https://www.tokyo-np.co.jp/article/68939
安田菜月津紀さん
意見陳述要旨
私は、初めて自分の被害を嘲笑うようなイラストを見た朝のことを、今でも忘れられません。そのイラストは私の魂を深く傷つけました。その日、ベッドから起き上がることができなくなりました。
私は、レイプによって突然日常を奪われ、それまでの自分として生きていけなくなりました。魂の殺人ともいえる経験でした。今でも、悪い夢であったらどんなによかっただろうと願うことがあります。そうした深刻な被害を、私が意図的に相手を陥れるためにしたことで、被害者を自称している、と言わんばかりのイラストを描き、それをTwitterにアップする人がいることに、私はショックと恐怖を覚えました。
蓮見さんの描いたイラストは、ネット上で瞬く間に拡散されました。どうして私の被害を笑い、シェアすることができるのか、私は他人が怖くなりました。イラストが拡散されていく様子を思い浮かべると、外に出ること、街を歩くことにたいへんな苦痛を覚えるようになりました。外に出る時は、帽子をかぶってサングラスをかけ、常に周囲を警戒するようになりました。蓮見さんの描いたイラストにより、なんとか被害から立ち直りたい、日常を取り戻したい、という私の思いは踏みにじられました。
この裁判ができるようになるまでに、長い時間が必要でした。性被害の傷とトラウマを抱え、回復途中の私にとって、あのイラストを見るのも、イラストについて話すことも、話しているところを他の人に見られることも苦痛だったのです。
ただ、この社会には、性被害の被害者を、セカンドレイプといえる言動で攻撃する人、インターネットでセカンドレイプの拡散に加担する人がおおぜいいます。私は、私自身が前に進むために、そして私と同じ被害に苦しんでいる多くの人たちのために、この裁判を始めました。裁判官の方々に、私の被害を正面から受け止めていただくことを、心より願っています。
-以上-
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