三郷は遠かった、、、。
乗り換えアプリで検索すると、駅降りてからバスに乗って2時間ぐらいかかる事がわかったので、最後はタクシーに乗ることにした。
駅ロータリーのタクシー乗り場には一人のサラリーマンと思われる中年男性が緊張感漂わせながら立っていた。
日差しが強いのに日陰に入らず、やってくるタクシーに目を凝らしながら近づいていく。
タクシーがくる
男性が近寄る
ドアが開く
『電子マネー使えますか?』
『使えないよ』
私は男性のため息を感じながらそのタクシーに乗り込む、、、。
きっと何度もその不毛なやり取りをしているのだろう。
電子マネー決済できるタクシー走ってないのか?
後からロータリーに入ってきたタクシーも古いクラウンだった。
都内で乗り込むタクシーの装備がまるっきり無い、、、。
そのうち、同じタクシーと同じやり取りをしてしまうんじゃないのか?
彼は現金を持っていないのだろうか?
電車賃なら交番に駆け込んで貸してくれるかもしれないけれど、タクシー代はいくらかかるか分からないし無理だろう、、、。
もし自分だったらどうする?
さあ、
どうする?
彼の様子から見て目的地は近場ではなさそうだから歩いてはいけないだろう。
アプリで調べてバスで行く?
バスも現金のみだったら?
かもしれない、、、。
ヒッチハイク?
手を挙げるリーマンに止まってくれるドライバーはいるだろうか?
止まってくれたとして、きっと目的地の方角も知らないのだろうから、住所を伝え、それをナビに入れそこまで送ってくれるだろうか?
ついてない男なのか、想像力不足の男なのか、都会に慣れすぎた人なら誰にでも起こりうる事なのか。
確かに私はコインを持たなくなった。
自販機はPASMO決済。
いざ冷たいものが飲みたくなった時、PASMOが使える自販機ではないこともよくある事だ。
そんな時に限って千円札も持ち合わせず、持っていても釣り銭切れマークが点灯、、、
自販機もコイン不足なのだ。
彼は私なのかもしれない、、、。
全てを瞬時に察して私がお金を貸してあげたらよかったのだろうか?
そこまで『神』には瞬時になれなかったのは私の責任ではないと思うけれど、、。
試されていたのだろうか?
素人ドッキリ!!?
まさかね〰
人は時々試される、、、。
彼も私も試されたのかもしれない、、、。