ファン・ミエ、Never Die。
[けれど、意地を張れば空回るファン・ミエ]
イライラMAXのまま、終礼は鳴った。
チョルを逃がさないように、週番の仕事はソ・ジスに任せる。
「あんたやっといて!」
「ちょっと!あん・・」
ドドド・・とチョルを追いかけたミエだったが、相手はミエを上回るスピードで逃げた。
シュンッ!!
肩を落として戻った教室では・・
倒れたバケツから水が流れ出ているのに、気づかずにモップを掛けるソ・ジスの姿が・・。
「あれ?いつ倒れたんだ?」
結局掃除のやり直し。
ミエは、もう全部嫌になってしまった。
おでんを片手に黄昏れるミエに、ユンヒらが声を掛ける。
「ね〜ファン・ミエ〜聞いてる?」「おーい!」
「ほっといてよっ」
そう言ってぐいっとやるミエに、ユンヒが「死にそうに暑いのにホット飲んでるよ」とヒソヒソ言った。
何をやっても裏目に出る今のバイオリズムは、まだまだ続くようだ。
塾に着いたミエが向かったのは、彼らがよく集まっている非常階段の一角。
案の定、チョルはいた。
ホンギュとジョンウクもいる。
ジョンウクがミエに気付いて、声を掛けて来た。
瞬間、チョルが思い切り顔を逸らす。
「あ、ミエ!」
「今週、期末の準備一緒に来る?」
100%の拒絶が、ミエに向けられた。
ブルブルと震える。
「行かないっ!」
ミエは大声でそう叫ぶと、そのままバンッとドアを閉めて去っていった。
笑顔のまま固まるジョンウク、そして狼狽するホンギュ・・。
「あいつなんなんだ?!マジで狂ったか?!」
<まさかのどんでん返し?>
気がついたら夜が来ていた。
天井には光る星。
それをぼーっと見つめるミエ・・・。
ぼんやりと浮かんでくる映像は、もう何十回目リピートしたか分からない。
そしてそのたびミエは、動揺して唇を押さえてしまう。
「私の唇を盗んでおいてまた無視なの?!しょうもない!あの悪人・・」
「ミエ、電話よ。ユンヒちゃん」
母から子機を受け取り、ミエはユンヒからの電話に出る。
「何・・」
ユンヒは開口一番そう言った。
受話音量が大きいのに、まだ母がそこにいるのに!
「なっなに?!なんで電話聞いてんの!!」
バタンッ!
母が「あの子最近どうしちゃったのかしら」と言うのと、
ミエが大きな音でドアを閉めるのが同時だった。
そして同時刻、チョルの部屋でも大きな音が鳴った。
家族はその音に驚いて、思わずチョルの部屋に突撃する。
「一体今度はなんなの?!」
切り込み隊長のスンジョンと、続いたのは父親だ。
チョルは机に突っ伏したまま、力なく答える。
「・・問題が解けなくて・・」
「あら・・この分だと家からソウル大生輩出かしら?」
父と姉はわいわいとそのまま部屋から出て行った。
しかしチョルの動揺は収まることなく、頭を何度も机に打ちつける・・・。
ガンッ
ガンッガンッガンッ
「もうそれやめて!」
その頃ユンヒと電話中のミエは・・・。
「夜に電話してきてまたその話?もういい加減に・・」
「”いやあんたちゃんと聞いてなかったみたいだけど、成功してんだって”」
ユンヒが言うには、ミエがソ・ジスのところへ向かった時・・・
「ね〜ミエ〜」
慌ただしく身の回りの整理をするチョルのカバンに、
なんとユンヒがあの誕生日メモ↓
を突っ込んだと言うのだ。
チョルはそれに気づくことなく、帰って行ったという。
「”確実に大魔王のカバンの中に入れたから、期待して待たれよ!”」
「へ?」
その言葉を聞いたミエは、ふと思い出した。
[そういえば・・]
今日、塾で見かけたあの三人。
ユンヒは続ける。
「”断言するから。大魔王、絶対何かしてくれるし、”」
ミエの目線の先には、
チョルの部屋がある。
まだ明かりがついている。
「”これから超悩んでる姿が見れるって!”」
チョルの部屋に置かれたリュックに、確実に入っているそのメモ。
果たしてチョルはそれを見たのか・・?
それはまた次の回で・・・。
第八十三話④でした。
ユンヒちゃん!大胆〜!
そしてGJ!!
面白くなってまいりました!!
そしてソジス・・色々大丈夫か?!おばちゃん心配だわ・・
第八十三話⑤に続きます