Sleepless Sheep

眠れぬ夜を闊歩する・・とりとめ無き戯れの記憶・・・

1杯のナポリタン 終章

2005年01月24日 02時45分01秒 | スナドリネコの観察の森
結局ナポリタンが大盛りだったのは 物陰から見守る店主の恩情などではなく アルバイト店員のただの気まぐれに過ぎなかったのか・・・
鷲づかみにした紙ナプキンで子供達の口を拭くと 女の子を左手で抱いたまま 仁王立ちでコップの水を飲み干す姿はまさに 漢(おとこ) であり  袖口で口を拭う仕草は 酒宴の中心におさまる盗賊の頭目さながらであった  一見中肉中背の平凡な出で立ちなのに そこはかとなく漂うオーラからは 何処ぞの未来からやって来た旧式サイボーグのようにも見え 無造作に羽織った黒のステンカラーのコートの内側には ショットガンが隠されているのでは・・と思えてくるから不思議である  
ポケットから掴み出した小銭で会計を済ませ 後からついてくる男の子を確認すると 女の子を小脇に抱えて出口へと向かった
ポケットに片手を突っ込んだまま 右足で勢いよく開け放った扉から夜風が忍び込み   観察の森に夜の帳が下りた