ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

千代田区一番町の「山本道子の店」でマーブルクッキーを買う

2023年10月07日 | グルメ

国立劇場に行った際、駐車場確保のため早めに到着した。時間があったので、久しぶりに「山本道子の店」に行ってみた。この店は、レストランと洋菓子の村上開新堂、レストランDohkanと同系列の店。村上開新堂が一見客お断りの会員の紹介により利用するエクスクルーシブな洋菓子店とレストランだが、山本道子の店は誰でも利用できる。近くにあるDohkanも同様。

お店のHPをみるとこの村上開新堂というのは文明開化の明治7年に創業し、鹿鳴館にお菓子を納めるなど由緒あるお菓子屋さん、レストランである。会員制の店だが、現在のオーナーである山本道子氏が一般客にも販売できる店として平成2年にオープンしたのがこの山本道子の店のようだ。

ここの人気はマーブルクッキーで、注文に生産量が追いつかず、予約制になっていたが、コロナ以降は予約なしでも店頭で買える時があるので有りがたい。予約でいっぱいの場合も、店頭ではマドレーヌなどの焼き菓子が買えるので、行ってみて何も買えないということはない。

今日は幸いマドレーヌが買えると言われ、2,080円のピンクの缶に入ったマドレーヌと、焼き菓子を4つバラで買った。合計3,500円くらいだったか、嫁さんが払ったので値段は正確ではない。

なお、村上開新堂は京都寺町通りにもあるが、京都の村上開新堂の公式サイトによると、京都村上開新堂の初代は村上清太郎氏で東京の村上開新堂の初代である村上光保氏の甥にあたるとのこと。村上清太郎氏が伯父の村上光保氏に西洋菓子の製造を教わったのが始まりだそだ。

京都の方はクッキーの缶入り詰め合わせが人気で、予約しないと買えない。しかし、店頭ではロシアンクッキーがバラで買えるので、京都に行ったときはいつもロシアンクッキーを買って帰る。また、京都には誰でも利用できるカフェもあるが、まだ利用したことはない。

私のような下々の人間には近づきがたい由緒正しき名店だ。今日は贅沢な気分になりました。

前回訪問したときのブログはこちら参照。


国立劇場「妹背山婦女庭訓(第二部)」を観る

2023年10月06日 | 歌舞伎

先月に引き続き、初代国立劇場さよなら特別公演を観てきた。今月も3等席、4,000円の3階席だ。前月に比べれば観客はかなり入っていたが、2階席は空いている席が目立った。車で来たが駐車場料金が500円というのがうれしい、歌舞伎座だと確か2,700円だ。

今日来て菊五郎(81)が体調不良のため休演となっていることに驚いた。3日に発表があったようだが気づかなかった。菊五郎は2日に誕生日を迎えたばかりだ。愛着があった国立劇場最後の公演に出れないのはさぞかし残念に思っていることだろう。

今日の国立劇場だが、先月と違い、花道は通常通り舞台に向かって左手に1つだけになっている。また、国立劇場は歌舞伎座と違い、桟敷席がない。これも今日で見納めだ。

通し狂言 妹背山婦女庭訓、三幕四場<第二部>
近松半二=作、戸部銀作=脚本、高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場「道行恋苧環」
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同 入鹿誅伐の場
藤原鎌足:尾上菊五郎⇒時蔵
豆腐買おむら:中村時蔵
杉酒屋娘お三輪/采女の局:尾上菊之助
宮越玄蕃:坂東彦三郎
烏帽子折求女 実ハ藤原淡海:中村梅枝
荒巻弥藤次:中村萬太郎
入鹿妹橘姫:中村米吉
大判事清澄:河原崎権十郎
漁師鱶七 実ハ金輪五郎今国:中村芝翫
蘇我入鹿:中村歌六

大化の改新(645)に関連した作品で、飛鳥時代の話。だが、橘姫の振る舞いは平安朝、お三輪は江戸庶民風など江戸時代にできた歌舞伎では時代考証は全くなされていないのが特徴とイヤホンガイドで言っていた。

苧環(おだまき)の苧(お)というのは麻糸のこと。これをくるくる巻いたものが「おだまき」。芝居で使うのは、糸巻きに持ち手のついたかわいらしいもの、赤糸と白糸をそれぞれ巻いた2本の苧環、2本の糸を結び合わせて男女双方で持って、変わらぬ仲を祈る。

「道行恋苧環」は有名な所作(踊り)。橘姫とそれを追う求女(もとめ)、そこに嫉妬に狂った造り酒屋の美しい娘お三輪が登場するが、橘姫は去って行く。追う求女は苧環の赤い糸を橘姫の着物のすそに縫い付け糸を頼りに橘姫を追い、お三輪も白い糸を求女の着物に付け二人を追う。出演者3人はセリフがない踊りだけ、竹本連中が義太夫節で語る。上演時間は約30分。

「三笠山御殿の場」では、入鹿の三笠山御殿に漁師の鮒七(実は鎌足の家臣)が来て、入鹿の動きを探るためわざと人質になる。橘姫が御殿に帰還し、追ってきた求女が鎌足の息子淡海と知るが、愛する求女に協力を誓い兄の入鹿を裏切る。お三輪も到着するが官女に虐められ、最後に鮒七に嫉妬に狂った女の生血で入鹿を殺せると言われ、惚れた求女のためになるなら、として刺し殺される。上演時間が約2時間。

「三笠山奥殿の場」と「入鹿誅伐の場」では、お三輪の生血と鹿の血を降り注いだ笛の音により入鹿は追い詰められ、宝剣を鎌足率いる軍勢に取り戻され、天下は太平になる。上演時間は15分。

「三笠山御殿の場」は2時間近い上演で、かつ、内容的にもちょっと退屈するところがあり、疲れた。ただ、3幕目が短かったので救われた。

この演目の女庭訓とは、女性が守るべき作法という意味。この演目の中で、お三輪は愛する求女のためになるならと、自分が犠牲になり、自分の生血を蘇我入鹿の誅殺のために利用することに納得する、また、橘姫も惚れた求女のためになるならと肉親の入鹿を裏切り三種の神器の宝剣を奪う。この女性の生き方がこの物語の核心となっているので演目名に女庭訓という用語が使われている。

今日の公演の出演者では、なんと言っても、橘姫の米吉、お三輪の菊之助の二人が大活躍だった。米吉は好きな女方である。お姫様役をやらせると本当にかわいらしい姫という感じがして良い。若手女方の中では一番好きだ。また、菊之助は菊五郎の休場でさぞかし心労もたまっているだろうが、良い演技をしていた。菊之助は立役より女方の方が合っているのではないかとさえ感じた。

求女、実は藤原鎌足の息子淡海を演じた梅枝だが、なよなよしたダメ息子という感じがしたが、これがこの役の人物像なのかもしれない。身分の高い鎌足の息子だから上品な、繊細な男性という設定なのかもしれない。美女二人から惚れられるような男には見えなかったが、当時はこういう男がもてたのだろう。

さて、今日の開演は12時であったので、開演前に国立劇場の2階のレストラン「十八番(おはこ)」で昼食をとった。今まで一回も利用したことがなかったので、一度試して見ようと思い、入ってみた。メニューは2千円、3千円するお弁当の他は蕎麦とラーメン、カレーしかなかったので、かき揚げ蕎麦950円を注文した。まわりを見渡すと、おばさま方はほとんど高価なお弁当を食べているので驚いた。

良い思い出になった。


「筑波学園ゴルフ倶楽部」でゴルフ

2023年10月05日 | ゴルフ

筑波学園ゴルフ倶楽部でゴルフをしてきた。何度かプレーしてことがあるコースだ。費用は2人で12,840円と安いが決して安かろう悪かろうのゴルフ場ではない。

距離はフロントティーで6,148ヤードだが、適当にバックティーでプレーした。コースのコンディションは素晴らしかった、ただ、グリーン上にボールマークが多すぎた。若者はあまり来ないコースなので、シニア層のマナーがなっていないのだろう、昔はシニアがマナーにうるさかったのに困ったもんだ。

コースはいくつかのホールでティーショットがけっこうな打ち下ろしになる、また、グリーンに向けて打ち上げになっているホールがいくつかあるが変化のあるコースと評価している。ワングリーンでリモコンカートなのも好きだ。狭い感じがするホールはほとんどないが、バックティーでやったアウトの2番、インの10番などは狭く感じる。

プレーの進行は順調で待たされることはほとんどななった。食事もまあまあだった。倶楽部ハウスの内部やコースに出る出入口のところもよく掃除が行き届いていたのは評価できる。良心的な値段で、メンテもしっかりして、コースもそれなりに面白いのでシニアには人気があるのも分かる気がする。食事もおいしかった。

コースから見える景色が素晴らしかった。

早めに終わったので、帰りに、近くの「道の駅 グランテラス筑西」に寄って、夕食の酒のつまみとおやつを買って帰った。さらにイオンに寄ってドイツビール4缶を買った。今夜はこれでいっぱいやるつもりだ。

お疲れ様でした。


「なぜNHKは反知性主義に乗っ取られたのか」を読む(その3、完)

2023年10月04日 | 読書

(承前)

本書を読んだ感想ついてもう少し書いてみたい。

  • 上村教授は籾井会長の発言内容を批判している。その内容は同意するが、その不適切発言の結果、籾井氏のNHKでの意志決定、業務執行に具体的な不適切な事例があったのか言及していない。それが無いと今ひとつ批判に迫力がでない。
  • 教授は、会長がNHKの業務執行決定権があり、まるで独裁者であるように書いているが、実際はそんなことはないのではないか。会長が厳しいことを言っても、生え抜きのNHK役職員は面従腹背、3年我慢すれば会長は替わる、と思っているのではないか。現に最近、みずほ銀行出身の前田会長が退任したら、直ぐに前田路線の修正をしている。
  • NHKの大きな問題点は会長の資質というよりも、番組内容が不偏不党となっているか国民がチェックすることができない、という仕組みの方だろう。教授の説明では番組内容について法律に定める場合を除き、経営委員は発言できないそうだ。NHKは偏向報道をしているとの指摘は一般の国民からも多くでている。偏向報道があっても事実上、外部の誰も指摘、検証、是正できないとしたら大問題だ。
  • もう一つの重要な問題点は拡大主義だ。グループ会社をいくつも持ち、海外取材や有名タレントの起用など、みるからに贅沢に予算を使い、「大きくて潰せない」状況を作り上げているように見える。紅白歌合戦も昔は夜の9時からだったが今は7時過ぎからやっている。民放では使わない無名でも頑張っている人たちを発掘し、積極的に登用したり光を当てるのが公共放送のあるべき姿であり費用も安く済む。お笑いとか、ドラマとか、本当に公共放送がやる必要性があるのか疑問な番組も多くある、そのような部分は民営化すべきではないか。

上村教授のこの本は労作だと思う。いろいろ勉強になった。だが、上村教授にはNHK経営委員などにはなってほしくなかった。

(完)

 

 

 


「なぜNHKは反知性主義に乗っ取られたのか」を読む(その2)

2023年10月03日 | 読書

(承前)

本書にはいろいろ啓発されたことが多かったが、一方、これは如何なものか、と感じた点も少なくなかった。その一部について述べたい。

  • 本書を読んだ印象としては籾井氏に対する個人的批判がことさら強調されているように思う。コーポレートガバナンスの専門家として籾井氏の発言に腹が立つことが多かったのはわかるが、感情的になりすぎているようにも感じる。ここまで執拗に個人攻撃とも言える非難をするの如何なものか。
  • もし、籾井氏の発言が教授の言うとおり大問題だとしたら、経営委員として籾井氏を解任すべきであるが、それはできなかった。経営委員全体としては解任するほどではないと見ていたのだろう。日頃、学生を相手にガバナンスはこうあるべきと教えていた教授をしても実世界では妥協を強いられた。自分はこれだけのことはやったんだ、という言い訳として本書を出したのではないか、とも感じる。
  • 更に、教授の批判の矛先は籾井氏を会長に押し込んだ安倍政権の政策に及び、かなりの紙数を費やして批判をしてるのは如何なものか。その批判も自身の専門分野ならまだしも、安全保障政策や憲法の問題にまで言及しているのは法学部教授としては行き過ぎではないか。結局、言いたいのはこっちの方か、とも思える。本書は学術論文でもないので、政権批判も良いだろうが、そんなことは会社法等の権威で知性ある上村教授のやることでは無く、朝日新聞などにまかせておけば良いことではないか。
  • 教授は反知性主義を、知性の無い人の主張という意味で使っているようだ。反知性主義とは学問論に言う「知的誠実」を欠く姿勢であると書かれている。また、教授が引用している元外交官の佐藤優氏の同様なコメントをしている。だが、反知性主義とは、知性は尊重するが、知性だけでは解決できないこともあるので、知性だけを頼り物事を決めていくことに懐疑的な考えを言うのではないか。また、「知性と権力の結びつきを監視する考え」とも指摘されている。

(その3)に続く


「なぜNHKは反知性主義に乗っ取られたのか」を読む(その1)

2023年10月02日 | 読書

早稲田大学法学部教授(出版時点)の上村達夫(うえむら たつお)氏による「なぜNHKは反知性主義に乗っ取られたのか」(東洋新報社、2015年出版)を読んだ。

NHKについては、いろいろ問題意識を持っていたし、上村氏のコーポレート・ガバナンスや証券取引規制、会社法に関する所論には啓発されることも多いので、教授がこんな本を出していると知り、読みたくなった。また、最近よく反知性主義と言う言葉を聞き、使われ方に違和感を覚えていたので、その点からも読みたくなった。

上村氏は2012年3月から2015年2月までNHKの経営委員を務めた。この本で問題とされている籾井勝人氏は2014年1月から2017年1月まで会長を務めた。

上村教授が経営委員をされていた期間、私は仕事が忙しすぎて籾井会長がらみの報道に余り興味を持って見てはいなかった。今回、本書を読んで、当時なぜメディアであんなに騒いでいたのか、その内容を知ることができた。

先ずは、本書で教えられた点、教授の主張に同意できる点などを記載してみたい。

  • 籾井氏は会長就任会見で、「政府が右といっているものを我々が左というわけにはいかない」と発言されていることを批判しているが、もっともである。
  • NHKの予算は国家予算ではないが国会で審議、承認される。これはNHKの公共性に鑑み、国会が公共を代表してNHKの経営姿勢を正すためである。日常のガバナンスは国会が任命した経営委員が果たす。基本的なことだが、よく理解できる説明だ。
  • 教授は、安倍政権の成長至上主義、株価至上主義について、日本は他国の例を十分に知っているはずなのに、他国が必ず通ってきた誤りを繰り返そうとしている、と批判している。この後段部分は私も同感だ。最近では、移民問題、LGBT法などには大きな懸念を感じている。
  • 日本の金融・証券市場をアメリカ並みに自由化する一方、監督・監視する権限はアメリカほど強くない点を危険であると指摘しているが、その通りだと思う。
  • 株主至上主義のようなグローバル至上主義に対抗するのは各国のデモクラシーの論理である、と言う点についてもその通りである。
  • Timesの世界大学ランキングは英語圏絶対優位のランキングになっており、ノーベル賞受賞者を多く出している日本が聞いたこともないような大学の後塵を拝している、このような理不尽な大学ランキングに何ら批判的な精神を持たず、唯々諾々として、そこで10位以内に入ることを目標とする姿勢こそ反知性主義である。ランキングに乗せること自体を辞退すべきだ。その通りだと思う。報道の自由度ランキングなども同じだろう。メディアはただこんなニュースを垂れ流すだけしかできない。
  • NHKの不偏不党とは、多様な意見を素直に提示し、素直な意見交換の場を常に設定し、大胆な反対意見にも耳を傾けす姿勢であると述べている。誠にその通りであると思う。 
  • 1992年の国連環境開発会議での自然と人間との共生を謳ったリオ宣言により、西欧的な人間観、自然観それ自体が反省を迫られた。日本が世界に発信できる多いに豊かなる財産を持っていることを踏まえ、NHKには世界の中の日本、非西洋国家の限界を克服して、最も民主的で自由な精神に満ちた成熟市民社会を実現させていく上での使命を果たしてもらいたい、と述べている。この点も、同意する。
  • 早稲田や慶応の建学の精神にある独立、独立自尊というのは気高い精神で、常に強者に対する独立と少数意見の尊重を意味している。その理由は歴史的に見ても少数意見がの方が正しかったという経験則に基づいている、と書かれている。歴史的に見て少数意見の方が正しかったというのは当たっている例が多いだろう(ただ、そうならば本書で指摘している安倍政権の集団的自衛権の解釈変更について大多数の憲法学者が反対していることを批判の根拠の1つとしてるのはどうかと思う)。

(その2)に続く