子育て・私流

子供を三人育て、孫も五人になった。
男親の私がどのように考え、子供や孫に接してきたかを書く。

焦土の東京で 10 土方仕事・コンクリート打ち込み 

2007年05月07日 | 60年前の戦争体験
15才での初めての仕事だ。

仕事の内容は、「鉛筆の芯を製造している中小企業での、ロールの新設だ」

今日は、この現場に入って4日目になる。

穴堀りに、二日。
杭打ちに、一日。

今日は、総勢揃ってのコンクリートの打ち込み作業だ。
 
職人A 43才
職人B 35才
手元C 19才
 (我が家からは二人)
次兄  20才
私   15才

親父が朝の内、顔を見せて工事の進み具合を確認して、「工事の材料」の手配で間もなく帰った。

さて、仕事だ。(最初に言っておくが、職人Bの私に向かう駄洒落が、次兄も居るためか今日は聞こえてこない。)

① 最初は、職人AとBとで、「割栗(硬い岩石を20センチ程の大きさに砕いたもの)を松杭の周りに敷きつめて、蛸(昨日説明した)を打ち下して、地盤の底を固める。」

割栗の間から、粘土質の泥が飛び散り、職人AとBは跳ねた泥水で顔も着ている物も真っ黒。

② 職人Aだけ、下に残り、いよいよコンクリートの打ち込みが始まる。

③ 工事現場の穴の傍に、4・6の鉄板を持ち込んで作業を開始する。(説明、4・6というのは、当時の工事言葉で、4尺と6尺の鉄板のことだ。メートルに直すと、横1.3×長さ2,0の鉄板だ。)

④ 鉄板にバケツ入れた砂を、先ず鉄板に二杯半、それにセメントを一杯入れて、職人Bと次兄二人が小角なスコップで、良く掻き混ぜる。
  まだ、水は入れていない。

⑤ 砂とセメントを二人でかき混ぜたものを、鉄板の周りに輪に(お好み焼きのモンジャのように)広げる。
 
⑥ ここに、今度は「小石(ざり)をいれて、水を入れて、一気に小さい角スコップで二人が三回程練り合わせる。

⑦ この、コンクリを波板トタンの上を滑らせるて、穴の底にいる職人Aの手元に滑らせてとどける。

⑧ 職人Aは、穴の底に満遍なくコンクリートを引きつめて、その上に、さらに「割り石」を並べる。

⑨ 素早く、休み無く、やらないとコンクリートと割り石が馴染まずに、よく接触してくれないのだ。

⑩ 私と、手伝いCの二人は、鉄板に水や砂・砂石・セメントを運ぶ役目。
  鉄板の上が空っぽになったら、すぐに「砂」「セメント」を入れないと「この野労なにをグズグスしている。」のB職人の声が飛んでくる。


こんなことの繰り返しで、今日の一日が終わった。

私が穴の中を見に行く、まだ半分までいっていない。
明日もこれと同じ繰り返しかと思うと、疲れがどっと出てへなへなになる。

《諺》

「浮世の苦楽は壁一重」

(この世の苦楽は隣り合っていて変遷極りないものであるから、苦境にあっても悲観することなく、楽境にあっても楽観は禁物であるという教え。)

「一の裏は六」

(悪い事の後には良い事があるというたとえで、悪い事に出会った人を励ますときに用いられる。)
(サイコロの目は、一の反対側は六というように、奇数・半と偶数・丁で組み合わされている。)

  次回は、B職人の駄洒落をまとめて。