本日の一般質問の原稿です。
少々長いですが、ご笑覧を。
(正式な議事録ではありませんので引用は慎重に願います)
答弁は近日中にアップします。
前回は当初の見込みを上回る大きな予算が投入されようとしていることを指摘し、その要因などをお聞きしました。今回は地域イメージに与える影響や開催効果の見通しなどを中心に、開催後の総括も視野に入れながらお聞きしたいと思います。
泉谷市政も6月で丸11年、今年秋の芸術祭はある意味では3期12年の泉谷市政の集大成なのかなとも思います。しかし、開催まで半年を切った中、市民の皆さんの関心も徐々に高まりつつあるとはいえ、まだまだ不十分。先日のシンポジウムの締め括りに市長自らの音頭でガンバロウを三唱する光景は苦戦を象徴しているようにも見えました。
まず、少し角度を変えて、珠洲市のブランド化の観点からお聞きしたいと思います。
泉谷市政一期目は、今議会の提案説明にもあるように本市の強みである食を中心に交流人口の拡大、農林水産業の振興に取り組みました。「自然と共生する珠洲市として、珠洲市そのものをブランド化していきたい」という言葉を何度となく市民は耳にしました。施設の建設や企業誘致ではなく地域にあるものを活かして活性化を図る、当時としては新鮮なインパクトがあったかと思います。
2期目に入り「能登の里山里海」が世界農業遺産に認定され、「本市の強みである『食』に世界農業遺産というプレミアが加わった。引き続き「自然と共生する珠洲市」の構築とブランド化に取り組んでまいりたい」といったフレーズも違和感なく市民の耳に届いたのではないかと思います。こうした流れの中、昨年策定された珠洲市まちづくり総合指針や総合戦略でも「世界農業遺産『里山里海』の保全と活用による地域のブランド化」を掲げています。
一方、今議会の提案説明や芸術祭の実施計画には世界農業遺産の文字はなく、予算的にも奥能登国際芸術祭による新しい珠洲のブランド化の方向が読み取れます。私は市民の皆さんになかなか浸透しない理由として、なじみの薄い現代アート、あるいは一回目の開催でイメージが湧かないといった理由だけでなく、これまでの泉谷市政の取り組みと芸術祭の関係について、市民の皆さんの胸にストンと落ちる言葉がいまだに出てきていないことが一因ではないかと感じています。
言い換えれば、地域資源の魅力に光を当てた食という一段ロケット、地域の魅力にプレミアをつけ自信と誇りもたらした世界農業遺産という2段ロケット、そしていま芸術祭という新しいロケットが噴射されようとしているわけですが、これは果たして3段ロケットなのか、違う方向に飛び出す新しい大型ロケットなのでしょうか。
私の印象で言うと、今回の芸術祭の開催目的の一番目に「地元に対する誇りの醸成」を掲げていることがある意味象徴的で、世界農業遺産による誇りの醸成はこのあたりが限界、若い世代を惹き付け人口問題に対処するためには現代アートを燃料とした新しい大型ロケットをもう一発発射しなければというところが市長の本音かなと思うわけです。世界農業遺産と芸術祭、両者はどこまでリンクしているのでしょうか。あるいは新しい珠洲市のブランド化を目指す方針転換なのでしょうか。
次に地域振興基金の今後の在り方をお聞きします。
平成29年度の基金充当額は過去2番目に多い3億3900万円余を見込み、平成29年度末の基金残高予測は13億6000万円となります。そのうち、芸術祭への充当は2億2900万円ですが、今年度までの開催準備事業費への充当も加えると3億4千万円を超えるかと思います。
先の12月議会で当初の見込みを上回った理由について、市長は第1回目の開催で作品の蓄積がない、展示施設の受け入れ体制がゼロからのスタートである、全国各地で多数芸術祭が開催される中、一定水準以上の作品の質や点数、効果的なPRなどが必要である、さらに単独自治体開催であることなどを上げられました。しかし、2回目以降なら減らせるのか、私はかなり疑問に思っています。
1昨年に6回目を迎えた大地の芸術祭の総予算は第5回目と比較し3億1千万円増の11億7500万円。それでもパスポート販売数は減少しています。瀬戸内芸術祭も、実行委員会予算だけで比較しても3回目は2回目と比べ2割近く予算が増えているにもかかわらず、チケット販売は1割近く減少しています。
いま全国の自治体で、芸術祭を名乗るかどうかは別にして、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムを見据えた文化事業や地域活性化計画が目白押しです。知名度の高い瀬戸内や越後妻有ですら予算規模を拡大しても苦戦しています。珠洲市が文化庁に申請している「文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業」の今年度の応募件数は182件、来年度はさらに増えるのではないでしょうか。加えて2020年は7月24日に東京オリンピック開会、9月6日にパラリンピックが閉会という日程が決まっています。第2回の奥能登芸術祭を同じく秋祭り時期に開催するなら、少々のPR費を増額しても吹き飛んでしまいます。
こうした中、地域振興基金に大きく依存した奥能登芸術祭ですが、このまま今後も継続するなら、芸術祭以外への充当をやめても10年後には基金は底をつく可能性がでてきます。基金の在り方について広く議論する場を設けるべきではないでしょうか。また、今後の基金の在り方についても市長の思いがあればお聞きしておきたいと思います。
芸術祭で展示される個々の作品にはアーティストの独創性が大いに発揮されることを期待しつつも、多額の税金を投入するビッグイベントですから総体としては経済効果を無視することはできません。地域振興基金を投入する目的もまさに地域への経済波及効果にあります。そういう意味で、芸術祭開催の目的に、地元に対する誇りの醸成や交流人口の拡大、雇用の拡大は掲げられていますが、地域経済への波及効果をしっかり見極めることも大事だと思います。そういう観点から以下質問させていただきます。
まず、平成26年度から来年度までの実行委員会予算における北川フラム氏あるいはアートフロントギャラリーへの委託費はいくら程度を見込んでいるのでしょうか。また、それは実行委員会予算の何割を占めるかについてもお聞きしておきたいと思います。
第6回大地の芸術祭では実行委員会予算の約88%が北川氏やアートフロントギャラリーなどへの委託費となり、地元にほとんど還元されていないという指摘もあります。アーティストの皆さんへの委託料はともかく、地元で対応できるものはできるだけ地元に発注していただきたいと思いますし、実行委員会から先の予算の流れ、できる限り市民に見えるようにすべきだと思います。
関連して、アートフロントギャラリーへの委託分も含め、実行委員会にかかる印刷物や看板、物品購入などの発注は、特殊なものを除き、珠洲市財務規則に則り、本市の通常の入札方式で対応すべきと思いますがいかがでしょうか。また市内業者への発注比率は、芸術祭終了後の報告書で公表すべきだと思いますが、この点についても明快な回答をお願いします。
以上も踏まえ、地域経済への波及効果について、どの程度を想定しているかについてもお聞きします。県外、国外からどの程度の人が来るのか、宿泊、日帰り、そして市民の参加がどの程度の比率になるか、やってみないとわからないというのが本音かもしれませんが、文化庁への補助金申請にあたっては市としての経済波及効果を算出しておられるかと思います。
次に地元の雇用拡大についてです。これは芸術祭開催の目的の一つとして掲げられており、ある意味では市内の求人の幅を広げ、若い世代の移住定住を促す重要なポイントでもあります。創業によって新しく活躍する人が増えれば、それ自体が地域の魅力アップにもつながっていきます。正規雇用、パート・アルバイトなど非正規雇用、そして新規創業、それぞれについてどの程度を見込んでいるかお聞きします。
あと一点、芸術祭に関わる人の問題についてです。
昨年、瀬戸内芸術祭を訪れた際、県外からのサポーターは1回目、2回目ほど来てもらえなくなったという話を聞きました。高松市内在住の退職者にかなり声がかかったようです。実際、報告書をみても実働人員は1300人から1100人へと減少しています。また、3年前にいちはらアートミックスを視察した際にも、サポーター登録の人数はかなり多いが人手がほしい時に人がいなかったという話も聞きました。報告書によると登録人数は1,312人いますが、平日の参加者は10人程度だったという指摘もあります。開催期間中の運営に関わるサポーター登録は何人を見込んでおられるのでしょうか。
関連して市役所職員のかかわり方についてもお聞きしておきたいと思います。向山議員が取り上げました地元紙の見出しで「『身の丈』に合わぬ起爆剤」とありました。ここでの指摘は予算規模の指摘ですが、私はもう一つ、組織面でも「身の丈」の問題があると思っています。
瀬戸内芸術祭は香川県庁の中に事務局を置き、第2回開催時の数字で言うと、県庁職員だけで13人、市町職員が4人加わり、正規の職員だけでも17人体制。それでも開催年の時間外勤務は事務局以外の観光関係の職員も含め、2カ月以上月100時間超える、あるいは3カ月以上月80時間を超えるという職員が延べ122人という数字もあり、閉会後、「幸い何とか健康被害なく終わった」と総務部長が安堵しています。
奥能登芸術祭は瀬戸内芸術祭と比べ規模は小さいとはいえ、それ以上に組織が小さいわけで、芸術祭開催準備室はじめ企画財政課や観光交流課を中心に大変な激務が予想されます。同時に他の職員の皆さんもこの時期、8月末のトライアスロン大会のボランティアに始まり、自分の町内の祭りの準備や友人知人宅の祭りのヨバレ、さらには、週末は稲刈りという方もいるかもしれません。地域や学校などでも様々な行事がある、そんな中での芸術祭です。業務として関わる職員がたまの週末の休みはサポーターで参加となっては体が持ちません。他の職員も週末ごとにサポーターでフル参加では50日間は持ちませんし、ましてボランティアの強制はできません。
市外からのサポーターや市民の皆さんと一緒に芸術祭をぜひ成功させたいと願っていても気合いだけでこなす問題ではありません。直接業務として関わる職員、サポーターとして関わる職員、それぞれどのような対応方針を考えておられるかお聞きをして、芸術祭関係の質問を終わります。
次に1年後に迫った国民健康保険制度の都道府県単位化についてお聞きします。
市町村が個別に運営する現行制度を見直し、都道府県が財政運営責任を担うなど中心的役割をはたすようにする医療保険制度改革法が平成27年5月に成立し、いよいよ来年度から新制度へ移行となります。昭和33年に現在の国保制度がスタートして以来、最大の制度変更です。その狙いとするところ、医療保険制度の安定化や世代間・世代内の負担の公平化、医療費の適正化を図り、国民皆保険制度を将来にわたって堅持するためと言われています。
し かし、国民皆保険制度を形骸化させるTPPの国内手続きを強引に完了させた政府が進めることですから、将来にわたって堅持すると言われても制度の骨抜きが心配です。
特に本市の国保会計は黒字の優等生であり、制度改正によるメリットは県内住所移動に伴う高額療養費の多数回該当の判定などごく一部のようです。むしろ、従来、住民密着できめ細かく対応してきたことが、広域化の中でできなくなるのではないか、あるいは必要な医療を抑制させる方向に機能するのではないか等々、様々な懸念材料があります。何よりこうした問題が広く議論されないまま、都道府県単位化ありきで来年度から新制度移行となることを危惧します。
そこで以下5点、お聞きします。
1点目、新制度への以降で、県内市町は県が決定した国保事業費納付金をそれぞれ県へ納め、給付に必要な費用は県が市町に交付するという仕組みになります。まず、この納付金がいくらになるのか、国保の加入者に従来以上の負担を強いることにならないのか心配です。納付金額は来年1月頃に決定するとのことですが、年が明けてのお楽しみということで待ちの姿勢でいいのでしょうか。納付金額の計算に使う確定計数を厚労省は示しておらず、正確な額は出せないにせよ、県も仮計算をおこない、様々な検討を重ねているようです。北海道などはこの仮計算に基づく納付金額を公表し、道内の市町村との協議の参考にしています。ちなみに北海道の仮計算では、国からの交付金が入りますから道民一人あたりの保険料は平均では安くはなりますが、約半数の市町村で上昇したとのことです。
珠洲市の場合、医療費は低く、加入者の所得も低く、収納率は高いので、当面、市民から不満の声があがるような納付金額が提示されることはおそらくはないと思いますが、将来的には保険料負担の平準化を進める方針も示されています。介護保険制度のように後々負担がどんどん重くなるということも十分想定されると思います。なによりこのような大きな制度改正が、ブラックボックスの中で協議が進むこと自体に違和感を覚えます。新制度移行後の市町から県への納付金について、仮算定の結果を県に公表させ、県民に開かれた場で新制度移行に向けた議論を進めていくべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
国保加入者にとっては、市に求められる納付金額以上に、我が家の保険料が上がるのか、下がるのか、現状維持なのか、まさにそこが最大の関心事です。本市の場合、他の市町と比べて保険料は低いとはいえ、毎年6月に届く保険料の通知書を見て、「ありゃ今年もでっかいなぁ」とため息をつかれる方がほとんどではないでしょうか。
こうした中、負担感の低減、あるいは公平感の確保が重要となります。本市の場合は大きな家屋敷、あるいは田んぼや畑、山林など不動産はあるけれど、ほとんど所得につながっていないという家庭も多くあります。そこで保険料の算定にあたっての資産割は奥能登では一番低く抑えるなど、地域の事情を踏まえた対応ができたのがこれまでの国保制度でした。
新制度移行にあたり、保険料率を決定するのは従来通り市町とされてはいますが、一方で県が提示した標準保険料率を参考に、という記載もあります。果たして今後も本市は市民の要望や地域特性を踏まえ、主体性をもって保険料率を決定していくことができるのでしょうか。
保険料率だけでなく保険事業も独自に展開してきました。本市の場合は基金の積み立てに余裕があったことから、平成23年度から特定健診を無料化、人間ドック・脳ドックの受診料も自己負担1割とし、被保険者の健康の維持に努めてきました。今後、保険料率統一の動きが進めば、これらの保険事業の継続が困難になることはないのでしょうか。
保険料未納者に対する対応も、市町ごとに微妙な違いがあります。本市は資格証明書の発行はなく、短期保険証の発行で対応しています。市民課の窓口で短期保険証を発行することを通じて、保険料未納者との接触の機会を増やし、自主的な納付を直接働きかけることを目的として設けられました。資格証明書との違いは医療機関での窓口負担です。資格証明書は10割負担で、後日窓口で払い戻し申請はできますが、事実上受診を抑制することになります。今後、短期保険証、資格証明書の発行について、県内一律の機械的対応となる可能性はないのか、お聞きします。
あと一点、前期高齢者交付金の扱いが変更となりますが、その影響についてお聞きします。
国保会計の歳入の最大の科目が前期高齢者交付金で例年6億円前後、多い年では7億円を超えるときもあり、国保の歳入の3割前後を占めてきました。これに対する前期高齢者納付金はこの場で示すのもはばかられるほどの額であり、なぜこういう仕組みになっているのか私には全くわかりませんが、いずれにしても本市の国保会計に大きく寄与してきたことは間違いありません。この前期高齢者交付金は今回の制度改正で県への一括交付となるわけですが、先ほど紹介しました北海道の試算では前期高齢者の加入率の高い市町村によっては保険料を引き上げる方向に働く可能性も指摘されています。本市においても保険料引き上げの要因になる可能性はないのか心配になるわけですが、どのような見通しを持っておられるかお聞かせいただきたいと思います。
質問の最後は学校の超勤多忙化の解消についてです。
またかと思われる方もおられるかもしれません。多田教育長就任以降、改善された点があることも承知をしていますが、しかしそれ以上に現場の深刻さは増しています。公益財団法人連合総研という労働組合の連合系のシンクタンクがあります。この連合総研が今年1月に発表したレポートが大きな反響を呼んでいます。これによりますと、過労死ラインとされる1カ月あたりの時間外労働時間が80時間を超える教員は、小学校で72.9%、中学校で86.9%、高校で61.4%という実態が明らかにされました。教職員の長時間労働の実態を示す調査は、調査方法の違いはあるものの、国際比較を含め、数多くありますが、明らかに年々悪化の傾向にあります。
石川県内でも大差はありません。今年度石川県教組青年部が9月から10月にかけておこなった実態調査では、小学校教員の時間外勤務は1カ月当たり平均83.1時間、中学校教員で124.5時間でした。この数字は決して若手教員限定の実態とは思えません。過労死ライン超えが平均的な教員の働き方だということです。
市内の小中学校はどうでしょうか。「うちの学校はだいたいみんな8時頃には帰ってますよ」と聞くと、思わず「早いですね」と言ってしまいます。平日夜の3時間の時間外勤務なら早い方、これに早朝の出勤や、週末の出勤もありますから、やはり平均的には80時間を超えてるのではないでしょうか。
昨年9月議会で時間外勤務の問題を取り上げたとき、教育長は教職調整額のことにも若干触れられました。教員であっても労働基準法の多くの規定が適用されるわけですが、時間外勤務や休日勤務に対する割増賃金の支給を定めた労働基準法第37条は適用されません。そのかわり、教員には月額棒級の4%を加算するという特別措置法が適用されます。いわゆる給特法ですが、1971年の制定当時の勤務実態と現在はかけ離れ、いまや4%の加算で働かせ放題、管理職は長時間労働是正のマネジメント能力を問われることもなく、学校現場をブラック企業化させる一因にもなっています。
こうした実態は教職員の危機であると同時に、未来を担う子どもたちの教育の危機であり、新学習指導要領への対応もできません。文科省もようやく危機感を全面に打ち出したことは昨年の9月議会で紹介した通りです。危機的労働環境の改善に向け、まずは教育委員会としても実態把握を、ということでこの間何度も求めてきました。ようやく勤務時間の把握に動き出したことは評価しますが、その中身はどうでしょうか。まず、今年度、市内各小中学校、義務教育学校では、管理職は教職員の始業、終業時刻をどのような方法で確認し、記録しているのでしょうか。確認させていただきます
あわせて、現在の勤務時間の確認、そして当然ながら記録もされていると思いますが、そこから見えてくる超過勤務の実態について、どのように認識しているかお聞きします。
多くの学校では週案に始業終業時刻を記載する方法で対応しているかと思いますが、労働安全衛生法及び同法に関する政令、省令に基づく勤務時間管理は、管理職の現認、あるいはタイムカード、ICカードなど客観的な記録を基礎として確認し、記録することを求めているということも、この間、何度も何度も指摘してきました。本市ではいつなっても重い腰が上がらない中、中能登町ではすでに2月から中能登中学校でタイムカードを導入し、町内の小学校でも4月から導入予定と聞いています。金沢市と白山市も新年度からパソコンのウェブ管理、野々市市はタイムカードを導入し、適正な時間管理に向けて一歩踏み出す方針を示しました。こうした中、本市はまだ法令順守の対応を行わないのか、来年度の対応についてお聞きしたいと思います。
勤務時間の把握はあくまで業務改善の入り口であって、学校や教員の業務の大胆な見直しや業務の適正化を同時に進めていかなければなりません。文科省が昨年6月に示した「学校現場における業務の適正化について」という報告書でも国、県教委、市教委、学校それぞれが取り組むべき具体的な改善方策が多岐にわたり示されています。先に紹介した連合総研のレポートでは経験のある教員でも負担と感じる業務の一番にランクされたのが「国や教育委員会からの調査・アンケートの実施・集計でした。学校現場では子どもたちと向き合う時間も作れず、書類作成マシンになったようなものだという嘆きすら聞こえてきます。こうした調査・報告の低減も含め、本市教育委員会としても明確な業務改善目標を定め、達成状況を把握していくべきだと思いますが、対応をお聞きします。
部活動についてもお聞きします。
その意義や役割は十分認めつつも、過熱しすぎては子どもたちの健康や学習環境にしわ寄せがきます。教職員の業務にも大きな影響を与えます。スポーツ庁の調査によれば、石川県の平均部活動時間は男子で全国7番目、女子で6番目に多く、特に平日の練習時間の長さが顕著です。文科省はすでに平成9年、「運動部における休養日の設定例」として、中学校の運動部は、学期中は週当たり2日以上の休養日を設定すること、活動時間も平日は長くて2~3時間程度で終えることなどを示しており、今年1月6日、改めてこの設定例を踏まえた対応を求める通知を出しています。本市の対応について、4年前の質問では学校ごとに終了時刻を設定したり、また週1回、休みの日を設定するよう校長会を通じて要請しているとのことでしたが、あらためて今回の文科省通知も踏まえ、どのような対応を考えておられるかお聞きしたいと思います。
最後に、市長にもお聞きしたいと思います。学校現場の多忙化問題は単に学校の問題、教育委員会の問題にとどまらず、いまや社会全体で共有すべき政治課題となっています。政府の働き方改革実現会議でも有識者から教員の長時間労働の深刻さが指摘され、また、昨年11月の県の総合教育会議でも教員研修と多忙化の関係が活発に議論されています。谷本知事からは「文科省は新たな事件が起こるたびに、これ研修、あれ研修とどんどん研修を増やしていく。現場は教鞭を執る暇がなく研修ばかりに参加しているという、それはもう本末転倒だ」という趣旨の発言があり、田中教育長も研修の重点化、中央型の研修の見直しを示唆し、各教育委員や学識経験者からも「研修内容の見直しは避けがたい」、「先生は学校の現場、つまり子どもたち、保護者、同僚に育てられる」といった発言が相次いでいます。
昨年の9月議会で教育長からは研修を削減・整理をして負担軽減に取り組んでいるとの答弁がありましたが、少なくとも県の総合教育会議では、スクラップしているから大丈夫との認識はなく、それ以上にビルドが山ほどある現状を直視し、議論が交わされています。
学校の常識は世間の非常識。昔、先輩議員から言われた言葉をいま思い出します。学校の多忙化解消は、本市でも総合教育会議で取り上げて議論すべき大きなテーマではないでしょうか。市長の見解を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
少々長いですが、ご笑覧を。
(正式な議事録ではありませんので引用は慎重に願います)
答弁は近日中にアップします。
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先の12月議会に続き今議会も奥能登国際芸術祭を中心にお聞きします。前回は当初の見込みを上回る大きな予算が投入されようとしていることを指摘し、その要因などをお聞きしました。今回は地域イメージに与える影響や開催効果の見通しなどを中心に、開催後の総括も視野に入れながらお聞きしたいと思います。
泉谷市政も6月で丸11年、今年秋の芸術祭はある意味では3期12年の泉谷市政の集大成なのかなとも思います。しかし、開催まで半年を切った中、市民の皆さんの関心も徐々に高まりつつあるとはいえ、まだまだ不十分。先日のシンポジウムの締め括りに市長自らの音頭でガンバロウを三唱する光景は苦戦を象徴しているようにも見えました。
まず、少し角度を変えて、珠洲市のブランド化の観点からお聞きしたいと思います。
泉谷市政一期目は、今議会の提案説明にもあるように本市の強みである食を中心に交流人口の拡大、農林水産業の振興に取り組みました。「自然と共生する珠洲市として、珠洲市そのものをブランド化していきたい」という言葉を何度となく市民は耳にしました。施設の建設や企業誘致ではなく地域にあるものを活かして活性化を図る、当時としては新鮮なインパクトがあったかと思います。
2期目に入り「能登の里山里海」が世界農業遺産に認定され、「本市の強みである『食』に世界農業遺産というプレミアが加わった。引き続き「自然と共生する珠洲市」の構築とブランド化に取り組んでまいりたい」といったフレーズも違和感なく市民の耳に届いたのではないかと思います。こうした流れの中、昨年策定された珠洲市まちづくり総合指針や総合戦略でも「世界農業遺産『里山里海』の保全と活用による地域のブランド化」を掲げています。
一方、今議会の提案説明や芸術祭の実施計画には世界農業遺産の文字はなく、予算的にも奥能登国際芸術祭による新しい珠洲のブランド化の方向が読み取れます。私は市民の皆さんになかなか浸透しない理由として、なじみの薄い現代アート、あるいは一回目の開催でイメージが湧かないといった理由だけでなく、これまでの泉谷市政の取り組みと芸術祭の関係について、市民の皆さんの胸にストンと落ちる言葉がいまだに出てきていないことが一因ではないかと感じています。
言い換えれば、地域資源の魅力に光を当てた食という一段ロケット、地域の魅力にプレミアをつけ自信と誇りもたらした世界農業遺産という2段ロケット、そしていま芸術祭という新しいロケットが噴射されようとしているわけですが、これは果たして3段ロケットなのか、違う方向に飛び出す新しい大型ロケットなのでしょうか。
私の印象で言うと、今回の芸術祭の開催目的の一番目に「地元に対する誇りの醸成」を掲げていることがある意味象徴的で、世界農業遺産による誇りの醸成はこのあたりが限界、若い世代を惹き付け人口問題に対処するためには現代アートを燃料とした新しい大型ロケットをもう一発発射しなければというところが市長の本音かなと思うわけです。世界農業遺産と芸術祭、両者はどこまでリンクしているのでしょうか。あるいは新しい珠洲市のブランド化を目指す方針転換なのでしょうか。
次に地域振興基金の今後の在り方をお聞きします。
平成29年度の基金充当額は過去2番目に多い3億3900万円余を見込み、平成29年度末の基金残高予測は13億6000万円となります。そのうち、芸術祭への充当は2億2900万円ですが、今年度までの開催準備事業費への充当も加えると3億4千万円を超えるかと思います。
先の12月議会で当初の見込みを上回った理由について、市長は第1回目の開催で作品の蓄積がない、展示施設の受け入れ体制がゼロからのスタートである、全国各地で多数芸術祭が開催される中、一定水準以上の作品の質や点数、効果的なPRなどが必要である、さらに単独自治体開催であることなどを上げられました。しかし、2回目以降なら減らせるのか、私はかなり疑問に思っています。
1昨年に6回目を迎えた大地の芸術祭の総予算は第5回目と比較し3億1千万円増の11億7500万円。それでもパスポート販売数は減少しています。瀬戸内芸術祭も、実行委員会予算だけで比較しても3回目は2回目と比べ2割近く予算が増えているにもかかわらず、チケット販売は1割近く減少しています。
いま全国の自治体で、芸術祭を名乗るかどうかは別にして、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムを見据えた文化事業や地域活性化計画が目白押しです。知名度の高い瀬戸内や越後妻有ですら予算規模を拡大しても苦戦しています。珠洲市が文化庁に申請している「文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業」の今年度の応募件数は182件、来年度はさらに増えるのではないでしょうか。加えて2020年は7月24日に東京オリンピック開会、9月6日にパラリンピックが閉会という日程が決まっています。第2回の奥能登芸術祭を同じく秋祭り時期に開催するなら、少々のPR費を増額しても吹き飛んでしまいます。
こうした中、地域振興基金に大きく依存した奥能登芸術祭ですが、このまま今後も継続するなら、芸術祭以外への充当をやめても10年後には基金は底をつく可能性がでてきます。基金の在り方について広く議論する場を設けるべきではないでしょうか。また、今後の基金の在り方についても市長の思いがあればお聞きしておきたいと思います。
芸術祭で展示される個々の作品にはアーティストの独創性が大いに発揮されることを期待しつつも、多額の税金を投入するビッグイベントですから総体としては経済効果を無視することはできません。地域振興基金を投入する目的もまさに地域への経済波及効果にあります。そういう意味で、芸術祭開催の目的に、地元に対する誇りの醸成や交流人口の拡大、雇用の拡大は掲げられていますが、地域経済への波及効果をしっかり見極めることも大事だと思います。そういう観点から以下質問させていただきます。
まず、平成26年度から来年度までの実行委員会予算における北川フラム氏あるいはアートフロントギャラリーへの委託費はいくら程度を見込んでいるのでしょうか。また、それは実行委員会予算の何割を占めるかについてもお聞きしておきたいと思います。
第6回大地の芸術祭では実行委員会予算の約88%が北川氏やアートフロントギャラリーなどへの委託費となり、地元にほとんど還元されていないという指摘もあります。アーティストの皆さんへの委託料はともかく、地元で対応できるものはできるだけ地元に発注していただきたいと思いますし、実行委員会から先の予算の流れ、できる限り市民に見えるようにすべきだと思います。
関連して、アートフロントギャラリーへの委託分も含め、実行委員会にかかる印刷物や看板、物品購入などの発注は、特殊なものを除き、珠洲市財務規則に則り、本市の通常の入札方式で対応すべきと思いますがいかがでしょうか。また市内業者への発注比率は、芸術祭終了後の報告書で公表すべきだと思いますが、この点についても明快な回答をお願いします。
以上も踏まえ、地域経済への波及効果について、どの程度を想定しているかについてもお聞きします。県外、国外からどの程度の人が来るのか、宿泊、日帰り、そして市民の参加がどの程度の比率になるか、やってみないとわからないというのが本音かもしれませんが、文化庁への補助金申請にあたっては市としての経済波及効果を算出しておられるかと思います。
次に地元の雇用拡大についてです。これは芸術祭開催の目的の一つとして掲げられており、ある意味では市内の求人の幅を広げ、若い世代の移住定住を促す重要なポイントでもあります。創業によって新しく活躍する人が増えれば、それ自体が地域の魅力アップにもつながっていきます。正規雇用、パート・アルバイトなど非正規雇用、そして新規創業、それぞれについてどの程度を見込んでいるかお聞きします。
あと一点、芸術祭に関わる人の問題についてです。
昨年、瀬戸内芸術祭を訪れた際、県外からのサポーターは1回目、2回目ほど来てもらえなくなったという話を聞きました。高松市内在住の退職者にかなり声がかかったようです。実際、報告書をみても実働人員は1300人から1100人へと減少しています。また、3年前にいちはらアートミックスを視察した際にも、サポーター登録の人数はかなり多いが人手がほしい時に人がいなかったという話も聞きました。報告書によると登録人数は1,312人いますが、平日の参加者は10人程度だったという指摘もあります。開催期間中の運営に関わるサポーター登録は何人を見込んでおられるのでしょうか。
関連して市役所職員のかかわり方についてもお聞きしておきたいと思います。向山議員が取り上げました地元紙の見出しで「『身の丈』に合わぬ起爆剤」とありました。ここでの指摘は予算規模の指摘ですが、私はもう一つ、組織面でも「身の丈」の問題があると思っています。
瀬戸内芸術祭は香川県庁の中に事務局を置き、第2回開催時の数字で言うと、県庁職員だけで13人、市町職員が4人加わり、正規の職員だけでも17人体制。それでも開催年の時間外勤務は事務局以外の観光関係の職員も含め、2カ月以上月100時間超える、あるいは3カ月以上月80時間を超えるという職員が延べ122人という数字もあり、閉会後、「幸い何とか健康被害なく終わった」と総務部長が安堵しています。
奥能登芸術祭は瀬戸内芸術祭と比べ規模は小さいとはいえ、それ以上に組織が小さいわけで、芸術祭開催準備室はじめ企画財政課や観光交流課を中心に大変な激務が予想されます。同時に他の職員の皆さんもこの時期、8月末のトライアスロン大会のボランティアに始まり、自分の町内の祭りの準備や友人知人宅の祭りのヨバレ、さらには、週末は稲刈りという方もいるかもしれません。地域や学校などでも様々な行事がある、そんな中での芸術祭です。業務として関わる職員がたまの週末の休みはサポーターで参加となっては体が持ちません。他の職員も週末ごとにサポーターでフル参加では50日間は持ちませんし、ましてボランティアの強制はできません。
市外からのサポーターや市民の皆さんと一緒に芸術祭をぜひ成功させたいと願っていても気合いだけでこなす問題ではありません。直接業務として関わる職員、サポーターとして関わる職員、それぞれどのような対応方針を考えておられるかお聞きをして、芸術祭関係の質問を終わります。
次に1年後に迫った国民健康保険制度の都道府県単位化についてお聞きします。
市町村が個別に運営する現行制度を見直し、都道府県が財政運営責任を担うなど中心的役割をはたすようにする医療保険制度改革法が平成27年5月に成立し、いよいよ来年度から新制度へ移行となります。昭和33年に現在の国保制度がスタートして以来、最大の制度変更です。その狙いとするところ、医療保険制度の安定化や世代間・世代内の負担の公平化、医療費の適正化を図り、国民皆保険制度を将来にわたって堅持するためと言われています。
し かし、国民皆保険制度を形骸化させるTPPの国内手続きを強引に完了させた政府が進めることですから、将来にわたって堅持すると言われても制度の骨抜きが心配です。
特に本市の国保会計は黒字の優等生であり、制度改正によるメリットは県内住所移動に伴う高額療養費の多数回該当の判定などごく一部のようです。むしろ、従来、住民密着できめ細かく対応してきたことが、広域化の中でできなくなるのではないか、あるいは必要な医療を抑制させる方向に機能するのではないか等々、様々な懸念材料があります。何よりこうした問題が広く議論されないまま、都道府県単位化ありきで来年度から新制度移行となることを危惧します。
そこで以下5点、お聞きします。
1点目、新制度への以降で、県内市町は県が決定した国保事業費納付金をそれぞれ県へ納め、給付に必要な費用は県が市町に交付するという仕組みになります。まず、この納付金がいくらになるのか、国保の加入者に従来以上の負担を強いることにならないのか心配です。納付金額は来年1月頃に決定するとのことですが、年が明けてのお楽しみということで待ちの姿勢でいいのでしょうか。納付金額の計算に使う確定計数を厚労省は示しておらず、正確な額は出せないにせよ、県も仮計算をおこない、様々な検討を重ねているようです。北海道などはこの仮計算に基づく納付金額を公表し、道内の市町村との協議の参考にしています。ちなみに北海道の仮計算では、国からの交付金が入りますから道民一人あたりの保険料は平均では安くはなりますが、約半数の市町村で上昇したとのことです。
珠洲市の場合、医療費は低く、加入者の所得も低く、収納率は高いので、当面、市民から不満の声があがるような納付金額が提示されることはおそらくはないと思いますが、将来的には保険料負担の平準化を進める方針も示されています。介護保険制度のように後々負担がどんどん重くなるということも十分想定されると思います。なによりこのような大きな制度改正が、ブラックボックスの中で協議が進むこと自体に違和感を覚えます。新制度移行後の市町から県への納付金について、仮算定の結果を県に公表させ、県民に開かれた場で新制度移行に向けた議論を進めていくべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
国保加入者にとっては、市に求められる納付金額以上に、我が家の保険料が上がるのか、下がるのか、現状維持なのか、まさにそこが最大の関心事です。本市の場合、他の市町と比べて保険料は低いとはいえ、毎年6月に届く保険料の通知書を見て、「ありゃ今年もでっかいなぁ」とため息をつかれる方がほとんどではないでしょうか。
こうした中、負担感の低減、あるいは公平感の確保が重要となります。本市の場合は大きな家屋敷、あるいは田んぼや畑、山林など不動産はあるけれど、ほとんど所得につながっていないという家庭も多くあります。そこで保険料の算定にあたっての資産割は奥能登では一番低く抑えるなど、地域の事情を踏まえた対応ができたのがこれまでの国保制度でした。
新制度移行にあたり、保険料率を決定するのは従来通り市町とされてはいますが、一方で県が提示した標準保険料率を参考に、という記載もあります。果たして今後も本市は市民の要望や地域特性を踏まえ、主体性をもって保険料率を決定していくことができるのでしょうか。
保険料率だけでなく保険事業も独自に展開してきました。本市の場合は基金の積み立てに余裕があったことから、平成23年度から特定健診を無料化、人間ドック・脳ドックの受診料も自己負担1割とし、被保険者の健康の維持に努めてきました。今後、保険料率統一の動きが進めば、これらの保険事業の継続が困難になることはないのでしょうか。
保険料未納者に対する対応も、市町ごとに微妙な違いがあります。本市は資格証明書の発行はなく、短期保険証の発行で対応しています。市民課の窓口で短期保険証を発行することを通じて、保険料未納者との接触の機会を増やし、自主的な納付を直接働きかけることを目的として設けられました。資格証明書との違いは医療機関での窓口負担です。資格証明書は10割負担で、後日窓口で払い戻し申請はできますが、事実上受診を抑制することになります。今後、短期保険証、資格証明書の発行について、県内一律の機械的対応となる可能性はないのか、お聞きします。
あと一点、前期高齢者交付金の扱いが変更となりますが、その影響についてお聞きします。
国保会計の歳入の最大の科目が前期高齢者交付金で例年6億円前後、多い年では7億円を超えるときもあり、国保の歳入の3割前後を占めてきました。これに対する前期高齢者納付金はこの場で示すのもはばかられるほどの額であり、なぜこういう仕組みになっているのか私には全くわかりませんが、いずれにしても本市の国保会計に大きく寄与してきたことは間違いありません。この前期高齢者交付金は今回の制度改正で県への一括交付となるわけですが、先ほど紹介しました北海道の試算では前期高齢者の加入率の高い市町村によっては保険料を引き上げる方向に働く可能性も指摘されています。本市においても保険料引き上げの要因になる可能性はないのか心配になるわけですが、どのような見通しを持っておられるかお聞かせいただきたいと思います。
質問の最後は学校の超勤多忙化の解消についてです。
またかと思われる方もおられるかもしれません。多田教育長就任以降、改善された点があることも承知をしていますが、しかしそれ以上に現場の深刻さは増しています。公益財団法人連合総研という労働組合の連合系のシンクタンクがあります。この連合総研が今年1月に発表したレポートが大きな反響を呼んでいます。これによりますと、過労死ラインとされる1カ月あたりの時間外労働時間が80時間を超える教員は、小学校で72.9%、中学校で86.9%、高校で61.4%という実態が明らかにされました。教職員の長時間労働の実態を示す調査は、調査方法の違いはあるものの、国際比較を含め、数多くありますが、明らかに年々悪化の傾向にあります。
石川県内でも大差はありません。今年度石川県教組青年部が9月から10月にかけておこなった実態調査では、小学校教員の時間外勤務は1カ月当たり平均83.1時間、中学校教員で124.5時間でした。この数字は決して若手教員限定の実態とは思えません。過労死ライン超えが平均的な教員の働き方だということです。
市内の小中学校はどうでしょうか。「うちの学校はだいたいみんな8時頃には帰ってますよ」と聞くと、思わず「早いですね」と言ってしまいます。平日夜の3時間の時間外勤務なら早い方、これに早朝の出勤や、週末の出勤もありますから、やはり平均的には80時間を超えてるのではないでしょうか。
昨年9月議会で時間外勤務の問題を取り上げたとき、教育長は教職調整額のことにも若干触れられました。教員であっても労働基準法の多くの規定が適用されるわけですが、時間外勤務や休日勤務に対する割増賃金の支給を定めた労働基準法第37条は適用されません。そのかわり、教員には月額棒級の4%を加算するという特別措置法が適用されます。いわゆる給特法ですが、1971年の制定当時の勤務実態と現在はかけ離れ、いまや4%の加算で働かせ放題、管理職は長時間労働是正のマネジメント能力を問われることもなく、学校現場をブラック企業化させる一因にもなっています。
こうした実態は教職員の危機であると同時に、未来を担う子どもたちの教育の危機であり、新学習指導要領への対応もできません。文科省もようやく危機感を全面に打ち出したことは昨年の9月議会で紹介した通りです。危機的労働環境の改善に向け、まずは教育委員会としても実態把握を、ということでこの間何度も求めてきました。ようやく勤務時間の把握に動き出したことは評価しますが、その中身はどうでしょうか。まず、今年度、市内各小中学校、義務教育学校では、管理職は教職員の始業、終業時刻をどのような方法で確認し、記録しているのでしょうか。確認させていただきます
あわせて、現在の勤務時間の確認、そして当然ながら記録もされていると思いますが、そこから見えてくる超過勤務の実態について、どのように認識しているかお聞きします。
多くの学校では週案に始業終業時刻を記載する方法で対応しているかと思いますが、労働安全衛生法及び同法に関する政令、省令に基づく勤務時間管理は、管理職の現認、あるいはタイムカード、ICカードなど客観的な記録を基礎として確認し、記録することを求めているということも、この間、何度も何度も指摘してきました。本市ではいつなっても重い腰が上がらない中、中能登町ではすでに2月から中能登中学校でタイムカードを導入し、町内の小学校でも4月から導入予定と聞いています。金沢市と白山市も新年度からパソコンのウェブ管理、野々市市はタイムカードを導入し、適正な時間管理に向けて一歩踏み出す方針を示しました。こうした中、本市はまだ法令順守の対応を行わないのか、来年度の対応についてお聞きしたいと思います。
勤務時間の把握はあくまで業務改善の入り口であって、学校や教員の業務の大胆な見直しや業務の適正化を同時に進めていかなければなりません。文科省が昨年6月に示した「学校現場における業務の適正化について」という報告書でも国、県教委、市教委、学校それぞれが取り組むべき具体的な改善方策が多岐にわたり示されています。先に紹介した連合総研のレポートでは経験のある教員でも負担と感じる業務の一番にランクされたのが「国や教育委員会からの調査・アンケートの実施・集計でした。学校現場では子どもたちと向き合う時間も作れず、書類作成マシンになったようなものだという嘆きすら聞こえてきます。こうした調査・報告の低減も含め、本市教育委員会としても明確な業務改善目標を定め、達成状況を把握していくべきだと思いますが、対応をお聞きします。
部活動についてもお聞きします。
その意義や役割は十分認めつつも、過熱しすぎては子どもたちの健康や学習環境にしわ寄せがきます。教職員の業務にも大きな影響を与えます。スポーツ庁の調査によれば、石川県の平均部活動時間は男子で全国7番目、女子で6番目に多く、特に平日の練習時間の長さが顕著です。文科省はすでに平成9年、「運動部における休養日の設定例」として、中学校の運動部は、学期中は週当たり2日以上の休養日を設定すること、活動時間も平日は長くて2~3時間程度で終えることなどを示しており、今年1月6日、改めてこの設定例を踏まえた対応を求める通知を出しています。本市の対応について、4年前の質問では学校ごとに終了時刻を設定したり、また週1回、休みの日を設定するよう校長会を通じて要請しているとのことでしたが、あらためて今回の文科省通知も踏まえ、どのような対応を考えておられるかお聞きしたいと思います。
最後に、市長にもお聞きしたいと思います。学校現場の多忙化問題は単に学校の問題、教育委員会の問題にとどまらず、いまや社会全体で共有すべき政治課題となっています。政府の働き方改革実現会議でも有識者から教員の長時間労働の深刻さが指摘され、また、昨年11月の県の総合教育会議でも教員研修と多忙化の関係が活発に議論されています。谷本知事からは「文科省は新たな事件が起こるたびに、これ研修、あれ研修とどんどん研修を増やしていく。現場は教鞭を執る暇がなく研修ばかりに参加しているという、それはもう本末転倒だ」という趣旨の発言があり、田中教育長も研修の重点化、中央型の研修の見直しを示唆し、各教育委員や学識経験者からも「研修内容の見直しは避けがたい」、「先生は学校の現場、つまり子どもたち、保護者、同僚に育てられる」といった発言が相次いでいます。
昨年の9月議会で教育長からは研修を削減・整理をして負担軽減に取り組んでいるとの答弁がありましたが、少なくとも県の総合教育会議では、スクラップしているから大丈夫との認識はなく、それ以上にビルドが山ほどある現状を直視し、議論が交わされています。
学校の常識は世間の非常識。昔、先輩議員から言われた言葉をいま思い出します。学校の多忙化解消は、本市でも総合教育会議で取り上げて議論すべき大きなテーマではないでしょうか。市長の見解を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
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