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気ままに生活してるシニアの残日録

映画「かもめ食堂」を再び観る

2023年12月08日 | 映画

テレビで放送されていた映画「かもめ食堂」を観た。好きな映画で、3回は観ているが、再放送していたのでまた観たくなった。2005年、監督荻上直子、原作は群ようこの同名小説。映画の中でかもめ食堂のウインドウにはフィンランド語で「ruokala lokki(食堂かもめ)」と日本語で「かもめ食堂」と書かれていた。

私は映画でも本でも、一度観たり読んだりして「これは良いな」と思ったものは2回、3回と繰り返し観たり読んだりすることにしている。映画でも一度観ただけでは気付かない部分は多いし、大筋は覚えていてもそれ以外の部分は忘れてしまう場合もある。また、全体の記憶がかなり怪しくなる場合もある。本の場合はなおさらである。これではもったいない。良いものは繰り返し観たり読んだりして自分の中にハッキリと記憶が残るようにしてこそ一生ものの価値があると思っている。

フィンランドの首都ヘルシンキにある小さな食堂を舞台に、3人の日本人女性(小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ)が織りなす穏やかな日常をつづったドラマ。日本人女性サチエ(小林聡美)はヘルシンキの街角に「かもめ食堂」という名の小さな食堂をオープンさせるが、客は一向にやって来ない。そんなある日、サチエはひょんなことから日本人旅行客のミドリ(片桐はいり)と知り合い、店を手伝ってもらうことに。やがてサチエの店には、日本から来てロスト・バゲージになったマサコ(もたいまさこ)など個性豊かな人々が次から次へとやって来るようになる。アキ・カウリスマキ監督の映画「過去のない男」のマルック・ペルトラが共演している。

3人の女性の1人もたいまさこは、「バーバー吉野」(03)、「めがね」(07)、「トイレット」(10)と荻上直子監督作の常連女優だ。個性的な女優で、アキ・カウリスマキ監督映画の常連女優カティ・オウティネンのような存在だと思った。

私がこの映画が好きなのは、主人公のサチエが提示している次のようなライフスタイルに共感を覚えるからだ

  • 質素
  • 清潔
  • 健康的(プールでよく泳ぐ、就寝前に膝行という座り技の基本を行う、お酒はあまり飲まない)
  • 良い食材を使って丁寧に作る食事(日本食)
  • 他人にやさしい

また、映画の中でフィンランドの街並みが多く出てくるのも好きだ。サチエの住まいも多く出てくるが清潔感と簡素さがありあこがれる、簡素といっても決して殺風景ではなく、アキ・カウリスマキの映画でたびたび出てくるのと同じカラフルなインテリアと蛍光灯ではない灯りが良い。私は住居においては蛍光灯で明るすぎる部屋は好きではない。現地での生活が手に取るように想像できるのがよい。

私は先進国に海外旅行に行ったとき、団体ツアーに参加して世界遺産を見て回るような旅行は好みではない。なるべく現地の人と同じように過ごす旅行が好きだ。公共交通機関を使い、スーパーやコンビニ・デパートに行って買い物をし、ファストフード店にも入るしガイドブックに載っていない現地の人が利用するレストランにも入り、美術館や音楽の公演にも行く、街歩きもゆっくり散歩するようにするのが好きだ。映画を観ていて海外のそういった風景や生活が多くの場面で出てくるようなものが好きだ。この映画はまさにフィンランドの街が何となくイメージできるのでその点でも好きだ。

この映画の撮影にあたっては、実際に存在する現地の食堂「カハヴィラ スオミ(Kahvila SUOMI)」を使用したそうだ、そして、現在も「ラヴィントラ カモメ(Ravintola Kamome)」として実在し、日本人観光客の少ないフィンランドにおいて日本人の集中する観光スポットとなっているそうだ。Googleマップで検索してみたらちゃんと出てきた。ヘルシンキには一度旅行に行ってみたい。

良い映画だった。