、ただアニーや彼女の友人などを脅したり、一般の人に手当たり次第イヴァンの写真を見せて「この人物を知らないか」と聞きまくるだけのものだ

  • イヴァンにとってはアニーとの結婚はしょせん遊び程度のものだったので親に結婚取り消しを言われるとあっさり降参して別れることになり、アニーもイヴァンの母親に「抵抗すると大変なことになるぞ」と脅され諦めてしまうのが物足りないと思った、もう一ひねり何かどんでん返しのようなことが起きないとつまらないと思った
  • 親から送りこまれた男の代表格であるトロス(カレン・カラグリアン)が役柄ピッタリの強引一本やりな屈強な男を演じてよかった、アルメニア系アメリカ人だが、映画の中でも確かアルメニア人と言っていたような気がした
  • 最後の方で、イヴァンの親から送りこまれた男の一人、イゴール(ユーリー・ボリソフ)がアニーと微妙な関係になる、彼が屈強な男たちの中にあって味のある役を演じてよかった

  • 映画の最後のアニーとイゴールが微妙な関係になる場面が印象的だ、雪の降る街をイゴールがアニーを乗せて車を走らせ、途中で止まって話し出す、そして・・・なんでそんなことになるの?と言う感じもするが、アニーもロシア富豪のバカ息子との一夜の夢も破れ、金持ちより心優しい男が良くなったのか?そして、ここで映画は終わる、二人を乗せた車の外は雪が舞っている、何を暗示した終わりなのだろうかと考えたが・・・エンド・ロールが流れるが音楽は何も流れない、この終わり方が欧州映画のような印象を受けた

これでアカデミー賞5部門受賞ですか、このくらいの映画はヨーロッパにはいっぱいあると思ったがどうであろうか


映画「聖なるイチジクの種」を観た

2025年02月16日 | 映画

映画「聖なるイチジクの種」を観た、2024年製作/167分/ドイツ・フランス・イラン合作、原題The Seed of the Sacred Fig、監督モハマド・ラスロフ(1972、イラン)

監督は「悪は存在せず」などで国際的に高く評価されながらも母国イランでは自作映画で政府を批判したとして複数の有罪判決を受けた、2022年に1人の女性の不審死をきっかけに起きた抗議運動を背景に、実際の映像も盛り込みながら描きだした映画、と説明されている

テヘランで妻ナジメと2人の娘と暮らすイマンは念願だった予審判事に昇進する、しかし仕事の内容は反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を下すための調査官だった、イマンは反政府勢力から狙われる危険があるため護身用の銃が国から支給された、ある日、娘の友人が反政府デモに参加しただけなのに警官から暴行を受け自宅に匿うがこれが当局に知れるとイマンの立場がなくなるので娘たちは母ナジメに説得されて当局に友人を引き渡すと全く連絡が取れなくなる、そんな時、家庭内でイマンの銃が消えてしまう、妻はイマンが勤務先に忘れたのではないかなどと冷静になるように言うが、次第に妻、長女レズワン、次女サナの3人に疑惑の目が向けられるようになり事態は思わぬ方向へと狂いはじめる

鑑賞した感想

  • 167分という長編映画だが、その時間をまったく感じさせない良い映画だった
  • 映画の最後の終わり方もハッピーエンドではなく、こんな時自分だったらどうしたら良いのだろうかと考えさせる終わり方であり、その点で私の好みに合う映画だった、しかし、この結末は何を意味しているのだろうか、正義は最後に勝つ・・・とでも言いたかったのか
  • 娘二人は年ごろで反政府的な言動の国民に対する弾圧を批判的に見ており、自分の親がその国家機関の仕事をしていることを懐疑的に見ている、一方、親のイマン(ミシャク・ザラ、Missagh Zareh)は調査官に昇格して官舎で暮らせるようになって娘たちに自室を与えるなど何不自由ない生活をさせているのに政府批判をするなど神に感謝せず信仰心が足りない困った若者だと思っている、この有りがちな対立がだんだん深刻になっていくのが手に取るようにわかる映画だった、自分がこんな状況になったら娘たちにいったいどうやって自分の仕事や政府のやっていることを説明するのか考えさせられるなーと思った、その点でイマンには大いに同情した

  • 銃がなくなったのは自宅なのでイマンは日ごろ政府批判をしている娘たちを疑わざるを得ないが、そんなことは口に出せない、娘たちに「銃があったこと自体知らなかった」、「自分たちを疑っているの?」などと言われると、イマンは怒鳴ったりせずに冷静に話をしていたのは立派なものだと思った、自分だったらカッとなって怒鳴ったりひっぱたいたり、大声を出したりするかもしれない、ただ、田舎に避難した後の妻や娘たちに対する取り調べのようなやり方には共感できなかった
  • この映画の中で一番良いなと思ったのはイマンの妻ナジメ(ソヘイラ・ゴレスターニ、Soheila Golestani、1980)だ、亭主と娘の間に立ち、対立が先鋭化しないように心を尽くす、父親があまり娘と直接話せない分、自分が父の立場を代弁して娘たちを説得するなど立派な母親・妻だと思った、彼女自身、美人で知性や気品が感じられる女優だと思った、オフィシャルサイトによれば、彼女は1980年、イラン生まれ、俳優・監督として活躍するほか活動家としての一面も持ち、「女性、命、自由」運動を支持する明確な立ち場を取って実刑判決を受けた、イランからの出国が禁じられ、本作が出品された第77回カンヌ国際映画祭には参加することができなかった、とある、すごい女性だ

映画の中でこれは若干疑問に思った点などを書くと

  • 物語はイマンの護身用の銃が自宅から無くなるところから急展開していくが、映画では護身用の銃を無くしてしまうと懲役3年の重大事に描かれている、護身用の拳銃を無くしただけで懲役3年とは・・・イランではそうかもしれないが
  • イマンは自宅の住所や顔写真がネットに出回ると身の危険を感じ出身地の田舎に一時避難する、その途中で周りの人々の強い視線を感じ、危機感を強めたイマンは自動車で移動中に追ってくる反体制派の車に自分の車をぶつけて脇にそらせるなどジェームス・ボンド並みのカーチェイスをする

  • イマンは田舎で親子で銃の所在について改めて話し合うが、その際、一人ずつ椅子に座らせ、質疑応答をカメラで撮影していたが、なぜそんなことをするのか分からなかった
  • さらに、妻と娘たちを鍵のかかる牢獄のような部屋に一人ずつ閉じ込めたが、これも何のためにそんなことをするのか分からなかった

楽しめました


Netflix「イカゲーム(シーズン2)」を観る

2025年02月14日 | 映画

Netflixのイカゲーム(シーズン2)を観た、全7エピソード、シーズン1を見て面白かったので2も見ようと思った

主人公ソン・ギフンがイカゲームで優勝して大金を得てから4年後、残酷なゲームに終止符を打つため、ギフンはゲームの黒幕を明らかにしようと決意した。優勝賞金を使い、地下鉄でメンコをするスカウトマンを追跡し、ゲームを終わらせるため再びギフンはゲームに足を踏み入れることにし、どこの島だかわからない無人島に足を踏み入れることになるが・・・

主な登場人物(役名/本名/役割)

ソン・ギフン/イ・ジョンジェ
ファン・ジュノ/ ウィ・ハジュン/韓国警察の若い男性警察官、ギフンを追う
ヤン・ボクナム/コン・ユ/スカウトマン
カン・ノウル/パク・ギュヨン/亡命した脱北者、北に残してきた1歳の娘あり
パク・チョンベ/ イ・ソファン/ギフンの旧友、ギフンに金貸すのを断った
イ・ミョンギ/ イム・シワン/仮想通貨で登録者に損害を与え指名手配された
キム・ジュニ/ チョ・ユリ/ミョンギの元恋人、妊娠中
サノス/チェ・スンヒョン/ラッパー
チョ・ヒョンジュ/ パク・ソンフン/肉体は男性だが心は女性のトランスジェンダー
チャン・クムジャ/ カン・エシム/ヨンシクの高齢の母親
パク・ヨンシク/ヤン・ドングン/ギャンブルで多額の負債
フロントマン(オ・ヨンイル)/ イ・ビョンホン/シーズン2では番号001でゲームに参加

観た感想を述べよう

  • シーズン2は1と全然異なる展開があると期待したが、ゲームをやること自体シーズン1と同じであり、全く同じゲームもあり、全体としてはあまり面白いとは感じなかった
  • ギフンがこのゲームを止めさせるために再びゲームに参加するとのストーリーだが、最初から犠牲者が何人も出るゲームに参加するというシナリオが現実的ではないと思った、もっと別な方法でゲームを阻止するストーリーができればシーズン1と比べて全く違う展開になって面白いのだが
  • シーズン2のゲームでの一番大きな変化は、1ゲームごとに勝ち残った参加者で次のゲームに進むか、ここで止めてそれまでの賞金を分け合って帰るかを多数決で決めるということだ、この投票をめぐる駆け引きが若干の面白さを引き出していた

  • エピソード7では、ゲーム続行派と中断派とで殺し合いがあり、食事の時に出たフォークで相手の喉を指すなどあまりに残虐なシーンがあって如何なものかと思った
  • シーズン2での主人公ギフンだが、常に眉間にしわを寄せた表情で不満や不平の塊のような感じを持たせていた点が如何なものかと思った、主人公が終始暗い表情だと全体が暗いムードになりこのドラマを面白くなくしているのではと思った
  • シーズン2ではフロントマンが参加者になりすまして番号001で出てくるが、これが最後までフロントマンだとは気づかなかった、あとでウィキペディアを読んで初めて分かった、また、なんでそんなことをする必要があるのかわからなかった

シーズン3があるようだが、観るかどうかは公開されてからの評判を見て決めようと思う


映画「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」を鑑賞

2025年02月08日 | 映画

映画「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」を鑑賞した、2024年製作、120分、監督上田慎一郎(1984)、原作ハン・ジョンフン「元カレは天才詐欺師 38師機動隊」、脚本上田慎一郎・岩下悠子、平日だが30人は来ていたか

真面目な税務署職員と天才詐欺師が手を組んで脱税王から10億円を奪い取るべく奮闘するドラマ

税務署に勤める定年10年前の真面目な公務員熊沢二郎は、天才詐欺師氷室マコトの詐欺に引っかかり中古車の購入代金を騙し取られてしまう、刑事である親友の助けで氷室を探し出すが、氷室は熊沢が追っている脱税王を詐欺にはめ、脱税した10億円を詐取する計画を提案し、自分を見逃してほしいと言う、熊沢は犯罪の片棒を担ぐことに戸惑いながらも、自身のある復讐のため氷室と組むことを決意、2人はクセ者ぞろいのメンバーによる詐欺師集団「アングリースクワッド」を結成し、壮大なミッションに挑むが・・・

主人公の税務署職員熊沢を内野聖陽 (1968)、詐欺師氷室を岡田将生(1989)が演じ、川栄李奈、森川葵、後藤剛範、上川周作、真矢ミキ、鈴木聖奈が共演

鑑賞した感想を述べよう

  • 面白い映画だった、何度かどんでん返しがあり、ハラハラした
  • 監督は「カメラを止めるな!」の上田慎一郎、あの映画には度肝を抜かれた経験があり、そんなこともよく確認せずに観た今回の映画だったが、さすが上田監督だと思わせる予測不能な展開の面白い映画だった
  • 脱税王から大金を騙し取る方法は、所有者に成りすまして土地を売る地面師詐欺であった、先日観た「地面師たち」と同じ詐欺手法がここでも使われていることに驚いた、その地面師詐欺について、騙したと思ったら見抜かれ、しかし最後はどんでん返しがあるなどハラハラする展開に手に汗握った

  • 地面師が脱税王と架空土地取引の契約をして売買代金の決済をする場面が不自然だと思った、決済は現ナマであるが実務では有り得ないでしょう、また、ストーリー上の重要ポイントとなる現ナマのお札のカウンターについても、この場所がどこなのか映画の中ではわからなかったが、事前に映画であったような物理的な設定をするというのも有り得ないと思った
  • この物語では主人公の熊沢の務める税務署の署長が脱税王と裏でつるんでいるという設定だが、さすがにいまどきこんなことは有り得ないだろうなと思った、もうちょっと有り得そうな現実的な設定ができないものかと思った
  • 税務署職員役の内野聖陽がうまく生真面目で定年まで無事に勤め上げることが最上の命題である税務署職員をよく演じていた、彼がこんな役を演じることができるとは知らなかった
  • 脱税王を演じた小澤征悦(おざわ ゆきよし、1974年)は、指揮者で昨年亡くなった小澤征爾の息子、俳優をやっており配偶者はNHKアナウンサーの桑子真帆であることなど何も知らなかった、映画で初めて観たがなかなかうまい演技だったと思った

  • 詐欺師役の岡田将生(夫人は女優の高畑充希)だが、色白のスリムで背の高い上品な感じが役柄と全然合っていないと思った、また、詐欺師だが家族の暗い過去がある設定にもイメージが合っていないと思った、やはり最近のNHKの朝ドラ「虎に翼」の裁判官役のイメージが強烈に残っているためか
  • 詐欺集団のメンバー役の上川周作も朝ドラ「虎に翼」の虎ちゃんの真面目な兄役の印象が強かったが、この映画での紙幣偽造役もけっこう似合っていた

楽しめました