桜散る齢も知らぬ老ひの背に 2016年04月09日 10時29分59秒 | sleepless sheep 公園で楽器を奏でる老人の背に 満開の桜が吐き出した花弁が 深々と降り積もっている 歳は母と同じ位だろうか 背負うてやることも無きまま行方知れずとなった母の背にも 同じ様に薄紅色の花弁が散っているだろうか
桜舞ふ心のひだの奥底に 2016年04月02日 20時43分58秒 | sleepless sheep 今日満開になった桜 明日は雨らしい 死があるからこその生 そんなことは解っている ただ桜を見ていると 心のひだの奥底がちくちくして痛い 歩みを止めてみると一陣の風が吹く そして今はただ 散り急ぐ桜を呆然と見ている
教へ子の墓碑に貼り付く桜なり 2011年04月14日 22時04分15秒 | sleepless sheep お前の墓に手を合わせるまでに 17年の歳月が過ぎていた 散り急ぐ桜の花を見る度に 最期の電話に出る事さえ出来ず 結局何もしてやれなかった自分への悔いと まだ何も知らぬまま 自ら先立って行ったお前への怒りの中で 17回目の桜が目の前で散って逝く 最後に見たお前の笑顔が 記憶にこびりついて離れぬように 墓碑に貼りついた花びらが 今も無機質な光を放つ ただの石の塊を覆うかのように 身じろぎもせず 儚さを凝縮したような薄紅色に染めている
初雪や 小さな紅葉 手のひらに 2005年02月03日 12時26分30秒 | sleepless sheep 初雪と共に 天使が舞い降りた この小さな手が かじかむことなきよう 我が身を捧げる 天より宝物を授かった友に捧ぐ