テキスト主体

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テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

クロスロード

2013-07-03 23:46:38 | 本、小説、漫画、動画、映画、音楽等
悪魔と取り引きし、人間のふりをした”ブルース”に成った、ロバート・ジョンソンの契約の場所、”クロスロード”伝説は、僅か29曲しか録音を残さなかったにもかかわらず、そのまさしく悪魔めいたブルースと言う概念そのものの音楽として語られ、歌われ、弾かれ続けています。
20世紀初頭(1911年とも1912年とも謂われる)に不倫の子として生まれた彼は、27歳で毒殺とも病死とも諸説ある無様な死に方だったらしいのですが、常にギターを抱え、いろんな街で様々な女と関わる中で産み出された演奏と歌は不思議なくらいに人の心を捕らえてきました。私が最初に彼の伝説に触れたのは、ライ・クーダーが音楽を担当した、クロスロードという映画でした。伝説の30曲目を求める奇妙な3人の旅の果てに主人公(ベストキッドの子役のコです)はジュリアード音楽院で学んでいたクラシックギターから、ブルースへと道を変えて進んでいくというお話でした。

CDで発売されると同時に彼の歌を手に入れたのは、映画の所為もありますが、まるで魔力のようなクロスロード伝説に浸りたかったからでもあるでしょう。英語、日本語の総計250ページ近いブックレット(ライナーノーツ)が付いているとはいえ、当時4100円もしました(いまではライナーノーツこそ無いですが輸入盤なら2枚組1000円ほどで買えます)。
当然モノラルでノイズだらけ、ダイナミックレンジも極端に狭い粗い音楽ですが、数々のカバーソングで耳馴染みのある原曲に触れるのは新鮮で、幾たび聴いても飽きる事のない、不思議な音楽でした。感動とはほど遠く、芸術では決してなく、温感療法のような熱い心地よさを感じるようになってからは、クロスロード伝説なんて忘れてしまっているのでした。


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