布団にくるまり節約
生活困窮する家庭の子どもが大学などに通うと、学費が重くのしかかります。生活保護を利用しながら子どもを大学などに通わせる親からは、制度の改善を求める声が上がっています。
札幌市に住むMさんは、働きながら最低生活費に足りない分を生活保護で補って、息子と2人で暮らしていました。ところが、息子の大学進学時に保護を打ち切られました。
生活保護制度は現在、保護を利用しながら大学などに進学することを原則認めていません。15~64歳は「稼働年齢層」として就労することを求めているからです。そのため保護世帯の子どもが大学などに進学すると、その子どもは保護から外され(世帯分離)、保護費が減額されます。
Mさんの場合、世帯分離で賃金収入が基準を上回ったため保護費を切られてしまいました。
同時期にMさんの収入が安定するも、息子はアルバイトで家計を支えました。「苦しいながらもなんとか生活していた。好きなことをさせてあげられなかったかもしれないが」とMさんは振り返ります。
憲法25条読んで
灯油の価格が高騰する中、少しでも節約をしようと息子は布団にくるまり、ほとんどストーブをつけません。
Mさんは「お金はたくさんかかるのに、18歳を過ぎると児童扶養手当などの公的支援がなくなる」と言います。コロナの「子育て世帯への臨時特別給付金事業」も対象は18歳以下でした。
「何らかの助けがないとやっていけない。政府は健康で文化的な暮らしを保障する憲法25条を読み返してほしい」と生活保護制度の拡充を訴えます。
病院にいけない
Aさんは持病があり、生活保護を利用しています。専門学校に通う娘は特待生で授業料を減免されているものの、月3万円の学費を自身で支払います。
娘は1人暮らし。バイトを掛け持ちしやりくりしていましたが、コロナでシフトが減りました。
ある日、娘は風邪をこじらせ、1週間入院することに。入院費7万円を自己負担しました。
「入院費は親戚に借りられましたが、娘は体調を崩しても日ごろから『医療費がかかるから』と、病院に行くのを拒みます」とAさん。困窮した学生が安心して暮らせるよう、医療や住まいの支援、生活保護の対象の拡大を望みます。
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の前田美津恵副会長は、「コロナでアルバイトができなくなり、大学生の生活が危機に直面している」と指摘。「収入が増えたり、生き方が変わったりするなど、大学へ行くことが一つの光になっている。引き続き、国に対し、生活保護制度の改善を求めていきたい」と意気込みます。
— しんぶん赤旗より —