翌朝。
登校中のミエだが、キョロキョロとあたりを見回しながら歩いている。
数メートル先に、探していた背中が見えた。
昨日のユンヒの電話を思い出し、ミエは鼻の穴を膨らませた。
もしユンヒの話が本当なら、今頃チョルはミエの誕生日に頭を悩ませているはず・・。
すると目の前に、こちらを見る人物がいた。
デレた自分の顔を白けた顔で見るモ・ジンソプ——・・。
そして後ろからは、大あくびのソ・ジス——・・・。
「あ、ファン・ミエ。週番なのに遅刻じゃん。でもあんたの顔がまたウケる・・」
ソ・ジスの話を最後まで聞く前に、ミエは教室へと急いだ。
やはりあの男はよくわからない・・。
けれどそれ以上に、胸の中にワクワクと弾む星の存在を感じる。
ミエは朝食の時、父親に誕生日のことを聞かれたことを思い返した。
「ミエ、もうちょっとで誕生日だなぁ。何か欲しいものはあるかい?」
「あるあるっ!」「よく考えてから答えなさいな」
ミエの胸はワクワクと踊った。
誕生日〜欲しいもの〜と星を輝かせて。
そして昨日のユンヒの電話によれば、ミエの誕生日についてのメモを、
チョルのカバンに忍ばせたというではないか。
ミエはモグモグと口を動かしながら、その行く末を想像した。
ミエの誕生日に何をあげようかグルグル悩むチョルの姿を・・。
ミエはプププと吹き出した。「ええ〜まさかね〜」とか言いながら。
母親が娘の謎の行動に首を傾げている。
昨日ユンヒ達はこうも言っていた。
「誕生日のことなんてただ話せばいいものを、なんでここまでするのかって?
それを聞いた直後は「何言ってんの?恋愛博士かっての」とミエも半信半疑だった。
けれど時間の経過と共に、想像力は増しに増した。
ついにはこんな妄想まで・・。
「ファン・ミエ・・・誕生日・・」
「おめでとう・・それで・・俺・・お前のこと・・」
シャラララ・・という音と共に、愛の欠片を差し出すチョル。
瞼の裏に広がるイマジネーションに、ミエは「ダメよ〜ダメダメ〜」とふにゃふにゃ言った。
ガラッ
ビクッ
トン、トン、と重厚感のある足音が近づいてくる。
ミエは浮かれている自分を悟られぬように、コホンと咳払いをして彼を待った。
カタン
チョルは自分の席につくと、ミエの方を見ないままイヤホンを耳に嵌めた。
幾分そっけない態度ではあるが、これは想定内。
ミエは余裕の表情だ。
左前方には、またしても寝ているソ・ジスの背中があった。
イラッ・・
ミエは舌打ちをして、再び前を向いた。
チョルはイヤホンをしたまま、突っ伏した姿勢でノートを開く。
こちらも余裕・・と思いきや、ギリギリなのだった。
というわけで、チョルの視点からのここ最近の出来事を振り返る。
第八十三話⑤でした。
ミエの妄想・・!w
もう完全に告白される気になってる・・
しかし読者は思う・・そんなトントン拍子にはいかないだろうと・・・
先が楽しみです!!
そして八十三話の表紙絵!
可愛い〜!韓国!
第八十四話①に続きます