体育が終わり、休み時間に入った時のことだった。
「あの・・」
声を掛けられたキム・チョルが振り返ると、そこには後ろの席の男子が立っていた。
以前サッカークラブに一緒に入らないかと誘われたことがある。
そのことが顔に出ていたのか、彼は最初に前置きをして話し始めた。
「あ・・サッカークラブの勧誘じゃなくて・・・。
しかしチョルは再び同じような話だと感じ、いつもの調子で反射的に返してしまった。
「いや、なんで度々・・」 「ひっ・・え?あ・・」
チョルの表情を見て、彼はチョルが怒ったと思ってビクッとした。
すると少し離れた席から、聞き慣れた大きな声がした。
「あっ!!」
「あ〜まだ蚊がいるぅ?」「蚊?」「おでこを・・いや、」
「眉間噛まれたかなぁ〜?」
チソンは「蚊なんていた?」と不思議そうにしていたが、それもそのはず。
最初から蚊などおらず、ミエがチョルに”眉間にシワが寄ってるよ”と教えたかったのだ。
はっ
ミエの意図は見事にチョルに伝わり、チョルは自分が無意識に顔を顰めていたと知る。
「いや、その、俺は・・」
まだ幾分チョルの表情は固いが、怒っているわけではないことは伝わったようだ。
目の前の男子の顔に恐れがなくなった。
ミエはまだ”蚊に刺された”設定を継続中だ。
チソンに「ふーふーして」と眉間を指して言っている。
チョルはミエの思いを汲み取って、目の前の彼に返事をする。
「うん」
チョルのその返事にミエが目を丸くすると同時に、
瞬間、教室がわっと湧いた。
「本当?!」「けど予選1クラスだけな」「1クラス・・」
「それでもありがとう!
「ああ・・」
男子達は俄然やる気になってわいわいと作戦会議を始めた。
これにはミエもびっくり。
大魔王サッカーやるみたいだね、とチソンが言う。
ミエはただ驚いて、口をあんぐりと開けていた・・。
<変更事項>
次の授業が始まると、ミエはすぐにノートにメッセージを書いた。
先ほどの体育の授業時に、サッカーボールからミエを守ってくれた時のことを。
少々嫌味のようなその内容をチョルの方に差し出して、
ミエはフンと息を吐いてそっぽを向いた。
けれどやはり気になるのか、チラチラとチョルの方を盗み見る。
チョルは厳しい表情で、サラサラと返事を書いた。
近くにいたからそうしただけ
その返事を見て、ミエはフンと鼻で笑う。
飛んできたくせに、と小さく呟きながらミエが返事を書いていると、
教師がこんなことを言い出した。
「お前達、新聞作りの宿題は進んでるか?」
「さらに”発表”を追加することにしたからな」
「えっ?!」
ミエは返事に「とにかくありがとう」と書こうとしたのだが、
その教師の言葉が衝撃的すぎて、チョルにそれを伝えるのを忘れてしまった。
教室はもう大騒ぎである。
第三十九話⑤でした。
今回も四十話に片足突っ込んでます!
読みにくかったらごめんなさい
今回気になった箇所はここ!
「ふーふーして」
韓国では蚊に刺されるとふーふーする習慣があるんですかね?
調べると、韓国の蚊に刺されるとめっちゃ腫れるらしいですが・・。
それにしてもミエちゃんナイスアシスト!サッカー予選に誘った名もなき男子もナイス!
この流れでチョルに友達ができるといいな・・
第四十話①に続きます
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