Sleepless Sheep

眠れぬ夜を闊歩する・・とりとめ無き戯れの記憶・・・

藁の舟

2017年03月08日 15時43分41秒 | peppermint lagoon
脚色で満たされた仮想空間から出たくないと



虚ろな目をした君が呟く





薬を呑むことで逃れた世界には



君の言う美しい死の世界が本当にあるの





君の言う脚色とは




利己的な遺伝子で満たされた





ただのエゴイズムであることに




君は初めから気付いていた






胃を洗浄することでしか




現実を受け止めることができなかった君は





僕という藁の舟にしがみついた





 

頼り無き藁にしては頑張ってみたものの


 

限界を迎えた僕は 





君の手を離してしまった








神秘的な光を湛える湖の畔で






僕は今も尚






天使のような微笑みが堪えぬ






あの頃のままの君と





ブランコを揺らすあの日に帰れることを願いながら





気の遠くなる程長い夜に




終止符を打てないまま






孤独という名の自由を




手放すことができず







下弦の月の下   







安酒を煽ってはまた





ほの白き闇を漂う

































真夜中の天使

2017年01月08日 09時56分16秒 | peppermint lagoon
方向音痴の僕は


また夜の闇に迷ってしまった




地元の高校生に見える 

ひとりの少女に道を聴く




私ブラジル人なんです


唐突に君はそう言ったね




地場たに座る高校生かと思ったら


母子家庭の中学生だと



君は聞いてもいないのに話し続ける



マスクから溢れる目にアイシャドウが入っていたので


高校生かと思ったというと



素直な君の目は喜びを湛えた




中学生が小学生の妹の送り迎えをするの?




お母さんは仕事だから
 
 

少し淋しげな眼で



君はそう言ったね



道を聞くと後から走ってついてきて


駅まで送るという



中学生に送って貰うという現実に正直戸惑いを感じたが




君からは危機感が全く感じられ無いのは何故なのか


      
  
とりとめの無い話題を僕は話す



はきはきと答える君に僕は  



精一杯の笑顔で返す事しかできなかった



マスクから溢れる君の笑顔と共に  



結局駅の階段まで見送られてしまった



ありがとう



たどたどしくお礼を言う僕に




君は手を振って別れを告げる 



どうやら見えなくなるまで


君は手を振り続けるらしい


 


背中に君の笑顔を感じながら



最終列車へと続く階段を

  


僕は一歩一歩 





頼り無き歩みを進めた




イルミネーション

2017年01月04日 06時00分16秒 | peppermint lagoon
脚色で満たされた仮想空間から出たくないと

いつか君が言っていたね


薬を呑むことで逃れた世界には


君の言う美しい死の世界が本当にあるの



君の言う脚色とは

利己的な遺伝子で満たされた

ただのエゴイズムであることに



君は初めから気付いていたんだね


胃を洗浄することでしか


現実を受け止めることができなかった君は



僕という藁の舟にしがみついた



藁にしては頑張ってみたものの

限界を迎えた僕は 


君の手を離してしまった



神秘的な光を湛える湖の畔で


僕は今も尚



天使のような微笑みが堪えぬ


あの頃のままの君と


ブランコを揺らすあの日に帰れることを願いながら



気の遠くなる程長い夜に




終止符をうつことができない






逃避

2015年05月22日 21時23分59秒 | peppermint lagoon
そんなに赤く目を腫らしてどうしたの?

君をそんなに苦しめるものはなんなの?


その苦しみを無くしてあげることはできなくても

そこから少しでも逃がしてあげることさえ僕にはできないの?


僕はなんてちっぽけな存在なんだろうって思い続けて生きてきたけど

ここまで絶望的な無力感を味わうなんて

今まで想像することなく生きてきたよ


透き通るように白い君の肌に

刃を突き立てるなんて

聞いただけで僕の壊れかけた心は張り裂けそうだよ



でもね


そんなに背負った荷物が重いなら

いっそのこと全て捨ててしまって

この小麦畑に埋もれてしまおう


何もできない僕だけど


あてのない迷路の中でも


君の手を放すことだけはしないから





裸足

2015年05月22日 07時54分20秒 | peppermint lagoon
オムライス食べます?

君は大阪弁のイントネーションで

突然話しかけてくれたね

え?

あ もう夕飯食べはりました?

いや まだだけど

僕はお腹いっぱいなのに嘘をついた

これ良かったらどうぞ

え? 本当に? 

じゃあいただきます!

人参がまだ生で

味がほとんどなかったけど

僕には最高のご馳走だった

このことみんなには内緒にしてくださいね

え?

いいけどなんで?

きみはちょっと困った顔で

みんなに色々つっこまれても困るから

少しうつむいてそういったね

わかった じゃあ誰にも言わないよ

僕と君だけの秘密

急に僕のほうがどきどきしたよ

じゃあ行かないとならないから

君は突然振り向いて

裸足でペタペタと駆けていったね

残された僕は台風一過の青空の下

砂浜を駆けていく君の幻影を追いながら

空が茜色に染まるまで途方に暮れていた

千鳥足

2015年04月24日 12時21分28秒 | peppermint lagoon
夜の帳が降りる頃

一匹の眠れぬ子羊が頭を垂れる

どうせ空を見上げても

色の付いた明日が見えないなら

目を閉じたまま

ひたすら夜が明けるのを

待つ他に術はない 


それでも逃げ切れないなら

酒を煽り

秒針の壊れた時計を抱えたまま

千鳥足で 

煤けた夜の街へ

頼り無き薄い影を同化させていく

葉桜

2015年04月20日 14時08分09秒 | peppermint lagoon
一夜の雨と共に

あっという間に散ってしまった桜は

また来春花を咲かせる為の準備を始めている


ふいにぱっとひらく花のような君の笑顔は
儚い桜の花のようでもあり

爽やかに湛える微笑みは

日差しをキラキラと透過させる

葉桜のようでもある


散ってしまった花弁を見つめ

うなだれていた僕に

蒼く光り輝く空に散りばめた

貼り絵のような葉桜が

大木を見上げるちっぽけな僕の存在を肯定しているようで

深呼吸を繰り返していくうちに

心を締め付ける君に会えない時計の針を

少しずつ少しずつ進ませてゐる

Vanish

2014年02月21日 10時44分26秒 | peppermint lagoon
今夜は淋しくて眠れない

声さえ知らない君の言葉が画面を流れる


一緒にお酒を呑んで欲しい

言われるまま普段呑まない酒を煽る


あなたはいつも優しい


酔った君は何度もそう繰り返す



あなたが好き



安い台詞はいくらでも吐けるが



あなたが大好き



君が何を求めているのかわからない



君が逃げ込んだこの世界で


いつの間にか僕は君を待つようになった




彼という言葉を平気で口にする君に


僕は戸惑いの迷宮に引きずり込まれていく




迷宮の鍵を持たない僕は


カーソルをフリーズさせたまま迷子になった



僕が越えてはいけない二次元の境界線を越えようとしたとき



君は突然姿を消した





取り残された3次元への鍵も無くしてしまった僕は




マウスを握りしめたまま ただ味も解らぬ酒を煽る












誓い

2011年05月17日 22時54分43秒 | peppermint lagoon
お前がゴミ捨て場で泣いているのを見つけてから

いつの間にか

もう一年の歳月が過ぎていた




ただ かぼそい声で

何か訴えるように

こんなに鳴き続けるお前を


今まで見たことがない





誰にでも愛想がよく

手がかからないことが


これまで何とか生き抜いてきた術なのかと思うと


いつも誰かに寄り添っている姿が思い出され


胸が締め付けられるようで切ない





車に乗せられることで

捨てられた時の記憶が蘇ったのか



それともこの胸の不安を

敏感に感じとったのだろうか





籠の中で

啜り泣くように

いつまでも泣き止まない










心配するな












もう2度と


ひとりにはしないから














埋火

2010年06月19日 06時09分38秒 | peppermint lagoon
にび色の空の下

俯いたまま

この桜草の咲く畦道に

どう別れを告げるのか

答えを探しあぐねていた僕に



生きる意味をくれた君のために

安らぎひとつあたえてやれない

僕がしてあげられることは

ただ君を見守ることしかないことが

何よりやるせない



切なさなどあの日の埋火にくべてしまったはずなのに


胃を鷲掴みにされたまま

眠れぬ夜を幾つすごせばいいのか


永遠に消し去ることのできない


日溜まりの中で揺れる

桜草のような君の笑顔が


束の間の安らぎを与えてくれる限り




いつまでもこの畦道に




別れを告げることはできない










Lighthouse

2005年03月10日 18時06分42秒 | peppermint lagoon

街外れの退廃の香りのするBarの片隅で
うねりをあげるspeakerの悲鳴に
胸の煽動を共鳴させる

酔生夢死の追想から逃れ
雑踏の中に身を沈めてみても
君の居ない不安と焦燥を隠すことはできない



君は心をひらくことができず
波に揉まれる難破船を照らす
断崖に聳え立つ灯台になれないなら

せめて疲れ果てた漂流者に
一雫の夢を与えたい



人込みに押し出されて
見知らぬ街の囁きが聞こえたなら
右へ 左へ 夜にもたれる







ねじれた未来

2005年02月22日 18時36分51秒 | peppermint lagoon



君が見つめていた背中は
また違う背中を見つめていた


永遠に交わることのない 二つの視線は
平行線ともまた違っており
ねじれた二人の未来へと続いていた



背中に視線を感じながら振り返らなかったのは
傷ついた君の心を癒せるのは
僕ではないと思っていたから



ただ 自分が傷つくことを恐れて
君に別れを告げられなかったのは
間違いなく僕の罪であり
この十字架を途中で下ろすつもりはない




もうひとつだけ我侭を聞いて貰えるのなら
この押し付けがましい贖罪を許して欲しい








A wave

2005年02月18日 03時32分04秒 | peppermint lagoon


迷子になった夕闇の中で
君は飲みかけのワイン 明かりにかざす
氷を入れて飲む癖がうつったと
窓枠に視線移し 木目数えて口をつぐむ


意味もなく晴れた空は
はしゃいだ後の恥じらいを頬に浮かべ
夢破れた風鈴は 待つことの意味尋ねる



ヒールの折れた靴抱えて
君は白いドレス 波頭に消える
寄せる波かわし 返す波追いかける
左だけ裸足の君 足跡を残さない


臆病な鴎は泣き顔を波間に隠し
そっと溜め息ひとつ ためらいの海に浮かべる




不安定な水平線/夢/憧れ・・・・真実

さびついた思い出/鱗雲/海原 ・・・・砂浜




涙で息継ぎして呟く   愛がさかさまよ