受法寺本堂建築誌

伝統木造工法により建築中です

起工式に思う

2005年09月12日 | Weblog
起工式に思う

起工式は地鎮祭といわれることもあり、地の神を鎮め工事の安全を祈るというものだが、適切でないので「本堂建立起工奉告慶讃法要」とした。『阿弥陀如来さまお慶びくださいと告げ奉る』趣旨である。仏前で読経しながら、建築に携わるさまざまな、建築家・技術者・技能者のことを脳裏に描いて思った。この工事はオーケストラに譬えることができるのではないかと。
 建築家(いわゆる設計士)が設計図を描く。仕様書も含めて工事全体を70枚もの設計図書に描いてある。交響楽でいえば作曲家が五線紙に描いた楽譜(総譜)だ。譜面には音符や奏法だけでなく曲想まで表現されている。一方こちらには伝統的な寺院建築様式を踏まえて、独自のコンセプトが籠められた設計が精密に作図されている。 施工する建築会社で指名された。
現場監督は、工事を実現する全責任を負い、設計図を読み解釈し、現場事務所に詰めていて、オーケストラの指揮者のように工事を指揮する。その指揮によって大工や左官や屋根葺き職人など、多種多様な専門の技能者が技量を発揮する。ステージで弦楽器、管楽器、打楽器のそれぞれが、旋律をうたいリズムを刻み和音を響かせるようなものだ。大工の棟梁は、さしずめ主旋律を奏でる第一バイオリンの首席奏者といってよかろう。 このようにして荘重華麗な演奏が響流し、聴衆は深い感動を呼び起こされる。寺に参詣した門信徒は建築の造形美に出会って、それと同じように感動し、敬虔な信心の目覚めが促されるだろう。
 阿弥陀仏が建立した美しい浄土では、み教えを説くお声が音楽のように聞こえてくると、お経に説かれている。南無

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