受法寺本堂建築誌

伝統木造工法により建築中です

設計のコンセプト②

2006年05月29日 | Weblog
先号で〝ピカッと・キチッと・ドシッとした建築づくり〟を提唱いたしました。

ピカッとは 文化として持ち合わさねばならない静けさを備える建築。

キチッとは 建築として持ち合わさねばならない確かさを備える建築。

ドシッとは その地として持ち合わさねばならない重たさを備える建築。
 
この考え方は土佐の苛酷な自然と向き合うための手法です。土佐は温帯日本の中でも典型的な高温多湿の地で、むしろ、亜熱帯に近い気候・風土です。この厳しい気候・風土は建築の耐久力を考える上で特に厳しい地です。
 
静けさは創造性。私は緊張感漂う静かな空間が好きです。その静けさです。土佐の日差しの強さを得手とし、影をデザインに取り入れた社寺建築のような美しい、モノトーンの建築を追い求めます。また、土佐の地が私たちに恵んでくれた土佐の恵と、工業社会が生む高性能の恵みを対比させ、その面に生ずる切れ味に緊張感を得ることができないかと試みています。
 
確かさは工法、ディテール等の確かな技。土佐の気候・風土に淘汰され、時間により証明され蓄積された確かな技術です。その確かさです。土佐では雨が下から降ると表現される程厳しい自然に対し、土佐の蔵は古くから幾重にも重なる水切瓦で対処しています。私は住宅だけでなくコンクリート造の大規模な公共建築でもその水切瓦に教えられています。また、土佐は台風常襲地です。その強風に対し培われた納屋の構法をベースとした土佐の家「納屋型」という住宅のプロトタイプを持ちます。大きな木造建築には、伝統的な升組構法をベースとした大きな家「肘木型」という構法で対処しています。
 
重たさはその地が求める重量感。その重たさです。土佐は自然と時間が証明してくれ、人の心を潤わすのに十分な恵みを多く持ちます。それは地球に優しい素材です。
これらは土佐の風景に馴染みます。
 
この静けさ、確かさ、重たさを備えた建築は耐久力を持つ建築です。耐久力は素材そのものが物理的に耐久力を持つだけでなく、機能的にもどのような時にも追随性がなければなりません。そして、地域の人々にいつでも受け入れられる美しさを持ってこそ200年を生き抜くことが出来ます。

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