北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

再チャレンジいろいろ

2012-10-08 | ニュースコメント
 今晩のニュースは山中伸弥教授のノーベル医学生理学賞受章の話題で持ちきりである。

 ノーベル賞のそもそも論はさておき、記者会見やインタビューの中の、ひたすら「感謝」を語る謙虚な対応と、「責任」の言葉に込めた今後のさらなる研究への決意から人柄が伝わってくる。
 超ハードスケジュールのはずなのに、しかも発表の時間はわかっていただろうに、自宅の洗濯機の修理中に受賞の電話が入るというのはなんともおもしろい。
 記者会見に合わせて電話を入れる野田総理は、ノーベル賞受賞人気に少しでもあやかろうとする政権の浅はかさがみえみえで、これまたおもしろい。
 さっそく様々なエピソードが紹介されているが、山中教授は外科医としてスタートし、その不器用さから「邪魔中」とまでいわれ、米国に留学する。研究者として再スタートし、日本に帰国するも、ここでもまた挫折を経験する。
 再々チャレンジの中でiPS細胞の研究に花が開いたという。

 以前、世界選手権やり投げ銅メダルの村上幸史選手を中学時代、野球部で教えた顧問の先生が、「私の最大の功績は彼を野球で大成させなかったことだ」という趣旨の話を冗談混じりにしていたが、山中教授も外科医でそれなりに一人前となっていればiPS細胞の発見には至らなかったかもしれない。
 人間万事塞翁が馬である。

 ところで「再チャレンジ」できる社会を訴え、自ら実践したのは安倍晋三自民党総裁である。
 こちらもやり残したことがあるそうで、自らの責任を強調しておられるようだが、山中教授との決定的な違いは、自らの失敗を教訓化せず、同じ過ちの道を突き進む再チャレンジだということである。
 多くのマスコミが勘違い情報を流しているように思うが、彼が総理大臣を辞職したのは決して「お腹」が最大の理由ではない。彼が都合よく「お腹」を理由にしただけのことである。
 「美しい国づくり」や「戦後レジームの解体」の主張が、格差社会の拡大に苦しむ国民生活とかけ離れ、しかもお友達内閣が次々と閣僚の不祥事や失言につながり参議院選挙でぼろ負け。力を入れた従軍慰安婦問題ではアメリカ下院からも批判の決議があがるなど、もはや総辞職は秒読み段階と思われた中での唐突な「健康問題」だった。
 彼は今回の総裁選挙でも、領土・主権を守ることを最優先し、集団的自衛権の行使容認で日米同盟を深化させ「強い日本」をつくることを訴えて勝利したとのこと。

 中国や韓国との関係で声高に主権を主張する人たちの多くは、オスプレイの普天間配備問題に象徴される米軍の特権、まさに日米安保や地位協定による主権の侵害状態には口を閉ざす。アジアに対しては主権を主張し、米国に対しては主権はひっこめ、ひたすら同盟の深化を掲げる。二重外交である。

 失敗から学ばない再チャレンジは再失敗のもとである。

 


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