北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

3月議会 一般質問の原稿です

2014-03-10 | 珠洲市議会
 今日は市議会一般質問。
 質問原稿を紹介します。
 今回は3年後に実施たいということで動き出した国際芸術祭について、甘くはないよという話が字数の半分ほどを占めています。新しいプロジェクトであり、頭っから否定するつもりは毛頭ありませんが、成功への道のりは険しく、そのうち財源問題やスタッフ体制などを中心に重い荷物を誰が背負うのかなど、たくさんの難問が浮上すること必至です。
 覚悟もいりますし、それを乗りこえるだけのまちづくりの理念も求められます。なにより北川フラムさん頼みの雰囲気が心配です。そんな意味合いも込めて、21世紀美術館を成功に導いた山出市政にも学ぶべきだと指摘しました。

 答弁は近日中にアップしますが、一番最後の学校の施錠時間について質問に対する答弁がありません。
 施錠時間が9時を過ぎる日数について、最も多い学校では月に何日程度あるか。最初の答弁は聞いてもいない全体の平均で6.5日。
 再質問で出てきたのは4月から1月までの合計の137日。
 意図的なはくらかしか、質問の趣旨の取り違えかしらないが、これでは・・と再々質問に。
 ところがここで議長は再質問を求めなかった。
 答弁があったと判断したようだが、明らかなミスジャッジ。
 各学校の施錠時間については後日、あらためて紹介します。


 以下、質問原稿です。
 発言時間は29分と15秒くらいでした。
 気持ちに少し余裕があるとき、あるいは今日は気力・体力が充実しているぞ!というときに読んでみてください <(_ _)>

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 3月7日朝のこと、「長男にいよいよ赤紙がきました」、そんな情報がネットを駆け巡りました。NHKの朝ドラ「ごちそうさん」の一コマですが、秘密保護法制定や集団的自衛権行使をめぐる解釈改憲の動きをみるとき、赤紙はけっして過去の話ではないと心配する声が確実に広まっています。安倍政権の暴走を一日も早く止めなければならないと訴え、さっそく質問に入ります。

 まず、今議会に提案されました一般会計の予算編成についてお聞きします。
来年度の一般会計予算は9年ぶりの110億円超えの規模となりました。たまたま継続中の大型ハード事業が重なったということもありますが、消費税の税率アップによる景気の落ち込みが懸念される中でもありますから、積極予算も意味のあることだと思います。しかし、今年度の予算編成は5月の市長選挙を控えた中での作業であり、さしずめ準通年型と言ってもいいのではないと思います。予算書の内容を見てみましても、また先ほどからの質疑を聞きましても、政策的経費の中には6月補正へ先送りしたものもあるようです。
 となりますと、仮に3期目を担うこととなり、市長の描く施策を展開していくことになりますと、6月議会で例年以上に大きな補正予算を組むことになり、さらに予算規模は拡大すると思われます。どのような見通しをもっておられるのかまずお聞きをします。
昔のような右肩上がりの時代ではありませんから、予算規模の拡大が市勢発展の象徴だと受けとめるわけにはいきません。市民の皆さんの関心もむしろ予算規模より財政の質に向いていると思います。今回の久々の大型予算も、市財政の改善状況があってこその予算編成でもあろうかと思います。今回の予算の提案にあたって市長は、財政状況を悪化させることにはならないとの認識を示されました。当初予算はその通りだとしても、選挙が終わり6月補正を合わせて今年度予算を見渡したら、財政は悪化していたなどということはあってはなりません。
国の地方財政計画では、珠洲市の歳入が大きく依存する地方交付税は総額で1%の減額となっています。消費税の税率アップで地方消費税交付金が増額となるというのが政府の説明のようですが、増額分の使途は社会保障の充実・安定化とされています。今後、政策的経費をさらに増額していった場合、果たして財政の健全化は保たれるのでしょうか。見通しをお聞きしておきたいと思います。

 次に奥能登里山里海国際芸術祭についてお聞きします。 
 珠洲をはじめとした奥能登一帯は、急激な過疎・高齢化が進行しつつあるとはいえ、芸術的価値の高い歴史と伝統が暮らしの随所に息づき、四季折々豊かな自然にも囲まれ、少なくとも精神的・文化的な面では非常に豊かな地域だと言えます。生物多様性や里山里海の幸の多様性に加え、古くからの農村風景、さらに祭りなどの伝統行事も含め世界農業遺産ということで新たな評価が加わりました。惜しむらくは、それらが経済的な豊かさにはつながらず、継承することすら困難となり、年々寂れつつあるということです。
 いま新たに取り組もうとしている芸術祭が、地域に眠り、あるいは消滅しつつある資源を、アートを切り口として掘り起し、交流人口の拡大、地域の活性化につながるのならばこんなにいいことはありません。
 市長は提案説明の中で「本市の新たな魅力づくりに向けて、芸術、アートに大きな可能性があると考えております」と述べられました。同感ですが、ならばなぜ珠洲の里山里海を見事なタッチで描き続けた勝田深氷さんをもっと活かせなかったのか、勝東庵を活用できなかったのか、今更ながら残念でならないわけですが、これはいまとなってはせん無い話で聞き流していただいて結構です。
芸術祭で展開される芸術は現代アート、しかも海外からのアーティストの参加も予定される国際芸術祭が想定されています。そこから先の具体像を描くための調査や基本計画の策定を支援する予算1000万円が今議会に提案されました。したがって現時点で具体的な議論はしづらいところではありますが、芸術祭のスタートラインに立つにあたって、市長ももちろん熟慮を重ねられたとは思いますが、少しばかり私の懸念することも述べ、質問をさせていただきたいと思います。

 アートとまちづくりとの関わり、その移り変わりを私なりに少し勉強してみました。
日本で町なかの公共空間にアートが登場した歴史は古く、明治時代に遡ります。アートと言っても作品は時代を反映し、明治維新や日清、日露戦争などで功績のあった軍人や政治家の銅像です。東京・渋谷駅前の忠犬ハチ公も日中戦争開戦前の昭和9年に、忠誠心の象徴としてつくられたとのことです。戦後、当然ながらGHQはこのような銅像の追放指令を出しますが、美術史上、明治時代の代表的な作品だとして残されたものもあるとのことです。
高度経済成長期に入ると都市に潤いを与える「彫刻のまちづくり」が全国的に拡大していきます。金沢市内でもよく見かける銅像の多くはこの頃からつくられました。その後、バブル時代に入ると行政や企業が美術館を次々と建設する一方で、都市再開発などで都市空間の整備にアートを活用するアーバンデザインも広がります。もっともこの時点での町なかのアートはハコモノの象徴としての扱いだったようです。
 まちの中に飛び出した現代アートの転機はバブルの崩壊でした。まちの画一化に対抗する手段としてアートが注目され、埋もれたまちの資源を発掘しアートとつなげる仕組みが生まれました。一方、アーティストも表現の場としてまちを選び出します。美術館を飛び出したアート、まちに飛び出したアートといった表現が生まれ、アートとまちの関係を調整する実行委員会方式の下、アートプロジェクトが各地で動き始めます。
 こうしてアートを介したコミュニティづくりや地域活性化が注目されだし、2000年代に入ると都市部だけでなく地方発のアートプロジェクトも一気に拡大します。その火付け役はまさに北川フラム氏がディレクターを務めた越後妻有の大地の芸術祭でしょう。第一回が2000年に開催されました。
いまでは都市でも地方でも芸術祭が真っ盛り。海外から作家を招く国際芸術祭も横浜トリエンナーレ、愛知トリエンナーレ、神戸ビエンナーレ、京都国際現代芸術祭など全国で展開されており、札幌国際芸術祭はゲストディレクターには坂本龍一さんを登用し話題を呼んでいます。
 地方発の芸術祭も、北川フラムさんが指揮を執る大地の芸術祭や瀬戸内芸術祭だけでなく、房総半島の里山を舞台にした「中房総国際芸術祭いちはら」や大隅半島を主な会場としたおおすみ-かごしま芸術祭、世界農業遺産に認定された国東半島でもこの秋に芸術祭が予定されています。アートと言っても現代アートだけでなく演劇や音楽など様々であり、お隣富山では舞台芸術を中心にしたとやま舞台芸術祭が開催されています。
地方発の芸術祭も多種多様、いったいどれだけあるのか知りませんが、「いま、地方の町おこしと言えばアートかB級グルメ」とも言われています。奥能登里山里海国際芸術祭が全国3番目の芸術祭企画ならいざ知らず、このような百花繚乱の中の芸術祭であり、すんなり3大芸術祭に収まるような楽なポジションにいるわけではないということはまず押さえておかなければなりません。
 仮に現代アートの主流がこれまでの延長線上を進み、美術館からまちの中へ、さらに都市から田舎へと表現舞台として求めていくことになったとしても、現代アートによる町おこしが富士山の裾野のような広がりで浸透し、入場者を拡大し続けていくとは思えません。当然、比較、選別される時代を迎えるでしょう。継続開催に不可欠な財政的な基盤、運営組織、住民やボランティアの協力体制など、議論すべき重要なテーマも多くあります。
 実行委員会発足までの経緯はともかく、北川フラムさんありきの芸術祭でもいけません。先ほど金沢美大との連携強化の話がありましたが、非常に重要なことだと思います。先々どのような事情が発生するかわかりませんし、また、ある意味、当然のことながら北川フラムさんがかかわった芸術祭がすべて成功を収めているわけでもありません。原因がどこにあったかはともかく、2009年、新潟市で開催された水と土の芸術祭の評価は厳しく、その総括を踏まえ2回目となった1昨年の芸術祭は大きな方針転換が打ち出されました。県内外4人のディレクターの下、市民参加を進める中で開催されましたが、そのディレクターの中の一人、竹下侑さんは作品設置型の芸術祭からの転換、地元の住民との関係、ボランティアの在り方なども含め、10年が経過した地域振興に寄与する芸術祭のメリット、デメリットを検証する時期に入ったと指摘しています。
先行する芸術祭の教訓をしっかり見極めて進んでいかなければならないということを申し上げ、少々長くなりましたが通告の質問に入らせていただきます。
 市長は提案説明の中で、昨年の瀬戸内芸術祭を視察し、アートプロジェクトが地域の活性化に大きな効果をもたらしていることを目の当たりにしたと述べられました。その経験は貴重なものだと思いますが、今ほど紹介しましたように全国各地で様々な芸術祭やアートプロジェクトが開催されています。様々な芸術祭について体験し学んだうえで、奥能登芸術祭の進め方や構想を膨らませていただきたいと思いますし、議会の私たちも学んでいかなければなければなりません。瀬戸内国際芸術祭以外で市長の印象に残る芸術祭があればお聞かせいただきたいと思います。
 2点目、芸術祭開催の効果は多岐にわたると思いますが、狙いとすることによって運営の力点も変わってくるかと思います。市長が芸術祭開催の効果として最も期待することは何でしょうか。
 3点目、去る2月24日に設立された奥能登里山里海実行委員会の事業計画によりますと、平成26年度は専門家による基本コンセプトの作成が予定されています。コンセプト作成に市や実行委員会の各役員も参画するのでしょうか。あるいは専門家に一任となるのでしょうか。
 4点目、予算計上された1000万円は実行委員会の研究調査費負担金とのことですが、コンセプト作成費はいくらを見込んでいるのでしょうか。その後に予定されている実施計画策定費は含まれるのでしょうか。
 5点目、芸術祭の作品と世界農業遺産として認定された景観をはじめとした里山里海の価値との融合、調和は非常に大事なポイントだと思います。市長は提案説明で上黒丸地区での金沢美大の取り組みを例にあげ、こうした取り組みは本市の里山里海の景観に合うとの認識を示しておられますが、検討すべき課題はないでしょうか。大地の芸術祭や瀬戸内芸術祭の作品、ネットでアップされているものを見させていただきました。多くの素晴らしい作品に驚きつつも、一方で、私から見ればこのような作品を能登に置くのは勘弁してほしいなぁというものもいくつもあります。もちろんこれは私の受けとめかたであり、むしろ逆に私ごときに「なるほどね」とすんなり受け入れられてしまうような作品ばかり並んでいるようでは現代アートの価値はないとも言えるでしょう。ただ、地元の方との事前の十分なコミュニケーションはもちろんのこと、世界農業遺産についても十分理解していただいた上で作品の制作にあたっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。海外からパッと来て、サッと作って帰っていくというのではどうかと思います。
 あと一点、実行委員会の規約には総合ディレクターの役割や権限についての記載がありません。昨年開催された瀬戸内芸術祭後の香川県議会での議論では、総合ディレクターである北川フラムさんに権限が集中しすぎであり、一つひとつお伺いを立てないと進まないとの指摘も出されています。1昨年開催された大地の芸術祭では3年間の総事業費約8億6千万円のうち、全委託費の8割を超える約4億4千万円が北川フラムさんの関係する会社や団体への委託費となっており、その依存度の高さを問題視する声もあります。実行委員会会長として、総合ディレクターの役割や権限についてどのように認識しておられるかお聞きをします。

 いまや町おこしの定番メニューともいえる現代アートといえども、多くの市民の皆さんにとって馴染みがないのも事実でしょう。実は市民の違和感、抵抗感を克服し、現代アートで地域の賑わいを創出した大きな成功例が県内にもあります。言うまでもなく金沢市の広坂にできた21世紀美術館です。なぜ加賀百万石の伝統文化がブランドイメージともいえる金沢に現代アートなのか。構想を聞いたとき、金沢市民はじめ多くの県民は驚き、違和感を覚えました。私もその一人で、山出市長の大変な失政だと思いました。もしあの時に金沢市民の住民投票をおこなったなら、かなりの大差で反対が多数を占めたことでしょう。
 その見立てが結果的に大外れであったことは今では誰もが認めざるをえません。その成功は単に年間来場者約150万人という中心市街地活性化の施設をつくったことに留まりません。後に世界的な建築家と評価されるに至ったSANAAによる斬新な設計と蓑豊初代館長はじめ優秀なスタッフを確保しての運営は美術館のイメージを一新しました。アートは理解するものではなく、鑑賞者が見て、触れて、楽しむもの。大人が息をひそめて静かに見て回る美術館の固定観念を破壊し、子どもたちを含め来館者が参加して成立する体験型美術館を実現しました。
市民の間に現代アートを認知してもらうため、20回にもおよぶプレイベントを市内各所で開催するなど開館までの準備も実に用意周到でした。美術館が新しいアートファンを生み、周辺商店街と連携するなど地域にも開かれ、文化を創造する拠点になっていきました。21世紀美術館は伝統文化を保存継承する金沢という都市イメージを転換し、まさに文化創造都市という新しいブランドイメージにつなげていったと評価されています。
 北川フラムさんは現代アートの新しい分野を切り開いてきた大きな功労者ですが、私は山出保前金沢市長が現代アートに及ぼした影響も決して小さくないと思っています。私は奥能登里山里海国際芸術祭の成功は世界農業遺産の保存・継承からさらに創造へとつなげられるかが鍵だと思います。21世紀美術館を成功に導いたその理念や手法にも学び、あらゆる角度から構想や計画をしっかり踏み固めていくことが大事ではないかと申し上げ、次の質問に移りたいと思います。
 
 食文化条例の制定についてです。
 昨年暮れから上映された上戸彩さん主演の武士の献立をご覧になられた方も多いかと思います。加賀藩の包丁侍舟木家へ嫁いだ上戸彩さん演じる春の天才的な味覚と料理の腕前、夫婦の料理対決、そして加賀藩の行方を左右する饗応料理が一番の見どころです。加賀料理の魅力や奥の深さ、あるいは武士の世にあっても刀ではなく料理によるもてなしが大きな交渉力を発揮したことが印象に残る映画でしたが、何より私にとって痛快だったのは、饗応料理の食材を探し求めて春と夫の舟木安信が能登へ出かける場面です。加賀料理といいつつも、さらにグレードアップした加賀料理で勝負しようとしたときに食材は能登にあったのです。
 またまた金沢市の話になって恐縮ですが、金沢市議会は昨年9月定例会で「金沢の食文化の継承及び振興に関する条例」を制定しました。加賀料理をはじめ、食材や酒、食器、しつらえなど含め、藩政期から特有の発展を遂げた食文化の継承と振興を謳っており、北陸新幹線の金沢開業を見据え、食の魅力を全国に発信し、国内外からの誘客につなげることを目的とした条例です。
金沢の後に続けとか、2番煎じを進めるつもりはありません。全国ブランドの加賀料理ですから大いにアピールしていただければいいと思いますが、食材は能登にあり、特に珠洲は半島の先端という地勢上、外浦、内浦の食材がほぼすべて揃う食材の宝庫だということをもっともっとアピールしていいのではないかと私は思います。地酒、器としての珠洲焼、さらに加えて塩田があります。これまでも、これからも食文化の土台を支えるのはあらゆる調理の基本となる天然塩を製造です。
 8年前、泉谷市長が初当選を飾ったとき、珠洲の強みは食だ、あるいは食育のメッカにしていきたいといったことも言われていたように思います。これらは食祭珠洲まるかじりや奥能登B級グルメ選手権などの多くの食のイベントにつながり、また大浜大豆や大納言小豆の生産拡大とも相まって、新しい料理メニューや商品の開発、開拓にも非常に意欲的な機運が生まれてきました。
また、学校給食でも、今では全国的にも珍しくなった学校給食の全校自校方式を維持し、食育の充実につなげています。私たちの世代では当たり前でしたが、4時間目あたりになると調理室からおいしい香りが漂ってきて、給食の時間には作りたての暖かい給食を食べることができるということの意義、調理員さんとのふれあい、保護者の方、地域の方が持ってきてくれた野菜や魚などが食材として使われていることも含め、子どもたちが学校給食から学ぶことは少なくありません。もっと学校関係者だけでなく広く市民の間で自校方式の意義や食育の大切さを確認しあってもいいのではないかと思います。
こうした食の強みがある一方で、近年、能登の各自治体では食をテーマにしたイベントが花盛りで、規模だけでいうなら穴水のカキまつりなど、富山までも集客エリアにした大きなイベントになっています。能登の各自治体がそれぞれ食の魅力をアピールする中、珠洲の食文化の強みや魅力を市民や事業者、行政が確認しあう意義は大きいと思います。さらに充実した食育を通じて子どもたちに引き継ぎ、観光客へのもてなしにもつなげていくことを目的とした食文化条例を制定してはと思いますがいかがでしょうか。
 金沢市では議員提案で条例をつくりました。それも一つの道ですが、この間、食について強い思いをもって取り組んできた市長の考えをまずは伺いたいと思います。

 次に教職員、市職員の再任用についてお聞きします。
 今年度に60歳定年退職となる職員から退職共済年金の給料比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳へと引き上げられることになります。これに伴い、60歳で定年退職した職員について無収入期間が発生しないよう雇用と年金の接続を図る必要があります。政府は昨年3月、国家公務員について「再任用を希望する職員については再任用することで、雇用と年金を確実に接続することとする」と閣議決定し、さらに地方自治体に対しても閣議決定の趣旨を踏まえ、地方の実情に応じて必要な措置を講じるよう要請をおこないました。
 そこで、教育長には学校現場の対応について、市長には市職員に関わる課題について以下、お聞きしたいと思います。
 石川県教育委員会は再任用を希望する教職員について、原則として全員採用の方針をすでに示しています。そこで再任用を求める退職者の意向ですが、フルタイムではなく短時間勤務を希望している方が多いとも聞きます。学校教育に携わり続けたいとの思いを持ちつつも、後で取り上げますように学校現場の超多忙化という状況の中、フルタイムは心身ともに持たないというのが偽らざる心境ではないでしょうか。
 大量退職時代を迎える中、再任用制度は、学校現場にとってはベテラン教諭の知識や経験を若手世代に引き継ぐ貴重な期間として前向きに捉えることができます。しかし、現在でも短時間勤務の講師の先生もいますが、短時間勤務の先生がさらに増えた場合、学級担任制をとる小学校はどうするのか、授業の割り振りや生徒指導、学校行事の運営体制や部活の顧問をどうするのかなど、新しい課題も次々と浮上してくるように思います。
多様な働き方を認めるのが時代の大きな流れではあります。教育長は、今後の学校運営にあたって、どのような課題があり、どのような対応が必要になると考えておられるでしょうか。
 次に市長にお聞きします。市職員については、平成13年度から始まった公的年金の基礎年金相当部分の支給開始年齢の段階的引き上げに対応し、職員の再任用に関する条例を平成14年に制定しています。ただし、これまでは本人の希望以上に市側の事情もこれあり、再任用をお願いしてきたケースもあったように思います。年金制度改革が新たな段階に入り、雇用と年金の確実な接続という政府の要請も踏まえれば、希望者全員再任用が原則かと思いますが、まずは対応方針をお聞きします。
 今後の運用をめぐっては難しい課題も多いかと思います。再任用が拡大していった場合、課長や補佐をそのままの職位で再任用するのかがまず問われます。次に続く世代のモチベーションの維持向上という観点からの検討も避けられないでしょう。一方、降格して再雇用とした場合、昨日までの上司を部下として使っていくという難しさも生じます。また、専門職の場合は配属できる職場も限られてきます。再任用する場合の職位や職務について、どのような配置方針を考えておられるのかお聞きしたいと思います。

 質問の最後は教職員の多忙化解消についてです。
ブラック企業という言葉が日本社会に一気に浸透しました。数年前までは新卒者の離職率が高い原因を現代の若者の気質に求める傾向がありした。しかしいま、離職率の高さは働く若者側の問題以上に企業側の問題として認識されています。ブラック企業の明確な定義はありませんが、大まかな指標は多くの研究者の間で示されています。異常過ぎる長時間労働、不払い残業、休憩時間なし、休日出勤、強制的ボランティア、健康破壊、高い離職率、まだまだ多くの指標がありますが、さて教育長、学校現場は大丈夫でしょうか。
昨年秋、教職員組合が実施した勤務実態調査の結果を見ますと、県内約4割の教員が月に80時間以上の超過勤務となっています。珠洲市内でもほぼ同様の数値となっており、2年前の調査とおおきな変化は見られません。文科省通知によれば管理職は超過勤務が月80時間を超える教員に対し、医師による面接を受けるよう指導しなければならないとしています。一般に時間外労働が月100時間を超えるとただちに心身の健康に支障をきたすといわれており、過労死が想定される極めて危険なレベルです。
この間、多忙化解消に向けて何度も質問してきましたが、教育長の「多忙化か多忙感か」という表現に象徴されるように、基本的な認識で大きなズレがあり議論がかみ合いません。
 それでも子どもたちとの触れ合いの時間を確保することは大切との認識は一致しており、3年前の6月議会で教育長は「前例踏襲ではなくて、会議や行事等が本当に必要なのか、思い切った見直しや、時には廃止も必要」と考えているとのことでした。そこでまず、その後、削減された会議や行事があればお聞かせいただきたいと思います。
 教員の病気が原因での退職率は石川県が全国で5番目という研究があります。元データは2009年の文科省調査です。県内小中学校では、昨年度は2009年度を超え過去最多の病休者数となっています。こうした危機的状況を改善する議論をするとき、まず共通の現状認識をつくっていくことが大切だと思います。勤務実態調査を実施してほしいという私の要望に対して教育長は実施するつもりはないとのことです。そこで、多忙化の全体像を示すものではありませんが、客観的な数字として、各学校の全教職員が帰宅することを示す校舎の施錠時間について伺いたいと思います。
 今年度の範囲で結構ですので、施錠時間が午後9時を過ぎる日数について、最も多い学校では月に何日程度あるでしょうか。
 また、施錠が午後11時を過ぎる日数について、最も多い学校では月に何日程度あるでしょうか。
 以上、お聞きをしまして質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
 


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