北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

やっぱり出てきた、ずさん「除染」

2013-01-04 | 脱原発
朝日新聞(1月4日)





 これまでも断片的には指摘されてきたし、当然想定されたことだが、手抜き除染の実態が、朝日新聞の取材班の調査で具体的に明らかにされた。

 除染については、基本的には放射能を移動させる「移染」であり、学校の運動場の表土を入れ替えるなど部分的には効果がある場合もあるが、特に山林などではほとんど効果がないことが以前から多くの人に指摘されてきた。

 住民の帰還への願いを利用し、原発をつくってきたゼネコンを中心とした原子力ムラが、原発が壊れた後の利権にも群がる構図も指摘されてきた。(東京新聞2011年12月8日など)

 そういう意味では、驚くような話かと醒めた目で見る人も多いかもしれない。しかし、政権交代直後のこの時期に、あらためて大きく報じられた点に注目したい。

 民主党政権は「コンクリートから人へ」をスローガンに、確かに公共事業を削減し、教育関係の予算を拡大したが、3.11以後、除染とがれき処理を従来の公共事業に代わる一大利権産業に仕立てあげた。
 今後の中間貯蔵施設建設なども含めると将来的に総額40兆円産業ともいわれている。
 
 その所管はいずれも環境省。本来大切な業務にあたる役所だが、発足以来、国土交通省や経済産業省の陰に隠れ、予算も実権も含め、影の薄い官庁であったことは否めない。
 それが一躍巨大利権官庁に大転換したのである。

 これまでは、手抜きの環境アセスで若干利権に関わった職員もいるかどうかは知らないが、ゼネコン相手に数十億円単位の発注など縁がなかった官庁である。
 その官庁で、珠洲市の一般会計予算が吹っ飛ぶほどの桁違いの血税が原子力ムラに食い物にされているのである。

 いま、安倍政権は国土強靭化計画を掲げ、公共事業の復活に血眼である。しかし、自民党の利権は、かつての公共事業の利権復活という意味にとどまらない。除染・がれき処理という放射能利権を民主党から引き継ぎ、さらにその上乗せの公共事業利権が再建されようとしているのである。

 就任時は面白くなさそうな印象も受けた石原伸晃環境大臣だが、この除染・がれき処理という巨大利権とどう向き合うのか。
 原発の新増設までにおわす安倍政権が、原子力ムラの利権にメスを入れるとは到底思えないが、来たる通常国会では、民主党は自らの失政を謝罪し、安倍政権に除染・がれき処理の方針の抜本的な見直しを求めてもらいたい。
 


コメントを投稿