けれど、みなさんが本を読んでいるうちに、だんだん、この気持ちは誰にも分かってもらえないだろう、という孤独の感じがとても強くなるときがくるかもしれません。
「ねえ、あの本良かったね」なんて、軽く言えないぐらい、深く心を揺さぶられて、簡単には感想なんて言えなくなるようなときが。そしてそれは、あなたの個人的な経験と深く結びついていて、今までのように楽しいだけとは違い、心の穴を一人で黙々と掘っているような本当に孤独な作業になるかもしれません。けれど、日本中のどこかで、いえいえ世界中のどこかで同じように孤独な穴を黙々と掘っているような同志がまた、必ずいるのです。深い穴を掘れば掘るほど、その穴は必ず普遍的なものにぶち当たり、そうなると、もう孤独でありながら、孤独ではなくなります。
(梨木香歩)
「ねえ、あの本良かったね」なんて、軽く言えないぐらい、深く心を揺さぶられて、簡単には感想なんて言えなくなるようなときが。そしてそれは、あなたの個人的な経験と深く結びついていて、今までのように楽しいだけとは違い、心の穴を一人で黙々と掘っているような本当に孤独な作業になるかもしれません。けれど、日本中のどこかで、いえいえ世界中のどこかで同じように孤独な穴を黙々と掘っているような同志がまた、必ずいるのです。深い穴を掘れば掘るほど、その穴は必ず普遍的なものにぶち当たり、そうなると、もう孤独でありながら、孤独ではなくなります。
(梨木香歩)